【天風録】:「病知らず」さんまさんの極意
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:「病知らず」さんまさんの極意
明石家さんまさんは、病知らずが自慢らしい。先日はテレビ番組で食生活の心掛けを明かしていた。よく口にする三つのうち、赤ワインと発酵食品はともかくイワシを挙げたのは意外だった▲「サンマだろ」とツッコミを誘ったのかと思えば、正味の話だという。あれだけ出ずっぱりなのに、番組に穴をあけた覚えがない人の言葉だけに重みがある。思わぬ援軍に広島湾の漁師さんたちも元気が出よう。小イワシ漁がおととい解禁となった▲小イワシは字引に出てこない。広島ならではの呼び名で、本名はカタクチイワシ。俳句の世界で鰯(いわし)や鰯雲は秋の季語だが、本紙の中国俳壇にはこの季節、時とすると読者からの投句がある▲<キラキラと鰯の群(むれ)で海動く>。瀬戸の島々を望む中学校の生徒が詠んだ句である。<海動く>は、浜育ちだからこその感動だろうか。なるほど小イワシの肌には、海をそのまま抜き取ったような青の濃淡や水面(みなも)きらめく光が見て取れることもある▲刺し身よし、てんぷらによし、そして健康になおよし。この夏は古里の旬を味わいつつ、さんまさんの信条に思いをはせてみたい。「生きてるだけで丸もうけ」。金もうけより生きもうけである。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2021年06月12日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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