【政界地獄耳・05.10】:国交省の責任大 国民の安全より業者を保護…いずれも事故後に対策
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・05.10】:国交省の責任大 国民の安全より業者を保護…いずれも事故後に対策
★こども家庭庁ができようとしているが、保育園の現場の実地監査を書面で代替可能にする制度改正案を厚労省が提案した。小さな子供を預かる保育園の環境も体裁さえ整えば専門家が現地で確認する必要がないという。8日、官房長官・松野博一は知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没し、14人が死亡、12人が行方不明となった事故を受け、国による特別監査や船舶検査などのチェック体制を再検討する考えを示した。
★無論、運航責任は運航会社「知床遊覧船」(社長・桂田精一)にある。ずさんな管理、安全確認への甘い考え、乱暴な拝金主義に問題がある。だが長官は「昨年も国が特別監査を行った上で指導を行い、事故発生前にも船舶検査が行われていた」と同社に問題があるので注視していたが、それでもすり抜けることがあるから、体制を見直すということなのだろうが、申請書類には運航管理者名など空欄が目立ち、無線は壊れ代用の衛星電話は機能しない。国交省は厳しく管理していたふうに言うが、運航する体制も人員も船舶の状況も客を乗せるだけの安全は担保できていないままにもかかわらず運航をやめさせる行政処分をせず放置したといえまいか。
★今までこれでやってきた、あまり厳しくすると観光業者や運航業者が悲鳴を上げる。役所は往々に国民の安全より業者保護の立場をとりがちだ。信号機のない横断歩道、遮断機のない踏切、いずれも事故が起きてから対策が練られる。書面の体裁が整っていれば検査がクリアすることを逆手に取り「検査は通っている」を錦の御旗に運航していたならば国交省の責任も大きい。海底に沈むカズワンの船体の引き揚げ費用の一部を国が負担すると言い出したのは良心の呵責(かしゃく)からか。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2022年05月10日 08:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。