愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

原発再稼動クーデターを正当化するイデオロギーはデマゴギーが中心だ!血税の良好な使い道をこそ!

2012-06-09 | 日記
大飯原発再稼動を突破口に、何とかして原発停止状態を脱したいと考えていた勢力の意図(巻き返し)=イデオロギーが鮮明になった野田演説だった。

そのためにメディアを通して節電戦術が仕組まれて、連日国民を襲って、野田演説のイデオロギーの地ならしをしてきたというのが、愛国者の邪論の考えだ。

7月の電力不足を逆算して、「原発再稼動が必要であると国民に向かって直接訴えていただきたい」と迫った福井県知事の要望への回答という形を取りながら野田演説が行われたこと。

だが、こうした経過のなかでメジャーとなっていないことがある。それは今井敬氏(一般社団法人 日本原子力産業協会会長)と、その甥の資源エネルギー庁次官の今井 尚哉氏(元安倍晋三内閣総理大臣秘書官)の動きだ。今井尚哉氏については、滋賀県知事を「脅し」ていたことが知事の言葉によって暴露されている(日刊ゲンダイ)し、橋下市長と密会していたことも報道されている(赤旗)。

ところで今井敬氏については、「第45回原産年次大会 原産協会会長所信表明」(2012-04-24)をみると、野田演説とよく似ていることが判る。これこそが、再稼動クーデターイデオロギーの典型、発信源と言える。以下、主な部分を掲載しておこう。


国内の原子力発電所に目を転じますと、現在、ほとんどの発電所が定期検査を終え、再稼働ができないまま停止しております。
 わが国の原子力発電所54基の内で稼働しておりますのは、北海道電力の泊発電所3号機のみで、この3号機も、5月5日に定期検査のため停止すると、運転中の原子力発電所はゼロになります。
 この影響で、各電力会社は、原子力発電所で発電できない供給力のほとんどを、火力発電で賄うことになり、わが国の火力発電への依存度は、約90%にもなろうとしております。
 世界的な化石燃料の需要増や、中東の政治情勢の悪化による燃料費の高騰とも相俟って、電力会社の燃料費負担が急増し、財務状況を急激に悪化させております。この状態が続けば、燃料費負担増は、今年一年間で3兆円以上との試算も出されています。
 このような発電用燃料の輸入増加は、貿易収支の赤字の主要因ともなり、わが国の国力、国益にも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
 また、今年の夏が2010年のような猛暑になった場合、夏季需要のピーク時には、全国平均で約10%の電力供給力不足になるとの国の試算があり、予断を許さない状況にあります。
 電力の安定供給に不安があると、国内企業は海外への移転を考え、国内産業が空洞化し、雇用が失われ、その結果、国民経済の悪化も懸念されます。
 この事態を回避するには、節電努力を呼びかけるだけでは不十分であることは明らかであり、原子力発電所の再稼働の必要性は、昨年の夏に比べても、いっそう高まっています。もちろん、再稼働の前には安全の確認が必要です。
 原子力安全・保安院は、福島事故の技術的知見から得られた、30項目の対策を示しています。
 政府はこれに呼応して、再稼働の判断基準として、第一に「全電源を喪失しても事態の悪化を防ぐ安全対策の実施」、第二に「福島事故並みに想定値を超えた地震・津波に襲われても燃料損傷に至らないことの確認」、第三に「事業者による更なる安全向上策の期限付き実施計画、新規制への迅速な対応、自主的な安全確保の姿勢」をあげております。
 このうち、第一と第二の基準については、既に電力各社において実施されており、その有効性については、ストレステストによって、定量的に評価されて、規制当局の確認も得られています。
 一方、第三の基準にある更なる安全向上策については、格納容器フィルターベントの設置など、対策に一定の時間を要するものであり、事業者は、今後、できるだけ短期間に実現することを前提に、工程表を作成し、着実に実施していくこととしています。
 このように、国は、当面の電力供給不足、ひいては経済の混乱を回避するために、現在できうる限りの安全性を確保した上で、原子力発電所の再稼働に向けて、対応していく考えです。
 今後、国には、原子力発電所を再稼働する必要性を社会に丁寧に説明し、周辺地域をはじめとする国民の皆様の理解を得て、速やかに、再稼働に向けたご判断をお願いしたいと思います。
 福島第一原子力発電所の事故原因は、直接的には、津波によりますが、自然災害に対するリスク認識の甘さが、これほどの大事故につながったとの指摘があります。
 わが国の原子力事業者も規制当局も、自己満足に陥り、原子力発電所の安全管理に関し、世界の優れた知見を、積極的に導入する意欲に欠けていた点は、大いに反省すべきであります。
 政府、国会をはじめ、様々な場で事故の検証が行われていますが、原子力産業界としても独自に分析・検討を実施しております。
 電力各社は、「安全確保の一義的責任は事業者にあり」との認識のもと、それぞれの原子力発電所において、既に安全対策を強化し、自発的かつ継続的に、安全性向上に取り組むこととして、福島事故の技術的知見を踏まえて、中長期的対策に取組んでいるところであります。
 さらに、安全確保への取り組みを、継続的に推進するための仕組みとして、本年中に新たな組織を設立し、国内外の優良事例や最新知見を反映していくなど、世界最高水準の安全性を目指し、国民の皆様からの信頼回復に、努めていくこととしております。
 その一方で、国においては、事故の教訓をもとに、原子力安全規制行政の信頼性確保と機能向上をめざし、独立性を高めた新たな規制体制の検討が、進められています。
 安全規制の有効性を高めるためには、国際原子力機関(IAEA)の安全原則などのグローバルスタンダードへの適合や、リスク情報に基づく科学的・合理的な判断の追求など、規制の質の転換も同時に図らなければなりません。
 国の新組織である原子力規制庁が、国会の審議の遅れでいまだ発足できず、現在に到っていることは、誠に残念であり、設置に関し、早急な対応を国に強く要望いたします。
 現在、エネルギー政策見直しの議論が進められています。この夏にも、地球環境対策と整合した「エネルギー基本計画」と「原子力政策大綱」が決定されることになっており、近々エネルギーミックスについての様々な選択肢が示され、国民的議論が開始されようとしています。
 エネルギーは、国民生活や産業・経済活動の基盤をなし、正に国の根幹を左右するものです。
 従って、エネルギー政策の決定にあたりましては、政策決定過程の透明性を確保したうえで、安全性はもとより、安定供給や、低炭素性、経済性に加え、安全保障、貿易収支の改善、雇用の創出等に関し、長期的かつ国際的な視点に立ち、データに基づき、冷静に分析・評価する必要があります。
 私は、わが国が科学技術に根ざした貿易立国として、将来にわたって持続的に発展していくためには、エネルギーセキュリティ・環境適合性・経済性のいわゆる「3E」の観点から、原子力発電は引き続き一定の役割を担っていく重要なエネルギー源であり続ける、と信じております。
 そのためには、事故の教訓を活かした安全性の向上を最優先に、透明性を一層向上させて、失った信頼を回復していくことが、大前提となります。
http://www.jaif.or.jp/ja/annual/45th/45th-chairman_opening-address.html

野田演説は、今井敬一般社団法人 日本原子力産業協会会長の意を受けて行われたということになる。ところで、この一般社団法人 日本原子力産業協会こそ、原発ムラ=原発利益共同体を構成している有力な企業や組織、団体が参加していることを見逃してはいけないだろう。[JAIF] 会員名簿(平成24年5月17日現在)は以下のとおりだ。
http://www.jaif.or.jp/ja/organization/kyokai/member_list.html

このイデオロギーこそ、彼らの利益を保障するための装置なのだ。しかも国民の血税と電力料金によって、彼らに賄われているのだ。このことを先ず確認しておくことが大事だ。

こうした事実を取り繕うために持ち出されてきたのが、「国民の生活を守る」という「大義名分」である。だがこれは日本列島の電力独占を保障する体制を構築することで、「国民の生活」は「守られ」てきたことを想起する必要があるだろう。この分野における「電力の自由化」は枠外においてはじめて成り立っていたことも。

この構造の本質は、協会に参加する福井県知事と福井新聞が語っている。以下福井新聞社説と記事を掲載しておこう。

大飯原発再稼働問題 安全確認の姿勢貫くべき 【福井新聞論説】(2012年5月31日午前8時53分)http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/34972.html
 夏場を前に、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題が大きく動きだした。細野豪志原発事故担当相は安全強化へ、原子力規制庁発足まで暫定的に経済産業副大臣ら政務三役を現地に常駐させる考えを表明。関西広域連合は条件付きで再稼働を事実上容認した。
 本県が強く求めてきた「特別な安全監視体制」と電力消費地関西の理解の2点で前進。こうした流れに沿って、野田佳彦首相は3閣僚との会合で「立地自治体の判断が得られれば最終的には私の責任で判断したい」との考えを明確にした。関西の難関を越え、動きが一気に加速。政府は近く新たな対策を県側に提案、了承を得て来月上旬にも最終決断したい意向である。
 曲折を経てきた再稼働問題がここにきて急転したのは、夏場の電力需給が逼迫(ひっぱく)しているからだ。関電管内の節電要請期間は7月2日から始まる。2基の再稼働には6週間を要し、タイムリミットが迫る。前のめりとなる国の焦りがありありである。
 東京電力福島第1原発事故以来、本県が繰り返し国や電力側に安全対策を求めてきた。これで整ったといえるかだ。
 政府は事故対応に問題のあった経産省原子力安全・保安院や原子力安全委員会に代わり、4月1日には原子力規制庁を発足させる考えだった。大幅に遅れ29日にようやく設置関連法案が衆院で審議入りしたばかり。政府は審議入りをもって、規制強化を前面に打ち出し、再稼働の安全根拠とする考えだろうが、いかにも形式的で、スケジュールありきではないのか。
 これまでの慎重、反対姿勢を一転させた関西広域連合の宣言も、寄り合い所帯による「妥協の産物」であろう。大阪維新の会をリードする橋下徹大阪市長や松井一郎府知事は脱原発を唱え、再稼働に反対してきた。会合でも「政府の安全基準が万全でない」「規制庁の発足を待たずに再稼働するのか」と政府対応を批判した。
 一方で、電力不足による市民生活や経済の混乱を憂慮する他県の知事からは「止めるのが目的ではない」との本音も交錯。条件付きで政府に最終判断を委ねる宣言文を編み出した。地元対策に財政措置を求める「ごね得」も垣間見えた。宣言文で「関西の現在の発展はこうした(福井県の)取り組みがなければあり得なかった」と評価したが、どこまで立地県のリスクと苦悩を共有しているだろうか。
 本県はまだ安全確認の途上にある。県の原子力安全専門委員会は正式結論を示していない。おおい町長の判断や県議会の議論もこれからだ。最終結論を出す西川知事は「立地の立場からなすべきことをしっかり行っていく」として、安全監視体制を十分確認する姿勢を示した。
 原発の再稼働を夏場限定で容認するというなら、安全性確保の観点で論理矛盾している。場当たり的な対応や言動が目立つ閣僚とご都合主義の関西圏。首相の「覚悟」も福井にしっかり向き合って表明するのが筋であろう。県はあくまで県民の安全第一の観点で議論を尽くし、慎重に判断を下すべきである。

≫あなたのブログに福井のニュース
国の再稼働要請に福島被災者は憤り 「原発事故もはや別の国の話か」 (2012年4月14日午後7時19分)http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/34163.html
 「結論ありき」「福島第1原発事故は別の国のことなのか」―。政府が関西電力大飯原発3、4号機の安全性を確認し、枝野幸男経済産業相が福井県に再稼働への協力を要請したことに対し、福島県から避難し県内で生活している被災者から批判の声が上がった。
 「なぜ原発を動かすことにこだわるのか。政府を動かす“大きな力”が働いているのでは」。3分の1が警戒区域となっている南相馬市から大野市に避難している長谷川弘さん(39)は、怒りをあらわにした。「政府にとって福島県で起きた事故は、もはや別の国の出来事になってしまったのか」と憤る。
 失敗したものの北朝鮮のミサイル発射実験にも触れ、「大飯原発はテロの標的にもなりやすいのでは。大野市は大飯原発と相当離れているが、原発が稼働すると不安になる」と続けた。
 同じ南相馬市から坂井市に避難している田中徳雲さん(37)は事故後、放射能被害に苦しむ古里の惨状に心を痛め、原発の危険性を訴え続けた。思いは届かず、安全を確認したとする政府の決定に「何も話すことはない」と一言。半ばあきらめの様子だった。
 双葉町の自宅が福島第1原発から約3キロにあり、現在坂井市に避難している川崎葉子さん(61)。東京電力への集団賠償請求などを目的に立ち上げた県内の被災者グループ「FFF(ふふふ)の会」代表の立場から「最初に結論ありきでは」と、再稼働へ歩を進める政府の姿勢に疑問を呈した。
 「福島第1原発が津波の影響を受けたように、自然は人間の英知を超えた災害を引き起こす」と“想定外”への不安をぬぐえないでいる。大飯原発周辺を実際に見た経験を踏まえ「原発のある半島の地形は険しく、周辺住民の避難路はほぼ橋一本。万一の際は大丈夫なのか」と話した。
 一方、事故前まで経営していた塾の受講生の親には、原発関係の仕事に従事する人が少なくなかったことも踏まえ、「原発立地地域では原発の仕事で生計を立てている人も多いから…」と複雑な表情を見せていた。(重森昭博)
(引用これまで)


どうだろうか。原発と基地の設置されている住民と社会が同じ構造にあることが良く判るのではないだろうか。まさにあの「不平等」論、「差別」論が見えてくるのだ。国民分断で、甘い汁を吸っている吸血鬼のようなものが見えてこないだろうか?

こうした構造に追い込んできたのは、どのような勢力と構造だったのか、このような構造に依拠して今回のクーデターが断行されようとしているのだ。

安保も基地も、原発も、わが国の産業の発展も、「国民の安全と生活を守る」という「大義名分」を元にしている。だが、その「大義名分」は本当に国民の安全と生活を守ってきたか、事実は明らかだ。多くの血税を使ったことで「安全と生活」はどうなったか、ここがポイントだろう。

多額の軍事費と原発マネー(税金と電力料金)に巣くう輩を太らせてきたものを国民的に暴くことこそ、今必要なことのような気がする。血税と電力料金が、本来国民の安全と生活のために使われていたら、どうなるか、想像力を働かせていく必要があるだろう。


血税を分断でなく連帯のために使ひて民に豊かを
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