【社説②・12.18】:規正法再改正へ 企業献金禁止を忘れるな
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.18】:規正法再改正へ 企業献金禁止を忘れるな
使途公開義務がない政策活動費を全廃するなどの政治資金規正法の再改正案が衆院を通過した。今国会で成立する運びだ。
自民党が外交秘密などの一部支出を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を断念し、野党案を受け入れた。歩み寄りを促したのは少数与党国会の一定の成果と言って良いだろう。
ただ抜本改革には程遠い。焦点の企業・団体献金の禁止は結論を年度末まで先送りした。30年前から積み残された改革の本丸だ。棚上げは許されない。
議論の発端となった自民党裏金事件も真相究明が足踏みし、謎は深まるばかりだ。きのうの衆院政治倫理審査会でも「知らぬ存ぜぬ」が繰り返された。
これでは信頼回復は到底望めまい。与野党は熟議を尽くしてさまざまな課題に答えを出し、改革を成し遂げねばならない。
政策活動費は事件に関与した議員が裏金のことを「政策活動費だと思っていた」と話し、その不透明な実態に注目が集まった。自民党は年間計十数億円を幹事長など議員個人に渡している。裏金事件を本当に反省しているのなら全廃は当然だった。
石破茂首相はきのうも国会で「公開方法工夫支出」の必要性を強調した。それでは全廃後はどのように対処するのか、新たな「抜け道」につながらぬよう明確に説明すべきだ。
政治資金を幅広く監査する第三者機関の設置法案も衆院を通過した。与野党は独立性が高く厳正な審査ができる機関になるよう制度設計に努めるべきだ。
政治献金について首相や自民党は「企業・団体献金が悪で、個人献金が善だとの立場は取らない」と述べ、現状維持を訴えている。だがこれは善悪を分けるのが議論の本質ではない。
営利を目的とした企業などの献金が政策決定をゆがめかねない以上、改めるのが筋だろう。
国会議員に月100万円を支給する調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)について使途公開や残金の国庫返納を義務付ける法案も可決された。
旧文通費は使途が事実上制限されていないのも問題だ。今回その改革は先送りしたが、使途の範囲は厳密に定めるべきだ。
裏金問題を巡っては自民党都連の新たな疑惑も発覚した。証人喚問や参考人招致などあらゆる手だてを尽くし、根深い闇にメスを入れなければならない。
参院政倫審では裏金議員の弁明を公開せず、議員のみの傍聴で済ます意向があるというが、内向きにも程がある。国民に向き合わなければ、説明責任を果たすことには全くならない。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月18日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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