【報道特集】:旧統一教会 政界工作の手法を検証、統一地方選を前に改めて考える“宗教と政治”
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【報道特集】:旧統一教会 政界工作の手法を検証、統一地方選を前に改めて考える“宗教と政治”
旧統一教会が政界工作を続けたなかで関わりを強めていたのが地方議会でした。なぜ、どのように接近していったのか、そして政治は本当に関係を断とうとしているのか、統一地方選挙を前に検証します。<button class="sc-fwyeXZ ljFcvn" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-fwyeXZ ljFcvn" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button>
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■旧統一教会 政界工作の手法を検証
旧統一教会の元2世信者の男性。今、新たな取り組みを始めている。
旧統一教会 元2世信者
「4月に統一地方選がありますけど、ここでなんとか“宗教と政治”というものを正しい関係に戻したいというのを、たくさんの人に訴えたいと思って活動しています」
テーマは「統一決別 統一地方選」。有権者に投票の判断材料にしてほしいと、情報を公開している。
旧統一教会 元2世信者
「現職の議員が、過去に統一教会に対して、どういう関わりがあったのかという一覧表。統一地方選前半の3800人くらいの議員をすべてリストアップして、イベントに登壇したとかそういう情報、すべて収集して、有志で書き込んでいます」
都道府県議会議員の調査では、教団と関係があった議員の割合が高い都道府県を濃い色で表示するなど、一目で見てわかるようにしたいと話す。
男性が今回、教団と政治家のつながりを調査しようと思った理由は、脱会前に経験してきた選挙支援活動にあるという。
旧統一教会 元2世信者
「教団の指示で選挙活動を手伝ったり、チラシをまいたりとか、電話をかけたりとか、名簿を作ったり、それはずっと幼少期から見てきました。政治家が宗教団体のイベントに出ることで、その見返りとして実質的に票をもらっている。これって公正な選挙とは言えない」
地方議員と教団のつながり・・・。報道特集が入手したのは、ある事件をめぐって、警察が統一教会の実態を調べた捜査資料。そこには、教団の関連団体『国際勝共連合』が選挙で応援した重点候補の名前が並んでいる。
■親子2代に渡り続いた教団側とのつながり
その中の自民党・三原朝雄元議員について、国際勝共連合のかつての幹部から重要な証言を得た。
三原氏は、1970年代に防衛庁長官などを務め、“国防族のドン”と言われた人物だ。
国際勝共連合 元幹部
「とにかく三原朝雄を抱えていかなくちゃいけないとなって、それで三原朝雄さんの選挙(支援)をやり始めたわけですよ。当然、三原事務所には信者の秘書を入れて活動していた。三原朝雄さんは岸(信介)さんと同じように、もう保守という意味では一貫していたから。信用できたってことじゃないですか」
安倍元総理の祖父・岸信介元総理と共に三原氏が力を入れていたのが、スパイ防止法の制定だ。
国際勝共連合は、三原氏の選挙の際に10人以上の信者を手伝いに行かせ、勝共連合が推進するスパイ防止法の制定運動に尽力してもらえるように支援していたという。
強固な関係は、三原氏の息子にも受け継がれていく。
おととしまで衆院議員だった三原朝彦氏が、撮影しないという条件で取材に応じた。朝彦氏は、父・朝雄氏が日本統一教会の会長だった梶栗玄太郎氏と古くからの付き合いで、その縁で、国際勝共連合の梶栗正義会長と関係があったことを認めた。
三原朝彦元衆院議員
「梶栗玄太郎さんと、うちの父は中学からの古い付き合い。その後、(息子の)梶栗正義さんが『朝雄さんに紹介されました』と言って、事務所に来ていた。選挙になると、世界平和連合の女性が4~5人来て、『三原をお願いします』とずっと電話かけをしてくれていた」
だが、朝彦氏は、「選挙支援を受けて、教団のために活動したことはない」と断言した。
ただ、関係性はその後も続き、おととし衆議院議員会館で開かれた「日本・世界平和議員連合懇談会」に参加。隣に写っているのは、梶栗正義会長だ。父と息子が40年以上に渡り、選挙支援など教団との強固な関係を持ち続けた。
親子共々、旧統一教会と関わりがあったのは三原氏だけではない。
自民党・保岡興治元法務大臣と、長男・保岡宏武衆院議員。
2013年、日本統一教会の元会長・梶栗玄太郎氏を偲ぶ会に出席し、スピーチした父・興治氏。教祖の文鮮明氏が亡くなる直前に梶栗氏と会いに行ったエピソードを話した。
保岡興治元法務大臣
「実はこの(2012年)9月に私、韓国に参りまして、文鮮明先生のご生体に接しまして、最後のご挨拶を申し上げたんですけれども、世界的な平和主義者であった文鮮明氏の本当にお別れの会に(梶栗氏が)ご出席をされまして、私もご案内いただいて、そのときの姿が今でも目に浮かびます」
そして、興治氏の長男・宏武衆院議員も、自民党の点検に「関連団体の会合に出席」したと回答している。
報道特集が宏武の事務所に、教団との関係について取材すると、「自民党の調査で答えたとおりです」と答えた。
三原氏・保岡氏と、親子2代に渡り続いた教団側とのつながり。旧統一教会の手法は、親から子へ支援体制を続けることだけではない。国政に出る前の地方から接近を始めるのだ。
■「国家・地方の政策に参画」内部資料に教団の狙いも…
その教団にとって大きなテーマとなったのが、地方組織の拡大だ。
これは、国際勝共連合とならぶ教団の政治団体『世界平和連合』の内部資料だ。全都道府県に組織を作り、100万人の会員を目指した。そのために、ありとあらゆる組織の名簿を入手したうえで、政治地図をつくり、そこから有力者を見定め役員案を作成するなど、手順が記されている。
議員の後援会結成のマニュアルには、教団の狙いが書かれている。
「将来においては独自の議員を生み出す基盤を作ることができる」
さらに、別の関連団体『平和大使協議会』の資料では、議員や、地域の有力者などを『平和大使』に任命し、国家・地方の政策に参画することを目標として掲げていた。
3月23日、4年に一度の統一地方選挙の前半戦として、任期満了に伴う知事選挙が告示された島根県。
教団の関連団体『APTF(真の家庭運動推進協議会)』のホームページ(※現在は削除)によると、多くの島根県議が、『平和大使フォーラム』や『人格教育フェスティバル』といった教団と関わりのある集まりに参加してきた。
その中の1人、『平和大使』に任命された現役の島根県議。去年、報道特集の取材にこう応えていた。
現役の島根県議
「統一地方選挙に出馬する際に、応援していただけるんじゃないかということで、平和大使協議会の事務局の方と面談させていただいて、色んな活動にそれからお声かけいただくようになった」
統一地方選挙にむけて、教団との接点を調査することの必要性をあらためて尋ねると…
現役の島根県議
「平和大使も辞めて、今はなんの繋がりもありません。接点の調査については、去年、新聞各紙のアンケートに答えたので、わざわざ選挙前に再び公表する必要はないと考えています」
自民党の島根県連が「接点の調査をしない」と報じられていることについて、有権者は…
30代女性
「『選挙に対して影響がないと思うから調査を行わない』っていう記事を見て、ちょっとびっくりしました。言葉悪いけど、なめられているのかなって」
タクシー運転手
「そういう情報があるならば明らかにすべき、でもこっちの人はね、鉄板で票を入れるのが決まっているみたいなところがありますからね」
■「認識がないまま出席」旧統一教会との関わり 国会答弁との齟齬
教団の一つの手法は、地方選挙への出馬を目指す有力者などに近づき、関連団体のイベントに招くというものだ。
2015年に島根県議として初当選し、2021年、国会議員になった高見康裕衆院議員。現在、法務大臣政務官を務めている。
旧統一教会との関わりについて、国会でこう答弁していた。
自民党 高見康裕衆院議員(去年11月)
「平成27(2015)年頃から、関連団体の主催する会合に出席した。旧統一教会の関連団体であるという認識がないままに出席したことについて、私の認識が十分ではなかったというふうに考えております」
去年9月に自民党が行った国会議員への点検では、『旧統一教会主催の会合への出席』はしておらず、『関連団体の会合への出席』のみ認めている。
しかし、関連団体のホームページによると、高見氏は県議になる2年前の2013年、会合に出席し、すでに『平和大使』に任命されていた。
そして、高見氏は関連団体との認識がなかったと答弁したが、2015年の会合では、「文鮮明総裁 聖和(死去)3周年記念式と名称変更を映像で報告」とあった。
さらに、関連団体ではなく、文鮮明氏の映像が流された“旧統一教会のイベント”にも、複数回参加していた写真が残されていた。
高見氏を県議会議員として見いだし、後援会長を務めた人物がいる。多久和忠雄元島根県議(91)だ。
多久和忠雄 元島根県議
「最初の県議の時に、故郷から(議員を)出そうと思って高見さんのところに行った。それで(選挙に)出たらどうですかって。私も応援しますからっていうことで、しつけ役は私ですよ。ですから高見さんに代わって、私が一軒一軒歩かないといけない。『高見の支援者ですけど宜しく頼む』って」
多久和氏自身、『平和大使』や『人格教育協議会の会長』として、教団との深い繋がりがある。
高見氏や多久和氏が、関連団体と関わるきっかけは、旧統一教会の信者からの勧誘だったという。
多久和忠雄 元島根県議
「(信者)さんが声をかけておられます。私はかけていません」
Q.そのとき、(信者)さんは統一教会の人物だと分かっていた?
多久和忠雄 元島根県議
「そのとき高見さんは(信者)さんがやっておられたことを知っていました」
Q.平和大使協議会とか、人格教育協議会の人たちも応援した?
多久和忠雄 元島根県議
「平和大使は、応援していると思います」
ただ、『平和大使協議会』は国政に出る“後押し”になるほどの力はなかったと付け加えた。
高見氏の別の関係者からも証言を得た。
高見氏の関係者
「高見議員は、家庭教育の大切さなどについて関連団体の考えと一致していた」 「文鮮明氏の話が出た会合に、何度か一緒に出席していた」
県会議員になる前に平和大使となり、今は国会議員となった高見氏。旧統一教会の主催と認識して、会合に出席していたのではないか?
答弁との齟齬について、高見氏の事務所に取材すると、「自民党の点検調査や、国会などでこれまで説明した通り」と話した。
統一地方選前に教団と政治家の関係を調査し、有権者の判断材料にしてほしいと活動を続ける元2世信者の男性。地方議員に注目した理由について…
旧統一教会 元2世信者
「このまま放置してしまうと、地方議会と統一教会の関わりというのを断ち切ることができずに、地方議会というのは国政の基盤になっているので、国会での議論においても統一教会に対する糾弾が甘くなる、いろんな社会的に問題のある宗教を野放しにしてしまうと思います」
今回の統一地方選が「教団との関わりの“根”を絶つべきかどうか」の有権者の意思表示になると訴える。
旧統一教会 元2世信者
「統一地方選で、統一教会との関わりがあった議員が誰なのか、それをしっかり踏まえた上で投票しないといけないし、そもそも投票に行かないといけない。政治に興味を持って、民主主義というのを思い出してほしい」
■自民党47都道府県連にアンケート調査、16の地方組織「回答なし」
では、教団との関係が最も深かった自民党の各地方組織は、どう問題に取り組んでいるのか。
全国の自民党都道府県連に、立候補予定者に教団側と接点があったかどうか、今後関係を断ち切る意思があるかどうかの確認をしたか、などについてアンケート調査を行った。
統一地方選をすでに終えた沖縄や、今年秋に迎える岩手、福島を含む47都道府県連のうち回答があったのは31の組織。
そのうち、接点の有無や関係遮断の意思確認を行ったとする組織は23で、宮崎は関係遮断についてのみ確認した、と回答。
確認していないと回答したのは、すでに周知されていることを理由にした鳥取、新潟のほか、兵庫。
また、島根、東京、山梨は、関係遮断の徹底という党の方針を周知徹底してきたとしたが、接点があったかどうか確認したかの質問については回答しなかった。
今後の信頼回復のための具体的方策を問うと、20の組織が、党方針に則り、引き続き徹底を図るなどと、同様の表現で回答を寄せた。
なお、16の地方組織(北海道、宮城、山形、福島、長野、愛知、三重、大阪、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡、長崎、大分)はアンケートそのものに回答しなかった。
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元稿:TBS News! DIG(JNN系列) 主要ニュース 政治 【政局・選挙・春の統一地方選挙】 2023年04月01日 07:01:00これは参考資料です。 転載等各自で判断下さい。
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