《阪神大震災から30年》:「心の回復には時間かかる」、安達もじりさん監督の思い 映画「港に灯(ひ)がともる」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《阪神大震災から30年》:「心の回復には時間かかる」、安達もじりさん監督の思い 映画「港に灯(ひ)がともる」
阪神大震災から30年の節目の封切りを目指し、クラウドファンディングを経て製作された映画「港に灯(ひ)がともる」が17日から全国で上映される。被災者の心のケアに奔走し、2000年に病死した在日韓国人の精神科医、安克昌(かつまさ)さんをモデルにしたNHKドラマ「心の傷を癒すということ」(20年放送)の劇場版製作委員会メンバーらによる企画だ。
ドラマを演出した安達もじりさん(48)が、映画監督としてメガホンをとった。主人公は震災の翌月に生まれた在日3世の女性で、父親のトラウマを受け止めきれずに傷つきながら、自身の歩幅で歩き出そうとする物語。震災体験者だけでなく、次世代が背負う心の傷にも光を当てている。安達監督は毎日新聞のインタビューに「心の傷の回復には時間がかかる。人それぞれのペースでいいと感じてもらえれば」と作品への思いを語った。【堀山明子】
◆多文化共生社会での心の傷
――ドラマ「心の傷~」からの流れで在日を主人公に設定したのですか。ドラマから映画に至る経緯を教えてください。
◆ドラマ放送の翌21年に劇場版の全国上映活動があり、大きな反響がありました。震災のことを伝え続けたいと、製作委員会のメンバーから新しい映画をつくりませんかと依頼されました。
与えられたお題は、震災から30年の公開で、神戸を舞台に、心のケアをテーマにしてほしいという三つだけ。最初から在日の設定で決めていたわけではありません。最も被害が大きかった神戸市長田区で取材を進めていくうちに、さまざまなルーツを持つ方々が暮らし、多文化共生的な助け合いがあったという話を聞き、現代的な視点でテーマになりうるんじゃないかと思いました。
また、ドラマは精神科医の目線の物語でしたが、この映画は…、
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