【社説①・01.15】:インフル急増 日々の予防心がけよう
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.15】:インフル急増 日々の予防心がけよう
インフルエンザが各地で猛威をふるっている。
全国5千の定点医療機関から報告された患者数が昨年末の1週間、現行の統計を始めた1999年以降、最多の31万人を記録し、年明け後も収まる気配がない。一部で医療の逼迫(ひっぱく)や治療薬の供給不足も懸念されている。感染対策を強めたい。
1機関当たりの患者数は64・39人になった。全国平均で警報レベルの30人を上回り、前週から1・5倍という急増だった。
京都府内も過去最多の1機関当たり54・88人に、滋賀県も55・78人に上り、両府県はインフルエンザ警報を発している。年末年始、自治体が設けた休日診療所に急患が押し寄せ、京都市では医師を2倍に増やして対応したという。
九州では1機関当たり100人を超える県もあり、医療崩壊が危ぶまれた新型コロナウイルス流行時に匹敵する水準の地域もある。
今回の大流行は、コロナ対策が定着してインフルエンザがしばらく流行せず、免疫を持つ人が減ったことが一因とされ、年末年始の人の移動で広がったとみられる。新学期も始まり、社会活動が本格化する中、さらなる感染拡大が危惧される。
検出されているウイルスは、A型のH1N1。気がかりなのは、例年2月前後に始まるB型の流行期が近いことだ。A型のピークアウトを待たずに重なれば、医療体制をさらに圧迫しかねない。
特に、高齢者や基礎疾患のある人は重症化リスクが高い。子どもが感染すると脳症の恐れもあり、警戒を怠れない。専門家は、ワクチン接種は今からでも効果があるといい、選択肢の一つになる。
治療薬の安定供給に向け、一部の製薬会社が出荷の制限や停止を行った。厚労省は、製薬会社などに約1500万人分の在庫を確認しており、冷静に対応したい。
国内で感染者が初確認され、きょうで5年になる新型コロナも増加傾向で、注意が必要だ。感染法上の分類が5類に移った23年5月から1年間の死者数は約3万2千人。同期間のインフルエンザの15倍で、危険な病気に変わりはない。
同じ呼吸器感染症のヒトメタニューモウイルス感染症も、中国で感染が広がる。春節(旧正月)に伴う連休が28日に始まり、日本への影響も注視する必要がある。
十分に休養を取り、手洗い、マスク着用、換気といった基本的な感染症対策の徹底が鍵になる。コロナの教訓を生かしたい。
元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月15日 16:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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