路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政界地獄耳・05.20】:三権の長失格…早速次期衆院議長の話

2022-05-27 08:26:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・05.20】:三権の長失格…早速次期衆院議長の話

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・05.20】:三権の長失格…早速次期衆院議長の話 

 ★最高裁長官から是正勧告を受け1票の格差解消のための衆院は小選挙区定数「10増10減」を決めたにもかかわらず、衆議院議長でありながらこれにケチをつけ続けた細田博之。「給料月100万円しかもらえない」発言も「月100万円未満の手取りの議員を多少増やしたって罰は当たらない」につながる趣旨の中で飛び出した言葉だ。

 ★この議案は超党派で決めたもので与野党内から猛反発を受けているが、今年4月にも「議長がいろんなことを言うと『黙っておれ』と言う人もいるかもしれないが、そうはいかない。地方は地方の立場があり、これからも一生懸命取り組んでいく」と再三発言している確信犯だが、選挙制度への議長反発異例。そもそも院の決めたことに議長が意見することがおかしいとの指摘もある。さすがに今回は「これまで議員として好きなことを言ってきたが議長として発言すると各方面からお叱りを受けることになったので、今後は立場を自覚して控えることを決意した」と発言し収まったかに見えたが、それとは別に週刊誌によると36万円不記載政治資金規正法違反疑いもあるという。

 ★三権の長失格と政界では早速次期衆院議長ポストの話が出回る。候補は当選13回の3人、衛藤征士郎甘利明額賀福志郎が有力だ。ベテラン議員は「衛藤は安倍派なので細田の後任に据わりがいいが、09年の民主党政権で衆院副議長をやっている。初当選は参院議員。村山内閣の防衛庁長官と閣僚経験が少ないのがネック。麻生派の甘利は労相、経産相、規制改革相、経済財政相、党幹事長とキャリアは申し分ないが金銭スキャンダル記憶が新しい。額賀は平成研の領袖(りょうしゅう)経験あり。経企庁長官、経済財政相、防衛庁長官、財務相に党政調会長と申し分ない」。これに派閥の思惑、首相・岸田文雄との距離などが勘案されるがさてどうなるか。(K)※敬称略

政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年05月20日  07:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・05.19】:意味深な森喜朗のあいさつ

2022-05-27 08:26:00 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳・05.19】:意味深な森喜朗のあいさつ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・05.19】:意味深な森喜朗のあいさつ 

 ★17日、自民党最大派閥、安倍派(清和会)のパーティーが開かれた。2800人が集まったといわれる会場で党幹事長・茂木敏充が「まるで党大会のようだ」といったのは、リップサービスより本音だろう。会場では同派会長の元首相・安倍晋三が「自民党最大の政策集団として岸田政権をしっかりと支えていく決意だ。どうかご安心をいただきたい」と来賓の首相・岸田文雄に向かってあいさつすれば、首相は「清和会においては安倍会長以外にも3人の首相経験者がまだお元気で活躍をしておられます。この辺りも、また清和会すごみなのではないかと思っています。この辺りに清和会宏池会戦闘能力違い、こんなことも表れているのではないかと感じております」と応じた。

 ★岸田の言う3人の首相経験者とは小泉純一郎、森喜朗、福田康夫を指す。自民党関係者が言う。「この3人はいずれも岸(信介)系と福田(赳夫)系に分かれる清和会の系譜では福田系の首相。今でこそ岸系の安倍が人気だが、清和会は福田系が主軸だ。この辺りを承知で話す岸田慇懃無礼(いんぎんぶれい)さは相当したたかだ」。その中の1人、森喜朗もあいさつに立ち「誇ってはいけない。これだけがあればなんでもできると思ったところから崩壊が始まる」と戒めた。

 ★ベテラン議員が言う。「首相を辞めた人が派閥の長に納まれば、絶えず発言をして政局の中心にいるように振る舞う。今は参院選前だから保守層取り込みに勇ましいことも許容される。だが派内には総裁候補を自任する議員がざっと6人はいる。安倍がその中から1人を選べば派閥が割れるし、何もしなければ埋没する。しかし安倍が派閥の領袖(りょうしゅう)でいる限り派内の総裁候補は何もできない。森のあいさつはなかなか意味深だ」という。2800人のパーティー客は会場で何を見たか。(K)※敬称略

政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年05月19日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【知床・観光船事故】:カズワン船体、作業船に引き揚げ 事故原因究明へ

2022-05-27 06:32:00 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【知床・観光船事故】:カズワン船体、作業船に引き揚げ 事故原因究明へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【知床・観光船事故】:カズワン船体、作業船に引き揚げ 事故原因究明へ

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故で、第1管区海上保安本部は27日午前3時20分ごろ、クレーンを使って沈没した船体を作業船に引き揚げた。同日中にも網走港(北海道網走市)に入港する。

海面までつり上げられた観光船「KAZU Ⅰ」=北海道斜里町沖で26日午後6時54分、本社ヘリから

 1管は26日午後3時ごろから船体のつり上げ作業を開始。同日夜に作業船に船体を横付けさせた後、水深の浅い海域まで移動させた。その後、27日未明から作業船の上に船体を移す作業を続けていた。

 1管は船体の状況を調べ、事故原因の究明を進める。

 カズワンは観光名所「カシュニの滝」付近の海域の水深120メートルに沈没した。海上保安庁から委託を受けた民間企業「日本サルヴェージ」が23日につり上げたが、えい航中に船体を固定する5本のベルトのうち船尾の2本が切れた。カズワンは、出港したウトロ漁港(北海道斜里町)から西に約11キロ離れた海域で水深182メートルに再び沈んでいだ。【山田豊】

 ※:この記事は有料記事です。「スタンダードプラン」 今なら一カ月無料! 夏得キャンペーン いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【事件・事故、 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故】  2022年05月27日  06:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【知床・観光船事故】:識者に聞く/5止 周囲も悲しみ理解して グリーフケア専門 高橋聡美・中央大客員研究員

2022-05-27 06:31:50 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【知床・観光船事故】:識者に聞く/5止 周囲も悲しみ理解して グリーフケア専門 高橋聡美・中央大客員研究員

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【知床・観光船事故】:識者に聞く/5止 周囲も悲しみ理解して グリーフケア専門 高橋聡美・中央大客員研究員

 今回の事故は運航会社に過失があった可能性があり、防げたように感じられる。このようなケースで家族を失った人はグリーフ(悲しみ)だけでなく、加害者に対する怒り、憎しみが加わる。ネガティブな感情が大きくなり、自分への嫌悪感を持つ人もいる。

オンラインで取材に応じる中央大の高橋聡美客員研究員

オンラインで取材に応じる中央大の高橋聡美客員研究員

 すでに亡くなったことが判明している人々の家族は、グリーフと向き合いながら、生活の再構築を進めることもできる。一方、行方不明となったままの人の家族や関係者は、その人が生きているのか、亡くなっているのか分からない曖昧な状態に置かれ、なかなか前に進めないというストレスが加わる恐れがある。

 どちらの場合も、さまざまな感情が湧き起こり、涙が出ることは当たり前のことだ。その人が異常なのではなく、巻き込まれた状況が異常なのだから。本人だけでなく、周囲もそのことを理解する必要がある。、残り476文字(全文830文字)

 ※:この記事は有料記事です。「スタンダードプラン」 今なら一カ月無料! 夏得キャンペーン いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 地方版 北海道のニュース 社会 【事件・事故、 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故】  2022年05月26日  05:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【知床・観光船事故】:識者に聞く/4 刑事責任問う「組織罰」を 軽井沢スキーバス転落事故遺族会代表・田原義則さん/北海道

2022-05-27 06:31:40 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【知床・観光船事故】:識者に聞く/4 刑事責任問う「組織罰」を 軽井沢スキーバス転落事故遺族会代表・田原義則さん/北海道

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【知床・観光船事故】:識者に聞く/4 刑事責任問う「組織罰」を 軽井沢スキーバス転落事故遺族会代表・田原義則さん/北海道

 事故を起こした観光船運航会社「知床遊覧船」の社長会見の報道を見ると、会社トップの安全管理や安全意識の不十分さが事故につながった点で、2016年1月に長野県軽井沢町で起きたスキーバス転落事故によく似ている。

 私が、次男の寛(当時19歳)を含め、大学生ら15人が亡くなったバス事故の直後から感じた「安全管理に、もう少し早く手が打たれていれば事故は防げたのではないか」との気持ちは、知床の観光船沈没事故のご遺族や行方不明者のご家族も同じだと思う。

 軽井沢のバス事故後、貸し切りバスに関する85項目の再発防止策がつくられ、全てが実行に移された。知床の事故を受けて船舶関係の対策やルールもつくられると思うが、本来は犠牲が出る前から対策があるべきだ。今回の事故で日ごろから会社の安全管理が徹底されるにはどうしたらいいのか、改めて考えさせられた。、残り443文字(全文810文字)

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 元稿:毎日新聞社 朝刊 地方 北海道のニュース 社会 【事件・事故、 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故】  2022年05月25日  05:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【知床・観光船事故】:識者に聞く/3 監査体制の見直しを 向殿政男・明大名誉教授

2022-05-27 06:31:30 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【知床・観光船事故】:識者に聞く/3 監査体制の見直しを 向殿政男・明大名誉教授

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【知床・観光船事故】:識者に聞く/3 監査体制の見直しを 向殿政男・明大名誉教授

 人命を預かる事業者にとっては「安全第一」が金科玉条だ。海難事故を防ぐには、運航事業者による安全管理に加え、国の監査体制、船の安全システムのそれぞれをしっかりと機能させ、調和させることが必要だが、観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故を巡っては、どれも不足していた。

 運航会社の知床遊覧船は昨年も事故を起こしたのに、国土交通省に報告した改善策を守らず、安全管理規程違反の運航をしていた疑いがある。社長はトップとして、安全意識もコンプライアンス精神も欠けていたと言わざるを得ない。

 人間はミスを犯し、利益を求めて無理をすることもある。国は性悪説に基づき、日ごろの運航管理や改善策の確認を徹底すべきだった。監査の在り方は早急に見直す必要がある。、残り433文字(全文756文字)

 ※:この記事は有料記事です。ご登録から1カ月間は99円!!。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 地方 北海道のニュース 社会 【話題・オホーツク管内斜里町の知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」(19トン)が沈没した事故】  2022年05月24日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.05.26】:久留米商工会議所に県が異例の改善指導|会議所法違反の政治活動、国も疑い指摘

2022-05-27 05:15:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2022.05.26】:久留米商工会議所に県が異例の改善指導|会議所法違反の政治活動、国も疑い指摘

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.05.26】:久留米商工会議所に県が異例の改善指導|会議所法違反の政治活動、国も疑い指摘 

 今年1月に行われた久留米市長選挙の際、久留米商工会議所(本村康人会頭)が政治団体「日本商工連盟」の活動を装って会議所の組織や運営について定めた「商工会議所法」の規定に反する行為を行っていた問題で、福岡県が同会議所の調査に入り、厳しい改善指導をしていたことが分かった。

 ■ハンターの報道受け県が立ち入り調査

 ハンターが県への情報公開請求で入手した関係文書から明らかになったもの。発端となったのは、1月に配信した久留米商工会議所の活動状況に関する一連の記事だった。(*下、参照)

 ハンターが問題視したのは、久留米市長選で元県議会副議長を推薦した同会議所の政治組織「日本商工連盟久留米地区」が、選挙向けの文書に久留米商工会議所の代表電話やFAXの番号を使っていたこと。会議所側は「使用料をとっている」と釈明したが、会議所が政治団体に便宜供与していることに変わりはなく、《商工会議所等は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行つてはならない》《商工会議所等は、これを特定の政党のために利用してはならない》と定めた商工会議所法の規定に反するものだとして厳しく批判する記事を配信していた。

 法令違反の疑いがあることを重視した県は、2度にわたって久留米商工会議所に立ち入り調査し、報道内容の確認を行っていた。下が、そのヒアリング結果を示す文書である。
(*以下、文書中の赤い書き込みはすべてハンター編集部。画像クリックで拡大)

 ■国も違法性指摘

 調査は、ハンターが配信した記事の内容についてのもので、今年1月28日と2月10日にの2回にわたっていた。

  1. 久留米市長選候補者の事務所開き報告会、出陣式、総決起大会の案内文書に久留米商工会議所のFAX番号記載し、案内時において同FAXを利用したかどうか――。
  2. 令和3年8月3日付「日本商工連盟久留米地区会費納入のお願い」及びこれまでに日本商工連盟久留米地区が発出した文書に、久留米商工会議所の電話番号、FAX番号を記載し、利用したかどうか――。

 などの疑問点について、会議所側に関係書類を提示させ確認していた。

 県がこの問題をいかに重視したかが分かるのが、2月10日のヒアリング結果の最後に出てくる記述である。

 「前回調査した結果について、国に報告した。国も電話やFAXの共用は好ましいこととはいえない、との回答」――これは“国が久留米商工会議所の活動に違法性があることを認識した”ということを示しており、前代未聞の不祥事であることが理解できる。

 県は調査結果を踏まえ、2月14日付「貴商工会議所による政治活動に関する報告について(依頼)」で、改めて久留米商工会議所の回答を求めていた(*下の文書参照)。

 ■会議所が認めた電話・FAXの不適切使用

 これに対する久留米商工会議所の正式回答が、下の「久留米商工会議所による政治活動に関する報告について」と題する文書である(*画像クリックで拡大)。

 まず、“久留米市長選挙の候補者である〇〇の事務所開き報告会、出陣式、総決起大会の案内文書への久留米商工会議所FAX番号の記載、案内時におけるFAX利用の有無について”に対する回答。

報告会、出陣式、総決起大会の案内文書に久留米商工会議所(以下「会議所」)のFAX番号を記載しました
 また、案内時において、会議所のFAXを利用いたしました。ただし、利用にあたっては、会議所の外部者が利用する場合のFAX利用規定に基づき、会議所は、日本商工連盟久留米地区(「商工連盟」)から規定の利用料を受けております。

 次に、“令和3年8月3日付で発出された文書「日本商工連盟久留米地区会費納入のお願い」の中における、久留米商工会議所電話番号の記載の有無について。併せて、これまでの日本商工連盟久留米地区から発出された文書における久留米商工会議所電話・FAX番号の記載、日本商工連盟久留米地区による久留米商工会議所電話回線・FAX利用の有無について”に対する回答。

会費納入のお願い文書に会議所の電話番号を記載しました
 また、これまでの商工連盟より発出された文書には会議所の電話番号、FAX番号の記載がありました。

 “久留米商工会議所職員による〇〇「出陣式」の案内文書配布の有無について”に対する回答は、こうだ。

会議所職員による案内文書の配布は一切行っておりません。

 “久留米商工会議所仕事納めにおける○○の挨拶の有無について”に対しては――。

毎年、会議所恒例行事として仕事納めを勤務時間外(17時30分以降)に実施しています。今回は、○○がその時間に突然来所され、あいさつの要請を受けましたので、儀礼上これを受け入れ挨拶をされました。○○の記事の記載のように、専務理事が○○のあいさつのため、会議室へ集合するよう指示を出して行ったものではありません。

  “商工会議所内の特定候補者のポスター・チラシの配架、政治集会への職員動員、政治団体の事務を職員に行わせること、政治団体への資金提供、政治中立を損なう活動の有無”を問われ――。

上記ポスター、チラシの配架、政治集会への職員動員、政治団体事務を職員に行わせること、政治団体への資金提供等、会議所において政治的中立を損なう活動は一切行っておりません。
 久留米市長選の一連の報道では、テレビなどの一部報道において、あたかも商工会議所が特定候補者の選挙支援を行っているかのような曖昧な報道がなされましたが、商工会議所として報道されたような活動を行ったことはありません。あくまでも商工会議所の政治団体である商工連盟による活動であるとの認識を持ちながら活動してまいりました。
 商工会議所と商工連盟はもとより別組織であり、長年に渡り、そうした考えに基づき活動してきましたが、商工連盟の連絡先として商工会議所の電話番号及びFAX番号を記載してきた慣行に思いを致さず、各方面の誤解を招いたことは大いに反省しております。
 今回、県からご指摘があったことを契機に真摯に反省し、今後はこうした誤解を招く行為がないように努めていきたいと考えております。ご迷惑をおかけしたことは、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。

 会議所職員を使った選挙支援などの“会議所と政治団体の一体化”については否定しているが、政治組織「日本商工連盟久留米地区」の発出文書に会議所の代表電話やFAXを掲載していたことは、証拠を突き付けられており認めざるを得なかった。「ごめんなさい」ということだ。

 政治団体側が使用料を支払ったから問題ないと言いたいらしいが、有料であれ無料であれ、会議所の代表電話やFAXを政治団体に利用させてきた事実は動かない。それこそが政治団体への「便宜許与」であり、商工会議所法違反なのだ。

 子供じみた言い訳は他にもある。一体化を「誤解」と言い訳しているが、多くの会議所関係者は「久留米商工会議所が選挙活動をやっている」としかみていない。会議所の代表電話やFAXを政治団体が使うことで、「商工会議所の決定事項」と思わせるよう、意図的に事を進めた可能性は否定できまい。

 調査を終えた福岡県は、2月25日付けで「商工会議所法第4条に定める政治的中立の確保について(要請)」という名称の文書を発出する(*下の文書参照)。

 「要請」となっているが、文中にあるとおり、実際は「指導」だ。そこには、行政機関としては最大限と言ってもおかしくないほどの厳しい文言が並ぶ。

 《(会議所から)報告された内容は、商工会議所法第4条第3項に規定する商工会議所の政治的中立の趣旨に反し、あたかも貴会が政治活動を行っている、と県民に疑念を抱かせるものであると言わざるを得ません》――県が商工会議所法違反を認める判断を下したということであり、その結果としての「指導」は、極めて厳しい内容となっている。

  1. 久留米市長選挙の候補者である〇〇の事務所開き報告会、出陣式、総決起集会の案内文書に貴会のFAX番号を記載させるとともに、案内時において貴会のFAXを利用させた。このことは、貴会と日本商工政治連盟久留米地区(以下「政治連盟」という。)が一体であるとの県民の疑念を生じさせる恐れがあり、今後、このような行為を一切行わせないこと。
  2. 「日本商工政治連盟久留米支部会費納入のお願い」の文書へ、貴会の電話番号を記載させた。また、これまで政治連盟から発出された文書へ、貴会の電話番号、FAX番号を記載させた。このことは、貴会と政治連盟が一体であるとの県民の疑念を生じさせる恐れがあり、今後、政治連盟の文書には、一切貴会の電話番号、FAX番号は記載させないこと。
  3. 久留米商工会議所仕事納めにおいて、○○が挨拶を行ったことについて、儀礼上のものであるとの見解であった。しかしながら、立候補予定者が貴会で挨拶をすること自体が、貴会の政治利用を疑わせるものであり、今後、立候補予定者による挨拶その他の選挙運動と受け止められる恐れある行為は、一切行わないこと。

 県の改善指導から約1週間後の3月3日、久留米商工会議所は服部誠太郎県知事あてに、「反省」の弁を述べた上で会議所の電話やFAXを政治団体に使用させないことなどを誓約する文書を提出していた。

 ■県の調査・指導を非公表 問われる会頭の責任

 久留米商工会議所の全面敗北という格好だが、大きな問題が残った。県による立ち入り調査、国の見解、さらには厳しい改善指導といった重要事態であるにもかかわず、久留米商工会議所は一連の経緯を公表していないのだ。会議所の関係者で県の立ち入り調査や指導について詳しく知っているのは、会頭の本村氏や政治組織担当の専務理事などごく一部の役員だけ。会員はもちろんだが、会議所の議員でさえも知らされていないという。事情を知った久留米商工会議所のある関係者は、次のように話している。

 「県の調査があったということは、まったく知らなかった。しかも2度も立ち入り調査されていたなんて、恥ずかしい話だ。あげく、国にまで報告が上がり、違法性を指摘され、県からは厳しい改善指導……。知らん顔して時間の経過を待つつもりだったんだろうが、こうした重大問題を議員や会員に報告していないのは、隠蔽の意思があったからだとしか思えない。会頭は関係者にお詫びして、辞任すべきだろう。そもそも、久留米商工会議所を選挙に巻き込んだのは本村会頭。すべての責任は、会頭にある。それと、会議所の回答では政治団体と会議所は一体ではないと抗弁しているが、それは真っ赤なウソ。誰も信じないはずだ」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・今年1月に行われた久留米市長選挙の際、久留米商工会議所(本村康人会頭)が政治団体「日本商工連盟」の活動を装って会議所の組織や運営について定めた「商工会議所法」の規定に反する行為】  2022年05月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.02.18】:年間補助金1.5億|久留米商工会議所「選挙運動」の問題点

2022-05-27 05:15:40 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2022.02.18】:年間補助金1.5億|久留米商工会議所「選挙運動」の問題点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.02.18】:年間補助金1.5億|久留米商工会議所「選挙運動」の問題点 

 先月行われた久留米市長選挙で、久留米商工会議所とその政治組織が一体となって「事前運動」を行っていた問題が、波紋を広げている。

 市長選を巡る商工会議所の動きが、公職選挙法や会議所の組織・運営について定めた「商工会議所法」の規定に違反する可能性があることを報じてきたが、関係者の中からも、政治組織「日本商工連盟久留米地区」や会議所の活動に対する疑問の声が上がり始めている。一般市民の知らない会議所の収支という視点から、改めて問題点を探った。

 ■税金投入で成り立っている商工会議所の実態

 公選法違反が疑われる行為を行っていたのは、久留米商工会議所の政治組織「日本商工連盟 久留米地区」。同組織は市長選が告示された1月16日より前に、商工会議所の会員企業に対し、元県議会副議長の「出陣式」及び同月19日開催予定の「総決起大会」の案内を行い、それぞれの選挙イベントに参加する人間の名簿を提出するよう要請していた。出陣式や告示後の集会は「選挙運動」の一環で、それを文書を使って事前に告知することは、公選法が禁じる選挙の事前運動となる。

 久留米商工会議所が抱える問題はこれだけにとどまらない。公選法違反を疑われる行為を行った「日本商工連盟 久留米地区」の活動実態は、様々な証拠や証言から久留米商工会議所と一体のものであったことが明らか。これは、「商工会議所法」の規定にも反する。

 同法は、会議所の事業について「特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として行ってはならない」「特定の政党のために利用してはならない」として政治活動に制限を加えているからだ。しかも、商工会議所はただの公的団体ではなく、運営のために「税金」が投入されている補助金受給団体であるからなおさらである。

 福岡県に情報公開請求して入手した平成29年度から令和2年度までの久留米商工会議所の決算書類や補助金関連資料によれば、久留米商工会議所の年間収入は平均約4憶円(繰越金除く)。国、県、久留米市から、毎年約1億4,000万円~約1億5,000万円の補助金が出ている。

 毎年同程度の全体支出があり、人件費はおよそ1億7,000万円~1億9,000万円で推移。このうち補助対象事業の運営にかかる人件費と支給された県からの補助金(県費)の額を表にまとめた。

 

 県費の主な補助対象となっているのは、小規模事業者経営支援事業に携わる職員16人(経営指導員11人、補助員3人、記帳仙人職員2人)の人件費。上掲の表で分かるように、1億円前後の人件費の8割を県費で賄っている形だ。

 税金で支えられている組織が、特定政治家や政党の支援を行うことはご法度。

 そのため「市」の区域に設立されている商工会議所は「日本商工連盟」(本部:東京都)、町村部に設立されている商工会は「全国商工政治連盟」(本部:東京都)という名称の政治団体をそれぞれ立ち上げ、別の団体として政治活動や選挙支援を行っている。補助金の支給実態を見れば、会議所の活動と政治団体の活動を一体化させることの違法性が、より明確になる。そうした意味で、久留米商工会議所が政治組織を偽装した格好で行った市長選の選挙運動は、責任の所在が問われるべき悪質な違法行為だったと言うべきだろう。

 ■問われる「会頭の責任」

 久留米商工会議所のある議員は、吐き捨てるようにこう語る。

 「市長選で十中(大雅・元県議会副議長)さんの推薦を決めたのは、会頭の本村(康人)氏ですよ。建前上は、日本商工連盟久留米地区の推薦ということになっていましたが、あくまでも形だけ。久留米の人間なら、十中氏を支援していたのが商工会議所だということは百も承知。市長選の時は、多くの人から『商工会議所は十中推薦じゃろ』と言われましたが、それが現実なんです。政治組織の責任者は専務理事の穴見(英三)さんということになっていますが、専務理事の独断で市長選の支援者を決めるなんてことができるわけがない。(十中氏支援が)会頭の方針だったことは、百人近くいる議員のほとんどが知っていますよ。ところが、十中さんは県議会の説得を振り切り、半年もせずに副議長職を放り出した人物。県議会から前代未聞の非難決議まで受けたそうじゃないですか。その十中さんを支援して、どうやって県との信頼関係を持続させるつもりだったのか?しかも支援した十中さんは落選。穴見さんはもちろんですが、本村会頭が責任を取るべき話でしょう」

 別の会議所関係者は、「会頭独裁」の弊害について次のように解説する。

 「穴見氏は県職員OB。つまり天下りで久留米商工会議所にやってきた。

 県職員の再就職についてコントロールしているのは、もちろん県。穴見氏も慣例に従って退任し、後進に道を譲るべきだったが、本村会頭が県の人事を蹴った。『穴見のままでいい』ということ。使い勝手が良かったということだ。人事で県に逆らい、今度は県議会を敵に回す形で十中支援を決めた。鳩山二郎代議士を操り、市内の利権に睨みを利かせてきたが、今後はそれができなくなる。あらゆるところで、久留米商工会議所の歪みが顕在化しており、早晩、誰かが『改革』を叫んで立ち上がることになるだろう。正直、選挙のたびに会頭が決めた候補者の支援を強要されるのは御免こうむりたい」

 「商工会議所とは距離を置いてきた」と話す久留米市在住の会社経営者は、問題点を鋭く突いた。
 「会頭の本村さんは、自分の会社を事実上つぶした人。なぜ商工会議所の会頭に居座っているのか理解できない。それを許す久留米経済界の無自覚、無関心も許せない。

 衆議院選挙や市長選のたびに、商工会議所がしゃしゃり出てくること自体、私は間違いだと考えてきたし、だからこそ交わりたくない。自治体や国にたいして意見をぶつけるために政治団体が必要だという理屈はわかるが、だからといって個別の選挙に組織を利用して、一部の幹部が権力を握るような真似は容認できない。年間で億単位の補助金をもらっているという話は初めて知ったが、なおのこと選挙に絡んではだめだろう。

 この際、久留米商工会議所は、会頭や副会頭に責任をとらせて全員辞職させ、まったく違う人たちに運営を任せるべきだ」

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・先月行われた久留米市長選挙で、久留米商工会議所とその政治組織が一体となって「事前運動」を行っていた問題】  2022年02月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.01.27】:久留米商工会議所に問われる「選挙活動」の是非と会頭の責任

2022-05-27 05:15:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2022.01.27】:久留米商工会議所に問われる「選挙活動」の是非と会頭の責任

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.01.27】:久留米商工会議所に問われる「選挙活動」の是非と会頭の責任 

 商工会議所は、その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、兼ねて社会一般の福祉の増進に資することを目的とする経済団体だ。全国組織である「日本商工会議所」も地域ごとの商工会議所も、『商工会議所法』の規定に従って法人格を持ち、必要事項を登記しなければならない。

 商工会議所は営利団体ではないため「特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的とする事業」や「特定政党のための組織利用」は禁止。法が認めた公的な団体であるからこそ、都道府県から組織運営に関する補助金が支給されている。当然、組織の選挙利用はご法度である。しかし、福岡県の久留米商工会議所(本村康人会頭)は、公然と選挙の事前運動を行い、特定政治家のために組織を利用している疑いが濃い。

 ■選挙支援組織、有権者の認識は「商工会議所

 引退する大久保勉市長の任期満了に伴って行われた久留米市長選挙。投開票当日の今月23日、地元テレビ局のTNCがネットで生配信していた選挙特番の中で解説にあたっていた同局の記者が、十中大雅元県議会副議長(落選)が鳩山二郎衆議院議員と「久留米商工会議所」の支援を受けていると説明した。鳩山議員の支援は事実だが、「商工会議所」が特定候補者の選挙を支援するのは違法。正確には「商工会議所の政治組織」あるいは「日本商工連盟久留米地区」と表現すべきだった。

 誤解のないように断っておくが、解説者を責めているのではない。久留米の有権者を含め、関係者の大半が「久留米商工会議所」が十中氏を支援していると認識していたからだ。それほど会議所の動きは目立っていた。

 十中氏が久留米市長選に出馬する意向であることを示したのは昨年11月。副議長就任を祝うための政治資金パーティーを10月5日に開いてからわずか1か月という時期で、その非常識な姿勢に批判が集中した。だが市民の冷ややかな目を無視するかのように、久留米商工会議所が十中氏支援に動き出す。まず会議所の関係先にFAXされてきたのが、下の「事務所開き報告会の御案内」だった。

  久留米商工会議所の政治組織「日本商工連盟久留米地区」の代表世話人は本村康人会議所会頭。政治組織の代表として、本村氏が元副議長の事務所開き報告会に参加するよう呼びかける内容の文書だ。下が、同時に送信された別紙である(*赤いアンダーラインはハンター編集部)。

  十中氏の後援会長に就任した森光栄一氏は久留米商工会議所の副会頭。当然ながら、本村会頭の了解があっての会長就任だったとみられている。動員依頼は政治組織日本商工連盟久留米地区の専用FAXではなく、商工会議所の代表FAX「0942-33-0933」から流されていた。参加者名簿の送り先も商工会議所の代表FAXとなっている。一連の事実は、政治組織と会議所が一体であることの証左だ。

 その後も十中氏支援を求める商工会議所関係者への働きかけは止むことがなく、告示直前には商工会議所のFAXと職員を使って選挙期間中の「出陣式」「総決起集会」といったイベントの案内が配られていた。

 選挙期間中の「出陣式」や「総決起集会」は選挙運動の一環。告示前に文書で告知した場合、公職選挙法が禁じる「事前運動」にあたることはこれまでに報じたとおりである(参照記事⇒『久留米商工会議所政治組織に公選法違反の疑い|市長選告示前に「出陣式」の案内』)。

  ■職員集めて政治活動

 久留米商工会議所の会頭や専務理事が、商工会議所の組織を政治活動に利用した証拠は他にもある。昨年12月28日の「仕事納め」の日。十中氏は自身のインスタグラムに、下の2枚の写真を投稿していた。

  確認したところ、画面の場所は久留米商工会議所の会議室。十中陣営の関係者によれば、専務理事が職員全員に対し会議室に集合するよう指示を出し、そこで十中氏が挨拶したのだという。会議所職員の市長選での支援を確実にするための儀式であったことは言うまでもない。会議所の政治利用は明らかだ。政治組織の収支や活動実態について、担当の穴見英三専務理事に回答を求めてきたが反応はなく、取材拒否の姿勢を崩していない。

 ■問われる「会頭」の資格

 これまでの配信記事で度々触れてきたが、「商工会議所法」は次のように規定している。

 この規定を順守するため設立されたのが、商工会議所とは別の組織である「日本商工連盟」。当たり前のことだが、会計も別にしなければならない。しかし、これまでの取材で浮かび上がってきたのは、「久留米商工会議所」と一体としか思えない「日本商工連盟久留米地区」の活動実態だ。責任者は会議所会頭であり政治組織の代表世話人でもある本村康人氏であり、法令違反があれば責任をとらねばならない立場だろう。

 ただ、残念なことに久留米商工会議所には、いわゆる「自浄作用」が働く可能性が低い。会議所トップの本村氏が会頭としての資格を問われていることが分かっていながら、誰も彼の首に鈴をつけようとしてこなかったからだ。

 もともと本村氏は、酒類卸で3代続いた「本村商店」の会長として商工会議所の役員になっていた人物。しかし、その本村商店は資金的に行き詰まり、2017年に酒類食品卸大手の「イズミック」(本社:愛知県名古屋市)に買収されていた。老舗企業を事実上破綻させた本村氏は、2014年6月には本村商店の取締役を辞任していたことが分かっており、その時点で商工会議所会頭としての地位を失っていたとみるべきだろう。しかし、なぜか本村氏が会頭職を追われることはなかった。

 現在、久留米商工会議所のホームページにある本村氏の所属企業は「久留米業務サービス」。登記簿で確認したところ、同氏は2015年12月に久留米業務サービスの取締役に就任、2018年5月に代表権を得ていた。(*下は久留米商工会議所のHPの画像)

 本村商店の取締役辞任が2014年6月、久留米業務サービスの取締役就任が2015年12月。つまりこの1年半の間、本村氏は商工会議所の会頭としては、不適格だったということだ。市の第3セクター「ハイマート久留米」の代表にはなっていたが、この職は商工会議所会頭が座るポスト。本来なら、会頭としての資格を失った段階で降ろされていなければならなかった。杜撰な人事を許した市や、久留米商工会議所全体の問題と言えるだろう。

 不可解なのは、久留米業務サービスという会社の運営実態だ。久留米市長選が告示される1週間ほど前から、何度か登記簿上の同社の本社を訪ねてみたが、いつ行っても従業員は不在。無人の社内は、普段使いされている気配を感じることができなかった。(*下の写真参照)

  久留米商工会議所は、自分の会社を破綻させた人物を、なぜ会頭に据えているのか?謎だらけとしか思えない「久留米業務サービス」の運営実態は、本当に商工会議所会頭の出身母体として適切なのか?さらにいうなら、久留米で行われる大型選挙のたびに、商工会議所がしゃしゃり出てくるのは妥当と言えるのか?

 疑問は尽きないのだが、はっきり言えることが一つある。新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大で多くの事業者が苦しんでいる中、商工業の総合的な改善発達を図ることを目的としている商工会議所の会頭や副会頭、専務理事といった幹部が、選挙にうつつを抜かしているのは大きな間違いだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・福岡県の久留米商工会議所(本村康人会頭)は、公然と選挙の事前運動を行い、特定政治家のために組織を利用している疑い】  2022年01月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2022.01.21】:久留米商工会議所に「商工会議所法」違反の疑い(下)|政治活動の説明は虚偽

2022-05-27 05:15:20 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2022.01.21】:久留米商工会議所に「商工会議所法」違反の疑い(下)|政治活動の説明は虚偽

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.01.21】:久留米商工会議所に「商工会議所法」違反の疑い(下)|政治活動の説明は虚偽 

 「『久留米商工会議所』と政治団体『日本商工連盟久留米地区』は別組織で、活動は区別している」――そう強く主張する久留米商工会議所の事務局長。政治組織担当とされる県職OBの穴見英三専務理事は、ハンターによる再三の取材要請に応じようとせず、事実上の取材拒否だ。

 では、久留米商工会議所(本村康人会頭)と全国団体「日本商工連盟」の支部として位置付けられる日本商工連盟久留米地区という組織の活動は、事務局長が言う通り、厳然と区別されているのだろうか?

 結論から述べれば、久留米商工会議所側の言い分は虚偽。選挙戦真っただ中の久留米市長選において、久留米商工会議所と政治組織はどうみても一体であり、「商工会議所法」の規定に背く動きを行っていることが分かっている。

 ■非現実的な会議所側の主張

 まず、商工会議所と政治との関係について規定した「商工会議所法」の第4条を再掲しておきたい。

「日本商工会議所」(日商)は、商工会議所の議員研修用資料「商工会議所の役割・活動等について」の中で、次のように解説している。

「特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行ってはならない」
・商工会議所は、商工業の総合的な改善発達および社会福祉を増進することを目的としており、その目的達成のためには、全商工業者のために活動しなければならないとの原則を示したもの。

特定の政党のために利用してはならない」
商工会議所が総合的経済団体としての基本性格を逸脱して、政治団体化し、特定の党利党略に利用
され、そのための政治活動を行うようなことがあってはならないとの原則を示したもの。

 商工会議所法第4条の規定を前提にして考えると、政治団体である日本商工連盟久留米地区の活動に、久留米商工会議所のFAXや電話を使うのは明らかに不適切。「使用料をとっている」という会議所事務局長の主張にしても、会議所が政治団体に便宜供与していることに変わりはなく、疑問は残る。念のため100人いるという久留米商工会議所の議員の中から旧知の関係者を選んで片っ端から聞いてみたが、商工連盟久留米地区が久留米商工会議所に電話やFAXの利用料を支払ったなどという話は「聞いたことがない」と口を揃える。

 そもそも、どうやって会議所の用件と政治組織の用件を区別し、料金を徴収するというのか――?問題となっている「出陣式の案内」に使われたFAX番号が会議所の代表FAX番号である以上、区別するのは不可能に近いはずだ。会議所側の説明は、非現実的と言わざるを得ない。

 ■不透明な政治組織の収支

 仮にFAXや電話の使用料を商工会議所に支払っているとして、日本商工連盟久留米地区の会計はどうなっているのだろう。支出があれば、それを賄うための収入があるはずだ。そこで関係者にあたってみたところ、収入原資が「会費」であることが分かった。下が、本村康人久留米商工会議所会頭の名前で出された「会費納入のお願い」である。

  会費は年間1万円、約100名いるという「議員」は、ほとんど無条件にこの金額を支払っているのが現状だ。少なくとも年間100万円は集めている計算だが、すべてを活動費に充てられるわけではない。商工会議所の関係者で組織される全国団体「日本商工連盟」の収入は、主として毎年約5,000万円前後となる「会費」。あとは、政治資金パーティーの売り上げだ。(*下は、同団体が総務省に提出した令和2年分の政治資金収支報告書の表紙と収支の状況の一部分

 東京にある日本商工連盟の本部に連絡して会費の額や支部ごとの収支について聞いたところ、会費の額は地方の支部ごとに決められており、いったん全額を全国団体に入れることになっているという。すると支出原資がなくなるわけで、その点について確認すると、集められた会費などの中から、必要に応じて支部に分配(寄附)する仕組みなのだと説明する。

 だが、ここでおかしな事実に突き当たる。確認可能な日本商工連盟の平成30年、令和元年、同2年の政治資金収支報告書には、どこにも「日本商工連盟久留米地区」に対する寄附の記載がないのだ。つまり、連盟久留米地区への寄附額は、報告書への記載義務がない「5万円以下」だったということになる。

 久留米市は人口約30万人。およそ8,300の小規模事業所があり、商工会議所の議員数約100名に役員が40名ほど、規模としては決して小さくない組織の政治団体の活動が5万円以下でできるはずがない。久留米市で行われる大型選挙のたびにしゃしゃり出てくると言われる久留米商工会議所の政治団体の収支は、どうみても不透明なもの。会議所事務局長の主張はかすむ一方だ。久留米における政治連盟の活動には、商工会議所のカネが充てられている可能性が高い。

 ちなみに、お願い文書に記された「日本商工連盟久留米地区事務局」の電話番号“0942-33-0211”は、やはり久留米商工会議所の代表番号だった。(*下の会議所HPの画像参照。赤いアンダーラインはハンター編集部)

 この事実をもってしても、政治組織と会議所が一体であることは明らかだ。しかも、電話の使用に関してはFAX以上にどれが政治活動に使われたものか特定するのは困難。「使用料をとる」という会議所事務局長の話は、益々あやしいものになる。

 ■露見した決定的な「嘘」

 会議所事務局長の決定的な「嘘」も露見している。18日の直接取材時、“政治団体に加盟していない企業にも、問題の出陣式の案内がわたっているが?”と質した記者に対し、事務局長は「そんなことは絶対にありません」とむきになって答えた。しかし、日本商工連盟に加盟しておらず、もちろん1万円の会費など払ったこともないという複数の事業者が、問題の「出陣式」の案内と参加者名簿をわたされていた。しかも、案内文書を配ったのは会議所の職員。会議所と政治組織が一体であることの、何よりの証拠だろう。久留米商工会議所は、商工会議所法第4条に違反している。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・選挙戦真っただ中の久留米市長選において、久留米商工会議所と政治組織はどうみても一体】  2022年01月21日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.01.20】:久留米商工会議所に「商工会議所法」違反の疑い(上)|政治担当の専務理事は取材拒否

2022-05-27 05:15:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2022.01.20】:久留米商工会議所に「商工会議所法」違反の疑い(上)|政治担当の専務理事は取材拒否

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.01.20】:久留米商工会議所に「商工会議所法」違反の疑い(上)|政治担当の専務理事は取材拒否 

 16日に告示された久留米市長選で、久留米商工会議所の政治組織が「事前運動」を行っていた問題に絡み、別の疑惑が浮上した。久留米商工会議所は、会議所の組織や運営について定めた「商工会議所法」の規定に反する行為を行っている可能性が極めて高い。2回に分けて詳細を報じる。

 ■「日本商工連盟久留米地区」と一体の久留米商工会議所

 選挙運動にあたる「出陣式」の案内を関係者に送付して参加者を募ったことで、公職選挙法が禁じる「事前運動」の疑いを持たれている「日本商工連盟久留米地区」。商工会議所が政治活動を禁じられていることから設立された政治団体「日本商工連盟」(東京都)の支部にあたる組織だが、ハンターの取材で、実態は久留米商工会議所そのものである疑いが濃くなっている。

 注目したのは、政治団体である日本商工連盟久留米地区が関係先に送付した、元県議会副議長の選挙イベントの案内文書。その中にある連絡先FAXの番号は、久留米商工会議所の代表FAXのものだった(18日既報 下の案内文書と商工会議所のHP参照)。

   久留米市長選の取材をする中、地元の商工業者から聞こえてくるのは「商工会議所は十中(大雅・元県議会副議長)支持」という声ばかり。“日本商工連盟久留米地区”とか“商工連盟”という組織名はまったく出てこない。関係者は、「商工会議所」が元県議会副議長を推しているという認識しかないのだ。記録に残った連絡先のFAXや電話の番号が会議所のものであるなら、なおさらだろう。

 ■「一体ではない」会議所事務局長は強弁するが・・・

 事実関係を質そうと県庁職員から天下った政治組織担当の穴見英三専務理事あてに何度か電話するが、返りがない。18日、久留米商工会議所を訪問して専務理事に取材を申し入れたところ、記者の名刺を持って引っこんだ職員が戻ってきて「建物内にいるのですが、どちらにおられるか分かりません」――。居留守としか思えない対応に呆れるしかなかったが、「政治団体の基本的なことについて聞きたいだけだ」という申し入れに、久留米商工会議所の事務局長という人物が取材に応じた。

 “政治団体の用件で商工会議所のFAXや電話を使うのはおかしくないか?”。記者の問いに事務局長が返してきたのは、びっくり仰天の言い分――「使用料をとりますから問題ありません」――だった。なんと、FAX1件ごとに使用料をもらうのだという。以下、事務局長と記者のやり取りである。

記者:1件につきいくらもらうのか?
事務局長:30円だったと思いますが……。

記者:送信した件数分のFAX代をもらうということか?
事務局長:そうです。

記者:すると、政治組織に収入と支出が生じるが?
事務局長:それは穴見が一人でやっていますから、私には分かりません。

記者:収入と支出があるから、電話の使用料がもらえる。そういうことでいいか。
事務局長:それはそうでしょう。

記者:実は、政治団体である日本商工連盟久留米地区の収支を見たことがあるという人が、少なくともこちらの取材先には一人もいない。収支の公開はするのか?
事務局長:穴見が一人で、すべてをやってますから。

記者:会議所の議員が政治組織の収支を見せるように求めたら、見せるのか?
事務局長:分かりません。

記者:見せるべきではないのか?
事務局長:穴見に聞いてください。

記者:昨日から連絡を待っていたが、返信がないからここに来ている。
事務局長:穴見に伝えます。

記者:ところで、久留米商工会議所と日本商工連盟久留米地区は別の組織だというのは建前で、じつは一体で活動しているのではないか?
事務局長:そんなことはありません。一体ではないです。

記者:しかし、政治団体に加盟していない企業にも、問題の出陣式の案内がわたっているが?
事務局長:そんなことは絶対にありません。

記者:ないと言い切れるのか?
事務局長:ありません。

 久留米商工会議所と日本商工連盟久留米地区の活動は別個のものだと言い張る事務局長――。たしかに、彼の立場では、そう言い切るしかない。「商工会議所法」はその第4条で、次のように規定しているからだ。

 この条文があるがゆえに、商工会議所として特定の政治家や政党を支援することはできない。つまり、政治団体と商工会議所の活動は区別すべきもの。法律上の決まりなのだ。ならば、政治団体の活動に商工会議所の電話を使うのは筋違いであり、活動実態の違法性を問われても仕方があるまい。会議所と商工連盟の動きは区別していると繰り返す事務局長だったが、この主張が真っ赤な嘘であることが、前後の取材で明らかになっている。詳細は、明日の配信記事で。(つづく)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・16日に告示された久留米市長選で、久留米商工会議所の政治組織が「事前運動」を行っていた問題】  2022年01月20日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.05.25】:北海道警巡査部長が室内で実弾誤射|「あまりに杜撰」と猟友会関係者

2022-05-27 05:14:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2022.05.25】:北海道警巡査部長が室内で実弾誤射|「あまりに杜撰」と猟友会関係者

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.05.25】:北海道警巡査部長が室内で実弾誤射|「あまりに杜撰」と猟友会関係者 

 5月24日夕、北海道警察の施設内で現職警察官が誤って実弾を発砲する事故があった。報道で事故を知った北海道猟友会の現役ハンターは「あまりに杜撰で、銃を扱う上での基本ができていない」と呆れている。

◇   ◇   ◇

 道警によると、事故は24日午後4時20分過ぎ、札幌市厚別区の高速道路交通警察隊庁舎で発生。同庁舎2階の会議室で回転式拳銃の訓練中だった男性巡査部長(30歳代)が、銃に実弾が入っていることを確認せずに1発を発射したという。銃弾は会議室の内壁を貫通し、通路を挿んだ内壁に着弾。怪我人はいなかった。当事者の処分や事故の捜査状況などは現時点でわかっていないが、地元報道は巡査部長が射撃大会に向けて「空撃ち訓練」をしていたとの情報を伝えている。

 有害鳥獣駆除などで実弾使用経験がある北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(73)は、報道で事故を知って「ただただ驚いた」という。

 「まず、室内で実弾を装填すること自体があり得ません。われわれが猟に出る時も、有害獣を発見し『やるか』と決めてから初めて弾を込める。それまでは安全装置だって外しませんから。また、報道されていた『空撃ち訓練』が事実だとしたら、それも問題。猟銃と拳銃は違うのかもしれませんが、ハンターは決して『空撃ち』なんかしませんよ。そんなことをしたら銃が痛んでしまう。警察はあまりにも基本ができてないとしか思えません」

 そう語る池上さんは4年前、地元自治体や警察の要請でヒグマを駆除した行為が銃刀法違反などに問われ、銃所持許可を取り消されている。道警や北海道公安委員会は、許可取り消しの理由を「建物のほうに向かって撃った」などとしていたが、本サイト既報の通り、これを不服とした池上さんが起こした裁判では道警の主張が覆され、裁判所が警察の「裁量権の逸脱」を指弾する結果となった。同裁判で実質勝訴判決を得た池上さんは、今回の誤射事故を受けて“身内への処分”がどうなるかに関心を寄せるところだ。

 「民間のハンターには裁量権を濫用して理不尽なことを言ってくる一方で、自分たちは拳銃をオモチャのように扱っている。われわれが今回の巡査部長と同じような発砲をしたら、おそらく即、逮捕でしょう。当然、銃所持許可は取り消されるはず。道警は今、そうしない理由をいろいろ考えているところだと思いますが、果たしてどういう結論に落とし込むつもりなのか…」

 池上さんの裁判では、敗訴した道警側が控訴を申し立て、誤った処分の取り消しが先送りとなった。控訴審の第1回口頭弁論は6月3日午後、札幌高等裁判所で行なわれることになっている。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・】  2022年05月25日  20:46:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.02.16】:北海道の冤罪事件で賠償命令確定|違法捜査指摘判決に警察が上告断念

2022-05-27 05:14:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2022.02.16】:北海道の冤罪事件で賠償命令確定|違法捜査指摘判決に警察が上告断念

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.02.16】:北海道の冤罪事件で賠償命令確定|違法捜査指摘判決に警察が上告断念 

 脅迫の冤罪事件で違法捜査の被害に遭った男性が地元警察を訴えていた裁判で、1月下旬の高裁判決で実質敗訴した警察側が上告を断念し、賠償命令が確定したことがわかった。訴えを起こした男性(35)は「警察にはもはや上告する理由がなかったのだと思う」と受け止めており、捜査にあたった警察官の適切な処罰を求めている。

 ■冤罪事件の経緯

 問われる違法捜査があったのは、今から5年ほど前の2016年11月。北海道・帯広市に住む男性が身に覚えのない脅迫事件の容疑をかけられ、任意同行を拒否したところ道警北見警察署の捜査員から約2時間にわたるつきまとい被害を受けた。公然と男性を尾行し続けた捜査員らはこの間、男性の行く手に立ち塞がったり、目の前に回り込んで顔を無断撮影したり、男性の拾ったタクシーに強引に同乗するなどした(本サイト既報⇒「冤罪つくった北海道警・違法捜査の一部始終|怒りの被害者が提訴」)。

 結果的に男性は逮捕・起訴されたが、刑事裁判では当時の捜査の杜撰さが浮き彫りとなり、またあきらかに別の真犯人が存在する証拠なども示され、男性に無罪が言い渡された。検察側もこれに控訴することなく、19年3月に無罪判決が確定している。

 ■高裁が違法捜査認め逆転判決

 男性は同年9月、一連の捜査被害への賠償を求めて道警を相手どる裁判を釧路地裁帯広支部に起こしたが、同支部(新海寿加子裁判長)は昨年3月、捜査の違法性を認めず男性の訴えを棄却する判決を出す。これを不服とした男性が控訴を申し立てたところ、札幌高裁(長谷川恭弘裁判長)は本年1月28日、男性実質勝訴の逆転判決を言い渡すに到った。一審判決を覆した高裁は、当時の捜査の違法性を次のように指弾している。

 《捜査の必要性、緊急性及び相当性があるとも認められず、警察官らが職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と職務行為をしたものとして、国家賠償法上違法と言わざるを得ない

 とりわけ男性の拾ったタクシーへの無断乗車について、警察官らは一審の証人尋問で「男性が『いいですよ』と言ったので同乗した」と虚偽の発言をしており、高裁はこれを「ずけずけと」などの厳しい言い回しを使って否定することになった。

 《(男性は)自主的に後部座席の運転席側へ移動して着座したのではなく、伊藤警部補がタクシーの後部座席にずけずけと乗り込んでくるという通常予測できない事態が起きたために、押し返すなどの抵抗等もできず、やむなく後部座席の運転席側に着座したものである

 男性の代理人は「事実認定に基づいた真っ当な判決」と二審判決を評価。男性自身も「これで警察の暴走を止めることができれば」と、捜査にあたった警察官らへの適正な処罰が必要なことを指摘した。被告(被控訴人)の道警は判決後「内容を精査し、対応を検討する」としていたが、期限までに上告を断念する結果となり、2月11日に高裁判決が確定した。

 被害を受けた男性が指摘する通り、確定判決では当時の警察官らの虚偽公文書作成や偽証などが事実上認められており、男性は「警察がまっとうな組織ならば、当事者の警察官たちを捜査して証拠偽造などを立件すべきではないか」と話している。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・道警北見警察署・1月下旬の高裁判決で実質敗訴した警察側が上告を断念】  2022年02月16日  08:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2020.11.25】:冤罪つくった北海道警・違法捜査の一部始終|怒りの被害者が提訴 

2022-05-27 05:14:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2020.11.25】:冤罪つくった北海道警・違法捜査の一部始終|怒りの被害者が提訴 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2020.11.25】:冤罪つくった北海道警・違法捜査の一部始終|怒りの被害者が提訴  

 北海道・帯広の裁判所で、冤罪被害者が警察の不当捜査を訴えた裁判が佳境を迎えている。原告の男性は身に憶えのない容疑で複数の警察官に長時間つきまとわれ、無断で顔を撮影されたり無理やりタクシーに乗り込まれたりしたといい、捜査にあたった警察官らに謝罪や賠償を求めている。

 ■突然の逮捕から無罪確定まで2年半

 昨年9月に北海道警察を訴える裁判を起こしたのは、帯広市に住む男性(34)。市内の大学院に籍を置いていた2016年11月に突然逮捕され、“無実の罪”で理不尽な捜査を受けた。当時の容疑は、脅迫罪。前々年の14年暮れ、十勝地方の中心・帯広から150kmほど離れた道東の北見市の政党事務所へ脅迫状を送りつけたとされていた。

 当初から潔白を主張していた男性は、地元弁護士の助言で捜査機関の取り調べに黙秘を貫き、北見警察署から釧路地方検察庁北見支部へ送検された後、20日間の勾留を経て釈放された。ところが地検支部は釈放翌年の17年12月、突如として事件を蒸し返して男性を起訴、いったん容疑が晴れたはずの男性は刑事被告人となり、釧路地裁北見支部で1年以上にわたって公判を闘うことになる。
*下は起訴状を読む被害男性

 だがこの起訴には、当初から無理があり過ぎた。政党事務所に送られた脅迫文は男性の通う大学院の研究室で作られたとされているが、印刷に使われたインクは男性のプリンターのインクと一致していなかった。検察は研究室のほかの学生のパソコンの記録を開示しようとせず、また入退室の記録も黙殺しようとしていた。さらには、あきらかに男性の無実を語っている最重要の事実までをも隠していたことがわかった。

 地検支部が懲役10カ月を求刑した18年10月の論告公判で、被告男性はストレートにその「事実」を指摘、裁判官の大きな関心を招くことになる。当時の陳述を、以下に再現しておく(固有名詞の伏字は筆者)。

 《なぜ■■のパソコンから脅迫文と同様の文字列が検出されるのでしょうか。私は警察でも検察でもなく、無責任に犯人の名前を挙げるようなことはしたくないのですが、たいへん疑問に思います》――なんと、別の人物のパソコンから脅迫文と同じ文言がみつかっていたのだ。

 この陳述を受け、検察は異例の“論告のやり直し”を余儀なくされた。翌19年2月に言い渡された地裁支部判決は、当然ながら無罪。当時の裁判官は判決文の要所要所で杜撰な捜査を厳しく批難、脅迫の容疑について「検察官の主張だけでも合理的な疑いが残る」と斬り捨てた。さらには先述の「別の人物」による犯行の可能性にまで踏み込み、被告男性の潔白を強調している。

 検察の控訴断念により、19年3月に男性の無罪が確定。ようやく容疑が晴れた時には、突然の逮捕から2年半ほどが過ぎていた。 

 ■不当捜査の一部始終

 無実を認められた男性は、冤罪被害そのものへの憤りに加え、それ以上に許せないことがあるという。北見署の警察官らによる不当捜査だ。同署刑事一課の捜査員らは、令状なしに2時間ほども男性につきまとい続けて“任意”の取り調べを強行したのだ。
 「その日の朝、アパートを出ると、駐車場で見憶えのない男たちが声をかけてきました。大学に行くつもりだったんですが、彼らがずっと道を塞いで先へ行かせてくれない。仕方なく少し遠回りになる道に入ると、そこからずっと取り囲むようにあとをつけてくるんです」(原告の男性)

 当初2人だった警察官は途中から人数を増やし、3人で男性につきまとい続けた。公然の尾行は2時間ほど、約10kmにわたって続き、その間に警察官の1人が突然、男性の前に回り込んで無断で顔写真を撮影した。

 辟易した男性が空車のタクシーをみつけて乗り込むと、3人も無理やり乗り込んできた。
 「やめてくれと言っても『それはできない』と、強引に私を後部座席の奥のほうへ押し込み、1人は助手席に回って運転手さんに警察手帳を見せました」(同前)

 地元の弁護士会館までのタクシー運賃は、男性が負担した。会館に避難した男性はそこで弁護士会の会員名簿を見せて貰い、帯広中心部に事務所を構える弁護士の1人に連絡。別のタクシーを呼んで同事務所まで移動した。

 この時のタクシーには誰にも乗り込まれずに済んだが、弁護士事務所を出たところで警察官たちが待ち構えていた。任意捜査の名目で市内の十勝機動警察隊庁舎へ同行、日付が変わるまで取り調べを受け、ポリグラフ検査なども強要されたという。

 あくる朝、同じ庁舎で引き続き調べを受けた男性は、その夜に逮捕され、そのまま北見署へ身柄を移された。のちの送検、検事調べを経て釈放に到った経緯は、すでに述べた通りだ。 

 ■謝罪拒む北海道警

 長時間のつきまといや無断撮影、無賃乗車などについて、警察は今も男性に謝罪していない。タクシー運賃の弁済もなされていない。これらの対応に納得できない男性は昨年9月、不当捜査による精神的苦痛への賠償を求めて道警を訴える裁判を釧路地裁帯広支部に起こした。初公判後、5回にわたって非公開の弁論準備手続きが続いていた裁判は本年11月、当時の警察官の証人尋問を迎え、原告の男性は法廷で改めて彼らと顔を合わせることになる。

 地裁帯広支部(新海寿加子裁判長)で尋問に立った警察官は2人。ともに現職で、今は札幌方面の警察署などに勤務している。その彼らは法廷でも不当捜査を否定し続け、男性の怒りに油を注ぐことになった。

 「タクシーに駈け寄って『話は終わってない、ついて行くよ』と伝えたら、原告が『いいですよ』と言ったので、同乗しました」(警察官)

 タクシー同乗は、飽くまで男性の許可を得た行為だったという主張。一方、無断撮影についてはやや異なる言い分を持ち出している。法廷での発言を要約すると「事前に撮影を告知し、『無言のままだと承諾したことになる』と伝えたところ、無言だったので『承諾した』と判断した」という主張だ。原告男性の代理人が反対尋問でこの違いを引き合いに出すと、警察官らは途端に口ごもってしまった。

原告代理人:なぜ3人でタクシーに?
警察官:その場に3人いたからです。

原告代理人:なりゆきで?
警察官:捜査に従事していたので。

原告代理人:写真を撮る時、原告は無言だった。タクシーの時だけ、わざわざ『いいですよ』と。おかしくないですか?
警察官:……いえ。

原告代理人:途中で態度が変わった?
警察官:いえ。

原告代理人:迎合的になってたとか?
警察官:……私にはわかりません。

 続いて証言台に立った原告男性は警察官らの主張を改めて否定、「いいですよ」の発言は「絶対に言っていない」と断言し、「むしろ『乗り込まないでください』と伝えた」と明かした。

 被告代理人による反対尋問は「どちらの足からタクシーに乗り込んだか」「警察官に背中を押された時の体勢は」など、本題から大きく離れた話題に終始し、意図不明の枝葉末節にわたる質問が執拗に繰り返された。

 尋問を終えた男性は、警察官らの語りに「よく口裏合わせをしたものだと思う」と呆れ、彼らの証言の変遷を指摘した。
 「刑事裁判の時は、彼らはタクシーに乗り込んだ人数すら憶えていなかったんです。それが、1年以上経った今になって『3人』と思い出し、各自の座席の位置まで憶えてると言ってきた。ずいぶん珍しい記憶力ですね、と言うしかありません。無断撮影の時も、今回出てきたような告知なんかなくて、いきなり前に回り込んで勝手に撮り始めたんです。『無言のままだと承諾』うんぬんの発言とか、ほんとに都合よくストーリーをつくってきたもんだと思います

 無実の罪での逮捕から4年あまりを経て、男性の怒りはまだまだ治まりそうにない。冤罪被害に拍車をかけた不当捜査の違法性を問う裁判は、来年2月に結審、早ければ年度内に判決を迎えることになる。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
北方ジャーナル→こちらから

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・裁判・北海道警】  2020年11月25日  08:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2022.02.07】:不祥事隠蔽の北海道警と記者クラブの蜜月(下)|問われる大手メディアの報道姿勢

2022-05-27 05:14:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER2022.02.07】:不祥事隠蔽の北海道警と記者クラブの蜜月(下)|問われる大手メディアの報道姿勢

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2022.02.07】:不祥事隠蔽の北海道警と記者クラブの蜜月(下)|問われる大手メディアの報道姿勢 

 先月27日夕、北海道警察が児童ポルノ禁止法に違反した現職警察官に対し懲戒処分を下しながら未公表にしていた問題を、毎日新聞がスクープ。道警記者クラブ加盟社も、次々に「後追い記事」を出した。

 ハンター編集部が知る限り、当該事案が未公表となっていることを道警への情報公開請求で見つけ出したのは、北海道の月刊誌「北方ジャーナル」を中心に活動するジャーナリスト小笠原淳氏。しかも、公表すべき重大な不祥事案は3件あり、毎日がネット上で記事を配信した27日の午前に、道警の広報に事実関係の確認を求めたばかりだった。

 このタイミングでの「1件」に絞った毎日のスクープとそれに続いた大手メディアの報道は、「権力と報道の癒着」の象徴。記者クラブ加盟社が、そろって不正の矮小化に手を貸した格好となっている。

 (*参照記事⇒《不祥事隠蔽の北海道警と記者クラブの蜜月(上)|毎日新聞「スクープ」の問題点》)

 ■記者クラブメディアの情報源は「道警」

 まず、問題の毎日の記事を再掲しておきたい。

<北海道警、児童ポルノ製造容疑で20代巡査を書類送検 公表せず>
 2021年12月、北海道警が道内の警察署に勤務する20代の男性巡査を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで書類送検していたことが27日、関係者などへの取材で判明した。巡査は懲戒処分を受けた後、依願退職している。道警は「公表事案に当たらない」として発表していない。

関係者などによると、送検容疑は、警察署員だった21年、インターネットを通じて知り合った少女に「自撮り」させたわいせつ画像を送信させ、自身の携帯電話に保存したとしている。元巡査は容疑を認めているという。

道警は内部調査で事案を把握。同年12月8日付で、減給10分の1(1カ月)の懲戒処分とし、元巡査は直後に依願退職した。

道警は、①逮捕を伴わない任意捜査であること②処分が比較的軽い減給にとどまること――などを踏まえ、公表事案に当たらないと判断したという。監察官室は取材に対し「公表するかどうかは指針に照らして事案ごとに検討し、適切な判断に努めている」としている。【谷口拓未】

 前稿で述べたとおり、毎日の記事には「道警への情報公開請求で入手した文書によれば」であるとか「道警への情報公開請求で分かった」といった記述は一切なく、「関係者などへの取材で判明した」という極めて曖昧な表現で情報源をぼかした形となっている。

 「いや、我が社も開示請求をかけていた」という言い逃れができるとは思えない状況だが、仮に請求していたとしても、1月27日の時点で事実関係の確認を求めた小笠原氏に「1月中の回答はできない」と断言していた道警が、毎日にだけ処分を受けた巡査が依願退職したことや、事案を未公表にした理由を教えたことについての合理的な理由は見出せまい。毎日側からの開示請求がない状態で、小笠原氏が見つけた警官不祥事の情報を同紙の記者にだけ流したとすれば、当該警察官の守秘義務違反による情報漏洩なのだ。

 そもそも、情報開示した文書の内容については、事案の実施主体である道警に説明責任がある。文書の記載内容について質した小笠原氏の質問に答えず、開示請求もしていない他の第三者に詳細を教えたとすれば、道警自ら「北海道情報公開条例」を否定したことになる。

 毎日が記事で明らかにしているように、同紙の記者がネタを掴んだのは、小笠原氏が道警に事実関係の確認を求めた「27日」。一連の経緯からして、どう考えても情報源は道警だ。怪しいスクープが浮き彫りにしたのは「監視される権力側(道警)」と「監視する側(記者クラブ=大手メディア)」の癒着の構造である。毎日のスクープを後追いした他社の横並び記事を見れば、一目瞭然だ。まず、地元紙「北海道新聞」(道新)の28日朝刊の記事から。

北海道新聞――<児童ポルノ製造容疑20代巡査を書類送検道警発表せず
 道警が昨年12月、道内の警察署に勤務する20代の男性巡査を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで書類送検していたことが27日捜査関係者への取材で分かった。道警は「公表事案に当たらない」として発表していない。

道警は送検容疑についても「説明することはない」としている。巡査は12月8日付で減給10分の1(1カ月)の懲戒処分を受け、その後、依願退職した。北海道新聞の取材に、道警監察官室は「公表するかどうかは指針に照らして事案ごとに検討し、適切な判断に努めている」としている。

 記事によれば、道警の巡査が処分されたことが分かったのは毎日がネタを掴み、ネット上で記事を配信したのと同じ「27日」。小笠原氏が道警に事実確認を求めた日だ。毎日と違うのは、情報源が「捜査関係者」であることを明示したことくらい。ただしこれは、27日の段階で、道警もしくは検察が、道新側に記事に書かれている内容を伝えた証拠でもある。

 捜査内容を漏らさない検察の体質からいって、情報源は道警と思料するのが妥当だろうが、この記事の発端が「情報公開請求」でないことだけは確かである。そのため、本来なら児童ポルノ禁止法に違反した警察官の問題同様に報道すべき別の悪質な懲戒事案2件が、隠れてしまう結果となる。先行した毎日と地元メディアの雄・道新が、権力側の情報だけを垂れ流した結果だ。

 ■右へ倣えの記者クラブ報道

 以下に道警記者クラブメディアである「朝日新聞」、「北海道テレビ(HTB)」、「北海道放送(HBC)」、「北海道文化放送(UHB)」の記事と、紙面、画面を紹介するが、いずれも取材源は「捜査関係者」もしくは「関係者」。すべての記事が、児童ポルノ禁止法違反の件だけを取り上げていた。

朝日新聞――<児童ポルノ容疑巡査を書類送検 道警、公表せず
 道内の警察署に勤務する20代の男性巡査が、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで道警から書類送検されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。道警は巡査を減給10分の1の懲戒処分としたが、「発表事案にあたらない」として発表していない。巡査はすでに依願退職している。

捜査関係者によると、元巡査は昨年、少女のわいせつ画像を自分の携帯電話に保存した疑いがある。処分は昨年12月8日付。道警監察官室は「発表するかどうかは指針に基づき判断している」としている。

◆  ◆  ◆

北海道テレビ(HTB)――<道警非公表 男性警察官が”児童ポルノ”で書類送検>
 去年12月、道警の男性警察官が児童ポルノ禁止法違反の疑いで書類送検されていたことが分かりました。道警は処分について公表していませんでした。
 児童ポルノ禁止法違反の疑いで去年12月に書類送検されたのは、道警の20代の男性警察官です。関係者によりますと男性警察官はSNSで知り合った少女にわいせつ画像を撮影させ、自らの携帯電話に送信させたうえで携帯に保存していた疑いがもたれています。男性警察官は懲戒処分を受け、その後に依願退職しました。道警は処分を公表しておらず、これについて「指針に基づいて総合的に判断した」としています。

◆  ◆  ◆

北海道放送(HBC)――<20台の男性巡査、わいせつ画像送らせ書類送検・・・道警は公表せず「指針に基づき、総合的に判断」>
 北海道警察の男性巡査が去年、インターネット上で知り合った少女にわいせつな画像を送らせた疑いで書類送検されていたことがわかりました。道警は、この事案を発表していません。

捜査関係者によりますと、書類送検されたのは、北海道内の警察署に勤務していた20代の男性巡査です。
 去年、インターネット上で知り合った10代の少女にわいせつな画像を送らせて携帯電話に保存していた児童ポルノ禁止法違反の疑いが持たれています。
 男性巡査は減給の懲戒処分を受けましたが、その後、依願退職しました。容疑について認めているということです。
 道警は、この事案を発表しておらず「指針に基づき、総合的に判断した」と説明しています。

 ◆  ◆  ◆

北海道文化放送(UHB)――<20代男性警察官が少女に”わいせつ画像”送らせる…書類送検&減給処分 北海道警「総合的判断」公表せず>
 ネット上で知り合った少女に”わいせつな画像”を送らせたとして2021年、北海道警察の警察官が書類送検されていたことがわかりました。

関係者によりますと、児童ポルノ禁止法違反の疑いで書類送検されたのは、北海道内の警察署に勤務していた20代の男性巡査です。

男性巡査は2021年、インターネット上で知り合った少女に、わいせつな画像を撮影させた上で送信させ、携帯電話に保存した疑いが持たれています。

男性巡査は、容疑を認めているということです。

北海道警察の内部調査で発覚し、2021年12月、男性巡査は減給の懲戒処分を受け、その後依願退職しています。

北海道警察は今回の事案について公表しておらず、「指針に基づき、総合的に判断した結果」としています。

 

 各社の記事に出てくる「捜査関係者」や「関係者」が道警を指すことは述べてきた通り。道警は、わざわざ開示請求を行ったジャーナリストの動きを無視し、複数ある懲戒事案の中の、1件だけを漏洩させたということだ。「意図的に」というべきだろう。

 改めて述べておくが、小笠原氏が情報公開請求で確認した重大な懲戒事案は3件。「屋外において、自己の陰部を露出した公然わいせつ」「無車検・無保険車を運転した交通違反と文書の不適切管理」、そして各社が報じた「児童ポルノ禁止法違反と不倫」である。

 個別に発覚したものなら、当然のように報道される「街中で自分の陰部を露出するという“公然わいせつ”を行った警官」や、「無車検・無保険車を運転した警官」の違法行為を見逃した形になったせいで、隠していた警察不祥事が3件もあったこと――隠蔽の悪質性――が薄れる結果となっている。守秘義務違反も厭わず情報漏洩を行った道警の最大の狙いは、ここにあっとみるべきだ。

 道警が記者クラブ加盟社の記者にネタを流したのは、「隠蔽」を否定する姿勢を取り繕いながら「複数事案の隠蔽」という最悪の形を「隠蔽」するために他なるまい。道警にとっては、スクープネタを与えて記者クラブ加盟社に「貸し」を作れるという一石二鳥。記者クラブ制度を悪用する権力側と大手メディアの「持ちつ持たれつ」を証明する、分かりやすい出来事だった。

 「新聞」や「テレビ」が報じるニュースは、権力側と大手メディアの共同作業で作られているという現実が、そこにある。(中願寺純隆)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・北海道警察が児童ポルノ禁止法に違反した現職警察官に対し懲戒処分を下しながら未公表にしていた問題】  2022年02月07日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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