路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【自民党】:杉田水脈議員がブログ更新、一転して発言認め謝罪

2020-10-02 08:26:00 | 【魂の殺人と呼ばれ、繰り返される性暴力の現状・ジャニーズ事務所が抱える性加害の闇

【自民党】:杉田水脈議員がブログ更新、一転して発言認め謝罪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:杉田水脈議員がブログ更新、一転して発言認め謝罪 

 自民党の杉田水脈衆院議員が1日午後、自身のブログを更新し、9月25日の自民党会合で「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言したことについて、これまでと一転して発言を認め、謝罪した。杉田氏は同30日、自民党の下村博文政調会長から口頭注意を受け、ブログで説明する考えを示していた。

30日、杉田水脈衆院議員との面会後、取材に応じる自民党の下村政調会長(共同)30日、杉田水脈衆院議員との面会後、取材に応じる自民党の下村政調会長(共同)

 

30日、下村政調会長との面会後、取材に応じる自民党の杉田水脈衆院議員(共同)30日、下村政調会長との面会後、取材に応じる自民党の杉田水脈衆院議員(共同)

 杉田氏は1日午後、自身のブログで、「女性はいくらでもうそをつけますから」との発言について「発言があったことを確認した」と認め謝罪した。杉田氏は「うそをつくのは性別に限らないことなのに、発言で女性のみがうそをつくかのような印象を与え、ご不快な思いをさせてしまった方にはおわび申し上げます」と陳謝。「女性を蔑視する意図はまったくございません」と釈明した。一方で、野党が求める議員辞職については「今後も表現や言い回しに気をつけ、より良い政策の立案に励む」とし、辞職しない考えを示した。

 立憲民主党の安住淳国対委員長は、記者団に「女性を蔑視するような発言をし、うそをついてごまかしていた」と杉田氏を非難、自民党は離党を含めた処分を検討すべきとの考えを示した。共産党の志位和夫委員長も会見で「謝罪し、議員を辞める。これ以外の解決方法はない」と強調した。

 今回の発言は、9月25日の自民党内閣第1部会・第2部会合同会議で出た。政府側から性暴力被害者の相談事業に関する説明を受けた際「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言。杉田氏は会議後、記者団に「そんなことは言っていない」。26日のブログでも「女性を蔑視する趣旨の発言(女性はいくらでも嘘をつく)はしていないということを強く申し上げておきたいと存じます」と否定したが、身内の党内からも批判の声が上がっていた。

 杉田氏は18年に、月刊誌に「性的少数者(LGBT)のカップルのために税金を使うことに賛同が得られるのか。彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性』がない」と寄稿し批判を浴びた。また、今年8月にはジャーナリストの伊藤詩織さんを誹謗(ひぼう)中傷するツイートに対し、「いいね」を押したとして、伊藤さんから損害賠償を求め提訴されるなど、たびたび人権意識に欠けた発言で問題を起こしている。

<杉田氏発言の経過>

 9月25日 党会合で「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言

 同26日 ブログで発言を否定

 同29日 橋本聖子男女共同参画相が、個人的意見として「自民党として適切な措置をするべきだった」

 同30日 下村博文政調会長に「女性軽視の意図はない」と釈明。下村氏から口頭で注意されたが「より善意が伝わるようにブログで書きたい」

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・自民党・性暴力問題】  2020年10月02日  08:26:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[原発事故高裁判決]賠償基準の見直し急げ

2020-10-02 07:01:50 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【社説】:[原発事故高裁判決]賠償基準の見直し急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[原発事故高裁判決]賠償基準の見直し急げ 

 東京電力福島第1原発事故について国の責任を強く指摘する判決が示された。

 原発事故で被災した福島県などの住民約3650人が、国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審福島地裁判決に続き両者に賠償を命じた。

 原発事故の集団訴訟は全国で約30件あるが、国の責任を認める初めての高裁判断だ。これまで一審では国の責任への判断は割れている。各地の訴訟に影響を与える可能性があり判決の意味は大きい。

 裁判では、原発を襲う大津波を予見できたかなどが争われた。

 仙台高裁判決は一審に続き、政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測の「長期評価」を信頼できると認めた。この知見に基づき試算すれば、国と東電は02年末時点で海抜10メートルの敷地を超える津波の到来を予見でき、事故を回避し得たと判断した。

 一審と異なるのは国の責任の度合いだ。一審では国の責任は東電の半分にとどまるとしたのに対し、高裁は東電と同等に原告の損害全体に責任を負うべきだと踏み込んだ。

 国と東電の責任が同等というのは当然の判断である。

 そもそも原発は国の政策として推進されてきたものだ。さらに国は安全性を確保するため電力会社を規制する立場でもある。津波対策が適切に講じられているか厳格な判断が求められていた。

 「東電の報告を唯々諾々と受け入れ、規制当局に期待される役割を果たさなかった」。判決が示した不作為への厳しい批判を、国は重く受け止めなければならない。

■    ■

 高裁判決は、原告3550人に計約10億1千万円を賠償するよう命じた。賠償額は一審判決の2倍に、対象人数も約2900人から増えた。

 賠償の目安として国が定めた中間指針を超える金額が認められ、対象とする地域も一部で広げられた。

 ただ、指針は東電などの過失が前提にされず、被災者からはもともと金額が低すぎると指摘されている。国と東電は指針を見直し被害実態に見合うものにすべきだ。

 原発事故から来年3月で10年を迎えるが、今なお古里を離れて暮らす人は少なくない。福島県によると、県外への避難者は今年7月時点で2万9千人余りいる。

 地元で暮らしていても、生活再建が進まなかったり健康被害への不安を抱えていたり、平穏な生活を取り戻せずにいる人は多い。被災者支援の拡充は急務だ。

■    ■

 菅内閣が初閣議で決定した内閣の基本方針は、東日本大震災や原発事故の記述が全くなく、被災者を失望させた。

 福島県内では現在も7市町村に帰還困難区域が残り、除染や避難指示解除の見通しは立っていない。第1原発で増え続ける処理水の処分方法も定まっていない。

 原発事故を巡っては国会の事故調査委員会が、規制当局(国)と東電の「なれ合い」があり「明らかに人災」だと指摘している。国は責任を明確に認め、復興にこれまで以上に力を入れてもらいたい。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年10月02日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大弦小弦】:白い野球スパイク

2020-10-02 07:01:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【大弦小弦】:白い野球スパイク

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:白い野球スパイク

 グラウンドの黒土に映える白い足元が新鮮に見えた。熱戦が続いている高校野球の県秋季大会に白いスパイクを履いた球児たちが出場している▼公式戦のスパイクは日本高野連の「高校野球用具の使用制限」の規定により、これまで黒のみとされていた。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2020年10月02日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[沖縄予算概算要求]県の裁量後退させるな

2020-10-02 07:01:30 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説】:[沖縄予算概算要求]県の裁量後退させるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[沖縄予算概算要求]県の裁量後退させるな 

 内閣府は2021年度沖縄関係予算の概算要求をまとめ3106億円を計上した。「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の総仕上げに入る予算だが、要求額ベースでは4年ぶりの減額となった。県が初めて策定の主体となった基本計画にもかかわらず、県の裁量の後退が目に付く内容だ。

 県や市町村の使途の自由度が高い一括交付金は1085億円で、要求額としては過去最低となった。

 改正沖振法の目玉で、住民ニーズは高いものの既存の補助制度では、対応が難しい事業に光を当ててきた予算だ。離島振興や人材育成、医療、福祉など幅広い分野への活用を可能にした。導入当初は予算総額の半分を超える年もあったが、最近では3分の1ほどまでに縮小している。

 一方で、県を通さず市町村に交付する沖縄振興特定事業推進費は85億円。制度創設の19年から30億円、55億円と急増している。これまで以上に国の恣意性とコントロールが強まった感がある。

 沖縄予算は「21年度まで毎年3千億円台の確保」が、安倍晋三前首相と仲井真弘多元知事との間で約束されている。ここ数年、それをわずかに超える額で決着している。

 疑問なのは、県が別枠で要請してきた沖縄科学技術大学院大学(OIST)関連経費223億円が沖縄予算として含まれていることだ。OISTは世界に開かれた施設で、事業スタート時に、沖縄担当相は「沖縄予算に迷惑はかけない」としていたはずである。有識者会議が指摘するように、具体的な沖縄への貢献を説明する責任が求められる。

■    ■

 6年目を迎える子どもの貧困緊急対策事業に15億円計上された。新型コロナウイルス対策として、生活様式に配慮した長期滞在型の「新たな沖縄観光サービス創出支援事業」が新たに盛り込まれた。

 これまで手薄だった教育、福祉といった生活に関わる予算の充実とコロナ禍からの再生は待ったなしだ。

 他方、7億3千万円を要求した「沖縄・地域安全パトロール隊」は検証を必要とする事業ではないか。

 2016年にうるま市で起きた米軍属の男による女性暴行殺人事件をきっかけに、政府が発足させたが、これまで米軍関係者のトラブル通報はわずか8件で、逮捕に至った事例は一件もない。路上寝への注意呼び掛けなど地域「見守り」となっているのが実情で、目的と費用対効果に照らして、事業の在り方の見直しも含めた議論が必要だ。

■    ■

 21世紀ビジョン基本計画は最終年度となる。22年には施政権返還50年という大きな節目が待っている。沖縄には今なお、米軍専用施設の7割が集中し、負担軽減は進まない。鉄軌道がないという格差も残る。国の責任で取り組むべき課題は少なくない。

 観光関連産業を中心に大きな打撃を受けている新型コロナから経済をどう再生させ、沖縄の未来をどう描くのか。

 沖縄の特性を生かし、自立型経済と誰もが安心して生活できる優しい社会構築のために、県も主体的な事業の提案と精査が求められる。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年10月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大弦小弦】:「Let’s Go トラベル」

2020-10-02 07:01:20 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【大弦小弦】:「Let’s Go トラベル」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:「Let’s Go トラベル」

 コロナ禍の自粛生活中、紀行小説「深夜特急」の著者で知られる作家、沢木耕太郎さんの新作「旅のつばくろ」を読んだ。国内旅行のエッセー集で、高校1年生の時に東北を一周した初めての一人旅なども書かれている▼「つばめのように軽やかに。そう、人生も、旅も」。本の帯に書かれている一文にワクワクする。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2020年10月01日  05:13:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[コロナ下の自殺対策]命つなぐ「網」広げよう

2020-10-02 07:01:10 | 【自殺・自殺願望・過労、職責による自殺・集団自殺、社会から孤独・孤立の現状】:

【社説】:[コロナ下の自殺対策]命つなぐ「網」広げよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[コロナ下の自殺対策]命つなぐ「網」広げよう 

 人気俳優の竹内結子さんが40歳という若さで他界した。自殺とみられる。

 芸能界では7月以降、ドラマや映画で活躍する俳優の自殺が続き、驚きと悲しみが広がっている。

 対人関係の悩み、雇用不安や経済的困窮…。自殺は、さまざまな要因が複雑に絡み合って起きるケースが多い。悩みの深さは他人には見えにくい。

 相次ぐ著名人の自殺に加藤勝信官房長官は「悩みのある人が孤立しないように、(周囲が)温かく見守る社会を一緒に構築してほしい」と語り、相談窓口の活用を呼び掛けた。

 国内の自殺者は2019年、統計上過去最少となったが、警察庁によると今年7月から増加に転じ、8月は速報値1849人で、前年同月に比べ246人増えた。特に女性の増加が顕著で、前年比4割増の650人となった。

 自殺者の増加は、新型コロナウイルス感染拡大と無関係ではないだろう。

 外出自粛を余儀なくされ、親族にさえ会えない期間が続いた。休業で収入が減った人も多い。収束が見通せない中、不安感や閉塞(へいそく)感が社会に広がった。

 世界保健機関(WHO)は「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題」と明言する。

 コロナ下、自殺対策はより重要な社会問題になっている。正面から向き合い、1人も取り残さない対策を模索したい。

■    ■

 WHOの自殺予防の手引きによると、自殺の危険が高い人の心理状態には、「生きたい」と「死にたい」という相反する願望が激しく揺れ動く「両価性」、「衝動性」、思考や感情、行為の幅が狭くなる「頑固さ」の大きく三つの特徴がある。

 うつ病やアルコール依存症も自殺のリスクを高める要因となる。

 自殺リスクが高い人への接し方で鍵になるのが、相手の訴えに真摯(しんし)な態度で耳を傾ける「傾聴」だ。

 悩みを誰かに話すことで、ストレスが和らいだ経験のある人は多いだろう。

 ただ、今、対面で話をしたり、聞いたりすることが難しい中、人と人とのつながりをどうつくるかは課題だ。

 対面に代わるユンタク(おしゃべり)の手段として、会員制交流サイト(SNS)やウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」なども有効だろう。

■    ■

 誰かとつながることで、自殺を思いとどまる人がいるかもしれない。砦(とりで)となるのが相談窓口だ。

 「いのちの電話」など民間の支援団体が運営する相談窓口はボランティアに支えられている。コロナ下、相談件数は各地で急増しているが、活動資金や人手不足の問題を抱える。

 国や自治体は公的な相談体制を拡充するとともに、民間を積極的に支援するべきだ。

 一人一人の命はかけがえのないものだ。1人のSOSも聞き漏らさず、安全網で受け止められる社会へ。できることに力を尽くしたい。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年09月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【大弦小弦】:「全然大丈夫」は間違い?

2020-10-02 07:01:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【大弦小弦】:「全然大丈夫」は間違い?

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:「全然大丈夫」は間違い?

 「あのすし屋さん、高級すぎて敷居が高いよね」。ついつい、こんな使い方をする。「敷居が高い」は、不義理をして訪ねづらいが本来の意味。文化庁の調査によると「高級、上品すぎる」と思う人が56%。不義理は29%に過ぎない▼10年ほど前、NHK教育テレビで流れた歌に「全然、大丈夫」という歌詞があった。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2020年09月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:沖縄予算概算要求 自主性尊重の原点に返れ

2020-10-02 06:01:30 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・公取委・主任の大臣・事務次官・官房・

【社説】:沖縄予算概算要求 自主性尊重の原点に返れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:沖縄予算概算要求 自主性尊重の原点に返れ 

 内閣府の2021年度沖縄関係予算の概算要求は3106億円となった。前年と比べて84億円の減額要求となっており、要求額が減るのは4年ぶりだ。このうち沖縄振興一括交付金は、前年の要求額を103億円下回る1085億円にとどまった。要求額として過去最低だ。

 名護市辺野古への新基地建設に反対する県政が誕生して以降、沖縄関係予算、とりわけ沖縄振興一括交付金の減額が顕著だ。基地問題を巡り国と対立する県政を冷遇し、県の自由度を縛ろうとする政治的な裁量が働いていないかと疑念を抱かざるを得ない。
 21年度は現在の沖縄振興特別措置法の最終年度であり、目指す将来像を県民自らで描いた「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の総仕上げの1年となる。だが、減額要求となった内閣府の概算要求から後押しの熱は伝わってこない。
 もちろん、新型コロナウイルスの収束が見通せず国費への歳出圧力が強まる中で、無用に予算を膨らませない財政規律は必要だ。一方で沖縄は基幹産業の観光を中心に打撃が大きく、コロナ禍を克服する対策が求められる。
 県は沖縄振興予算と別枠で新型コロナ対策に必要な予算の確保を要請していた。しかし、コロナ後の経済対策となる観光支援事業などが今回の概算要求には盛り込まれており、その上で全体として減額の要求となっている。
 県や市町村の自由度が高い沖縄振興一括交付金についても、20年度まで6年続けて減額となっている中でさらに減額の要求となった。対照的に存在感を増しているのが、県を通さず国が直接市町村などに交付する「沖縄振興特定事業推進費」だ。
 特定事業推進費は19年度に30億円が初めて設けられ、20年度は概算要求通りに55億円を措置した。今回の概算要求では85億円を要望し、2年連続の大幅な増額要求だ。
 沖縄関係予算全体に占める一括交付金の割合は13年度に53.7%だったのが、20年度は33.7%にまで低下している。一括交付金を減額して県の自由度を縛る一方で、国の裁量による新たな交付枠を設けるのは、沖振法が掲げる「沖縄の自主性を尊重」という目的に逆行する。
 問題なのは、一括交付金の減額や特定事業推進費の増額について積算基準が明確でないことだ。内閣府は一括交付金の減額理由に「執行残などの不用額の多さ」を挙げていた。だが、県や市町村の努力で不用額が抑えられると、減額理由が「所要額を積み上げた結果」と変わってきており、説明に一貫性がない。
 時の政権の都合による恣意(しい)的な判断で、県政と市町村の関係を分断する道具に予算が使われないかと危惧する。
 政府は沖縄関係予算を基地問題の取引材料に絡めてならないのは当然のこと、沖縄の自主性の尊重という振興の原点に立ち返ることだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月02日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:それぞれが門番に

2020-10-02 06:01:20 | 【自殺・自殺願望・過労、職責による自殺・集団自殺、社会から孤独・孤立の現状】:

【金口木舌】:それぞれが門番に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:それぞれが門番に 

 「悲しいのは僕らも同じだから、ファンも今こそ強くいてほしい」。ロックバンドの「X JAPAN」メンバーだったYOSHIKIさんが1998年5月、記者会見で呼び掛けた。数日前にギタリストのhideさんが急逝し、ファンに動揺が広がっていた

 ▼人気俳優の竹内結子さんが急逝した。プロレスラーの木村花さんや俳優の三浦春馬さん、芦名星さんら芸能界で自殺とみられる事例が相次いでいる。著名人の死は社会的影響が大きく、86年に歌手の岡田有希子さんが亡くなった後にも問題化した
 ▼芸能人は一般的な印象より孤独な職業だという。識者は周囲の人々が自殺を防ぐ役割を担うことができると指摘している。厚生労働省は悩みを抱える人に「いのちの電話」などの活用を呼び掛ける
 ▼警察庁によると2019年の自殺者数は2万169人。過去最少だったが10代の自殺死亡率が上昇するなど課題は残る。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を不安視する声もある
 ▼かつて自殺率の高かったフィンランドは自殺の動機を分析し、関係機関に情報提供した。地域や企業にメンタルヘルス重視を促し、自殺率を改善させた
 ▼自殺を個人だけの問題にしてはならない。悩みを抱えた人を孤立させないよう行政が対策を講じ、周囲がそれぞれの立場でゲートキーパー(門番)の役割を果たす必要がある。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年10月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:核のごみ文献調査 拙速な応募に反対する

2020-10-02 05:05:30 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【社説①】:核のごみ文献調査 拙速な応募に反対する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:核のごみ文献調査 拙速な応募に反対する 

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、第1段階にあたる文献調査に応募する動きが大詰めの段階だ。

 後志管内寿都町の片岡春雄町長は、応募する方針を固めたという。来週の町議会全員協議会で半数以上が賛成するとみられ、議会の理解が得られたと判断する。

 同管内神恵内村は地元商工会が応募検討を求めた請願を、議会が採択する見通しだ。高橋昌幸村長は議会の意向を重視する考えで、応募は濃厚とみられる。

 ただ、危険性の高い核のごみの最終処分について、安全な方法は確立されていない。文献調査の実施が、将来の処分場設置につながらないという主張も詭弁(きべん)だ。

 いったん調査が始まると後戻りできる保証がないため、地元住民や周辺自治体、道内に不安が広がる。そんな状態の中での応募は拙速であり、反対せざるを得ない。

 ■地層処分に疑問の声

 核のごみは、原発から出る使用済み核燃料から再利用できるウランやプルトニウムを抽出した後の廃液のことだ。

 政府はこれをガラス固化体にして最終処分する方針だが、高い放射線を放つのが問題だ。安全なレベルに低減するまでに約10万年かかると言われる。

 政府は2000年、核のごみを地下300メートルより深く埋める地層処分にすると法律で定めた。しかし、日本学術会議は12年に、千年以上先まで安全に保管可能かは予測できないと見直しを求めた。

 地震が頻発する日本で、10万年間事故が発生しない保証はどこにもない。いったん放射性物質が漏れ出せば、取り返しのつかない被害の発生は容易に想像がつく。

 地域住民が不安を抱くのは当然だ。周辺自治体や1次産業団体から風評被害の懸念が出ている。

 核のごみの最終処分の方法が確立されていないにもかかわらず、政府は原発稼働を推進してきた。行き場のない核のごみを増産させた責任は政府にある。

 ■町長の説明は不十分

 寿都町は先月以降、住民説明会を9回開いた。町長の説明は、住民の疑問を解消できていない。

 処分場の安全性については「断言する知識はない。一緒に学ぼう」と述べた。安全が確約できないなら、できるまで判断を保留すべきだろう。

 文献調査と処分場の関係については「応募は最終処分場の誘致に即つながらない」とも説明した。だが、文献調査は処分場の設置を目的にしている。設置と切り離せるという考えは不適切だ。

 応募検討の理由に町の財政難を挙げる。しかし、文献調査で得られる20億円の交付金について「永遠には続かない。戦後最大の不況を軽減したい」とし、目先の対応でしかないことを露呈させた。

 町長は20年かけて精密調査まで行った上で、設置は後の世代が判断するとの考えだ。町の将来像には言及せず、未来の世代に対応を委ねるのは無責任ではないか。

 「町民の反対意見が51%を超えれば応募しない」と発言したこともあったが、意見聴取は行われていない。住民は住民投票の実施を要求しているが、町長は文献調査の段階での実施には消極的だ。

 これで住民合意が得られたとはとても言えまい。町内には町長の解職請求(リコール)を模索する動きもある。このまま進んでも町民の分断を深めるだけだろう。

 町長の考えが表面化すると、町民や近隣自治体、1次産業団体から反対論が噴出した。

 鈴木直道知事は、放射性廃棄物の道内持ち込みを「受け入れ難い」とした道核抜き条例の趣旨を踏まえ反対を表明した。

 道民の不安解消を図るのは知事の責務と言える。応募を黙認せず、明確な対応を求めたい。

 ■地方財政に抜本策を

 応募検討の背景に、人口減少や経済縮減など地方の苦境がある。さらに新型コロナウイルスの感染拡大で、基幹産業の観光や1次産業、加工業も打撃を受けた。

 その打開策として核ごみ文献調査に応募するのでは短絡的すぎる。あらゆる可能性を検討した上での判断なのだろうか。

 町長は町の現状に対処することは「きれいごとではない」と強調する。そのために周辺地域への影響を顧みないのでは身勝手のそしりを免れないだろう。

 地域経済の行き詰まりは、全道に共通する問題でもある。国が抜本的な地方財政対策を講じてこなかったつけが今、回ってきていると言えよう。

 疲弊した地域に、処分場に関する交付金をかざすことで、調査へ誘導する手法は承服できない。

 国は自治体が自由に使い道を選べる包括交付金を設けるなど、地域の活力を引き出す政策をもっと打ち出すべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:脱ハンコの意義

2020-10-02 05:05:20 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【卓上四季】:脱ハンコの意義

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:脱ハンコの意義

 中国甘粛(かんしゅく)省の結婚式では、新婦が愛情の証しとして刺しゅうした印鑑袋を新郎に贈る。隊商が印鑑の携行を義務づけられていたころの名残だそうだ。シルクロードの要衝だった地ならではの習俗だろう▼印鑑の本家とされる中国でも、その用途は時代に応じて変遷した。財物・竹簡の封印に始まり、官職・官署の印として使われるようになると、地位や権威を示すものとなった。宋や明の時代には鑑賞の対象ともなり、篆刻(てんこく)も流行した(「日本と中国 楽しい民俗学」社会評論社)▼多様な価値を持つ印鑑ではあるが、近頃はデジタル化を阻害する象徴として、やり玉に挙げられている。河野太郎行政改革担当相は全府省を対象にハンコの廃止を要請した▼テレワークが推奨される中、押印するため出勤する。そんな矛盾が指摘された自粛期間だった。しかしながら、問題は紙の文書で決裁するシステムにあるのではないか。紙がなければ、ハンコを押す必要もなかろう▼新型コロナウイルスの感染者数の把握を巡っては、手書きの報告書やファクスを使った集計の在り方が課題となった。その要因が、インフラ充実など情報技術活用の遅れを招いた施策にあることを忘れてはなるまい▼東京証券取引所ではきのうシステム障害が発生し、株式の全銘柄の売買が終日停止された。ハンコの省略とともに、安全で安価な通信環境の整備を急ぐべきだろう。2020・10・2

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年10月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【核のゴミ】:神恵内も調査応募へ 請願採択見込み 村長、来週にも表明

2020-10-02 05:05:10 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【核のゴミ】:神恵内も調査応募へ 請願採択見込み 村長、来週にも表明

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【核のゴミ】:神恵内も調査応募へ 請願採択見込み 村長、来週にも表明 

 【神恵内】後志管内神恵内村議会は2日、村議全8人で構成する総務経済委員会を開き、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査への応募を求める村商工会の請願の扱いを審議する。過半数の村議が請願に賛同しており、採択すべきだとする委員長報告を同日中にまとめることが濃厚だ。これを受け、高橋昌幸村長は来週中にも臨時村議会を招集し、本会議で委員長報告通りに請願が正式に採択されれば、速やかに応募する意向を表明する見通しだ。

 高橋村長は1日、北海道新聞の取材に、伊藤公尚議長から臨時村議会招集の要請があれば「いたずらに延ばせない」と速やかに招集する考えを示した。本会議で正式に請願の取り扱いが決まれば、応募に関する自らの考えを議会に伝えるとした。「議会と村長は村の両輪だ。村民の幸せにつながる施策につなげていく」とも述べ、議会の判断を尊重する意向を改めて示した。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 北海道のニュース 社会 【話題・地方自治・核のゴミ】  2020年10月02日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER】:元外国特派員協会会長インタビュー(下)■「辺野古基地建設は止めるべき」

2020-10-02 04:45:50 | 【米国・在日米軍・安保・地位協定、犯罪・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー】

【HUNTER】:元外国特派員協会会長インタビュー(下)■「辺野古基地建設は止めるべき」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:元外国特派員協会会長インタビュー(下)■「辺野古基地建設は止めるべき」 

 トランプVSバイデン――。日本時間の30日午前、11月の大統領選を前に行われた第一回候補者討論会で初の直接対決となった両者は、新型コロナ対策などの政策について激しい舌戦を展開。バイデン氏の発言を遮って誹謗中傷を繰り返すトランプ氏と間で、非難合戦の様相となった。

 討論会を見て「勝つのはバイデン」と予測する元外国特派員協会会長のジェームズ・シムズ氏。インタビュアー・調所一郎氏とのやり取りの中で、沖縄の米軍基地の在り方や辺野古の問題について、新たな視点で持論を語った。

【ジェームズ・シムズ(James Simms)】

1967年生まれ。元日本外国特派員協会会長。長年、米国有力経済紙ウォールストリート・ジャーナルでコラムニストを務め、森喜朗、小泉純一郎の両元総理やタイのタクシン首相など世界の指導者にインタビューを行ってきた経験を持つ。日本及び韓国の政治や経済については、深い取材に基づく洞察力に富んだ記事で知られる。現在は東京電力・福島第一原子力発電所の事故に関する本を執筆中。

 ■荒れた候補者討論会

 調所:討論会は、かなり荒れてましたね。

 ―― 40年間近く大統領選の討論会を視聴してきましたが、今回は、荒れたどころか前代未聞でした。CNNはトランプ嫌いですが司会者は討論会終了直後の別な番組で「Shit show」と評価した。直訳は「クソ劇」ですが、ニュアンスとしては「クソの嵐」ですね。原因はトランプ。トランプの小学生レベルの攻撃をバイデンは耐えたが、喋りが重なり議論がかみ合わなった。討論会の司会者は統制できませんでした。

 結局、トランプは数少ない浮動票に、彼に投票する理由を与えることができませんでした。しかし、そのことが、トランプの岩盤支持者に餌を与えたことにはなる。彼らは、トランプの暴走を喜ぶんですね。

 点数付けによる判定は難しいでしょうが、態度や性格ではバイデンには有利な結果になったとみるべきでしょう。挙句にトランプは、白人至上主義者を非難できるかと聞かれ、答えを避けた。それがすべてでしょう。

■外交、安全保障について

 調所:ところで、少し話を戻しますが、外交についてです。ジェームズさんが言うように、トランプ政権は同盟国に頼らず、自国のみで突っ走ってきました。アメリカに追随する動きも出始めてはいますが、きちんと同盟国に根回しして、最初から複数で同時にやらなければならなかった。そういうことですね。

 ――そうです。複数の同盟国で始めから断固たる姿勢で臨めば、中国はやりようがなくなります。特に金融面では先進国におけるドル・ユーロの決済は死活問題。それに規制をかければかなりの制裁になるはずなんです。

 私は、中国共産党幹部や家族の海外資産に対してその“規制”という武器を使わないのは、欧米の金融機関がそれでかなり儲かってて、その利益の一部が政治家に合法的な献金や違法な資金提供で流れているからだと見ています。ロンドンとニューヨークの不動産の近年の高騰は、中国やロシアからの資金洗浄と深く関わっていると思われる節があります。

 調所:私もそう思います。数年前に都心の某有名ホテルのロビーで習近平の弟(習遠平・あえて民間の立場で中国の資金戦略担当をしていると言われている人物)とヨーロッパの某有名巨大金融機関のトップが一緒にいるのを見かけたことがありました。ただし、中国を過大評価しても過小評価してもいけないと思うのですが?

 ――そうですね。現在のアメリカの世論――共和党・民主党支持を問わず――は中国に対する風当たりが冷戦時代のソ連並みになりつつあります。冷戦時代育ちの私としては、自信を持ってそう言えます。しかし、ソ連は蓋を開けてみたら巨人でなく貧弱な小人だった。それを自分の既得権益を守ることや増強するためにわざと過剰評価した人達がいた。

 その教訓を忘れないよう、いまだに自分の本棚に1986年版のアメリカ国防総省の「ソ連軍事年鑑」を置いています。いま読むと、なんでこんな空想をみんな信じたのかと思いますが……。中国を評価する時、色んな問題が横たわっているので冷静かつ現実的に見ないといけません。

 調所:おっしゃる通りですね。ところでトランプ大統領にノーベル平和賞の話があります。イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化に尽くしたということなのでしょうが、どう思いますか?ちなみに、オバマ前大統領は核兵器削減・廃絶に対する何ら実効性の無い演説しただけで受賞しましたが?

 ――オバマ前大統領はノーベル平和賞に値しなかったので没収するべきです。オバマは、核兵器廃絶とは真逆の、核兵器とそれを届ける大陸間弾道ミサイル、原子力潜水艦、戦略爆撃機の近代化に日本円にして約30兆円の長期計画を開始したんです。軍事産業コングロマリットが潤っただけです。 

 調所:で、トランプ大統領は?

 ――トランプはノーベル平和賞を受賞する行動や政策をとってない。核兵器の分野ではロシアとの中距離核戦力全廃条約を昨年、破棄しました。これは1987年にあのタカ派のレーガン大統領が結んだ条約です。中東にしても、アラブ首長国連邦やバーレーンはイスラエルと戦時状態でもなかったし、UAEは「公の水面」(公然の秘密)で軍事的、諜報的な協力をしていた。お互いの利害関係が一致しただけ。敵はイランですからね。

 調所:日本では河野前防衛相がイージスアショア計画を突然止めましたが、トランプ大統領はどう見ているのでしょうか。またジェームスさんは?

 ――トランプは取引主義なのであまりよくは見ないでしょう。が、今は選挙と新型コロナで精一杯。私は弾道ミサイル防衛の研究開発をどんどん進めるべきと思います。まだ、未完成な技術ですから。

 じつは米軍の試験のほとんどが、楽な条件下で実験して失敗に終わっています。一方、敵にしてみれば、ミサイル防衛なんて破るのはわけないと思っている。多少精度が低いスカッドミサイルレベルの安いミサイルでも、数で圧倒すれば勝てる。何発か、または1発でも届けばミサイル防衛の負けですからね。

 調所:私も昔からそう思っていて、だからこそ、ここに来て敵基地攻撃云々の話が出てきたんでしょうね。

 ――それを考えると米国ではcounterstrikeという、いわゆる逆襲。それと先制的な攻撃能力を、日本は米国と共に慎重に検討するべきでしょう。中国、ロシアと北朝鮮はすでにその能力を保持しているので、日本に文句を言える立場ではない。韓国も以前は核兵器や弾道ミサイルの検討をしてましたよね。

 ■「辺野古基地は造る必要ない」

 調所:安全保障の話になると、どうしても避けて通れない問題があります。沖縄の米軍基地、特に普天間飛行場の名護市辺野古への移設や、鹿児島の馬毛島における米軍の訓練基地計画などについて、トランプ大統領はどう考えているのでしょうか?

 ――率直に言うとトランプはそこまで考えてないし、多分分かっていない。彼は上がってくるレポートも読まないし、毎日最低5~6時間テレビ、特にFOXニュースを見ているようですから。辺野古で何が起きているかなんて、知ろうともしないでしょう。

 調所:シムズさんはどう考えていますか?辺野古の問題。

 ――私は沖縄の負担を軽減するには米軍内の海兵隊、海軍、空軍の縄張り意識を変えないといけないと考えています。沖縄県内の基地や駐屯地等をもっと共同で運用するべきだと。

 辺野古移転は、1996年に橋本(龍太郎)内閣の時に決まったのにまだやっているわけです。更に今後10年以上の時間と9千億円だか何兆円だかを越えるカネをかけて、辺野古基地を造る必要はまったくない。反対です。止めるべき。

 一方、馬毛島に空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP:タッチアンドゴー)場を整備する計画は、住民が密集している地域からはかなり離れた島だし、地元の理解さえあれば、進めてもいいのではないでしょうか。米軍の年間の訓練日数も長期ではないはずです。

 調所:アメリカのジャーナリストであるジェームズ・シムズさんから、辺野古や馬毛島についての意見も聞けたのは収穫でした。今日は、貴重な時間をありがとうございました。

【インタビュアー】調所一郎
昭和35(1960)年生まれ。母方は内務官僚一家、父方はマスコミ(電通、読売テレビ)一家という環境で育つ。慶應義塾大学経済学部卒。民間シンクタンク大樹総研(たいじゅそうけん)執行役員等を経て現在はコンサル会社スプラウトグループ取締役。著書に薩摩拵(さつまこしらえ)(里文出版)、永久国債の研究(光文社・財務官僚らと共著)、刀と日本語(里文出版)がある。

  元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治・社会ニュース】  2020年10月01日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER】:元外国特派員協会会長インタビュー(上)■米大統領選、トランプかバイデンか

2020-10-02 04:45:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【HUNTER】:元外国特派員協会会長インタビュー(上)■米大統領選、トランプかバイデンか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER】:元外国特派員協会会長インタビュー(上)■米大統領選、トランプかバイデンか 

 8年近くに及んだ安倍晋三政権が唐突に終わり、官房長官として「一強」を演出してきた菅義偉氏が第99代内閣総理大臣に就任した。

 アメリカでは、安倍がもっとも頼りにしてきたトランプが、11月の大統領選挙に向けて正念場を迎える状況となっている。

 日米の政治状況が変化する中、両国の中枢に取材した経験を持つ元外国特派員協会の会長、ジェームズ・シムズ氏が、財政難に喘いでいた幕末の薩摩藩を救った調所笑左衛門(広郷)の7代目で、20年来の友人という調所一郎氏のインタビューに答えた。

【ジェームズ・シムズ(James Simms)】
1967年生まれ。元日本外国特派員協会会長。長年、米国有力経済紙ウォールストリート・ジャーナルでコラムニストを務め、森喜朗、小泉純一郎の両元総理やタイのタクシン首相など世界の指導者にインタビューを行ってきた経験を持つ。日本及び韓国の政治や経済については、深い取材に基づく洞察力に富んだ記事で知られる。現在は東京電力・福島第一原子力発電所の事故に関する本を執筆中。

 ■菅政権に求められるバイデン陣営との関係構築

 調所:早速ですが、日本では安倍政権の継承を旗印に菅内閣が発足しました。トランプ大統領のスタンスに変化はありますか?
 
 ――変化はないと思います。しかし菅総理はやはりバイデン陣営との関係を作らないといけませんね。
 
 調所:というと?

 ――バイデンが勝つ可能性が高いからです。彼は、トランプのように拗ねないので大人の対応をするでしょう。
 
 調所:バイデンが勝ちますか?確かに現在はバイデン優勢との見方が一般的ですが、どうもアメリカでもマスコミの影響でトランプ支持だと「レイシストその他のマイナスなイメージ」というわけで、実際はトランプ支持なのに公表してないか、逆を答えている層がけっこう存在している気がします。世論調査の方法に問題はないのでしょうか?
 
 ――世論調査の問題点はかなり修正されています。現在は、調査結果と実態はあまり乖離してないと思います。確かに、いわゆる隠れトランプ支持者もいるのでしょうが、以前はいても2ポイント位低く世論調査にでると言われていました。今の世論調査では、場合によって10ポイントの差でトランプが劣勢で、重要な州では4から5ポイント負けているというのが実態でしょう。
 
 調所:なるほど。
 
 私は中西部育ちで、海岸沿い以外は既存の政治・経済支配層いわゆるエスタブリッシュメントに対する怒りはよく知っていたし、自分も一瞬トランプに投票しようと思ったほどです。それが、エスタブリッシュメントに対する真ん中の指になると思ったからですが……。
 
 調所:真ん中の指?中指立てるこれ?
 
 ――そうそう(笑)。日本語では「クタバレ!」という意味になるでしょう。英語ではもっと強い意味を持つ。
 
 調所:そのジェームズさんが、トランプに対し否定的になった理由は?
 
 ――私は高校大学時代、レーガン大統領とパパブッシュ大統領の時期に共和党の選挙運動もやりましたが、トランプのことを考えたり調べたりした結果、とんでもない人物だということが分かりました。ただの自己愛性人格障害のリアリティ番組司会者であり、下手な経営者だと思いました。

 ■幼稚なトランプ

 調所:そこまで言いますか(笑い)。
 
 ――トランプが白人至上主義者であることは明白です。トランプの不動産会社は、1970年代に政府から人種差別で制裁を受けていますし、近年ではメキシコからの移民は大抵が強姦者や麻薬のディーラーであるとか、裁判官がメキシコ出身の親を持つから公正な判が受けられないとか、とんでもないことを言ってます。その判事は米国生まれだったので純粋なアメリカ人なんですがね。
 
 調所:そんなことがあったのは知らなかった。建国以来の移民国家たるアメリカで、それを言ったらダメですよね。
 
 ――もちろん!あと、トランプは黒人のことを話す時に「the Blacks」という言い方をしていました。私はそれを聞いて文法を気にするライターとして凄く違和感を覚えました。
 
 普通は人種や宗教に対して定冠詞theは使わない。使うのは差別を目的としたり、よそ者扱いしたい時が多い。例えば「The Japanese are sneaky」(日本人はずるい)。真珠湾攻撃の後、そう言われましたが、全ての日本人や日系人にそうしたレッテルを貼っていいんでしょうか?もちろん、ダメでしょ。
 
 ちなみにトランプ支持者の中で、「なぜイスラム教徒の入国を禁止してはダメなのか」といった説を展開した人がいましたけど、2017年にトランプが出した入国禁止令を支持する人は少ないのではないでしょうか。差別主義を容認してはいけないんです。
 
 調所:なるほど。トランプに対しては、かなり厳しい評価だということが分かります。ただ、昨今の中国の動きを見ていると「毒には毒をもって制する」的に、バイデンよりトランプの方がアメリカ大統領に相応しいと考える人がいるのも事実でしょう?
 
 ――確かにトランプが中国に対して言っていることや、行動は理解できないこともない。正しい場合もあります。しかし、その政策の実行方法は本当に幼稚ですよ。
 
 同盟国と一緒にその政策を実行せず、自国のみで走るのはなぜか?いくらアメリカが大国と言っても中国はずる賢い。必ず分断策を使って自国の長期的目標の達成を狙ってきます。アメリカは孤立するばかり。一方、中国は仲間を増やしている。だから、トランプ外交は幼稚ということです。

(つづく)

【インタビュアー】調所一郎
 昭和35(1960)年生まれ。母方は内務官僚一家、父方はマスコミ(電通、読売テレビ)一家という環境で育つ。慶應義塾大学経済学部卒。民間シンクタンク大樹総研(たいじゅそうけん)執行役員等を経て現在はコンサル会社スプラウトグループ取締役。著書に薩摩拵(さつまこしらえ)(里文出版)、永久国債の研究(光文社・財務官僚らと共著)、刀と日本語(里文出版)がある。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・社会 【政治・社会ニュース】  2020年09月30日  08:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:大統領選の討論会 米国政治の劣化あらわに

2020-10-02 02:01:55 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:大統領選の討論会 米国政治の劣化あらわに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:大統領選の討論会 米国政治の劣化あらわに 

 米国大統領の座を争う政治家の論争かと耳を疑った。共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が初めて直接対決したテレビ討論会である。

 トランプ氏が発言を遮って「過激左派、いいか聞け」と食ってかかると、バイデン氏が「黙れ、おい」とはねつける。

 「あなたがうそつきなのはみんな知っている」とバイデン氏が非難すると、トランプ氏が「そっちこそうそつきだ」と言い返す。

 開始間もなく無秩序な状態に陥り、個人攻撃の応酬に司会者が手を焼く場面が続いた。

 際立ったのはトランプ氏のルール無視の姿勢だ。話を聞かず、虚偽と中傷を繰り返した。大統領としての威厳はまったく感じられない。前代未聞の光景だ。

 討論会は候補者が政策について説明を尽くし、有権者が人格や政策を含めてどちらが大統領にふさわしいかを吟味するためにある。

 過去には勝敗を決定付ける名勝負の舞台ともなってきた。米国ならではの民主主義のかたちだ。

 新型コロナウイルス対策や経済問題、医療保険制度改革など論じるべき課題は山積している。論戦を聞いて意中の人を決めようとした有権者は失望したに違いない。

 11月の大統領選は大混乱に陥るとの観測がある。コロナ禍で郵便投票が大規模に行われ、開票作業が手間取るおそれがあるという。

 勝敗が判明しないうちに一方が勝利宣言して訴訟合戦に発展し、双方の支持者が市中でぶつかり合う--。そんな悪夢が現実にならないとは限らない。

 討論会でトランプ氏は分断をあおる態度を隠さなかった。過激な白人至上主義を糾弾せず、黒人差別抗議デモの暴徒化を非難した。空席となった連邦最高裁判事の迅速な指名も訴訟に備えた体制づくりという見方がある。

 ほくそ笑んでいるのはロシアや中国だろう。2016年の大統領選でサイバー攻撃を仕掛けたロシアの狙いは、米国の民主主義を弱体化させ、既存の国際秩序を動揺させることだったとされる。

 米国政治の劣化があらわになったのが、今回の討論会ではないか。このまま米国の権威が失墜すれば、日本を含む国際社会への影響も避けられまい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月02日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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