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《社説②・12.25》:ラピダスへの巨額支援 国頼み脱却の道筋明確に

2024-12-25 02:07:40 | 【経済・産業・企業・関税・地球資源・IT・ベンチャー・起業・インバウンド】

《社説②・12.25》:ラピダスへの巨額支援 国頼み脱却の道筋明確に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.25》:ラピダスへの巨額支援 国頼み脱却の道筋明確に

 いつまで政府頼みの経営が続くのか。民間主導で成長する道筋を描く必要がある。

 政府が半導体産業への支援を加速させている。次世代のデジタル技術に対し、2030年度までに総額約10兆円を充てる方針を打ち出した。

ラピダスの次世代半導体工場の完成予想図

 念頭に置くのが、先端半導体メーカーのラピダスだ。トヨタ自動車やNTTなどが出資して22年に発足した。27年の量産開始に向け、政府が決めた補助金などの総額は1兆円に迫る。出資も視野に入れている。 

 自動運転やロボットなどに必要な半導体は、需要拡大が予想される。輸入に依存したままでは供給不足に陥る懸念がある。米欧や中国も産業政策の柱に位置付けており、支援の必要性は理解できる。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/25/20241225ddm005070091000p/9.webp?1" type="image/webp" />TSMC第1工場(中央上)。隣接する土地に第2工場の建設が計画されている=熊本県菊陽町で2024年4月10日、本社ヘリから</picture>
TSMC第1工場(中央上)。隣接する土地に第2工場の建設が計画されている=熊本県菊陽町で2024年4月10日、本社ヘリから

 国内で生産・開発の拠点が整備されることで、地域経済の活性化も期待される。台湾積体電路製造(TSMC)が進出した熊本県には製造装置などの関連産業が集まり、雇用環境が改善した。

 政府が継続的に関与すれば、金融機関や企業も融資や投資をしやすくなる。

 とはいえ、資金を集める呼び水の役割は既に果たしたはずだ。頓挫すれば国民にツケが回る。次は民間がけん引する番だ。

 ただ、企業の腰が定まっているとはいえない。量産には5兆円以上の投資が必要とされる。現在の資本金は73億円で、資金不足は否めない。トヨタなどが追加出資を計画しているが、総額1000億円規模にとどまる。

 金融機関や企業にとって、投融資の判断が難しいという事情はある。国内で先端半導体の技術は育っておらず、製品もない。来年春に稼働予定の試作ラインで、品質の高さを示せるかが問われる。

 信頼を得る上で重要なのは、説得力のある戦略を示すことだ。

 先行するTSMCや韓国サムスン電子とは異なるビジネスモデルが求められる。開発期間を短縮し、顧客の需要に即した製品を迅速に供給するというが、優秀な人材と安定した販路の確保が先決だ。

 日本の半導体産業は政府主導で再編を進めた結果、国際競争から脱落した経験がある。リスクを取って新たな領域に挑戦する姿勢がなければ、成功はおぼつかない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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