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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:戦争と平和を考える 朝鮮半島の火種は今も

2022-05-09 07:33:25 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説】:戦争と平和を考える 朝鮮半島の火種は今も

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:戦争と平和を考える 朝鮮半島の火種は今も 

 ウクライナで続く戦争は、遠い国のことと感じられるのかもしれません。しかし、私たちのすぐ近くで、約七十年間終わらないままの戦争があります。朝鮮半島を舞台にした「朝鮮戦争」。軍事境界線を挟んでにらみ合う体制には、日本も深く組み込まれています。
 
 一九五〇年、北朝鮮の南侵で始まった戦闘で、朝鮮半島では民間人を含め数百万人が亡くなりました。戦闘は三年で終わりましたがあくまで休戦です。戦闘はいつ再開されるか分かりません。
 
 ウクライナのゼレンスキー大統領も、朝鮮半島が焦土と化した朝鮮戦争のことを知っていたようです。四月十一日、韓国国会での演説で、こう語りかけました。
 
 「一九五〇年代に、あなた方の自由を破壊しようとする者たちから攻撃されたことを覚えているはずです」「あなた方は耐え、世界はあなた方を助けた。今、私たちは同じことを望んでいる」
 
 自国の惨状を朝鮮戦争に重ね合わせ、支援を求める内容です。
 
 太平洋戦争の終結からわずか五年後、海を隔てて、日本のすぐ隣で発生した戦争を巡り、いったい何が起きていたのでしょうか。
 
 戦争が始まり、国連安全保障理事会は「国連軍」を組織することを決議しました。国連軍ができたのは歴史上この一回だけです。
 
 国連には本来、加盟国でつくる軍隊を紛争地帯に送り、平和を取り戻す任務があります。
 
 ところが、大国の利害が絡み合う安保理は国連軍どころか、今回のように、他国を侵略したロシアに対する非難決議さえ出せないのが現状です。
 
 朝鮮戦争で国連軍が組織できたのは、旧ソ連の安保理欠席という異例の事態があったからでした。国連軍の実態は、米軍を中心とした多国籍軍だったのです。

 ◆日本全土が出撃基地に

 連合国軍の占領下にあった日本では全土が米軍の出撃拠点となりました。日本からの出撃は約百万回、爆弾投下量は七十万トンに及んだとの記録もあります。
 
 日本国内では直接の戦闘は行われませんでしたが、米軍基地のある街ではたびたび空襲警報が鳴り響きました。戦争が終わったのになぜ空襲警報が鳴るのか、住民への説明はありませんでした。
 
 米軍基地で働いていた一部の日本人も戦地に送られ、銃を取りました。掃海活動では戦死者も出ています。銃弾、軍用トラックのほか、兵士が使う歯ブラシや輸血用血液まで日本から物資が続々と送られ、逆に、傷病兵が日本に送られ、治療を受けています。
 
 日本ではすでに戦争放棄を掲げた「日本国憲法」が施行され、一部を除き日本人が直接戦闘に参加することはありませんでした。

 ◆国連軍司令部、日本にも

 ただ、忘れてならないのは戦闘再開に備え、朝鮮国連軍が今も存続し、韓国には国連軍司令部があることです。あまり知られていませんが国連軍の後方司令部は横田飛行場(東京)に存在します。
 
 朝鮮国連軍地位協定に基づき横田、横須賀、普天間など日本国内の七基地が「国連軍基地」に指定され、国連旗がはためきます。朝鮮半島有事にはこれらの基地から軍用機や兵力が送られます。戦争の火種は消えていないのです。
 
 北朝鮮や中国は今、核兵器や長距離ミサイルを保有しています。朝鮮半島で再び戦火が交われば、在日米軍基地も攻撃対象となり、その周辺の地域も安全とは言えなくなります。
 
 核兵器廃絶を訴えるペリー元米国防長官は「未来を読む」(PHP新書)で、「核兵器を使えば、一日で北朝鮮を破壊できるでしょう。しかし、アメリカは東京やソウルに北朝鮮の核ミサイルが撃たれるのを防ぐことはできません」「何百万人もの死傷者が韓国や日本に出る」と警告します。
 
 北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍備拡張、そしてロシアのウクライナ侵攻を機に、日本では敵基地攻撃能力の保有や防衛費の増額、米軍との核兵器共同管理を巡る議論が活発になっています。
 
 二〇一五年には安全保障関連法が成立し、集団的自衛権も行使できるようになりました。
 
 もちろん国家として自衛の努力は大切ですが、休戦中の戦争に再び火がつけば、日本も間違いなく巨大な損害を被ります。
 
 軍備増強よりも戦争が起きない世界をどうつくるのか。北東アジアに残る緊張と対立の芽を摘むことこそが最優先課題なのです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月02日  07:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:<這(は)へ笑へ二つになるぞけさからは>。小林一茶の有名な…

2022-05-09 07:33:20 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【筆洗】:<這(は)へ笑へ二つになるぞけさからは>。小林一茶の有名な…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:<這(は)へ笑へ二つになるぞけさからは>。小林一茶の有名な…

 <這(は)へ笑へ二つになるぞけさからは>。小林一茶の有名な句で、娘のさとが二歳になるうれしさが伝わってくる。最初の子を亡くしている一茶にはよほどかわいかったのだろう

 ▼さとは五月生まれ。現代の感覚なら誕生月の五月の句と考えたくなるが、文政元(一八一八)年の暮れの句と伝わっている

 ▼当時は生まれた年を一歳と数え、その後は新年を迎えるごとに一歳を加算する「数え年」で年齢を表したので二歳になる正月が待ちきれず年の暮れに詠んだかもしれぬ。この句の数カ月後、さとが天然痘で亡くなっている事実が悲しい

 ▼かつてアジアで広く使われた数え年の習慣がわが国から消えて久しいが、お隣の韓国では今も続いていたことを最近のニュースで知る。韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)次期大統領。この数え年を廃止して国際的に使用される満年齢を基準とする法改正を検討しているという

 ▼韓国では数え年が一般的だが、生まれた年はゼロ歳で誕生日を迎えるごとに一歳を加算する満年齢、数え年から一歳を引いて数える方法と三つの年齢が混在しているそうだ。伝統とはいえ、ややこしいのは確かだろう

 ▼法改正によって、満年齢が基準になれば、数え年の年齢から一つか二つ、若返るという人も出てくることになる。気分だけとはいえ、少々、うらやましい話でもあるか。最悪の日韓関係の方も良い方向に若返ればありがたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年05月02日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相の一日】: 5月1日(日)

2022-05-09 07:33:15 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【岸田首相の一日】: 5月1日(日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相の一日】: 5月1日(日)

 (30日)=現地時間

 【午後】宿泊先の「ホテル・デュ・パルク・ハノイ」泊。
 
 (1日)=現地時間
 
 【午前】ベトナム・ハノイのホーチミン廟(びょう)で献花。首相府で歓迎式典。植樹式。ファム・ミン・チン首相と会談。文書交換式、共同記者発表。日越協力に関するセミナーであいさつ。国家主席府でグエン・スアン・フック国家主席と会談、昼食会。
 
 【午後】「ホテル・デュ・パルク・ハノイ」で報道各社のインタビュー。国会議事堂でブオン・ディン・フエ国会議長と会談。ベトナム共産党本部でグエン・フー・チョン党書記長と会談。ノイバイ国際空港を政府専用機で出発。タイ・バンコクのドンムアン空港。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田首相の一日】  2022年05月02日  07:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:戦争と平和を考える 「法の支配」を諦めない

2022-05-09 07:33:12 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【社説】:戦争と平和を考える 「法の支配」を諦めない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:戦争と平和を考える 「法の支配」を諦めない 

 「国際法が存在するのは国際法の教科書の中だけだ」
 
 英国出身の人類学者アシュリー・モンタギューが、物理学者アインシュタインに言い放ちました。一九四六年六月のことです。
 
 アインシュタインは米大統領に原爆開発を促す書簡を送ったことを悔いていました。ナチス・ドイツに先を越されることを恐れての行動でしたが、広島、長崎に投下される結果に。モンタギューとの対談では、原子力の利用を規制するには「国際法が第一の方策だろう」と語りました。
 
 それに対する反論が冒頭の言葉で、国家間の条約は「ほぼ例外なく破られている」と続きます。アインシュタインは、しばし沈黙した後に「まったく正しい」と悲しげに同意したそうです。モンタギューが書き残しています。
 
 七十六年後の今、私たちも国際法の限界に直面しています。ロシアのウクライナ侵攻から二カ月が過ぎ、罪のない市民の犠牲が増え続けています。それなのに国際社会は、ロシア軍を撤退させ、プーチン大統領に法の裁きを下す有効な手段を持ち合わせていません。

 ◆憲章は戦争を「違法化」

 人類の歴史は戦争の歴史でもあります。多大な犠牲の末にたどり着いた一致点は戦争を「違法化」することでした。武力でなく、法による支配を目指すということです。それを明文化した国連憲章は武力の行使を禁じています。
 
 憲章違反に対して、全加盟国を法的に拘束する制裁措置を決められる唯一の機関が安全保障理事会です。ところがウクライナ侵攻に関しては何も決められません。常任理事国ロシアの拒否権も憲章で認められているからです。
 
 安保理決議がなくても米欧が集団的自衛権を行使して参戦することは憲章上は許容されます。ただそれは第三次世界大戦ひいては核戦争への道にほかなりません。
 
 ウクライナの提訴を受けた国際司法裁判所(ICJ)は三月、ロシアに軍事作戦の即時停止を命じましたが、ロシアはこれに従っていません。ウクライナは安保理に訴えることもできますが、結局はロシアの拒否権に阻まれます。
 
 国際刑事裁判所(ICC)の検察局はロシアの戦争犯罪を捜査しています。ジェノサイド(大量虐殺)を立証し、プーチン氏を訴追できるかどうかが焦点です。ただし、欠席裁判はできません。ICCが逮捕状を出しても、プーチン氏がロシア国内にとどまる限り、身柄拘束は不可能です。
 
 国際法の限界を並べれば、世界は国家同士が軍事力で領土を奪い合った十九世紀に戻った、との見方が説得力を帯びてきます。
 
 しかし、私たちはそんな世界を望んではいませんし、国際法は決して無力ではありません。

 ◆19世紀に戻らぬために

 国連総会のロシア非難決議は、法的拘束力こそありませんが、各国の自発的な経済制裁に正当性を与えています。安保理での拒否権行使に説明を求める総会決議もロシアへの圧力になります。ロシアの孤立が深まれば、いつまでも戦費を賄うことはできません。
 
 戦争犯罪の追及には、ロシア軍の暴走をけん制する効果が期待できます。逮捕状が出ればプーチン氏は外国を訪問できず、外交の表舞台に立てなくなります。そんな指導者は、国内での求心力維持も難しくなっていくでしょう。
 
 こうした取り組みが直ちに実を結ばないからと言って諦めてしまっては、世界は本当に十九世紀に逆戻りです。しかも、一万発余りの核兵器がある十九世紀に。
 
 ロシアは、同盟国も核兵器も持たない隣国ウクライナを侵略し、核による威嚇で他国の軍事介入を拒んでいます。核兵器は戦争の抑止力ではなく、威嚇の手段になってしまいました。こうした暴走を止めるのもやはり国際法です。
 
 昨年一月に発効した核兵器禁止条約は、核保有国が参加せず、現時点では、実効性に乏しいことは否めません。
 
 だからこそ、唯一の戦争被爆国である日本が核保有国と非核兵器国の間をつながなければなりません。国連憲章に沿い戦争放棄を憲法で誓った平和国家が、国際社会に「法の支配」を確立する役割を担うことは理想主義でなく、国益にかなう現実主義なのです。
 
 安保理改革や核廃絶は極めて困難です。しかし、その実現を目指すからこそ、私たちは言いたい。「アインシュタインさん、国際法を諦めてはいけません」と。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年05月01日  06:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:1960年代後半、日本のロック音楽の草創期の出来事だそうだ…

2022-05-09 07:33:08 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【筆洗】:1960年代後半、日本のロック音楽の草創期の出来事だそうだ…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:1960年代後半、日本のロック音楽の草創期の出来事だそうだ… 

 一九六〇年代後半、日本のロック音楽の草創期の出来事だそうだ。あるロックバンド。演歌に力を入れるレコード会社と契約していたため場違いなところでも演奏させられた
 ▼ある日は、島倉千代子さんのショー。司会は青空千夜・一夜。おじいさん、おばあさんが中心の観客の前でレッド・ツェッペリンの派手な曲を演奏したそうだ。さぞ目を白黒させたことだろう
 ▼歌手の小坂忠さんが亡くなった。七十三歳。六九年、細野晴臣さん、松本隆さん、柳田ヒロさんらとエイプリル・フールを結成し、ボーカルを担当。お千代さんのショーのあのロックバンドである
 ▼暗中模索の草創期からキャリアを重ね、日本のロックやJポップの礎をこしらえた功労者の一人である。おだやかで繊細にして力強い声。訃報に名盤「HORO(ほうろう)」(七五年)をひっぱり出した方もいるだろう
 ▼昨年十一月の松本さんの作詞活動五十年コンサートで「しらけちまうぜ」を歌っていた。がんとの長い闘いにも声が衰えていない。娘さんの事故をきっかけに牧師となり、ゴスペル歌手として歌い続けていたこともあろうが、ここに至るまでの経験が声に深みや味わいを加えていた気がする
 ▼「HORO」の二曲目は「機関車」。<忘れ物はもうありませんねと/機関車は走るのです>−。「昭和の日」に機関車はホームを離れた。拍手で見送る。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年05月01日  06:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【岸田首相の一日】: 4月30日(土)

2022-05-09 07:33:04 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【岸田首相の一日】: 4月30日(土)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相の一日】: 4月30日(土)

 (29日)=現地時間

 【午後】インドネシア・ジャカルタの「ホテル・インドネシア・ケンピンスキー・ジャカルタ」泊。
 
 (30日)=現地時間
 
 【午前】「ホテル・インドネシア・ケンピンスキー・ジャカルタ」で元日本留学生による表敬。日系企業関係者と懇談。カリバタ英雄墓地で献花。
 
 【午後】政府専用機でジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港を出発。ベトナム・ハノイのノイバイ国際空港。首相府でベトナムのファム・ミン・チン首相主催歓迎夕食会。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田首相の一日】  2022年05月01日  06:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:戦争と平和を考える 女たちが聞く軍靴の音

2022-05-09 07:32:55 | 【第二次世界大戦・軍部の功罪・戦後80周年・東京大空襲他・犠牲者へ無補償

【社説】:戦争と平和を考える 女たちが聞く軍靴の音

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:戦争と平和を考える 女たちが聞く軍靴の音 

 沖縄の人々にとって、春から夏にかけた今ごろは、一年でとりわけ心が痛む季節といわれます。
 
 アジア太平洋戦争末期の一九四五年、沖縄では激しい地上戦がありました。敗色濃い日本は沖縄を本土決戦の捨て石とし、住民を根こそぎ動員。米艦隊は「鉄の暴風」のごとく砲弾を撃ち込み、県民約十五万人が犠牲になりました。
 
 そんな惨禍から七十七年後の今年始まったのが、ロシアによるウクライナとの戦争です。
 
 日本政府はウクライナから脱出した避難者の受け入れを決め、那覇空港にも今月十日、戦火を逃れた避難者が到着しました。
 
 街が破壊され、罪のない市民が犠牲になる。高校教師の伊波(いは)園子さん(37)=写真=は三歳になったばかりの幼い娘を抱き締めながら日本にたどり着いた人々の苦しみを思い、その一方で「顧みられない側」の命を考えていました。
 
 ミャンマーの軍事政権下で弾圧される市民や地域紛争が続く中東やアフリカ、政府軍と反政府派との内戦が泥沼化するシリアの人たちです。ウクライナの人たちと同じような支援をしてきたか、避難者を受け入れ、戦争と弾圧に「反対」と声を上げてきたか、と。
 
 伊波さんは、口にするのはつらいけれど、沖縄もまた顧みられない側にあると思っています。
 
 沖縄は日本の独立回復後も本土とは切り離され、米軍の統治下に置かれました。七二年にようやく日本に復帰しましたが、米兵による犯罪や事故は絶えず、なお戦中のようです。伊波さんも本当の「戦後」をいまだ見ていません。

 ◆刻み込まれる被害記憶

 沖縄では身近な土地や地名に戦争や米軍の事件、事故による犠牲の記憶が刻み込まれています。
 
 伊波さんの地元うるま市の宮森小では五九年、米軍ジェット機が墜落し、児童や住民十八人が犠牲になりました。伊波さんが小学五年生だった九五年、一学年上の女児が三人の米兵にレイプされる事件が起き、二〇〇四年には友人も通う沖縄国際大に米軍ヘリが墜落。一六年には米軍関係者が二十歳の女性をレイプし、殺害する事件がありました。
 
 最近では米軍基地から有毒物質「有機フッ素化合物PFAS」の流出が確認されています。早朝でも夜でも授業中でも、ごう音を立てて飛ぶ米軍機を伊波さんはにらみつけ、生徒の生活や学びに悪影響が出ることを心配しています。
 
 日本政府は、こうした沖縄の苦悩に目を向けないどころか、沖縄を有事体制の最前線に組み込もうとしています。沖縄が「顧みられない側」にあるという伊波さんの思いは、沖縄が再び戦場になる恐怖と結び付いているのです。
 
 普天間飛行場の代替施設として名護市辺野古に建設中の米軍新基地だけではありません。鹿児島から沖縄までの南西諸島の島々で、自衛隊基地が築かれています。うるま市勝連の自衛隊分屯地には南西諸島のミサイル防衛(MD)を指揮する拠点計画があります。
 
 中国や北朝鮮への備えが名目ですが、自民党政権はロシアによる戦争を機に、軍備増強へのアクセルを踏み込んでいます。
 
 基地反対運動への締め付けも強めています。
 
 辺野古のキャンプ・シュワブゲート前などで機動隊員が市民を抑え込んだり、監視や取り締まりの対象にしたりしてきましたが、自衛隊も、警察や米軍と連携して対処する事態に反戦デモを加えていたことが、防衛省の作成資料から発覚しました。反戦運動に加わる市民を敵視することを隠そうともしない。軍靴の足音は確実に近づいています。
 
 ウクライナで起きていることは決して人ごとではありません。日本でも世論が軍備増強一色に染まるのは危険です。不安を政治利用する人もいるでしょう。

 ◆沖縄再び戦場にしない

 沖縄県内の研究者らの呼び掛けで一月に発足した「ノーモア沖縄戦 命(ぬち)どぅ宝の会」共同代表の宮城晴美さん(72)=那覇市=は「軍隊は決して住民を守らない、というのが沖縄戦や戦後沖縄の教訓です。軍隊が駐留すれば攻撃の標的になる可能性が高まります」と語ります。
 
 宮城さんは言います。
 
 「沖縄を二度と戦場にしない。加害の島にもしない」
 
 その切なる願いに応えるのは、沖縄に米軍基地の痛みを押しつけ平和な暮らしを享受してきた、大多数の日本人の責任ではないでしょうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月30日  07:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:昭和のプロ野球の審判で、功績が認められて野球殿堂入りした二…

2022-05-09 07:32:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【筆洗】:昭和のプロ野球の審判で、功績が認められて野球殿堂入りした二…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:昭和のプロ野球の審判で、功績が認められて野球殿堂入りした二…

 昭和のプロ野球の審判で、功績が認められて野球殿堂入りした二出川延明(にでがわのぶあき)さんは「俺がルールブックだ」と抗議を退けた話で知られる

 ▼試合を面白くするため最終回には、リードする側の投球への判定が厳しくなったとも伝わる。鉄腕・稲尾和久さんが、ど真ん中に軽く投げた球をボールと判定され、マウンドを降りて文句を言ったら「稲尾君の球として物足りない」と返されたという。スポーツ実況で活躍した元NHKアナウンサー西田善夫さんのコラムに教わった

 ▼先日の試合で、ロッテの佐々木朗希投手のもとに球審の白井一行さんが怒った表情で詰め寄った。ランナーを一人も出さない完全試合達成から間もない若手右腕だが、判定への不満を態度で示したと白井さんは受け取ったらしい

 ▼審判として感情的すぎるなどと批判を招き、日本野球機構にも抗議が寄せられた。審判長が白井さんに「別の方法があった」と指摘したという。態度を注意するとしても捕手を介するなど冷静に、ということらしい

 ▼西田さんのコラムによると、ボールと判定した二出川さんに「物足りない」と言われ、稲尾さんは悪い気がしなかったという。「なんだかほめられた気がして、気持ちよく次のモーションに入りましたよ」

 ▼乱暴ともいえる判定をしつつ、抗議をかわして選手をうまく乗せる−。審判が通ずるべきは人情の機微、だろうか。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年04月30日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相の一日】: 4月29日(金)

2022-05-09 07:32:45 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【岸田首相の一日】: 4月29日(金)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相の一日】: 4月29日(金)

 【午前】8時9分、羽田空港。16分、報道各社のインタビュー。40分、東南アジア、欧州歴訪のため、政府専用機でインドネシアに向け出発。

 (29日)=現地時間
 
 【午後】インドネシア・ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港。ジャカルタ郊外ボゴールの大統領宮殿で歓迎式典。記念撮影、記帳。植樹式。ジョコ大統領と会談。共同記者発表。ジョコ氏主催夕食会。宿泊先の「ホテル・インドネシア・ケンピンスキー・ジャカルタ」で報道各社のインタビュー。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田首相の一日】  2022年04月30日  07:18:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:講和条約発効から70年 あの原点に時を戻そう

2022-05-09 07:32:40 | 【第二次世界大戦・軍部の功罪・戦後80周年・東京大空襲他・犠牲者へ無補償

【社説】:講和条約発効から70年 あの原点に時を戻そう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:講和条約発効から70年 あの原点に時を戻そう 

 日本が敗戦後の占領から独立を回復したサンフランシスコ講和条約の発効から、きのうで七十年。私たちは今、歴史の逆流を見ているのでしょうか。
 
 「核使用」まで振りかざすロシアの蛮行に表出したのは、いつになっても戦争のくびきから抜け出せぬ、人間の宿業です。
 
 そう思うのは、例えばこの夏やはり創設七十年の防衛大学校(神奈川県横須賀市)で、先月あった卒業式です。幹部自衛官となる卒業生を前に、岸田文雄首相の訓示には一段と熱がこもりました。
 
 ロシアのウクライナ侵攻で、日本にも迫る「戦後最大の危機」を踏まえ、卒業生は「一人一人が国民の命と暮らしを担う砦(とりで)となる自覚を忘れるな」。政府は「あらゆる選択肢を排除せず、防衛力を抜本的に強化していく」−。
 
 その熱気も追い風に、自民党の防衛費倍増や敵基地攻撃能力保有の検討が勢いづいています。平和憲法や専守防衛の矩(のり)を超え、歯止めなき軍拡路線への加速です。

 ◆不戦の民意が信頼され

 しかしながら、私たちが今ウクライナに見る惨劇の教訓が、新たな惨劇の誘因ともなる「軍拡」でいいはずがない。むしろ今こそ立ち返るべきは七十年前、世界に不戦を誓った独立の原点でしょう。
 
 条約発効の前年、一九五一年の秋に時を戻します。九月上旬、サンフランシスコ講和会議で日本全権を務め、この条約に署名した当時の吉田茂首相は十月十二日、国会での講和報告演説で二つの事を強調します。
 
 一つは、戦争の苛酷さを体感した日本国民が戦争を放棄し、国際連合憲章を尊重して世界の平和と繁栄に貢献したいと願う。条約の基点に、この自発的な「民意」の表明があったということです。
 
 もう一つは、その民意を連合国側が「信頼」し、日本に懲罰的、報復的な条項は課さない。当時の平和条約では例がないほど、敗戦国に「寛大」な措置でした。
 
 戦争の敗者が復讐(ふくしゅう)に燃え、次の「戦争の種」を生むような悪循環を断とう。この国連設立の精神こそが、寛大な条約の底流をなし、日本が世界の信頼を背に歩み出した平和主義の原点でした。
 
 無論この講和には裏もありました。朝鮮戦争さなか。米国は日本に「再軍備」への圧力を強めていました。平和憲法の制約にも挟まれた吉田は結局、日本の防衛を米軍に頼ります。講和と同時に沖縄などを本土独立から切り離し、米軍に基地を残して日米安全保障(旧)条約を締結。後の自衛隊創設にもつながる重い決断でした。
 
 ただ半面、独立、復興の表舞台で吉田は、軍事費をかけず経済活動に専念する「軽武装・経済重視」政策を推進します。再軍備などはさておき、国民が望む平和国家としての復興、繁栄をともかく優先する姿勢でした。

 ◆政治に民主主義を再び

 それはまた、昔のような権力による民意の抑圧でなく、主権者の民意で政治が動く。あの軍国主義から生まれ変わった、政治の民主主義を印象づけることで、国際社会に「信頼される民主国家」として復帰したい。吉田の自伝にはそんな思惑ものぞきます。
 
 けれど七十年後の今、気が付けば、政治に民主主義の影が随分薄くなりました。思い当たる転機は九年前の四月二十八日。「主権回復の日」として政府が主催した記念式典でした。時の首相が式辞で述べたのは「日本を強くし世界の人々に頼ってもらえる国に」と。「信頼される国」から「頼られる国」へ。場内に響く「天皇陛下万歳」の連呼。何やら戦前への回帰も想起させる時代倒錯でした。
 
 式典は、この日を「屈辱の日」とする沖縄の人々から猛反発を受けて一年限りで中止。ところが自民党政権はその後、政権支持層以外の不都合な民意を遠ざけるようになり、権力の独断で軍事力強化へひた走ります。集団的自衛権、安全保障関連法、そして今に続く歯止めなき軍拡への流れです。
 
 次代に「戦争の種」を残し、その財源もまた次代に付け回す。まして他国の惨劇にも便乗しての軍拡路線に、私たちは与(くみ)することはできません。大方の民意は、先人から受け継ぐ平和主義を次へつなぐこと。国際社会の信頼に応え平和外交を尽くす道でしょう。
 
 だけど、そこに政治の後押しがなければ、民意の継承も、世界の信頼も途切れます。
 
 この世代で途切れぬよう、民意の束を太くし、政治に真の民主主義を「回復」せねばなりません。独立七十年にして問われる、私たちの世代の責任です。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月29日  07:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代…

2022-05-09 07:32:35 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【筆洗】:中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代…

 中学生の時に失明したという佐木理人(あやと)さんは、四十代の点字新聞の記者。白杖(はくじょう)を使って通勤している。大改修が進む大阪・梅田の地下街の一角で立ち止まり、移された点字ブロックを探す体験をつづった記事を先月、毎日新聞で読んだ

 ▼「落ち着こうと、大きく深呼吸する。つえ先を慎重に右左に動かし、工事で張り替えられた点字ブロックを見つけ、会社にたどり着く」。知らない道を歩く時は緊張するようで、こう続く。「一人で初めて訪れる取材先への道では、足裏に点字ブロックの突起を感じると、ほっとする」

 ▼奈良県内の近鉄の踏切で先日、目の不自由な女性(50)が電車と接触して死亡した。近くで白杖と全盲を示す障害者手帳が見つかり、踏切があることを警告する手前の点字ブロックは一部が欠損していた。経年劣化ではがれた可能性があるという 
 ▼付近の防犯カメラに、踏切を横断中に遮断機が下り始め、立ち止まる姿が写っていたという。踏切と知らずに立ち入ったのだろうか。胸が締めつけられる 
 ▼点字ブロックは岡山の男性が考案し、一九六七年に地元の盲学校近くの交差点に初めて設置された。各地に広がったが、点字ブロック上の駐車、駐輪、立て看板設置などは絶えず、障害者がぶつかることもある
 ▼誕生から半世紀が過ぎた「道標」への理解は十分なのだろうか。まただれかを傷つけてはいけない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年04月29日  06:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相の一日】: 4月28日(木)

2022-05-09 07:32:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・優生訴訟・年収「103万円」の壁】

【岸田首相の一日】: 4月28日(木)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相の一日】: 4月28日(木)

 【午前】8時14分、官邸。22分、閣議。42分、磯崎仁彦官房副長官。10時33分、棚橋泰文自民党行政改革推進本部長らから提言書受け取り。11時12分、中谷元・首相補佐官、秋葉剛男国家安全保障局長、外務省の山田重夫、鈴木浩両外務審議官、船越健裕アジア大洋州局長、市川恵一北米局長、宇山秀樹欧州局長、小野啓一経済局長。22分、中谷首相補佐官、秋葉国家安全保障局長、外務省の山田、鈴木両外務審議官、市川北米局長、宇山欧州局長、小野経済局長。58分、秋葉国家安全保障局長、外務省の山田、鈴木両外務審議官、市川北米局長、小野経済局長。

 【午後】0時53分、国会。55分、宮本周司自民党参院議員。1時2分、衆院本会議。30分、参院内閣委員会。2時42分、官邸。43分、萩生田光一経済産業相、経産省の多田明弘事務次官、奈須野太産業技術環境局長、保坂伸資源エネルギー庁長官。3時34分、産経新聞のインタビュー。4時1分、秋葉国家安全保障局長、滝沢裕昭内閣情報官。13分、滝沢内閣情報官。18分、新しい資本主義実現会議。6時30分、ドイツのショルツ首相を出迎え。31分、儀仗(ぎじょう)隊による栄誉礼、儀仗。40分、ショルツ首相と首脳会談少人数会合。7時11分、ショルツ首相と首脳会談全体会合。8時2分、共同記者会見。31分、日独財界人の表敬。47分、公邸。岸田文雄首相主催の夕食会。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田首相の一日】  2022年04月29日  07:46:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:ツイッター買収 自由と公共性保てるか

2022-05-09 07:32:27 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説①】:ツイッター買収 自由と公共性保てるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ツイッター買収 自由と公共性保てるか 

 米短文投稿サイトのツイッターを、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が買収する。
 
 マスク氏はツイッターの投稿規制を「検閲」と繰り返し指摘し、連邦議会襲撃事件をあおったとして、同社がトランプ前大統領のアカウントを永久凍結したことも批判。「言論の自由」を確保するため、投稿管理の改革を進めるとしている。
 
イーロン・マスク氏のTwitterページ=AP

イーロン・マスク氏のTwitterページ=AP

 しかし、言論の自由を名目に、差別や暴力、誹謗(ひぼう)中傷を助長する投稿や偽情報が野放しにならないか。利用者が一日二億人を超える交流サイト(SNS)の公共性を確保できるのか、マスク氏は説明責任を負うことにもなる。
 
 ツイッターの株式は、マスク氏が全額出資する企業が一株当たり五四・二〇ドルですべて買い取り、買収総額は約四百四十億ドル(約五兆六千億円)。買収完了後は、より自由な経営を目指すとして上場を廃止し、非公開企業となる。
 
 ツイッター側は当初、マスク氏の買収提案を拒む姿勢を見せていたが、マスク氏が株式の時価総額を大きく上回る資金を確保すると一転、「株主にとって最善の道」として身売りを決めた。
 
 ツイッターなどのSNSは一民間企業だが、世界中で多くの人が利用し、事故や災害発生時には重要な連絡手段となるなど、公共性が高い言論空間となっている。
 
 しかし、真偽の見分けがつかない投稿も多い。コロナ禍ではワクチンを巡る誤情報も氾濫し、ロシアのウクライナ侵攻では偽情報が拡散している。悪質な投稿に傷つき、自殺に至る事案もある。
 
 欧州連合(EU)が巨大IT企業に偽情報や憎悪発言など、違法なコンテンツの排除を義務付ける法案で合意したのは、社会的責任の重さからである。
 
 マスク氏は過激な投稿を繰り返し、新型コロナウイルスの検査を「でっち上げ」と批判して物議を醸したこともある。公共空間を担う株主としてふさわしいのか。
 
 ツイッターが引き続き公共性を維持できるのか。経営の行方を国際社会が注視する必要がある。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月28日  07:42:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:中国と南太平洋 新たな火種とせぬよう

2022-05-09 07:32:24 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、残留孤児、国家による抑圧統治】

【社説②】:中国と南太平洋 新たな火種とせぬよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:中国と南太平洋 新たな火種とせぬよう 

 中国が南太平洋で島しょ国の軍事拠点化を進めるのではないかとの懸念が高まっている。南シナ海で実効支配を拡大してきた中国は、これ以上地域の脅威になるような動きを強めるべきではない。
 
 警戒感が一気に広がったのは、中国が南太平洋の島国ソロモン諸島と安全保障協定を結んでからだ。協定内容は公表されていないが、中国艦艇の寄港や軍隊、警察の派遣を認める内容とみられる。
 
 ソロモン諸島の南に位置し、協定の調印に反対してきたオーストラリアやニュージーランドが「中国がソロモンに軍事施設を設ける恐れがある」と反発したのは当然であろう。
 
 米国は二十二日、国家安全保障会議高官をソロモンに派遣し、中国軍駐留につながる行動には「相応の措置」で対抗する考えを伝えた。ソロモン側は中国軍の駐留はないと強調したという。
 
 中国外務省の副報道局長は協定締結を発表した後の二十日の会見で「第三国に向けられたものではない」と述べたが、協定の目的や内容が不明確である以上、関係国の不安が払拭(ふっしょく)されるはずもない。
 
 南太平洋の島しょ国をめぐっては、中国が経済援助をテコに台湾との断交工作を繰り広げるなど中台対立の最前線になってきた。ソロモン、さらにはキリバスが二〇一九年に台湾と断交し、中国と国交を結んだ。ソロモンは二一年には治安維持を理由に中国の警察を受け入れるなど両国とも対中傾斜を強めている。
 
 さらに、ソロモン諸島周辺は日本や米国などの船舶にとっても海上交通の要衝である。米、豪、日などの対応が後手に回った感は否めない。この上は、三カ国にインドを加えた「クアッド」を中心に、外交力を総動員し、中国がソロモンなどを利用する形で軍事拠点を築く動きに断固対抗していくべきである。
 
 南シナ海においても中国は一八年、紛争を防ぐための「行動規範」について「三年以内の交渉妥結」を関係国に表明した。だが、その後の一方的な人工島建設や軍事演習で交渉を停滞させている事実を思い起こさざるをえない。
 
 日本政府は二十五日、外務政務官をソロモン諸島に派遣した。「自由で開かれたインド太平洋」を実現し、南太平洋を中国による新たな火種とせぬよう、関係国と連携し外交努力を尽くしてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年04月28日  07:42:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:作家の山口瞳さんは卒業式でおなじみの「仰げば尊し」が好きだ…

2022-05-09 07:32:21 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

【筆洗】:作家の山口瞳さんは卒業式でおなじみの「仰げば尊し」が好きだ…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:作家の山口瞳さんは卒業式でおなじみの「仰げば尊し」が好きだ…

 作家の山口瞳さんは卒業式でおなじみの「仰げば尊し」が好きだったという。ある日、学校の先生をしている友人とお酒を飲んだ。ちょうど卒業シーズンだったらしい。山口さんが「仰げば尊し」を歌おうと誘ったそうだ

 ▼友人はあんな嫌な歌はないときっぱり拒否した。「俺の教師としての至らないところをさらけだしたままで(生徒と)別れっちまうんだ。なにが、あおげば尊しだ、なにが、わが師の恩だ。皮肉を言われているようなもんだ」。きっといい先生だったのだろう

 ▼この話とは逆か。どうあっても「わが師の恩」と大声で歌ってもらいたいらしい。ウクライナ外務省が公式ツイッターに投稿した各国の支援に対し感謝を表明する動画。三十一カ国の名が挙がっているが、日本の名がなく、これを問題視する声が出ていると聞く

 ▼日本も防弾チョッキなどを送っており、感謝されぬのはおかしいのではないかという主張は分からぬでもない

 ▼礼状の届かぬのはなるほど寂しいが、だからといってそれを騒ぎたてるのもいささか恩着せがましい話に聞こえ、戦火にそれどころではないウクライナにわざわざ確認を求めるという政府の対応も大げさだろう

 ▼「恩は着なければならないが、恩に着せてはならない、恩を着せられてはやりきれない」−。漂泊の俳人、種田山頭火。ウクライナにやりきれない思いをさせたくない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年04月28日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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