【首相会見詳報】:10回目で初指名された東京新聞記者の質問と首相の答え
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相会見詳報】:10回目で初指名された東京新聞記者の質問と首相の答え
菅義偉首相の23日の記者会見の詳報は次の通り。(東京新聞記者の質問は3ページ目の冒頭にあります)
記者会見で質問のため挙手する記者たち=23日、首相官邸で
【首相会見の流れ】 菅首相の冒頭発言後、内閣記者会の幹事2社(各社持ち回り制)が順に代表質問した。その後、司会の小野日子(ひかりこ)内閣広報官が挙手した記者の中から指名。幹事社や本紙の記者ら15人が質問した後、挙手している記者がいる中、54分で打ち切った。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も同席した。首相会見で本紙記者は、昨年9月16日の就任会見から2度目の緊急事態宣言の解除を発表した今年3月18日までの9回で1度も指名されず、各社の質問回数にも大きな差があった。本紙記者は今回の初指名後、再質問のために挙手したが、小野氏は1人1問が原則だとして応じなかった。
【首相冒頭発言】
全国の感染者数は先月以来、増加が続き、重症者も急増している。大阪、兵庫の感染者数はステージ4でも高い水準にあり、医療提供体制はこれまでになく厳しい。東京、京都も増加ペースが日増しに高まっており、ステージ4の水準だ。
特に懸念されるのは変異株の動きだ。手をこまねいていれば大都市の感染拡大が国全体に広がることが危惧される。ゴールデンウイークという多くの人が休みに入る機会を捉え、対策を短期間で集中実施しウイルスを抑え込む必要がある。再び宣言に至らないよう全力を尽くすと言ってきたが皆さんにご迷惑をかける。心からおわびする。
今回は感染源の中心である飲食の対策を夜間に限らず徹底する。同時に大都市の人流や都市間の移動を抑え、人と人の接触を減らすため踏み込んだ対策を実施する。飲食店に酒類提供を控えていただく。カラオケの提供も停止を要請する。
多くの集客が見込まれる施設の休業を要請する。イベントなどの原則無観客開催を要請する。不要不急の外出、帰省や行楽、感染拡大地域との往来はできるだけ控えていただくようお願いする。出勤者の7割減を要請する。
背景には若年層で感染が拡大している現実がある。若い世代の感染を抑制し、リスクの高い高齢者への波及を防ぐ意識を社会で共有することが求められる。
飲食、宿泊、商業施設などに事業の継続に支障が出ることがないよう資金繰り対策に万全を期す。大規模施設の休業要請は施設の中の店舗を含め、雇用調整助成金に加え、新たな協力金で支援する。大幅に売り上げが減少する事業者には新たに一時金を支給する。都道府県による事業者支援を後押しするために5000億円の臨時交付金を措置する。
ワクチン接種を多くの方々に速やかに受けていただくため、できることは全てやる。まずは医療従事者を早急に終える。ゴールデンウイーク明けまでに700万回分、それ以降は毎週1000万回分を全国に配布し、6月末までに合計1億回分を配布できるようにする。希望する高齢者に7月末を念頭に2回の接種を終えられるよう取り組んでいく。
コロナとの戦いは世界でも一進一退で、予期せぬ変異を繰り返すウイルスの動きは予断を許さない。しかし、学んできた知見の積み重ね、ワクチンという武器もある。必ず終わりが見えてくると確信している。首相としてできることは全て全力を尽くしてやり抜く。
【質疑応答】(前半)
記者(幹事社・テレビ朝日) 緊急事態宣言の解除の基準、延長の可能性は。東京五輪・パラリンピックはできると考えるか。
首相 解除はその時の状況を総合的に考え判断する。五輪・パラリンピックは、感染拡大を鎮めることにまず全力で取り組む。
記者(幹事社・ジャパンタイムズ) 2度目の宣言解除時には変異株への認識が甘かったのでは。
首相 感染者数や病床などの状況に基づき、専門家の意見を聞いて解除した。変異株の対策は大事だが、基本的な従来の対策をしっかりやることだ。
記者(北海道新聞) 飲食中心の対策は判断の誤りだったのでは。
首相 今回の宣言に至った過程では、変異株の拡大が続いており、人流を止める必要があるという専門家の指摘があった。
記者(日本テレビ) 国民の自粛疲れはピークに達している。国民感情にどう協力求めるか。
首相 連休期間を活用し短期に人流を止めたい。国民にもう一度協力をお願いしたい。
記者(ニコニコ動画) 通勤者の削減を確実に担保するには。
首相 テレワークの徹底を含めた職場での感染対策は極めて重要。経済界、いろんな会社の皆さんに実施をお願いする。
記者(NHK) 年末年始に人流を十分に抑制できなかった。反省をどう生かすか。
首相 年末年始、忘年会などで、感染者が拡大したことは事実だ。そうした反省に立ち、今回思い切って踏み込んだ。連休をいかに活用するかと考えた。
記者(時事通信) 財源確保のため、本年度の補正予算を編成するか。
首相 補正予算は考えていない。
記者(ビデオニュース) なぜ日本ではコロナの病床数が一向に増えないのか。
首相 緊急事態に対応する法改正をしなくてはならない。病院に国は予算で支援しても権限はない。平時に法律を作りたい。
【質疑応答】(後半)
記者(東京新聞) 多くの国民は現状では五輪・パラリンピックを開催できないと思っている。首相は緊急事態宣言を出しても開催に影響はないと発言した。コロナ対策と関係なく開催を前提にしているように見える。国民の命を守るより五輪が優先されていないか。感染状況がどのような数値なら、開催するかしないかという具体的な基準を国民に示すべきでは。
首相 開催は国際オリンピック委員会(IOC)が権限を持っており、開催を既に決めている。安全安心の大会にするために東京都、大会組織委員会、政府でさまざまな対応を取っている。外国人観客を入れないのも一例だ。国民の命を守るのは私たちの当然の役割で、しっかりやりながら五輪も対応していく。
記者(フリーランス・江川紹子氏) 中止もやむを得ないという判断基準はあるか。関係者や報道陣が変異ウイルスを持ち込まないための対策は。
首相 IOCがそれぞれの国の五輪委員会と協議した上で決定している。日本もその中に入り、開催する方向で動いている。入国人数は精査しており、水際対策は厳しく行って国内での行動も抑制する。
記者(フジテレビ) 総裁選再出馬の考えは。
首相 コロナの感染拡大を防止することが最優先だ。任期はあるので、機会を見て解散総選挙は考えなければならない。
記者(共同通信) 今回の緊急事態宣言の日本経済への影響は。
首相 ゴールデンウイークに短期集中で実施し支援策も講じる。期間内で感染拡大を防げれば影響は大きくはないと思う。
記者(日本経済新聞) ワクチンの打ち手不足を懸念する声がある。
首相 医師や看護師がいないところもある。人員も含めて政府として支援し、7月末をめどに高齢者の2回接種を終えたい。
記者(読売新聞) 宣言のスタートまで周知期間がほとんどない。国民生活に混乱が生じないか。
首相 人流を絶たないといけない中であえてお願いをした。大変申し訳なく思っている。
記者(ニッポン放送) これまでの2度の宣言は所定の1カ月を延長した。今回の2週間の理由は。
首相 今回宣言をした場所はまん延防止等重点措置をとっている。今から始まる2週間ではない。
元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・菅義偉首相の23日の記者会見】 2021年04月23日 22:58:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。