路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【金口木舌】:健康こそ資本

2021-04-13 05:10:40 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【金口木舌】:健康こそ資本

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:健康こそ資本 

 スッチー(客室乗務員)に半ドン(半日休日)、アベック(ふたり連れ)。テレビの情報番組で懐かしい言葉として紹介されていた。その中に「24時間戦えますか」もあった

 ▼1980年代後半、栄養ドリンクの宣伝で広がったフレーズで、寝る間を惜しんで働くサラリーマンの姿を映し出す。がむしゃらに働くことが会社の利益向上につながるとの意識もあったはず
 ▼「24時間戦う」と言えば新聞記者はその代表格。事件や事故が発生したら真夜中でも早朝でも現場に駆けつける。生活は不規則になりがちで、健康診断で「あなた早死にするよ」と警告され、生活改善に取り組んだ記者もいる
 ▼沖縄労働局によると、定期健康診断で異常を指摘される労働者の割合が沖縄は9年連続で全国ワースト。65歳未満の死亡率が全国平均を上回るという厚労省のデータもある
 ▼働き盛り世代の健康を守るため、社員が健康的に働くことが会社の生産性向上につながるという健康経営に注目が集まる。県は働き方改革の一環として、部下の定時退庁を促すなどした所属長を「イケ!ボス」に認定する
 ▼「24時間戦う」は過去のもの。栄養ドリンクのフレーズは「24時間戦うのはしんどい」に変わり、今では「元気に頑張る人」の背中を押す。仕事だけではなく、家事も子育ても趣味も楽しむ、多様な一日を過ごした方がいい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:「まん延防止」適用 財政措置は国が責任持て

2021-04-13 05:10:35 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:「まん延防止」適用 財政措置は国が責任持て

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:「まん延防止」適用 財政措置は国が責任持て 

 新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に基づき、12日から沖縄にも「まん延防止等重点措置」が適用される。

 大型連休を含む5月5日までの期間で、県経済への打撃は計り知れない。罰則規定を含んだ措置の発令は、観光・宿泊業、飲食関連などさまざまな分野に影響を及ぼす。
 不要不急の外出を控えるなど県民一人一人の自覚も求められる。厳しい状況ではあるが、これ以上の感染拡大を防ぐためにはやむを得ない措置だ。一方で補償には今まで以上の財政措置が求められる。国は財源を自治体任せにせず、積極的に関与すべきだ。
 まん延防止措置の発令に伴い、知事は本島内の9市で飲食業者らに午後8時までの時短営業要請を出す。事業者が「正当な理由なく応じない場合」は命令を出し、それでも従わない場合は20万円以下の過料を科すこともできる。
 改正特措法は市区町村単位で範囲を絞るが、9市に隣接する町村部はどのように対応するのか。沖縄市と宜野湾市に隣接する北谷町など市部同様に人出が多い地域もある。
 まん延防止措置が始まれば、近隣町村も同様の時短営業に移行せざるを得ない。市部だけに行動抑制を求めても効果は見込めないはずだ。
 全県的な行動抑制を実現するには、時短要請が求められる飲食店に限らず食品卸などの関連産業、飲酒した客を対象にする運転代行サービスなど補償対象は広がるはずだ。5月の大型連休を見込んだレンタカー業界なども深刻だ。
 特措法は医療施設や埋葬・火葬への支援など都道府県が補助する費用に関し、5~8割程度、国の補助を定める。
 ところが事業者支援に関しては「必要な措置を効果的に講ずる」とあるのみで、国がどの程度自治体を支援するのか曖昧にされている。
 沖縄県はコロナ対策や税収不足を補うため、20年度末で約133億円(見込み額)あった財政調整基金のうち、約7割に当たる95億円を21年度予算で取り崩す方針だ。
 これ以上の財政負担を県や市町村に押し付ければ、自治体経営が破綻しかねない。
 事業者への支援は対象を絞るのでなく、より広い範囲で認めるべきだ。夏の観光シーズンまで持ちこたえてもらうために必要なのは、罰則でなく手厚い支援だ。
 同時に国の責任で検査を拡充すべきだ。変異株対策となるスクリーニング検査の抽出割合は、全国の32%に対し、沖縄は14%にとどまる。
 県内外や離島へ不要不急の往来自粛が求められる中、従来より感染力が強いとされる変異株の感染事例が直近1週間で20件あった。米カリフォルニア州で主に検出される変異株も県内で見つかった。外から持ち込まれた変異株が県内でまん延している可能性は十分にある。
 水際だけでなく米軍も含めた検査態勢の拡充にも政府は責任を持つべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:広がる多様な学びの場

2021-04-13 05:10:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【金口木舌】:広がる多様な学びの場

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:広がる多様な学びの場

 数学の計算ドリルを、時間をかけて解いていく。5年ほど前、「珊瑚舎スコーレ」に通う70代の女性宅を訪ねた。女性は沖縄戦を体験した。戦後、家庭が困窮し中学校で学ぶ機会を逸した

 ▼「覚えるのは大変。でも楽しい」。生き生きとした表情が印象的だった。珊瑚舎はフリースクール、夜間中学校などを運営。小学生から高齢者まで幅広い世代が集う。今春、高等専修学校も開設した。多様で豊かな学びが生まれている
 ▼ここにも新たな学びの場が広がっている。知的障がいのある仲村伊織さんは、4度目の挑戦で真和志高校に合格した。「大きい学校(高校)、行く」と宣言し普通高校入学を目指してきた
 ▼仲村さんは校内にある中重度の知的障がい生徒を対象とした「ゆい教室」で学びつつ、音楽や美術などは他の生徒と一緒に授業を受ける。共生社会への一歩だ。家族や友人、支援者の支えがあり、教育行政も受け入れ態勢を整えた
 ▼公立小中校で学力テストが導入されて久しい。テストの時期になると各校は対策に追われる。だが、学力テスト偏重になってはいけない。点数だけでは測れない学力もあるだろう
 ▼珊瑚舎は4日、入学を祝う会を開いた。「学びというのは点数で表すことが難しい。その人の姿となって表れる学びを、みんなでつくっていきたい」。星野人史代表の言葉にヒントをもらったような気がした。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:デジタル法案衆院通過 拙速な手続き許されない

2021-04-13 05:10:25 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【社説】:デジタル法案衆院通過 拙速な手続き許されない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:デジタル法案衆院通過 拙速な手続き許されない 

 デジタル庁創設を柱とした「デジタル改革関連法案」が6日、与党などの賛成多数で衆院を通過した。このまま成立すれば、地方自治体ごとに整備してきた個人情報保護のルールが白紙となり、データ利用の推進を掲げた国の規定に一元化されてしまう。

 「監視社会」の到来や、企業による商業利用といった多くの懸念を抱えたまま、首相に強大な権限を集め、行政機関が持つ膨大な情報をデジタル庁が一手に収集できるようになる。数の力で成立を押し切ることは、将来に必ず禍根を残す。日程ありきの手続きは拙速であり、許されない。
 デジタル関連法案は、60本以上もの法改正を一括して審議するよう求める「束ね法案」だ。本来であれば法案の一つ一つを審議し、相応の審議時間が必要になる。しかし、衆院内閣委員会で関連法案の審議時間は30時間にも満たず、過去の重要法案と比べてもあり得ない短さだ。
 熟議とは程遠く、国会審議が形骸化していると言わざるを得ない。
 60を超える法案には、「脱はんこ」として話題を集めた押印手続きの削減もあれば、マイナンバーと預貯金口座のひも付け、個人情報保護法の見直しなど、個人の権利との関わりで慎重な議論を要するものまで一緒くたになっている。一括審議で国会審議を進めていい案件ではない。
 これまで個人情報の保護は、住民に近い自治体がそれぞれで条例を制定し、思想信条や病歴・犯歴などの要配慮情報の収集は禁じるなどの慎重な取り扱いを定めてきた。何の目的に使うかという住民本人の合意を得た上で、個人情報を取り扱うことが自治体では原則となっている。
 これに対し政府は、膨大なデータを民間のビジネスにも容易に利用できるようにするという目的を掲げ、規制が緩い国のルールに自治体まで組み込んでしまおうとしている。本人同意による直接収集という個人情報保護の原則はなし崩しとなり、本人の同意なく個人情報を吸い上げることも可能となる。
 企業による個人情報の収集では、就職情報サイトの「リクナビ」が、サイト閲覧履歴のデータなどから学生の「内定辞退率」を予測し、企業に販売したことが問題となった。世界的にも「GAFA」と呼ばれる大手IT企業が大量の個人データを独占し、規制の難しさに国際社会が直面している。デジタル化の推進はプライバシー保護との間で慎重な議論が求められる。
 当事者のあずかり知らないところで情報がやり取りされる状況がある中で、国民の権利として「自己情報コントロール権」を確立し、保障することこそ、これからの時代に政府が果たす役割だ。
 「木を隠すなら森の中」と言わんばかりの、束ね法案による乱暴な手続きは認められない。個別の法案として、提案をし直すことだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:やられた方は忘れない

2021-04-13 05:10:20 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【金口木舌】:やられた方は忘れない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:やられた方は忘れない

 「心の痛手はやられた方だけが/忘れないのさ」。忌野清志郎さんの曲「CHILDREN'S FACE(チルドレンズフェース)」の一節だ。約束を破る「子供の顔したアイツ」について皮肉を込めて歌っている

 ▼過去の行いを加害者が忘れたとしても、やられた方は忘れない。いじめから外交問題までさまざまな場面で使われる言葉だ
 ▼読谷村の米陸軍トリイ通信施設で3月23日と今月1日、米軍ヘリがフォークリフトをつり下げて飛行した。村は同施設での戦術訓練を認めていない。村議会は抗議決議を可決した。フォークリフトは種類によるが重さ1トンを超えるものも多く、危険だ

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/o/ospreyfuanclub/20200226/20200226075932.png
 ▼同村で1965年、米軍機が落下させたトレーラーの下敷きになって少女が亡くなった。米軍は2006年にも読谷村沖で廃車を海に落とした。昨年2月に米軍が鉄製の標的を海上に落下させた事故の原因も、解明されていない
 ▼つり下げについて村や村議会は何度も抗議し、国側は「米側に伝える」と答える。日米両政府は地元が納得する説明をしていない。村民からは「地元の声は米側に届いているのか」との疑念も示される。米軍は65年の事故を忘れたのか
 ▼冒頭の曲は「そーだぜおいらは一度裏切った奴(やつ)は/二度と信用しねえ」と終わる。過去に命が奪われ、現在も危険にさらされる。県民が日米両政府を信用するのは難しい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:空自基地からPFOS 会見し説明責任果たせ

2021-04-13 05:10:15 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説】:空自基地からPFOS 会見し説明責任果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:空自基地からPFOS 会見し説明責任果たせ

 航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出した事故について那覇基地は7日、有害性が指摘される有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)が検出されたと発表した。国の基準値の128倍に上る高濃度だ。

 空自は「PFOSは含まれていない」という当初の説明を訂正し謝罪した。しかし、発表したのは那覇基地のウェブサイトである。不誠実な対応ではないか。記者会見して直接謝罪するとともに、一連の対応や事故原因、再発防止策を示すなど説明責任を果たすべきだ。
 国が定める暫定指針値は、PFOSとPFOAの合計で水1リットル当たり50ナノグラム。事故当日、那覇基地内の水路から回収した汚染水から、PFOSとPFOAが合計1リットル当たり6390ナノグラム検出された。
 基地の水路から後日採水した那覇市の調査でも、PFOSとPFOAが計1リットル当たり360ナノグラム検出され、国の基準の7倍を超えた。
 不可解なのは空自の発表のやり方だ。7日付で同基地のウェブサイトに「お知らせ」として発表した。一体、だれに対する「お知らせ」なのか。
 検査結果に対する基地司令意見の表現にも違和感を覚える。例えば「一定のPFOSが含有されていた」としている。「一定」どころか基準値の128倍、ただならぬ数値が検出されているのだ。
 PFOSが検出されたことについて「配管が破損することがなければ発泡試験後に全量が回収され、産業廃棄物として適切に廃棄されるものでした」と釈明している。
 全量回収するはずだったかもしれないが、実際に配管は破損した。問題は空自の危機管理だ。破損した時点でPFOS拡散の可能性を疑い、情報を公表すべきだった。最悪を想定してなぜ県民や市民に接触や吸引の回避を呼び掛けなかったのか。空自は疑問に答える責任がある。
 専門家は、高濃度の有機フッ素化合物が検出されたことについて、別の可能性を指摘している。今回の事故前からPFOSなどが日常的に基地内の土壌に蓄積し、それが染み出て水路に流れたのではないかというのだ。空自は基地内の土壌調査を実施する必要がある。泡消火剤を使用している全国の自衛隊も同様だ。
 PFOSなどは自然環境中でほとんど分解されない。人や動物の体内に長く残留する。発がん性のほか、出生時の体重に影響が生じる。現在、PFOSを含む泡消火剤を非PFOS品へ切り替える作業が全国で進められている。今回の事故はその切り替え作業中に起きた。
 PFOSの流出事故は、全国どこでも起こる可能性がある。このためPFOSを含む泡消火剤の交換の仕方や、有害物質が流出・飛散した際の対応などの情報を自衛隊が公開し、全国で共有することは喫緊の課題である。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:ヘイトクライム

2021-04-13 05:10:10 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【金口木舌】:ヘイトクライム

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:ヘイトクライム 

 「ヘイ、ジャップ!」。後方から言葉とともに私に目がけて小さな物体が飛んできた。1980年代末の米国中西部。高校に向かうスクールバス内での出来事である。言葉にならないほどの苦痛だった

 ▼自動車に電化製品、ゲーム…。日本製品が米国人の生活に浸透していた。米国の対日貿易赤字は膨らみ、日米貿易摩擦が激化していた時代である
 ▼新型コロナウイルスの感染拡大を機に米国でアジア系住民を狙ったヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えている。大学の調査ではニューヨークなど全米16都市で2019年に比べてアジア系を標的とした憎悪犯罪は2・5倍になった
 ▼世界保健機関は15年から感染病名に国名、人名、動物の名、特定の文化や業界に関する名詞を使わないことを決めた。過去の感染病名が特定の人々への差別につながってきたからだ。だが、トランプ前大統領は新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」と繰り返し発言した
 ▼私に向けられた蔑称は友人の勇気ある行動でやんだ。「見て見ないふりをすることは人種差別する人たちの肩を持つことになるわ」。友人は笑顔でこう言った
 ▼日本にも外国人に対する差別がある。コロナ禍では「外国人お断り」と張り紙をする飲食店もあった。見て見ないふりをすることは人種差別を助長し、支持することにつながる。そのことを肝に銘じたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:福島原発処理水問題 海洋放出しない選択を

2021-04-13 05:10:05 | 【原発事故・東電福島第一・放射能汚染・デプリ・処理水の海洋放出と環境汚染

【社説】:福島原発処理水問題 海洋放出しない選択を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:福島原発処理水問題 海洋放出しない選択を

 東京電力福島第1原発の処理水の処分に関し、海洋放出決定に向けた政府の検討が大詰めを迎えている。

 処理水には除去できなかった放射性物質トリチウムが含まれる。海洋放出によって海の環境や人体に与える影響だけでなく、漁業など地場産業に及ぶ風評被害が懸念される。国連の人権専門家は容認できないと批判している。 政府は処理水処分を急いではならない。海洋放出しない方法はある。トリチウム分離など放射性物質を取り除く技術が開発されるまで地上で保管することである。

 第1原発では溶けた核燃料(デブリ)を冷やすための注水などで、1日に170トン程度の汚染水が増え続ける。東電は多核種除去設備(ALPS)を使って汚染水から放射性物質を取り除く処理をしているが、トリチウムは除去できないと説明してきた。
 しかし、環境保護団体グリーンピースは、トリチウム分離技術は存在すると指摘している。米企業や米国エネルギー省が、トリチウム水の処理方法に関して提案したが十分検討されずに採用されなかったという。
 浄化後の水にトリチウム以外の放射性物質が除去しきれず残留し、一部は排水の法令基準値を上回っていたことも判明した。東電は放射性物質濃度が法令基準以下になるまで希釈すると説明している。だが、いくら安全を強調されても、東電の危機管理と情報開示は問題がありすぎる。
 例えば、第1原発3号機の原子炉建屋に設置した地震計が故障していたにもかかわらず放置していた。このため今年2月に発生した最大震度6強を観測した地震の揺れのデータが記録できなかった。東電は地震後の会見で故障の事
実を一切説明していなかった。
 トリチウムを含む処理水をタンクに保管してきたが、東電は来年夏にもタンク容量が満杯になると試算している。そこで政府は海洋放出を決定しようとしているが、風評被害を懸念する漁業者は猛反対している。意思決定過程で住民参加が不十分である。
 第1原発敷地内に廃炉作業に活用する予定のない場所があるという。それなら満杯になる時期を延ばすことは可能だろう。その間に他の保管場所を確保し、トリチウム分離技術開発を待てばいい。
 国連の人権専門家は3月11日に声明を発表している。汚染水は環境と人権に大きな危険を及ぼすため「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と述べた。海洋放出は子どもたちの将来的な健康リスクを高めるなど、人権侵害に当たると警告している。
 菅義偉首相は国会答弁などで「いつまでも決定せず、先送りはすべきではない。適切な時期に処分方針を決定したい」と述べた。国際社会の警告を無視して、海洋放出ありきで決定を急ぐ姿勢は、合理的な選択とはいえない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月07日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:南部の地に眠る遺骨と不穏な風

2021-04-13 05:10:00 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【金口木舌】:南部の地に眠る遺骨と不穏な風

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:南部の地に眠る遺骨と不穏な風 

 糸満市米須に終戦後「真和志ハイスクール」という学校があった。糸満高校の分校で、校長は翁長雄志前県知事の父・助静(じょせい)氏。米軍の指示で米須に集められた真和志村民が遺骨を集め、「魂魄(こんぱく)の塔」を建てた

慰霊の日、魂魄の塔で手を合わせる人々(2004年6月23日)

 ▼村民の戦後はここから始まった。金城和信(わしん)真和志村長が呼び掛けた遺骨収集には、ハイスクールの生徒も加わった。塔の近くでは今も遺骨が見つかる。この地は沖縄戦の犠牲者の血が染み込み、遺骨が埋もる地である
 ▼犠牲者の眠りを乱すつもりなのか。糸満や八重瀬の採掘場から、名護市辺野古への埋め立てに使う土砂の搬出が問題になっている。骨が混ざった土砂が新基地建設に使われようとしている
 ▼各市町村議会では、南部の土砂を埋め立てに使わないよう意見書の決議が相次ぐ。しかし糸満市と豊見城市の市議会では否決された。いずれも激戦地だったのに
 ▼「遺骨が眠る土を新基地建設に使うのは人道的に許せない」。トマト農家の金城博俊さん(43)=豊見城市=は3日から豊見城市役所前で座り込みをしている。市議会に再度採決を要望、可決を求める署名も募る
 ▼「和魂(にぎたま)と なりてしづもる おくつきの み床の上を 渡る潮風」。助静氏の歌で、魂魄の塔にある。犠牲者が穏やかに眠る地に吹く、優しい潮風を詠んでいる。今、この地に不穏な風が吹いている。金城さんの座り込みは、8日まで続く。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月07日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:知事会コロナ提言 実効性のある対策拡充を

2021-04-13 05:09:55 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:知事会コロナ提言 実効性のある対策拡充を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:知事会コロナ提言 実効性のある対策拡充を

 県内の新型コロナウイルス感染状況は、再び全国ワーストのレベルに陥っている。全国知事会は新型コロナウイルスに関する会議を開き、国への緊急提言をまとめた。

 変異株を含めた感染対策の徹底や、感染力に関する知見の速やかな情報提供に加え、感染対策強化のための財政支援なども求めている。
 全国的に「第4波」の入り口とも言われている。感染拡大を封じ込めるため、政府は知事会提言を重く受け止め、実効性のある施策を打ち出すべきだ。
 県発表の1週間ごとの県内感染状況は、2月11~17日の92人から増加に転じ、3月25~31日は588人となった。警戒レベルの判断指標七つのうち、4月5日現在で三つが「蔓延(まんえん)期」となった。県は那覇空港や離島空港にサーモグラフィーを設置し、発熱者を感知する水際対策を昨年4月から進めたが、現時点で大きな成果は得られていない。
 玉城デニー知事は全国知事会で、コロナ対策に充てる財源のさらなる拡充と、旅行前のPCR検査受検の徹底・強化、臨時交付金の地方単独分の迅速な追加配分と「感染者急増対応枠」といった別枠を設ける―などを国に要望した。財政支援を求めたのは、コロナ対策で県内市町村の財政状況が悪化しているからだ。
 沖縄振興開発金融公庫と琉球大学がまとめた市町村の財政状況調査によると、市町村の「貯金」に当たる財政調整基金残高について、31自治体が2020年度末は前年度より減少する見込みだ。全体の残高は648億円で、19年度末の約794億8千万円から18・5%減少となる。21自治体が、新型コロナウイルスの対策事業のために取り崩した。民間事業者の多い市部の合計では、事業者への補償などで同25・9%減った。都市部の自治体では約6割を取り崩した例もあった。
 21年度以降の対策事業の財源確保を不安視する自治体の声もある。暮らしのセーフティーネットに悪影響が出る事態があってはならない。
 知事会が提言しているように、変異株を含めた感染対策の徹底は急務だ。専門家が指摘するように、流行が変異株に置き換わると抑え込みが困難となる。このため渡航者への来県前の検査呼び掛け、空港での検査体制強化、集団感染発生時の優先的な変異株検査の実施などが感染封じ込めのカギを握る。
 一方、緊急事態宣言に準じた対策が可能となる「まん延防止等重点措置」が5日、大阪など3府県で始まった。営業時間短縮などの要請に事業者が正当な理由なく応じない場合、20万円以下の過料を科す。しかし効果は見通せない。
 玉城知事は経済への影響などを考慮して、国に適用を求めるか慎重になっている。
 5月には大型連休も控え、県内では聖火リレーも実施される。県と市町村、国には即効性がより求められている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:ハードルを越えて

2021-04-13 05:09:50 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【金口木舌】:ハードルを越えて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:ハードルを越えて 

 陸上競技のハードルで新たな県記録が生まれた。400メートル障害で福岡大の津波愛樹選手が打ち立てた。従来の記録は1998年の新地さゆり選手のもので、23年ぶりの沖縄レコードだ

 ▼ハードルの前に来て、いちいち足を合わせるわけにはいかないから、スタートからの歩数が大事になる。津波選手は絶妙の歩数配分で加速し、見事に県新を出した
 ▼あまりに高いハードルを越えてみせてくれたのは競泳の池江璃花子選手だ。抗がん剤治療を経て、実戦復帰した昨年8月のやせた姿から誰が想像できたか。一度は諦めた地元での五輪の代表入りを決めた
 ▼自由形より技術も体力も必要なバタフライでの代表入りがより驚きとなって広がった。日本新を連発したかつての体力ではないが、ピッチを上げて対応した非凡さである
 ▼男子の入江陵介選手が「日本中を勇気づけた」とたたえたようにカムバックは闘病中の人を含め多くを奮い立たせた。ただ、十分とは本人が思っていないはずだ。開催中の日本選手権で他種目にも出場し、2枚目の五輪切符のさらなる高みに挑む
 ▼陸上のハードルは故意でなければ倒しても失格とはならない。つまずいても立ち上がればゴールできる。新年度、新たな挑戦を始めた方もいるだろう。くじけそうな時、聞き慣れた言葉だが池江選手のこの一言は力になる。「努力は必ず報われる」

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:男女平等日本120位 男性社会の改革が必要だ

2021-04-13 05:09:45 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【社説】:男女平等日本120位 男性社会の改革が必要だ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:男女平等日本120位 男性社会の改革が必要だ 

 日本は世界から取り残されていることを自覚したい。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが発表した男女格差報告で、日本は156カ国中120位だった。前回2019年の報告では121位で、低迷が続いてる。先進7カ国では63位のイタリアから大きく離され最下位だ。

 特に女性の政治参画が遅れており、147位だ。前後には、女性の社会的な活動を奨励しないイスラム教の国が並び、先進国としては異例の低さだ。経済分野でも管理職の割合の低さから117位と低水準だった。
 背景には「男は仕事、女は家庭」という性別役割意識など根強い固定観念や、女性の参画を妨げる仕組みがある。男女平等社会を実現するには、男性中心社会を変え、女性の参画を促す仕組みを拡充することが必要だ。
 政府は03年に、20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げたが、達成には遠く及ばない。
 政治の分野では、候補者数をできる限り男女均等にするよう求める法律が施行されたが、現状はほど遠い。女性の政治参画を促すには政党の意識が問われる。女性候補擁立への努力や仕組み作りが求められる。供託金や選挙費用の改善も課題だ。経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中、供託金制度があるのは12カ国で、日本は最高額だ。女性は非正規雇用の割合が高く、男女で賃金格差も大きい。制度を見直して女性が立候補しやすい環境を整えるべきだ。
 女性の政治参画を抜本的に進めるには、候補者や議席の一定割合を男女に割り当てるクオータ制の導入が有効だろう。一方で経済界も女性を管理職に積極登用したり、正社員採用を促したりする努力が求められる。
 最も大切なのは、男性たちの意識変革だ。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(当時)が「女性の入っている理事会は時間がかかる」などと述べた発言は、女性への偏見が根強いことを表す。偏見や差別をなくすよう、男性側が変わらなければ男女平等社会は実現しない。
 育児休業取得率は、男性側の意識改革を測る象徴的な指標である。19年度は女性が83・0%に対し男性は7・48%。男性の育休は増える傾向にあるが、いまだ低い水準である。
 コロナ禍が男女格差に深刻な影響を与えている。昨夏以降、若い女性の自殺者数が増えている。休業や失業が主因とみられる。不況時の自殺は中高年の男性が多い傾向にあったが、全く異なる事態だ。働く女性の半数は非正規雇用であるため、休業や失業のあおりを受けやすい。支援が必要だ。在宅勤務の中で、女性に偏りがちな育児や家事の負担も一層重くなる傾向にある。
 男女平等社会に近づくためには、女性への固定観念や偏見をなくし、就業や雇用形態、収入面でも男女平等を目指すことが肝要だ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月05日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【金口木舌】:知恵の絞りどころ

2021-04-13 05:09:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【金口木舌】:知恵の絞りどころ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:知恵の絞りどころ

 「今回の内閣は体育会系だ。『やれと言ったらやれ』という感じだ」。第2次安倍政権が発足してしばらくして、ある官僚がこぼした

 ▼官房長官時代の菅義偉氏の人物評。「三度の飯より人事が好き」「口数の少なさがかえって威圧感を与える」。日本学術会議の会員候補6人の任命拒否問題や記者団に対する憮然(ぶぜん)とした態度など、首相になってからもその姿勢は一貫している
 ▼官邸政治の内幕を描いた小説「電光石火」は2015年の発刊当時、政府関係者の間で話題に。会合のこなし方や、評価した官僚を重用する小山内和博官房長官のモデルが菅氏なのは一目瞭然


 ▼「今度の内閣は長期安定政権だ。そこがこれまでの交渉と全く違うことを知事にも県民にもわかってもらうしかない」。普天間飛行場の辺野古移設を巡り、小山内官房長官は沖縄訪問時に秘書官に語る。強権ぶりや政敵を分断させる策士ぶりを見事に描写している
 ▼だが実際の政権に見られる身内には甘いという側面は小説ではほとんど触れられていない。坂井学官房副長官が菅氏に近い自民党有志でつくる「ガネーシャの会」の会合を官邸で開いていた。官邸は党内部の会合を開く場所ではない
 ▼追従する人たちを除き、辺野古新基地建設に反対し続ける沖縄には冷淡そのもの。負担を押し付け続ける不合理な圧力にどう向き合うか。沖縄の知恵の絞りどころだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:ミャンマー国軍弾圧 「保護する責任」果たせ

2021-04-13 05:09:35 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【社説】:ミャンマー国軍弾圧 「保護する責任」果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ミャンマー国軍弾圧 「保護する責任」果たせ

 燃えているタイヤに住民が投げ込まれ、7歳の女児が父親の膝に座っていたところ腹部を撃たれて死亡した。デモ参加者へ発砲するだけでなく手りゅう弾が使われている。

 ミャンマー国軍によるクーデターから2カ月余。軍の暴力を抑止する手だてを地域機構や大国が取れない中、500人を超える市民が犠牲になっている。軍隊が非武装の市民を「虐殺」する行為は断じて許されない。
 ミャンマー国軍や治安当局から銃口を向けられている市民は、国際社会に「保護する責任」(R2P)を訴えている。国軍に市民の殺戮(さつりく)の即刻中止を求める。そして国際社会は今こそ「保護する責任」を果たすべきだ。
 日本や米国など12カ国の参謀総長ら軍トップは「国軍と治安部隊が非武装の市民に軍事力を行使したことを非難する」との共同声明を発表し国軍に暴力停止を呼び掛けた。国軍はこの声明を重く受け止めなければならない。
 しかし、国連安全保障理事会は1日、平和的なデモ参加者への暴力や多数の市民の犠牲を「強く非難する」との談話を発表し、国軍に対しては「最大限の自制」を要求するにとどまっている。生ぬるい対応と言わざるを得ない。
 国連は2005年、内戦や虐殺のエスカレートで主権国家が自国民を保護できない場合、国際社会が武力を含む人道的介入で「保護する責任がある」と明文化したはずだ。
 安保理で欧米諸国は国軍への制裁の可能性を探るよう提起したが、常任理事国の中国やロシアは内政干渉として後ろ向きで、ベトナムなども反対姿勢を示した。安保理の存在意義が問われる。
 特に隣国である中国、インドの両大国は、自らの権益を優先する立場を露骨に示している。中国は原油と天然ガスのパイプラインの警備強化を国軍に求め、中国の影響力拡大を警戒するインドは安全保障面でミャンマー国軍との連携を深化させている。
 ミャンマーは1962年の軍事クーデターにより独裁体制が続いた。軍政は2003年、民主化案を発表し11年に民政移管した。軍政が民主化を容認したのは、国際社会で孤立し、欧米による経済制裁によって経済が低迷したからだ。ミャンマーの歴史を振り返れば、国際社会が一致して圧力を強めることの意義が分かる。中国やインドが自国の権益を優先する態度は「人道に対する罪」を容認することにつながる。
 特に日本はミャンマーに対する最大の経済援助国であり、影響力を発揮する時だ。しかし、制裁に依然慎重で米国や欧州連合(EU)とは一線を画している。政府開発援助(ODA)を巡り、実施中の事業の継続の是非を検討する段階にとどまっている。
 日本には、国軍に影響力がある中国やインドに働き掛けて最悪な事態を終わらせる外交力が問われている。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年04月04日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:「難行苦行」宜野湾市道11号

2021-04-13 05:09:30 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【金口木舌】:「難行苦行」宜野湾市道11号

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:「難行苦行」宜野湾市道11号

 先日、全面開通となった市道宜野湾11号を車で走った。普天間飛行場に沿って延びる全長3・5キロで、金網を隔てた向こうは米軍基地。とは言っても、オスプレイが発着する見慣れた基地の姿ではない

28日から供用開始予定の宜野湾市の市道宜野湾11号=2日、同市神山付近
 

 ▼市街地の真ん中にある危険な飛行場も、市道から見れば緑豊かな広場のよう。米軍機騒音さえなければのどかな通りだ。基地になる前、この地にあった住民の営みを想像する
 ▼市道の事業化から完成まで42年の歳月が流れた。道路建設に必要な土地の返還などに時間を要した。基地を抱える自治体はどこも交通渋滞に悩み、道路整備に苦労する。宜野湾市はその典型
 ▼市民の生活道路だったパイプライン通りの舗装が実現したのは1970年代後半。米軍施設のため工事に手間取った。77年11月の市広報は書いている。「なかなかスムーズに運ばず、難行苦行の連続です」
 ▼渋滞解消のため、下水道を兼ねたトンネルを普天間飛行場の地下に築く構想もあった。77年から2期続いた安次富盛信さんの市政で可能性を探った。実現していれば、この街は別の姿になったかもしれない
 ▼地下トンネルを「壮大に過ぎる」と言うなかれ。大浦湾の軟弱地盤に7万本のくいを打ち込む計画がよほど壮大で荒唐無稽ではないか。基地に土地を奪われた街の苦行が伝わる宜野湾市道11号。今度はゆっくり歩き、街の歩みをたどりたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年04月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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