【筆洗・01.24】:「白状して楽になれよ」「あんた殺人犯 死ねば」「火のないと…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・01.24】:「白状して楽になれよ」「あんた殺人犯 死ねば」「火のないと…
「白状して楽になれよ」「あんた殺人犯 死ねば」「火のないところに煙は立たぬ」…
▼タレントのスマイリーキクチさんが、少年たちによる殺人事件の犯人だったというデマをもとに1999年から10年間、インターネット上で受けた誹謗(ひぼう)中傷の例である
▼最後は警察も中傷した側の立件に動くが、当初は親身でなかったという。誰かに襲われるかもと夜のつきあいを減らし早く帰り、安否確認のため恋人との連絡を頻繁にした時期も。自分の運気が悪いのかとお祓(はら)いまで受けたと著書で明かした
▼交流サイト(SNS)で傷つけられた末の死に胸が塞(ふさ)がる。斎藤元彦兵庫県知事の疑惑を議会で追及した竹内英明・前県議が亡くなった。自死らしい。先の知事選で中傷が続き、家族を守ると選挙後に県議を辞めた人である
▼斎藤氏を当選させるため知事選に出て、SNSに影響を与えた立花孝志氏が標的にした1人。竹内氏の死後、立花氏はネット上で「竹内氏は逮捕される予定だった」という趣旨の発信をし、県警が否定するや取り消し、謝罪した。謝ったとはいえ、死者をも貶(おとし)めるのか。ネット空間の無慈悲さが恐ろしい
▼スマイリーキクチさんは、先日もネットと人権に関する講演で高校生に、大事なのは「自分は正しい」を疑う感性、と訴えたという。安直に信じた「正義」は誰かを傷つけ、取り返しのつかぬことも起きる。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2025年01月24日 07:07:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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