そうして国民の中に嫌気を感じさせ、分裂させようとしているのだ。これもマスコミが醸成してきたムードであるのだけれど、一方にある「いい加減にしろ、早く決めろ」という声を、最大限に利用して、口実にして悪政推進にアクセルを踏ませようとしている。
実に上手い手口だ。小沢派に「脅し」を掛けている。造反は50人から60人程度だと疑心暗鬼に陥らせようと風評をつかっている。これは党首選挙の時にもあった。あの時小沢氏は容疑者だった。今、この手口は使えないので、小沢氏のスキャンダルを探し出してきてキャンペーンをはっている。実に上手い手口だ。
ところで、現局面の本質的側面は何か、それは「消費大増税採決に反対する超党派国民集会」に国会議員152人含む1,000人が参加した事実にみるように、国民VS増税勢力=財界派のたたかいだ。こうした構図が国民的話題・関心になることを、何としても避けるためにスリカエ論法が使われているのだ。その集会で上げられた決議文をみれば、何が問題か、判る。
決議文
野田政権は、迫った会期末までに消費税大増税法案の採決を急ごうとしている。
これは「いまこの国会で採決をする必要はない」という国民多数の世論に背く事であり、今、何よりも先に政治が全力を挙げて取り組むべきことは、東日本大震災からの復旧・復興、福島第一原発事故の収束・避難者の帰還であり、国会がこれらに全力で取り組むことである。
やるべきことをやらずして、このデフレ・不況の時に十分な議論もないままの消費税大増税の採決には反対する。
与野党協議という議事録もない密室での「内向き、下向き、後ろ向き」な議論ではなく、私達は国民に開かれた希望の持てる議論をしなければならない。
社会保障制度、消費税大増税という国民生活の根幹にかかわる問題を、民自公三党の一部の関係者による協議で結論を得るのではなく、すべての政党、国民のあらゆる層の意見を聞きながら慎重に進めることが大事である。
国民生活産業・消費者団体連合会、中小企業団体をはじめ全国から出席した諸団体と超党派の国会議員有志の意志としてここに表明するものである
2012年6月14日 この時期の消費税大増税採決に反対する超党派国民集会 一同
「毎日」は、上記の集会を掲載しておきながら、「民自公修正合意 『決める政治』を評価する」という「社説」のなかで「歴史に恥じぬ合意として率直に評価したい」「野田佳彦首相は党内のかたくなな反対勢力と決別し、ひるまず衆院での採決にのぞむべきだ。より広範な国民理解を実現するため、参院での審議などを通じ与野党は制度設計の議論を続けねばならない」と集会で上げられた「決議」と全く逆の、最大の賛美を与えている。ここで言われている「与野党」とは小沢派抜きの「民自公」のことだろう。
消費増税:反対集会に小沢元代表ら117人毎日新聞 2012年06月14日 20時44分(最終更新 06月14日 22時54分)http://mainichi.jp/select/news/20120615k0000m010055000c.html
「消費大増税採決に反対する超党派国民集会」でこぶしを突き上げる鳩山由紀夫元首相(奥左から3人目)ら=東京都千代田区の憲政記念館で2012年6月14日、矢頭智剛撮影
消費増税に反対する超党派の国会議員が14日、東京都内の憲政記念館で集会を開き、民主党の小沢一郎元代表、鳩山由紀夫元首相ら与野党の国会議員117人が出席した。民主、自民、公明3党の税と社会保障の一体改革関連法案の修正協議を「密室談合」と批判、消費増税法案の採決に反対する決議文を採択した。 集会には、民主党のほか共産、社民、みんなの各党などが参加。鳩山氏は「国民に訴えて政権交代したことが棚上げにされ、増税だけが行われるのは主客転倒だ」と訴えた。 共産党の志位和夫委員長、社民党の福島瑞穂党首、みんなの党の渡辺喜美代表らもあいさつに立ち「民意、公約に背いている」などと政府を批判した。【新垣和也】
さて全国紙は、この民自公の「合意」をどのように社説で意味づけたか、以下一覧してみた。まさに「大政翼賛政治礼賛・大本営発表の如くとは、これ如何に」だ。
最大のポイントは、民主党の政権交代時に掲げた公約を投げ捨てることを要求している。あの政権交代時に政権公約を煽ったのは、誰だったか、そうして国民の期待感を煽ってきたのは、誰だったか、思い出してみろ、と言いたい!民主党に期待した有権者の民主党離れは凄まじいものがある。まさに愛憎感だ。だからこそ、小沢氏の行動があるのだ。
「朝日」は、菅首相が掲げた増税で「選挙に敗れはしたが、一体改革の路線は野田首相に引き継がれた」などと、一体改革は棚上げされたことを無視して矛盾したことを平気で言っているのだから、呆れる。まさに「朝日」の特異な立場が浮き彫りになったと言える。
「毎日」も「各種世論調査で消費増税への理解がなお浸透していない事実を軽視してはならない」と言いながら、「小沢元代表を軸とする内紛は負の要因以外の何物でもない」「理解しがたいのは政府・与党が大綱で決めたはずの方針に公然と反旗を翻し、反対運動を展開している小沢一郎民主党元代表らの動きだ」として「党分裂おそれず採決を」と迫っているのだから、これも矛盾だらけだ。呆れる!
こうしたマスコミの手法・手口を見抜き、本当の対決点を国民的合意にしていく方法・内容を訓練しておく必要があるだろう。
マスゴミの民の暮らしを切り捨てて民の怒りにうそをまきたり
朝日 小沢元代表―矛盾だらけの増税反対
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2
消費増税関連法案をめぐり、民主党の小沢一郎元代表が野田政権への批判を強めている。
消費税の引き上げは「国民に対する冒涜(ぼうとく)、背信行為だ」と厳しく批判し、会期末の21日に予定される衆院採決で反対票を投じることを明言している。
それが信念だというなら、仕方がない。 だが、過去の自身の言動や党内論議の経緯からみて、その言い分は矛盾だらけで説得力を欠くといわざるをえない。 たとえば以下の疑問に、どう答えるのか。
第一に、社会保障と税の一体改革路線は党内の論戦を何度もくぐって決着した、れっきとした党の決定であることだ。 政権交代を果たした09年の総選挙で、民主党は「消費増税はしない」と国民に約束した。それは小沢氏の言う通りだ。 しかし、自身も立候補した翌10年の党代表選を、よもや忘れたわけではあるまい。 小沢氏は「消費増税はムダを省いた後」と主張したが、「消費税を含む税制改革と社会保障改革にセットで取り組む」と訴えた菅首相に敗れた。 菅首相は参院選でも消費増税を訴えた。選挙には敗れたが、一体改革の路線は野田首相に引き継がれた。 党内で主張をぶつけ合うのは当然だが、議論を尽くした結論に小沢氏が他の議員を率いて反対するなら党を出るのが筋だ。
第二に、「増税の前にやるべきことがある」と小沢氏はいう。では、「やるべき」政策とは何なのかを具体的に語らないのはどうしてなのか。 09年総選挙の政権公約の最大の柱は「予算の組み替えなどで16.8兆円の新規財源を生み出す」というものだった。 政権交代から約3年、この公約の破綻(はたん)は明らかだ。だからこその一体改革ではないのか。 政権交代前、「政権さえとれば財源はなんぼでも出てくる」と、党代表として公約づくりを引っ張ったのは小沢氏だった。
第三に、小沢氏自身、過去に何度も消費増税の必要性を唱えてきたのはどうなったのか。
一例をあげれば、細川政権の94年、小沢氏の主導で突然、発表された7%の「国民福祉税」構想がある。 この時は、連立与党内の論議はまったく経ておらず、国民はもちろん与党の幹部たちも「寝耳に水」だった。あれは間違いだったということか。
小沢氏に同調しようと考える議員たちは、いま一度、こうした経緯を冷静に振り返ってはどうだろう。
毎日 民自公修正合意 「決める政治」を評価する 2012年06月16日 02時30分http://mainichi.jp/opinion/news/20120616k0000m070092000c.html
2大政党の党首が主導し、政治は崖っぷちで踏みとどまった。税と社会保障の一体改革関連法案の修正協議で民主、自民、公明3党が合意した。焦点の社会保障分野は民主党が公約した最低保障年金制度創設などの棚上げで歩み寄った。 民主党政権の発足以来、初めてとすら言える「決める政治」の一歩であり、歴史に恥じぬ合意として率直に評価したい。だが、民主党内の対立は分裂含みで激しさを増しており、今国会成立というゴールまではなお、不安要因を抱えている。 野田佳彦首相は党内のかたくなな反対勢力と決別し、ひるまず衆院での採決にのぞむべきだ。より広範な国民理解を実現するため、参院での審議などを通じ与野党は制度設計の議論を続けねばならない。
党分裂おそれず採決を
民主党にとって譲歩に譲歩を重ねてようやくつかんだ、満身創痍(そうい)の合意である。とはいえ、首相が政治生命を懸けた消費増税で主要3党の共通基盤を築いた意味には極めて重いものがある。 民主、自民両党とも複雑な内部事情を抱えつつ合意にたどりついたのは、日本が抱える財政危機の深刻さの裏返しだ。国と地方の債務残高が1000兆円規模に達する中で、増加する社会保障費への対応を迫られるという異常な状態だ。「決められない政治」からの脱却を目指し、混乱を回避することで既存政党が最低限の責任を果たしたといえよう。一方で、多くの課題を先送りしての決着であることも事実だ。さきの衆院選公約で民主党が掲げた最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止は財政の状況や見通しを踏まえて有識者会議で議論し結論を得るとされ、棚上げされた。新たな年金制度の実施に必要な財源や、現行医療制度を廃止した後の枠組みで民主党は説得力あるプランを示せなかった。大幅譲歩はやむを得まい。 自民党は年金、医療で現行制度を基本とする「社会保障制度改革基本法案」の受け入れを求め、民主党に公約撤回を迫った。決裂も一時は危ぶまれたが、谷垣禎一自民党総裁は対案の修正で矛を収めた。
野田内閣の足元をみて民主党をカサにかかって攻め立てただけに、自民党内にも不満が残る決着の仕方かもしれない。だが、年金、医療制度の不信や今日の危機的な財政状況を招いた責任の多くは自民党にあることを忘れてはならない。民主党の分裂や揺さぶりに血道をあげるばかりでは、逆に国民の反発を生んだに違いない。 課題を残したのは、消費税率を2段階で10%まで引き上げる税制改革の制度設計も同様である。低所得者対策として、臨時に現金を出す簡素な給付措置では合意した。最も効果的な対策である軽減税率の導入は検討対象とされたが、実質的な結論は先送りされた。各種世論調査で消費増税への理解がなお浸透していない事実を軽視してはならない。公明党は今回の協議で8%からの軽減税率の導入を主張した。参院の法案審議などの場面を通じ、国民理解をより広げるためにも議論の継続を求めたい。 当面の焦点となるのは、民主党の党内手続きである。3党が賛成すれば衆院通過は動かぬ情勢とはいえ、首相が衆院採決に向け、どれだけ多数を掌握できるかが問われる。
より理解を得る税制に
修正協議で大幅譲歩を強いられた反発が「中間派」と呼ばれる勢力にも渦巻いている。看板政策の棚上げに不満が出ることはむしろ自然だ。なぜ、この合意に至ったかを首相や執行部が説明し、協力を求めるしかあるまい。 一方で、理解しがたいのは政府・与党が大綱で決めたはずの方針に公然と反旗を翻し、反対運動を展開している小沢一郎民主党元代表らの動きだ。修正協議での大幅譲歩を念頭に「自殺行為」「国民に対するぼうとく、背信行為」と批判するが、本質はあくなき権力闘争である。 東日本大震災で被災地の復旧を迫られるさなかに民主党内の亀裂をさらした昨年6月の内閣不信任決議騒動と同様、小沢元代表を軸とする内紛は負の要因以外の何物でもない。もはや、同じ政党に水と油の勢力が居続けることは限界を来している。 首相が会期末となる21日までに採決に踏みきることは当然だ。加えて、造反議員に対しては除名を含め断固たる処分でのぞむべきだ。首相は近く谷垣総裁との党首会談を行うとみられる。衆院での法案採決はもちろん、自民党が要求する早期の衆院解散と一体改革法案の処理をどう絡め、法案成立に必要な会期延長の幅をどうするかなどはなお、見通せていない。 衆院議員の任期満了まで1年余となり、総選挙は次第に迫っている。社会保障の将来像は新設される会議に委ねられた。だが各党が責任ある案を練り、合意の前に国民の審判を仰ぐのもひとつの方法だろう。 その意味でも、違憲状態が放置されている衆院「1票の格差」を是正する最低限の措置を与野党は一日も早く講じる責任がある。せっかく歩み始めた「決める政治」を壊してはならない。
読売 一体改革法案 民自公合意を採決につなげよ(6月19日付)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120618-OYT1T01411.htm
民主、自民、公明3党が合意した社会保障・税一体改革関連法案の修正案を巡り、民主党内の了承手続きが始まった。衆院採決に向け、意見集約を急ぎたい。 修正案は、社会保障と税制に関して専門知識を有する実務者らがひざ詰めの議論でまとめた。 地に足のついた現実的な内容である。民主党執行部は、増税反対派をきちんと説得し、関連法案採決時の造反を最小限に抑え込む必要があろう。 子育て支援策は、政府・民主党が待機児童解消策の目玉として掲げていた「総合こども園」の創設を取り下げ、自公政権でスタートした現行の「認定こども園」を拡充する形でまとまった。 総額で年間1兆円を投じる子育て支援策を前に進めていくためには妥当な判断と言える。大事なのは、高齢者向けに偏っている社会保障財源を全世代型にバランス良く配分し直すことだ。その認識を3党が共有した意義は大きい。 現行の年金制度の手直しでは、民主党と公明党が、所得の低い受給者に対する年金加算を主張し、自民党は生活保護で対応すべきだとして対立していた。
この点は、年金加入実績に連動させる「福祉的な給付金」という名目で、低所得者に現金を支給することで折り合った。給付規模は政府案の年金加算で見込む約6000億円の範囲内にとどめる。 年金加算と生活保護の中間的な妥協策ではあるが、困窮した高齢者への新たな支援手法として、一定の期待が持てる。 このほかに、被用者年金の一元化、最低加入期間の短縮など、自公政権からの懸案だった現行制度の改善が、相当実現する。
一方、税制分野では、消費税率引き上げで影響の大きい低所得者への対策として、食料品などの税率を抑える「軽減税率」の導入検討を明記した点は評価できる。 軽減税率は、分かりやすく効果的な低所得者対策だ。税率を8%とする、最初の引き上げ段階から導入することも視野に入れ、議論を深めてもらいたい。 ただ、軽減税率などの導入に先立って低所得者に現金を支給する方向で、3党が一致したことは疑問だ。ばらまきは禁物である。 基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げたことに伴う“つなぎ財源”を「交付国債」で賄うとの政府方針は撤回された。交付国債は赤字国債ではない、などと、厳しい財政状況を糊塗(こと)する手法は通用しない。撤回は当然だ。(2012年6月19日01時28分 読売新聞)
産経「主張」 民主党と消費税 「造反」許さぬ姿勢みせよ 2012.6.19 03:25 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120619/stt12061903250001-n1.htm
民主、自民、公明3党が消費税増税関連法案の修正合意をまとめたのに対し、民主党内で法案採決の先送りという無責任な考え方が出ている。 会期末の21日までの衆院採決は野田佳彦首相が重ねて明言してきたもので、3党合意の前提にもなっていた。ところが、民主党の増税反対派議員らは、18日に開いた党内の了承手続きの会合などで修正合意を批判し、採決すれば造反も辞さない構えを強めている。 輿石東幹事長が会期内の採決を明言していないことも情勢を不透明にしている。党の分裂回避のため、採決を延期しようという考えも見え隠れしている。 採決引き延ばしで3党合意を瓦解(がかい)させることは許されない。「不退転の決意」で臨む首相は、造反者は除名処分とする姿勢を鮮明にしたうえで、粛々と法案を採決すべきだ。 小沢一郎元代表ら反対派は「増税の前にやるべきことがある」と主張し、政権交代当時の「国民生活が第一」というスローガンを今も唱えている。 18日の党会合では、年金改革案の柱である最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止をめぐる議論を「社会保障制度改革国民会議」に棚上げしたことに対し、「修正合意は自民党案の丸のみだ」などと批判が相次いだ。 根底にあるのは、民主党マニフェスト(政権公約)を変えたくないとの考え方だ。しかし、そのマニフェストはムダ削減などで16・8兆円の財源を生み出せるとし、ばらまき政策を並べたあげく、必要な財源を捻出できなかった。それについての十分な反省や説明もないまま、莫大(ばくだい)な費用を要する最低保障年金など、実現困難な政策を引き続き掲げようというのは有権者を愚弄していないか。ばらまき政策を撤回して国民に謝罪することこそ必要だ。 輿石幹事長は18日、首相も出席する両院議員懇談会を20日に開く考えを示した。丁寧に党内論議を行う姿勢を強調したものだが、これで21日までの衆院採決に間に合うのか。 首相は「幹事長や執行部に全幅の信頼を置いている」と語った。しかし、「足元がしっかりしていないと合意は実行できない」などとして執行部が採決より党内融和を優先させる対応をとるなら、任せたままにはしておけまい。