愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

増税か増税なしか、再稼動か脱原発か、鎬を削り激しい鍔競り合いが!だが、立ち居で見えるものは

2012-06-12 | 日記
何が何でも再稼動をしたい、国会でも共産党の笠井議員の追及の途中、特別委員会の委員長自身が政府答弁の矛盾を指摘するほど、再稼動に「理」がないのに、だ。以下の再稼動を求める米倉経団連会長の発言が良い事例だ。

昨日の記事でも紹介したが、「産経」と同じように、「読売」も活断層の危険性を指摘する記事を書いている。だが原発の危険性より「経済活動、事業(の実態)」を優先させてしまう思考回路、これを支持する国民に依拠して再稼動派が突っ走っているのだ。そこを解明していく必要がある。

大飯原発の再稼働表明を歓迎…経団連・米倉会長(2012年6月11日19時49分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20120611-OYT1T00844.htm
 経団連の米倉弘昌会長は11日の定例記者会見で、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働の必要性を野田首相が表明したことについて、「政治判断を非常に高く評価している」と歓迎した。 橋下徹大阪市長らが求めている今夏に限定した再稼働に対しては、「経済活動、事業(の実態)を全然ご存じない発言だ」と批判した。

大飯原発敷地内 破砕帯は活断層か(2012年6月8日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20120607-OYT8T01383.htm
大飯原発の(右から)1号機、2号機、3号機、4号機(おおい町大島で)=本社ヘリから
 政府が再稼働を目指す関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)で、敷地内を通る「破砕帯」と呼ばれる断層について「活断層の可能性が否定できない」との調査結果を渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)と鈴木康弘・名古屋大教授(同)がまとめた。関電や国はこの破砕帯について「活動性はない」と結論づけているが、大飯3、4号機の安全性を独自で検証している「県原子力安全専門委員会」で今後の検討課題の一つになる可能性もある。(藤戸健志、久米浩之)
 破砕帯は断層運動などで砕かれた岩石が帯状に延びたもの。渡辺教授らが指摘する破砕帯は、2号機と3号機の間の地下を南北に通る「F―6破砕帯」(長さ約900メートル)。同破砕帯について関電は1985年に国に同3、4号機の設置許可申請を提出する際に、断層面を掘り出す「トレンチ調査」を実施。坑内南側で破砕帯を覆う地層に変位がないことから「12~13万年前以降に動いた活断層ではない」と判断し、経済産業省原子力安全・保安院も2010年の耐震安全性再評価で関電の評価結果を改めて「妥当」と評価している。 一方、市民団体の依頼で資料を分析した渡辺教授は「トレンチ調査の断面図を見ると同じ坑内の北側でF―6破砕帯を覆う地層が上下にずれているように見える。粘土が含まれていることも断層活動があった可能性を示す」として「活断層である可能性が否定できない」と指摘している。 渡辺教授は取材に対して「大飯原発周辺にある海底活断層が動くと敷地内の破砕帯も連動して動く可能性がある。原子炉直下を通る破砕帯もあり、詳しく調査するべきだ」と話した。 関電は「3、4号機建設前の調査で破砕帯の存在は確認しているが、いずれも短い。最大のF―6破砕帯はトレンチ調査も行っているが耐震設計上考慮すべき活断層ではないことは確認済みだ」と述べた。 県原子力安全専門委員会の委員の1人は、読売新聞の取材に「再稼働の是非がこれだけ注目されている中で、一般が納得するような安全性判断をするためには、検討しなければならない問題だと思う」と話した。(引用これまで)

不思議なことには、こういう記事がありながら、以下のような「視察」が平然と行われ、その記事を無批判的に垂れ流す。それを国民が疑問を持つことなく鵜呑みにしてしまう。こういう情報操作のなかで、「世論」が形成され、野田演説が行われる。歴史の歯車が後に回ってしまう。そして被害者は国民になるのだ。

福井県が学ばなければならないのは、福島県の59自治体のうち46自治体で原発10基の廃炉を求めている意見書や決議があげられていることだ。これが良い事例ではないか?だが、それでも、なのだ。以下の記事だ。

福井知事、大飯原発を視察…安全対策の状況確認(2012年6月12日15時46分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120612-OYT1T00756.htm
 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を巡り、西川一誠・福井県知事は12日、同原発を視察した。必要な安全対策を確保しているとして県原子力安全専門委員会から提出された報告書に基づき、現場で安全対策の実施状況を確かめた。視察に先立ち、西川知事は「福島のような事故を起こさせない覚悟で安全性向上を求めてきた。現場の対策を見たい」と話し、案内役の豊松秀己・関電副社長は「全社一丸で安全・安心を最優先に今後も取り組む」と強調した。西川知事は福島第一原発事故を教訓に大津波対策として高台に分散配置した空冷式の非常用発電機や、緊急時に炉心冷却に使う水を入れたタンクなどをチェック。この日の視察で現況を確認した後、時岡忍・おおい町長と県議会の意向を踏まえ、14日にも野田首相に同意を伝える。(引用これまで)

福島ではどれだけの水が使われたのか、そんなことは抜きに、視察で「安全」を「確認」。「現場で安全対策の実施状況」も「確認」できてしまっているのだから不思議な眼力だ。こういうことを福島をはじめ、全国でやってきたのではないのか?

次の問題は、以下の記事だ。原発を国民が支持する最大のポイントは「原発が食わしてくれる」という「現実」と「意識」だ。だが、これについても、「原発は、まったく地域振興の役に立っていなかったのだ」と断ずる佐藤栄佐久『福島原発の真実』(平凡社新書)をみれば明瞭だ。

以下「産経」「読売」の記事を紹介しておこう。ここにある「幻想」、「薬」に冒されてしまった地域社会から「薬」の影響を打ち破ることができれば、政治は確実に前に進むだろう!

それは地域の自立だ。だが、容易なことではないだろう。自民党政権によってねじ曲げられてきた結果だからだ。「タブー」を打ち破るためには、それなりの荒療治が必要かもしれないし、どのようにして悪性ガンを治療するか、それこそ本気になって合意をつくっていかなければならないだろう。

昨日も書いたが、80年前の日本の農村地域の貧困と都市労働者の貧困の解決の方途が「満蒙」であると宣伝され、それを信じて満州事変と満州国に喝采し、満蒙開拓団に参加していった民衆の姿を、原発立地自治体、米軍基地設置自治体と重ねることができるのは愛国者の邪論だけだろうか。発想の大転換が必要だ。さもなければ、支配層の呪縛に囚われたまま、迷路にはまってしまう。

地元経済界が首相会見を評価 風評被害懸念も【原発再稼働】2012.6.9 19:40
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120609/biz12060919410009-n1.htm
 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)について、野田佳彦首相が「再稼働すべきだ」と表明したのを受け、10日には福井県原子力安全専門委員会が開かれるなど再稼働にむけた動きが進む中、地元・福井の経済界では安堵(あんど)の声が広がる一方、足元の経済対策を求める声も上がった。おおい町商工会の木村喜丈会長(64)は「40年間、京阪神へ電気を送り続けてきた自負があり、首相の感謝の言葉は本当に良かった」と評価した。人口約8千人の同町で、約6割が原発関連産業に従事しており、原発の停止で従業員30人未満の孫請け会社などが軒並み、廃業や休業を強いられてきた。木村会長は「仕事の目途がたち、これで通常の状態に戻ることができそうだ」と語った。 再稼働が迫り、地元経済に薄日が差す一方、手放しで喜べないとの声もある。原発は原則的に13カ月に1回の割合で定期検査が行われ、その度に数千人の雇用が生まれる。ただ、県内の原発全13基の定期検査はほぼ終了しており、大飯原発が再稼働しても「次の定検は1年以上先。当面の仕事がなければ熟練作業員らが離れ、原発の保守安全に影響しかねない」(地元建設業者)と不安を漏らす。また、同町に隣接する小浜市の飲食業の男性(46)は「再稼働で少しでも客足が戻れば」と期待しつつ、「消費地の首長が大きな声で反対しており、観光に影響しかねない」と風評被害を懸念する。地元県議は「経済状況が原発の安全性を左右するというのは全国の原発立地に共通する問題だ」と指摘、国や自治体に経済支援策を求めていくとしている。

【福井】原発「将来へ考えるとき」…県立大で環境会議若者編(2012年6月12日 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/surprise/20120612-OYT8T00278.htm?from=os2
 福井・嶺南地方や関西などの若者らがエネルギー問題などを語り合う「みんなのエネルギー・環境会議(MEEC)若狭若者編」が10日、福井県小浜市学園町の県立大小浜キャンパスであり、約200人が参加した。初めに10グループに分かれて自由に討論。あるグループでは、立地地域の若者が「友人や親戚が原子力関係の企業に勤めており、原発の将来を語るのはタブー」と話し、関西の学生が「都市部の大量消費のために原子力が動いているなら、生活のあり方を考え直す必要がある」と述べていた。続いて、音楽プロデューサーの小林武史さんや飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長ら5人の討論会が行われ、小林さんは「立地地域でも原発依存のままでいいのか疑問を持ち始めた人がいるはず。こうした思いを反原発の人たちと共有できたら」と期待。飯田さんは「原発マネーに頼るとまちづくりをあまり考えなくなってくる。自ら汗を流して考えることが活力になる」と語った。会場から、おおい町の男性が「3・11以降も住民の原発依存の意識は変わっていない」と発言。小林さんらは「生活がかかっているからだ。表面的に変わらなくても迷っている人はいるのでは」と推し量った。また、立地地域の若者から「エネルギー問題を議論するだけで反原発と見られてしまう。世代や立場を超えて原発問題について真剣に向き合う場が必要だ」などの声が出ていた。(引用ここまで)

以下の「世論」は、経団連イデオロギーが垂れ流されてきた「成果」と矛盾が浮き彫りになっていると思う。それは「政府が安全性を確認した他の原発を再稼働させる」などという誘導的設問に端的に示されている。だが、それでも、「拮抗」か「少数」なのだ。別の調査方法を作成する必要があるのかもしれない。そうすることで歴史が前に進むかもしれない。

大飯再稼働、賛成43%・反対47%…読売調査(2012年6月11日22時18分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120611-OYT1T00986.htm
 読売新聞社の全国世論調査で、福井県の関西電力大飯原子力発電所を近く再稼働させるとする政府の方針について、「賛成」43%と、「反対」47%が拮抗(きっこう)した。
 今夏に大幅な電力不足が見込まれている近畿では「賛成」49%、「反対」43%、関東は「賛成」47%、「反対」45%となり、他の地域では「反対」が多数だった。
 政府が安全性を確認した他の原発を再稼働させることについては、「賛成」38%が、「反対」52%を下回った。
 2030年時点で国内の電力に原子力発電が占める割合に関しては、政府が検討していた4案のうち、「ゼロにする」31%と「震災前の半分程度の15%にする」30%が並んだ。「数値目標を設けない」は21%、「震災前より少し減らして20~25%にする」は10%だった。(引用ここまで)


最後になる。それにしても、経団連派の世論誘導報道に対して、草の根情報が国民に浸透していることと、政府自身が信頼されていないことからくる不信感は相当なものだということが判る。だが、アラブの春のように決定的な展開に至らないのは何故か。それは国民的運動がまだまだ弱いからだろう。起こっていても、それを報せるメディアの側の意図的装置が働いているからだろう。国民は世論調査による「推移」に慣れきってしまったのではないだろうか?「署名を集めたぐらいで政治が変わるのか」との声が、そのことを示しているのではないか?


ギャラリーの民の立ち居をグランドに呼び出すならば歴史は前に
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