【社説・11.17】:神戸空港国際化 地域の魅力高める契機に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.17】:神戸空港国際化 地域の魅力高める契機に
2025年春、神戸空港に国際チャーター便が就航することが決まった。まずは韓国の大韓航空がソウル便を飛ばす。1日2往復し定期便に近い運航形態になるという。就航都市はさらに増える見通しだ。開港から20年目に、神戸から海外への扉が開かれるのを歓迎する。
当面は25年4月開幕の大阪・関西万博に来場するインバウンド(訪日客)輸送が神戸空港の主な役割となるが、主眼となるのは30年前後に見込まれる国際定期便の運航である。
すでに空港ではサブターミナルの建設工事が始まっている。神戸市や空港運営会社・関西エアポート神戸は、受け入れ態勢の整備をさらに加速しなければならない。
最優先に解決すべき課題は市街地へのアクセスだ。ポートライナーは便数こそ多いが、沿線に大学や事業所が増え混雑が目立つ。新神戸駅や三宮と結ぶ地下鉄延伸の構想はあるが実現へのハードルは高い。ノンストップ便の設定やバス増発など、既存のインフラ活用が現実的だ。
三宮ではバスターミナルやJRの駅ビル建設など再整備計画が動き始めている。地区内の鉄道や商業施設などの事業者が連携し、訪日客や障害がある人にも分かりやすい動線や案内表示を計画段階から組み込んでほしい。市民にとっても歩きやすい街づくりにつながる。
訪日客の流れは大都市から地方へシフトしている。広島や松山などアジアとの定期便が就航する地方空港は多い。西日本各地に延びる交通網の結節点に立地し多くの観光地にアクセスしやすいなど、神戸の地理的メリットは訴える価値が大きい。
神戸空港から兵庫県全体への訪日客を増やすためには観光資源の掘り起こしも不可欠だ。
神戸商工会議所は今月、布引ハーブ園と摩耶山頂を結ぶロープウエーの新設を市に要望した。滞在型観光を楽しむ人々の呼び込みを狙う。同様に、県内各地の観光スポットにも新たな発想を取り入れられないか。人手不足の中、採用や設備投資に力を入れる県内のホテルや旅館への公的支援も欠かせない。
地域の魅力を高め住みやすい街をつくる契機としても、神戸空港国際化をとらえたい。
元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月17日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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