【社説①】:まん延防止拡大 社会機能維持へ先手で
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:まん延防止拡大 社会機能維持へ先手で
政府は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染急拡大を受け、13都県にまん延防止等重点措置の追加適用を決めた。
既に適用中の沖縄など3県と合わせて計16都県に拡大される。
オミクロン株は感染力が強く、新規感染者は4万人を超え、過去最多を更新した。
道内の新規感染者は初めて千人を超えた。道は近く重点措置適用を政府に要請する。
オミクロン株の重症化リスクは低いとされる。しかし感染者数が爆発的に増えれば重症者数も増え、医療逼迫(ひっぱく)を招く恐れがある。
濃厚接触者の待機期間を短縮したものの、交通を含めた社会インフラや教育、介護などの現場では人手不足が生じ、経済社会活動に影響が出かねない。
岸田文雄首相はこれまで「先手先手で対応してきた」と強調するが、適切な行動制限と社会機能の継続は両立できるのか。その説明は不十分だ。
「聞く力」だけでなく、具体策の発信も力を入れるべきである。
首相は希望者へのワクチンの追加接種を前倒しすると表明した。しかし供給計画がはっきりせず自治体から困惑する声が上がる。
昨年はワクチン供給の見通しが甘く、現場が混乱した。同じ過ちを繰り返してはなるまい。供給計画を早急に示してもらいたい。
全国で自宅療養者は急増し、健康観察などを担う保健所の業務も圧迫し始めている。
第5波では必要な医療が受けられず、自宅で亡くなる人が相次いだ。限られた医療従事者や入院・療養施設を有効に活用する体制づくりが急務である。
重点措置では、知事の判断で酒類提供停止が可能だ。これまでは協力金の支払いが遅れがちだった。飲食業者らが再び苦境に立たされかねない。
協力金の円滑な支払いや事業規模に応じた支援など、さらなる対策の拡充が求められよう。
また会食やイベントについて、ワクチン接種証明書などを示せば可能とする「ワクチン・検査パッケージ」を原則停止し、より厳格な全員検査を要件とした。
知事の裁量でパッケージの活用は可能だが、感染が急拡大する中では慎重な対応が必要である。
道内は全域で感染状況が悪化している。医療保健体制が脆弱(ぜいじゃく)な地域も多い。道は各地の入院状況を点検するとともに、自宅療養者の経過観察にも十分な目配りができる仕組みを構築するべきだ。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年01月20日 05:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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