防衛省統合幕僚監部は4日、中国海軍の空母「遼寧」など計6隻の艦艇が沖縄本島と宮古島の間を南下し、太平洋に入ったのを自衛隊が確認したと発表した。遼寧が、この海域を通過するのを確認したのは昨年4月以来。4日午後には、中国の哨戒機による東シナ海と太平洋の間の往復飛行もあった。防衛省は中国の海洋進出強化の一環とみて動向を警戒している。

沖縄本島と宮古島の間を通過した中国の空母「遼寧」(防衛省提供)(共同)沖縄本島と宮古島の間を通過した中国の空母「遼寧」(防衛省提供)(共同)

 防衛省統幕によると、3日午前8時ごろ、男女群島(長崎県)の南西約470キロで、海上自衛隊が6隻を見つけた。6隻はその後、沖縄本島と宮古島の間の公海を抜けた。公海の通過は、国際法上の問題はない。海自は護衛艦「すずつき」や哨戒機のP1、P3Cで、航行を監視。自衛隊への危険な行動はなかったとしている。

 ほか5隻はミサイル駆逐艦3隻、フリゲート艦1隻、高速戦闘支援艦1隻。ミサイル駆逐艦のうち1隻は、中国海軍最大の駆逐艦「レンハイ級」で、3月には日本海周辺に約1週間滞在していた。

 4日午後に飛行したのはY9哨戒機で、沖縄本島と宮古島の間の公海上空を往復。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)で対応した。

 遼寧は2012年に就役した中国初の空母で、16年に太平洋へ初めて進出した。昨年4月に沖縄本島と宮古島の間を南下した際も、今回と同様に駆逐艦やフリゲート艦などと艦隊を構成。約2週間後に沖縄-宮古間を北上し、遼寧が初めてこの海域を往復したケースになった。(共同)