【社説①】:ガザ戦闘半年 暴力停止へ働きかけ強化せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ガザ戦闘半年 暴力停止へ働きかけ強化せよ
パレスチナ自治区ガザでの戦闘が始まってから半年が過ぎたが、ガザを巡る人道状況は悪化する一方である。
国際社会は、イスラエルとイスラム主義組織ハマス双方に対し停戦への働きかけを一層強める必要がある。
米国のバイデン大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談し、ガザの市民や支援従事者の安全が確保されない場合、軍事支援を見直す可能性を示唆した。
米国はこれまで、イスラエルに対して揺らぐことのない支援を約束し、戦闘機や精密誘導兵器などを供与し続けてきた。
バイデン氏が異例の警告を発したのは、イスラエルによる無差別攻撃で犠牲者が増え続け、後ろ盾である米国への非難が内外で高まることを懸念したからだろう。
ガザで食料支援などの活動に従事していた米民間団体のメンバー7人も、イスラエル軍の誤爆によって死亡した。
米国内では、与党・民主党や若者の間で即時停戦を求める声が強まっている。秋の大統領選に向けてバイデン氏はそうした動きを軽視できなくなったのだろう。
戦闘の直接の原因が、ハマスによるイスラエルへの越境攻撃だったとはいえ、イスラエルのガザでの無差別攻撃が国際人道法に反しているのは明らかだ。
戦闘を継続して対米関係を損なうようなことになれば、イスラエルは国際的に孤立しよう。自らの振る舞いが世界中から非難を浴びていることを自覚すべきだ。
両首脳の電話会談後、イスラエルはガザ南部から軍を撤収させるとともに、北部の検問所からの食料搬入を認めた。バイデン氏の要求に配慮したようにも見える。
だがイスラエルは撤収について、将来の作戦の準備のためと説明し、なおガザ南部ラファを攻撃する方針を堅持している。
120万人の避難民がいるラファを攻撃すれば、 夥 しい数の犠牲者が出ることは避けられまい。
ガザ保健当局によると、昨年10月以降の死者数は3万3000人を超えている。国連機関の推計では、ガザ住民の半数にあたる約110万人が必要な食料の入手さえ困難で餓死者が出る「壊滅的飢餓」に陥っているという。
ネタニヤフ氏は、ハマス壊滅と、連れ去られた人質の解放が実現するまで攻撃を続けるとしているが、これ以上、残虐な 殺戮 行為を続けることは許されない。一刻も早く停戦に応じ、交渉を通じて人質の解放につなげるべきだ。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年04月10日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます