野田首相の「決断」「実行」「乾坤一擲」がよく出た改造だった。問責された閣僚を2人を切り捨て、自民党に色目を使い、増税と社会保障の一体改悪を自民党と手に手を結んで通過させる。まさに関所破りする打算がよく出た改造だ。
さらに、驚くべきことには、これまで2人の防衛大臣の「不祥事」を挽回することと、巷間言われているように、民主党にそれだけの防衛のエキスパートがいないという否定的現実をチャンスにギアチェンジしていくために、自民党など、日米同盟深化推進派の合意を得るために「自民党政権時代は外交、安全保障のアドバイザーとして同党の部会などに出席し、安倍晋三政権下では日本版NSC(国家安全保障会議)の創設に向けた首相主宰の会議のメンバーを務めた。09年8月には浜田靖一防衛相(当時)の下で、防衛相補佐官に就任したが、政権交代のため約1カ月で退職した」(「毎日」)とあるように、自民党政権の応援団である軍事外交戦略家を起用することで、普天間基地問題をクリアーするための「強攻」策に出たことだ。まさに火中に栗を拾う奇策だ。
今沖縄では県議選真っ最中だ。この野田政権の改造が、沖縄県民にどのように映るか、計算して計算しての起用であることは明らかだ。まさに必死の奇策だ。イチかバチかの賭けに出たのではないか?沖縄の反応が楽しみだ。
自民党など日米同盟深化推進派は、選挙で洗礼を受けていない民間人起用への問題や不安を述べ、批判的なことを、一応言っている。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120604/t10015601241000.html
しかし、それはあくまで「建前」であって、心のなかでは喜んでいることだろう。その理由は軍事外交戦略家である森本氏のこれまでの主張は、憲法的制約受けている政権の軍事外交を外から大きく突破させるために、外部から応援するというか、突き上げるために、テレビや産経などを通して論陣を張ってきた。憲法9条に基づく外交努力を否定する、憲法改悪のプロパガンダであった。
自衛隊員を父親に持つ野田首相が、こうした森本氏にシンパシーを感じ、「森本敏さん。改めて申し上げるまでもなく、安全保障に関するわが国の第一人者のお一人でございます。北朝鮮問題を含め、わが国を取り巻く安全保障環境が不透明となる中、わが国の平和と安全を守るために、大いに力を発揮してもらえるものと確信をしています。国民の皆さまへの情報発信にも万全を期してもらえると期待をしています」(野田首相の記者会見)と述べ、起用するのは、ある意味当然だった。
さきほどNHKニュースウォッチ9で、森本氏の記者会見を放映した。それは首相の指示を受けたとして、日米同盟深化・動的防衛の実行・普天間の解決など、お決まりの言葉=キィーワードを垂れ流したものだった。しかし、政治記者は、官僚の文書を読むのではなく、いわゆるキィーワードを何も見ずに語って抱負を述べていた森本氏を「手堅い」と褒めていた。問題だ。それらのキィーワードの内容と問題点をいっさい語らず、お褒めの言葉を垂れ流したからだ。NHKが、日米同盟深化推進派であることを証明した報道だった。
ものさしのメモリ削りて危機煽る立ち居定めて情を込めて
さて、この森本氏の起用、内閣改造について、「産経」と「読売」、「NHK」の反応を追ってみた。日米同盟深化推進派の報道内容のなかにある問題点、をみてほしい。
自衛官から外務省に、自民ともパイプ…森本氏(2012年6月4日13時19分 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120604-OYT1T00588.htm?from=popin
防衛相への就任が決まった森本敏拓殖大教授は、自衛官出身で外務省勤務の経験もあり、外交・安全保障の現場を肌で知る専門家だ。 1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争を通じて論客として知られるようになり、テレビ番組などで引っ張りだこになったこともある。森本氏は65年に防衛庁(現防衛省)に入り、航空自衛隊で部隊勤務に就いた。自衛官を退官後、外務省に入省し、情報調査局安全保障政策室長を務めた。民間では、野村総合研究所主席研究員などを経験した。日米同盟や在日米軍基地などに関する著作も多く、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題では、同県名護市辺野古に移設する政府案を支持している。自民党との関係も深い。麻生内閣の2009年には、防衛省の不祥事を受けた体制刷新で新設された防衛相補佐官に起用された。安倍内閣でも、米国家安全保障会議(NSC)の日本版創設を議論した政府の有識者会議「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」に参加した。
新防衛相の森本氏、普天間移設は政府案支持(2012年6月4日 読売新聞)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20120604-OYS1T00641.htm?from=popin
防衛相への就任が決まった森本敏・拓殖大教授は、自衛官出身で外務省勤務の経験もあり、外交・安全保障の現場を肌で知る専門家だ。1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争を通じて論客として知られるようになり、テレビ番組などで引っ張りだこになったこともある。森本氏は65年に防衛庁(現防衛省)に入り、航空自衛隊で部隊勤務に就いた。自衛官を退官後、外務省に入省し、情報調査局安全保障政策室長を務めた。民間では、野村総合研究所主席研究員などを経験した。日米同盟や在日米軍基地などに関する著作も多く、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題では、同県名護市辺野古に移設する政府案を支持している。
新防衛相、「政治家より期待」の一方で不安も…(2012年6月4日16時41分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120604-OYT1T00622.htm?from=y10
野田再改造内閣で初の民間出身の防衛相に就任する森本敏・拓殖大教授は、防衛問題のエキスパートだ。・・・防衛省内からは「政治家より期待できる」との声が上がったが、民間人が国の防衛をつかさどることへの不安ものぞいた。「防衛、外交の双方に知見があり、米国とのパイプもある。相手の話をよく聞いて物事を判断するタイプで、人柄は申し分ない」。ある自衛官は、自衛隊出身の森本氏に親近感と期待感をにじませた。別の自衛官も「防衛問題に不慣れな人が大臣になって混乱したので政治家よりよっぽど期待できる」と話した。ただ、民間人が国の防衛トップに就くことには、歓迎の声ばかりではなかった。ある自衛隊幹部は「国民の負託を受けていない民間人が、万が一の時に、自衛官を命の危険がある現場に行けと命令できるだろうか」と首をかしげる。
【内閣改造】自民・茂木氏が修正協議に前向き「いい協議と合意で解散を」2012.6.4 17:47
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120604/stt12060417470005-n1.htm
自民党の茂木敏充政調会長は4日午後のTBS番組で、問責2閣僚が交代したことに関し「これから正に協議が始まる。いい協議をして、いい合意をして、そのうえで国民にすっきりした判断をしてもらうのが、誰にも納得できる解決だ」と述べた。消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる修正協議を進める条件の1つが整ったとの見方を示したものだ。そのうえで茂木氏は「われわれは民主党としても乗れるようなボールを投げているつもりだ。2メートルもジャンプしなくても大丈夫な球だ」と強調した。
経団連会長“ぶれない姿勢を評価” 6月4日 19時13分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120604/k10015597591000.html
K10055975911_1206042102_1206042109
野田第2次内閣改造について、経団連の米倉会長は、4日、記者団に対して、「日本の財政健全化は待ったなしの状況で、政府が財政健全化に向けた努力をしているというシグナルを出さないと、国際的に日本の信用は大丈夫なのかという評価が下されてしまう。そういう意味で、社会保障と税の一体改革などの懸案に取り組む環境を整備するため、内閣改造に踏み切った野田総理大臣のぶれない姿勢を高く評価している」と述べました。そのうえで、米倉会長は「自民党もきちんと野田総理大臣の思いに真摯(しんし)に応えて、重要な政策課題について真っ向から協議をしてほしい」と述べました。
最後に、森本氏の主張について、産経の記事を紹介しておこう。
米新国防戦略 日本は安保戦略たて直し、国家再生を 森本敏拓殖大学大学院教授が提言
2012.1.7 01:27 (1/4ページ)[安全保障]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120107/plc12010701320000-n1.htm
拓殖大大学院の森本敏教(安元雄太撮影)
米国は5日の新国防戦略で中国に対抗できる態勢づくりを急ぐ必要性を強調した。同盟国日本はいかに対応すべきか。安全保障問題に詳しい森本敏拓殖大学大学院教授=写真=は、朝鮮半島情勢や米中関係の変化など「周辺環境の変化に留意しつつ、安全保障戦略をたて直して国家を再生すべし」と提言する。
◇
東日本大震災後、日本国内では人と社会の「絆」が叫ばれ、内向き指向が強くなっている。だが、日本を取り巻く周辺には「絆」ではなく、外に向いたナショナリズムが広がっている。
昨年末の野田佳彦首相の訪中は南京事件の当日であったという理由で中国国内に反対が起き、訪問が一時延期された。昨年末には訪日した韓国の李明博大統領が慰安婦問題を取り上げたため首脳会談が散々の結果になった。アジア諸国には歴史問題に落とし込むと日本に対して優位に立てるという考えがいまだに強い。
軍事力を背景に海洋に出てくる中国の横暴な態度をみても、対話や外交で全ての問題が解決できると考えるのは幻想だ。われわれはどうすれば他国からなめられない国家として再生できるのか。その答えは国力の基盤としての防衛力と同盟関係の充実しかない。これなくして力強い外交や安全保障戦略は成り立たない。
今年東アジアでは政権交代が多く見られるが、まず14日投開票の台湾総統選が注目される。台湾の人々の願望は独立でも統合でもなく現状維持である。しかし、中国の野心は台湾統合だ。今後、台湾海峡の波が高くなれば「核心的利益」と中国が主張するエリアに米国が空母を展開することは困難である。
その時「前進基地」になる日本の対応が試される。台湾海峡事態を念頭に、日米共同作戦計画を策定しておく必要がある。
北朝鮮では4月に金日成生誕100周年記念日と朝鮮人民軍創建80周年軍事パレードがある。金正恩という経験・実績の少ない20代の青年が、複雑な国際情勢のもとで、的確な決断ができるとは思えない。軍部にも突出した指導者がいない中で、実利益や政権運営の手法をめぐって北朝鮮指導部内に分裂が起こっても不思議ではない。
日本は半島情勢に関して米韓両国との間で、防衛協力やNEO(非戦闘員退避活動)のガイドラインを策定すべきである。
中国は今秋の共産党大会で次期指導者が決まる。次期指導者がどの程度、人民解放軍をコントロールできるか注目されるが、軍は近代化に邁(まい)進(しん)し、海洋・宇宙・サイバー空間に進出してアジア全域に大きな懸念を引き起こしている。
米国は中国に対応しようと、ASB(エア・シー・バトル)構想という投射兵力の運用概念を採用しようとしている。アジアに回帰し、この地域に軍事プレゼンスを維持する意向だが、一方で大幅な国防費削減が重くのしかかっている。日・韓・豪など同盟国や東南アジア諸国連合(ASEAN)の親米諸国に協力を求めつつ、限られた兵力で拠点より地域全体を面で抑止しようとしている。
米国が有効な抑止機能を発揮できるかどうかは同盟国・友好国の協力次第である。特に、米中間のオフショア・バランス(海洋における勢力均衡)がアジア安定のカギになる。その中で日本の果たすべき役割は決定的だ。日本が外洋に出ようとする中国の出口を占める戦略的位置にあるからであり、今ほど日本が確固とした対中戦略や海洋戦略を構築すべき時はない。
中国が第一列島線から外洋に出る要路に日本の南西諸島が横たわる。この南西諸島を防衛することは、このラインで中国の外洋進出を食い止めるためにも、沖縄や尖閣諸島を守るために不可欠である。普天間の代替基地は結局、沖縄県民を守るためである。
米海兵隊が沖縄より南方地域に下がればアジア太平洋全域の抑止には役立つが沖縄にとっての抑止機能は低下する。沖縄が使いにくくなると米国は海兵隊の兵力分散に動く。それは沖縄にとって危険である。
南西諸島の防衛強化には追加的に兵力を配備するだけでなく、日米間で基地・施設の共同使用を拡大するとともに、日米共同運用態勢を強化すべきだ。領域外で武力行使に当たる活動を行って日米同盟協力を強化するためには周辺事態法の改正は不可欠といえる。
防衛費を増額して情報機能、防空、対潜戦、ミサイル防衛、着上陸の能力向上を行い、米軍の機能を補完することも必要であり、尖閣諸島の実効支配を強化するための法的措置や海上保安庁の能力向上も優先される。
こうした政治課題に優先度をつけて確実に実行していくことが国民の信頼を確保し、国家と国民の安全を維持する手段である。(寄稿)
さきほどNHKニュースウォッチ9で、森本氏の記者会見を放映した。それは首相の指示を受けたとして、日米同盟深化・動的防衛の実行・普天間の解決など、お決まりの言葉=キィーワードを垂れ流したものだった。しかし、政治記者は、官僚の文書を読むのではなく、いわゆるキィーワードを何も見ずに語って抱負を述べていた森本氏を「手堅い」と褒めていた。問題だ。それらのキィーワードの内容と問題点をいっさい語らず、お褒めの言葉を垂れ流したからだ。NHKが、日米同盟深化推進派であることを証明した報道だった。
ものさしのメモリ削りて危機煽る立ち居定めて情を込めて
さらに、驚くべきことには、これまで2人の防衛大臣の「不祥事」を挽回することと、巷間言われているように、民主党にそれだけの防衛のエキスパートがいないという否定的現実をチャンスにギアチェンジしていくために、自民党など、日米同盟深化推進派の合意を得るために「自民党政権時代は外交、安全保障のアドバイザーとして同党の部会などに出席し、安倍晋三政権下では日本版NSC(国家安全保障会議)の創設に向けた首相主宰の会議のメンバーを務めた。09年8月には浜田靖一防衛相(当時)の下で、防衛相補佐官に就任したが、政権交代のため約1カ月で退職した」(「毎日」)とあるように、自民党政権の応援団である軍事外交戦略家を起用することで、普天間基地問題をクリアーするための「強攻」策に出たことだ。まさに火中に栗を拾う奇策だ。
今沖縄では県議選真っ最中だ。この野田政権の改造が、沖縄県民にどのように映るか、計算して計算しての起用であることは明らかだ。まさに必死の奇策だ。イチかバチかの賭けに出たのではないか?沖縄の反応が楽しみだ。
自民党など日米同盟深化推進派は、選挙で洗礼を受けていない民間人起用への問題や不安を述べ、批判的なことを、一応言っている。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120604/t10015601241000.html
しかし、それはあくまで「建前」であって、心のなかでは喜んでいることだろう。その理由は軍事外交戦略家である森本氏のこれまでの主張は、憲法的制約受けている政権の軍事外交を外から大きく突破させるために、外部から応援するというか、突き上げるために、テレビや産経などを通して論陣を張ってきた。憲法9条に基づく外交努力を否定する、憲法改悪のプロパガンダであった。
自衛隊員を父親に持つ野田首相が、こうした森本氏にシンパシーを感じ、「森本敏さん。改めて申し上げるまでもなく、安全保障に関するわが国の第一人者のお一人でございます。北朝鮮問題を含め、わが国を取り巻く安全保障環境が不透明となる中、わが国の平和と安全を守るために、大いに力を発揮してもらえるものと確信をしています。国民の皆さまへの情報発信にも万全を期してもらえると期待をしています」(野田首相の記者会見)と述べ、起用するのは、ある意味当然だった。
さきほどNHKニュースウォッチ9で、森本氏の記者会見を放映した。それは首相の指示を受けたとして、日米同盟深化・動的防衛の実行・普天間の解決など、お決まりの言葉=キィーワードを垂れ流したものだった。しかし、政治記者は、官僚の文書を読むのではなく、いわゆるキィーワードを何も見ずに語って抱負を述べていた森本氏を「手堅い」と褒めていた。問題だ。それらのキィーワードの内容と問題点をいっさい語らず、お褒めの言葉を垂れ流したからだ。NHKが、日米同盟深化推進派であることを証明した報道だった。
ものさしのメモリ削りて危機煽る立ち居定めて情を込めて
さて、この森本氏の起用、内閣改造について、「産経」と「読売」、「NHK」の反応を追ってみた。日米同盟深化推進派の報道内容のなかにある問題点、をみてほしい。
自衛官から外務省に、自民ともパイプ…森本氏(2012年6月4日13時19分 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120604-OYT1T00588.htm?from=popin
防衛相への就任が決まった森本敏拓殖大教授は、自衛官出身で外務省勤務の経験もあり、外交・安全保障の現場を肌で知る専門家だ。 1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争を通じて論客として知られるようになり、テレビ番組などで引っ張りだこになったこともある。森本氏は65年に防衛庁(現防衛省)に入り、航空自衛隊で部隊勤務に就いた。自衛官を退官後、外務省に入省し、情報調査局安全保障政策室長を務めた。民間では、野村総合研究所主席研究員などを経験した。日米同盟や在日米軍基地などに関する著作も多く、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題では、同県名護市辺野古に移設する政府案を支持している。自民党との関係も深い。麻生内閣の2009年には、防衛省の不祥事を受けた体制刷新で新設された防衛相補佐官に起用された。安倍内閣でも、米国家安全保障会議(NSC)の日本版創設を議論した政府の有識者会議「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」に参加した。
新防衛相の森本氏、普天間移設は政府案支持(2012年6月4日 読売新聞)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20120604-OYS1T00641.htm?from=popin
防衛相への就任が決まった森本敏・拓殖大教授は、自衛官出身で外務省勤務の経験もあり、外交・安全保障の現場を肌で知る専門家だ。1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争を通じて論客として知られるようになり、テレビ番組などで引っ張りだこになったこともある。森本氏は65年に防衛庁(現防衛省)に入り、航空自衛隊で部隊勤務に就いた。自衛官を退官後、外務省に入省し、情報調査局安全保障政策室長を務めた。民間では、野村総合研究所主席研究員などを経験した。日米同盟や在日米軍基地などに関する著作も多く、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題では、同県名護市辺野古に移設する政府案を支持している。
新防衛相、「政治家より期待」の一方で不安も…(2012年6月4日16時41分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120604-OYT1T00622.htm?from=y10
野田再改造内閣で初の民間出身の防衛相に就任する森本敏・拓殖大教授は、防衛問題のエキスパートだ。・・・防衛省内からは「政治家より期待できる」との声が上がったが、民間人が国の防衛をつかさどることへの不安ものぞいた。「防衛、外交の双方に知見があり、米国とのパイプもある。相手の話をよく聞いて物事を判断するタイプで、人柄は申し分ない」。ある自衛官は、自衛隊出身の森本氏に親近感と期待感をにじませた。別の自衛官も「防衛問題に不慣れな人が大臣になって混乱したので政治家よりよっぽど期待できる」と話した。ただ、民間人が国の防衛トップに就くことには、歓迎の声ばかりではなかった。ある自衛隊幹部は「国民の負託を受けていない民間人が、万が一の時に、自衛官を命の危険がある現場に行けと命令できるだろうか」と首をかしげる。
【内閣改造】自民・茂木氏が修正協議に前向き「いい協議と合意で解散を」2012.6.4 17:47
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120604/stt12060417470005-n1.htm
自民党の茂木敏充政調会長は4日午後のTBS番組で、問責2閣僚が交代したことに関し「これから正に協議が始まる。いい協議をして、いい合意をして、そのうえで国民にすっきりした判断をしてもらうのが、誰にも納得できる解決だ」と述べた。消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案をめぐる修正協議を進める条件の1つが整ったとの見方を示したものだ。そのうえで茂木氏は「われわれは民主党としても乗れるようなボールを投げているつもりだ。2メートルもジャンプしなくても大丈夫な球だ」と強調した。
経団連会長“ぶれない姿勢を評価” 6月4日 19時13分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120604/k10015597591000.html
K10055975911_1206042102_1206042109
野田第2次内閣改造について、経団連の米倉会長は、4日、記者団に対して、「日本の財政健全化は待ったなしの状況で、政府が財政健全化に向けた努力をしているというシグナルを出さないと、国際的に日本の信用は大丈夫なのかという評価が下されてしまう。そういう意味で、社会保障と税の一体改革などの懸案に取り組む環境を整備するため、内閣改造に踏み切った野田総理大臣のぶれない姿勢を高く評価している」と述べました。そのうえで、米倉会長は「自民党もきちんと野田総理大臣の思いに真摯(しんし)に応えて、重要な政策課題について真っ向から協議をしてほしい」と述べました。
最後に、森本氏の主張について、産経の記事を紹介しておこう。
米新国防戦略 日本は安保戦略たて直し、国家再生を 森本敏拓殖大学大学院教授が提言
2012.1.7 01:27 (1/4ページ)[安全保障]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120107/plc12010701320000-n1.htm
拓殖大大学院の森本敏教(安元雄太撮影)
米国は5日の新国防戦略で中国に対抗できる態勢づくりを急ぐ必要性を強調した。同盟国日本はいかに対応すべきか。安全保障問題に詳しい森本敏拓殖大学大学院教授=写真=は、朝鮮半島情勢や米中関係の変化など「周辺環境の変化に留意しつつ、安全保障戦略をたて直して国家を再生すべし」と提言する。
◇
東日本大震災後、日本国内では人と社会の「絆」が叫ばれ、内向き指向が強くなっている。だが、日本を取り巻く周辺には「絆」ではなく、外に向いたナショナリズムが広がっている。
昨年末の野田佳彦首相の訪中は南京事件の当日であったという理由で中国国内に反対が起き、訪問が一時延期された。昨年末には訪日した韓国の李明博大統領が慰安婦問題を取り上げたため首脳会談が散々の結果になった。アジア諸国には歴史問題に落とし込むと日本に対して優位に立てるという考えがいまだに強い。
軍事力を背景に海洋に出てくる中国の横暴な態度をみても、対話や外交で全ての問題が解決できると考えるのは幻想だ。われわれはどうすれば他国からなめられない国家として再生できるのか。その答えは国力の基盤としての防衛力と同盟関係の充実しかない。これなくして力強い外交や安全保障戦略は成り立たない。
今年東アジアでは政権交代が多く見られるが、まず14日投開票の台湾総統選が注目される。台湾の人々の願望は独立でも統合でもなく現状維持である。しかし、中国の野心は台湾統合だ。今後、台湾海峡の波が高くなれば「核心的利益」と中国が主張するエリアに米国が空母を展開することは困難である。
その時「前進基地」になる日本の対応が試される。台湾海峡事態を念頭に、日米共同作戦計画を策定しておく必要がある。
北朝鮮では4月に金日成生誕100周年記念日と朝鮮人民軍創建80周年軍事パレードがある。金正恩という経験・実績の少ない20代の青年が、複雑な国際情勢のもとで、的確な決断ができるとは思えない。軍部にも突出した指導者がいない中で、実利益や政権運営の手法をめぐって北朝鮮指導部内に分裂が起こっても不思議ではない。
日本は半島情勢に関して米韓両国との間で、防衛協力やNEO(非戦闘員退避活動)のガイドラインを策定すべきである。
中国は今秋の共産党大会で次期指導者が決まる。次期指導者がどの程度、人民解放軍をコントロールできるか注目されるが、軍は近代化に邁(まい)進(しん)し、海洋・宇宙・サイバー空間に進出してアジア全域に大きな懸念を引き起こしている。
米国は中国に対応しようと、ASB(エア・シー・バトル)構想という投射兵力の運用概念を採用しようとしている。アジアに回帰し、この地域に軍事プレゼンスを維持する意向だが、一方で大幅な国防費削減が重くのしかかっている。日・韓・豪など同盟国や東南アジア諸国連合(ASEAN)の親米諸国に協力を求めつつ、限られた兵力で拠点より地域全体を面で抑止しようとしている。
米国が有効な抑止機能を発揮できるかどうかは同盟国・友好国の協力次第である。特に、米中間のオフショア・バランス(海洋における勢力均衡)がアジア安定のカギになる。その中で日本の果たすべき役割は決定的だ。日本が外洋に出ようとする中国の出口を占める戦略的位置にあるからであり、今ほど日本が確固とした対中戦略や海洋戦略を構築すべき時はない。
中国が第一列島線から外洋に出る要路に日本の南西諸島が横たわる。この南西諸島を防衛することは、このラインで中国の外洋進出を食い止めるためにも、沖縄や尖閣諸島を守るために不可欠である。普天間の代替基地は結局、沖縄県民を守るためである。
米海兵隊が沖縄より南方地域に下がればアジア太平洋全域の抑止には役立つが沖縄にとっての抑止機能は低下する。沖縄が使いにくくなると米国は海兵隊の兵力分散に動く。それは沖縄にとって危険である。
南西諸島の防衛強化には追加的に兵力を配備するだけでなく、日米間で基地・施設の共同使用を拡大するとともに、日米共同運用態勢を強化すべきだ。領域外で武力行使に当たる活動を行って日米同盟協力を強化するためには周辺事態法の改正は不可欠といえる。
防衛費を増額して情報機能、防空、対潜戦、ミサイル防衛、着上陸の能力向上を行い、米軍の機能を補完することも必要であり、尖閣諸島の実効支配を強化するための法的措置や海上保安庁の能力向上も優先される。
こうした政治課題に優先度をつけて確実に実行していくことが国民の信頼を確保し、国家と国民の安全を維持する手段である。(寄稿)
さきほどNHKニュースウォッチ9で、森本氏の記者会見を放映した。それは首相の指示を受けたとして、日米同盟深化・動的防衛の実行・普天間の解決など、お決まりの言葉=キィーワードを垂れ流したものだった。しかし、政治記者は、官僚の文書を読むのではなく、いわゆるキィーワードを何も見ずに語って抱負を述べていた森本氏を「手堅い」と褒めていた。問題だ。それらのキィーワードの内容と問題点をいっさい語らず、お褒めの言葉を垂れ流したからだ。NHKが、日米同盟深化推進派であることを証明した報道だった。
ものさしのメモリ削りて危機煽る立ち居定めて情を込めて