昨日の「朝日」に掲載された以下の投書は大変面白かった!そこで色々なことを考えたので、披露してみたい。
情けない自民党の「愛国心」 塾講師佐藤信夫(神奈川県伊勢原市 64)
民主、自民、公明の3党が消費増税法案の修正協議で合意した。私は、消費税の増税も若干はやむを得ないと思う。だが、情けないのは、この協議の中で富裕層の所得税や相続税の増税に自民党が待ったをかけた理由だ。富裕層は増税されれば海外に移住するだろうというのだ。
もちろん、そういう人もいるだろう。だが、所得増税と言っても、最高税率を40%から45%へ上げる程度の話だ。それで国の税収に影響するほど、富裕層が一斉に海外へ脱出をはかるとは思えない。そもそも安倍晋三元首相が提唱した「美しい国」をはじめ、自民党議員の話によく出てくる郷土愛とか愛国心とはその程度のものなのか。富める者でありながら、少しくらい多く税金を払っても社会に貢献しようという発想が無いのだろうか。だとしたらそれは自民党議員に「住みづらくなったら日本から逃げだせばいい」という発想があるからではないか。
一方、日本を脱出するすべなど持たぬ私たち庶民は毎日の生活に四苦八苦しながらも消費増税に耐えるしかない。自民党の主張に同調した民主党や公明党も含めて、こんな幼稚なやり取りで重要政策を決めた議員や政党に将来を託さな廿ればならないかと思うと、情けなくなる。
1.まず、竹中平蔵先生・大臣の「住民票操作」事件について想い出したので、紹介しておこう。
http://blog.goo.ne.jp/sinji_ss/e/60818aa09b1f61e24bfbce9e49cc69b4
「金持ちに対して税金を重くすると、金持ちが日本からいなくなってしまう」という累進課税否定論者の意見がありますが、累進税率を下げようが、税金が高かろうが安かろうが、日本に思い入れのないものは、日本に税金を納めずにすむ方法を考えついて実行するものです。竹中氏・・・国民に痛みを強いながら、自らはちゃっかりと税金逃れをしているのだから大した人物です。それにしてもやることがせこい。(引用ここまで)
この件について、まず言っておかなければならないことは、竹中先生の言っていることは、どうもウソっぽいということだ。こんなことを平気に言ってしまう人間に「改革には痛みが伴う」「備えあれば憂いなし」など、小泉構造改革を委ねたことは大きな汚点だった。どれだけの国民が被害を受けたか、検証してみる必要があるだろう。しかも、その後もマスコミに登場し、大学で講義をしているとなると、国民や大学生が可哀そうだ。というか、こういう人間に出番を与えている日本国は情けない。展望は暗い。
2.次は「富裕層は増税されれば海外に移住する」というウソとデマについて、だ。日本の企業が海外に出ていったのは、最近のことではない。
(1)80年代に入って以降海外進出が活発化したことは常識中の常識だ。直接投資は83年81億4500万ドル、84年102億5500万ドル、85年122億1700万ドル、86年には222億2000万ドル、証券投資は160億2400万ドル、307億9500万ドル、597億7300万ドル、1019億7900万ドルと、本来国民に向けて投資されなけえばならないカネが、海外、特にアメリカに流れていったのだ。その額は493億9500万ドルと言われている(川島陸夫「日本企業の対外進出-その歴史的推移」『経済』87年11月)。
これらのカネは、ほとんどは国内の労働者の労働によって作り出されたカネだ。これをアメリカと自らが招いた円高=ドル安対策と称して、海外に移転させたのだ。この時の政権は、今も暗躍している自民党中曽根政権だ。
(2)企業の海外進出の「理由」は、経産省の調査によれば、「現地の製品需要」が第一である。経団連や民主党、自民党などが言っている「法人税が高くなる」「原発が稼動しない」と「企業は海外に出ていってしまう」などというのは、消費税を通すための、原発を再稼動させるための詭弁、大ウソ、「脅し」だということが判る。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-04/2012040403_01_1.html
こういうウソを平気で言えるところに、この国の特殊性がある。事実を国民の共有するところにすることで、政治が大きく変わることは確実だ。ウソが暴かれて、恥ずべきことして政党が立ち行かなくなるという局面が必要だ。
3.「富裕層が出て行く」という大ウソは、富裕層への課税を何としても阻止しようという経団連や富裕層の思惑が透けてみえてくる。90年代までは国民の「中流意識」が繰り返し強調され、「実態のない意識」がもてはやされたものだが、今は「中流」という言葉は化石となった。
(1)富裕層の定義は、主な居住用不動産、収集品、消費財、および耐久消費財を除き、100万ドル(約8000万円)以上の投資可能資産を所有する者としている。2011年の統計によると、世界に約1090万人の富裕層が存在し、世界で最も富裕層人口を持つ国がアメリカで約310万人、2位は日本で約173万人である。また、3000万ドル(約24億円)以上の投資可能資産を所有する者を超富裕層と定義している。純金融資産1億円以上」という定義による2007年における富裕層は90.3万世帯、151.0万人であり、その金融資産の総額は254兆円である。これは、全世帯数の1.8%に相当する世帯が、個人金融資産全体の20.7%を占めていることを示している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4
(2)富裕層への課税をしたところで、中流から貧困層に転落するなどということはあり得ないだろう。だが、富裕層は課税を恐れおののいている。だからこそ、構造改革で、優遇されてきた富裕層と、富裕層を支えている貧困層の対立激化を防ごうという狙いも透けて見えてくる。公務員バッシングや生活保護受給者バッシング、これも大ウソであるが、マスコミを使って分断を作り出しているのだ。ほんの一握りの富裕層の蓄えている富を放置しておいて、貧困層の生活の向上は、極めて難しいだろうということを、どのように訴えていくか、ここがポイントだろう。富裕層への課税と言うと貧困層は自分も課税されるのではないかという誤解・無知がある。そうした錯覚・気分を払拭していく必要がある。
4.戦前の、また戦後米日政府によってつくられてきた富裕層、彼らに支えられている安倍晋三元首相などの説く「愛国心」の大ウソをどのように見破っていくか、それは最大の課題だろう。特に「美しい国」などと寝ぼけたことを平気で言える輩をどのように博物館に送り込むか、だ。
(1)そもそも現在の「財政危機」なる現象によって「美しい国」を破壊してきたのではないのか。だが、「財政危機」なる言葉が安易に使われている。これは自然現象で生まれたものではない。マスコミ報道をみていると、この責任が全く問われていない。国会で民主党を追及する自民党も他人事だ。呆れる。そういう輩のいう「身を切る」などという言葉に、誤魔化されてしまう国民もおめでたい。だが、それだけを言っていても解決はみえてこない。政治家の切った身と国民の身の、どちらが、どれだけ酷いか、比べてみる視点が必要だろう。そうした検証を「身を切れ」論を煽る輩に求めていく必要がある。
(2)「安全神話」をふりまき、選挙のたびに「原発容認者」を作り出して原発を推進してきたのは誰か、その責任も全く問われていない。「美しい国」を破壊してきたのは、誰か、これも同じだ。
(3)さらに言えば、日本人のもっている「義理人情」や「敵に塩を送る」「向こう三軒両隣」などの「美しい美徳」を破壊してきたのは誰か、このことも明らかにしていかなければならない。
5.次に「美しい国」日本人の心を根本的に変えていこうとする目論みだ。これは憲法25条の国家の責任を放棄する意味を持つ。自民党の改憲案を生活保護政策の改悪、これをめざすための方策の重要な一つとして位置づけられてはじめられたものだ。立憲国家の国民への責任という視点を投げ捨てるものだ。最近の芸能人に対するバッシングは、こうした目論見の中に位置づけられる。不幸なことに、国民、とりわけ貧困層が、バッシングに同調しているのだ。ここに自民党の狙いがある。
(1)自助・協(共)助・公助などのコピーを使った憲法の変質・改悪だ。これはイラク戦争時の「自己責任」論の焼き直しだが、国家の責任を放棄して「働かざるもの食うべからず」観を利用した政治家の悪質な自己責任免罪論だ。
(2)そもそも自民党の片山・世耕議員らの意図的な操作の前に、「自民党よ、やることがあるだろう」とのマスコミのバッシングがなければならない。国家権力を握る国会議員が憲法を改悪するための手段として庶民を攻撃する。とんでもないことが起こったのだ。
(3)しかし、マスコミは彼らを免罪している。バッシングの応援団となっているマスコミは政治家が生活保護受給者から比べれば巨額なカネを「合法的に」得ていることを黙殺している。政党交付金と企業団体献金だ。国会議員歳費については、「増税するなら、その前に身を切れ」と増税のための材料として利用している。政治不信や生活困窮者の鬱憤をハラス手助けを、自民党と一緒になった行っているのだ。
(3)こうして本来「公助」が優先されなければならない国家システムの根本的改悪に、貧困層の気分感情が利用されてしまっているのだ。これが彼らが言う「美しい国」なのだ。
以上述べてきた自民党の狙いは以下の産経の記事を診れば判る。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120526/stt12052600300003-n1.htm
民主党との違いを鮮明にするチャンスとみた自民党は「自助」を強調し、国会で生活保護問題を相次いで取り上げた。3月には「生活保護に関するプロジェクトチーム」を設置。(1)給付水準の10%引き下げ(2)食費や住宅扶助の現物支給(3)自立促進・就労支援(4)過剰診療防止による医療費扶助抑制(5)自治体の調査権限強化-という「生活保護見直しの5つの柱」をまとめた。
6.最後に「人の振り見て我が振り直せ」という日本の「美しい国」ぶりの変質を挙げておこう。それは他国の問題点を論って日本の問題点をスルーさせるという目論見だ。
(1)ソ連が存在していた頃はソ連・東欧だった。一つあげよう。それは「買い物行列」だ。ソ連東欧が資本主義国ニッポンより劣っている事例としてい市場に物が不足していることを強調する事例として盛んに喧伝されていた。だが、今日本はどうか、そうした視点での報道は全くない。
(2)もう一つは、現在の中国や北朝鮮の貧困や人権問題を取り上げる際の視点だ。細かくは言わないが、取り上げればあげるほど、こうした事実は木霊となって日本に返ってくるのに、マスコミは、そのことを隠している。
(3)こうした事実は、最近行われた世論調査にも表れている。「世論」の形成に大きな影響を与えているのはマスコミの報道の仕方にあることは明らかだろう。中国(人)で作られた安価な商品を買って生活している日本国民の意識の屈折ぶりを良く示している。このことは中国人にとってみても同じだ。だが、日中関係の「重要」差についての意識は共通している。このことは両国国民の本来の「健全さ」を示しているのだろう。このことは日中関係の健全な発展を望まない輩の意図的な世論操作が、逆に言えば、浮き彫りになったということでもある。
日本人で中国に「良くない印象を持つ」(「どちらかと言えば良くない」を含む)と答えた人は84%(昨年78%)と、2005年の調査開始以来最悪だった。中国側は65%(同66%)とほぼ横ばいで、日本の対中観の悪化が際立った。…相手国に良くない印象を持つ理由(複数回答)では、日本側は「資源やエネルギーの確保で自己中心的に見える」が54%と最も多く、中国側は「過去に日本と戦争をしたことがある」が79%で最多だった。一方、印象の悪さとは裏腹に、日中関係が「重要」と答えた人は、日本側が80%、中国側も78%にのぼった。(引用ここまで)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120620-OYT1T00944.htm
以上、如何にして「美しい国」ニッポンの変質が「権力者」によって行われてきたか、みてきた。だがこの「美しい国」ニッポンを創造するのは主権者である国民である。この国民が、彼らの目論見を見破り、文字通りの「美しい国」ニッポンをどのように創るか、ここが最大の課題だろう。
今TBSの朝ズバで小沢氏のことを、また「壊し屋」といっている。これもウソとペテンのトリックだ。マスコミが煽ってきた二大政党政治を作ってきたのは、他ならぬ小沢氏だった。二大政党政治の本格的始動が政権交代だった。そこで掲げたものは国民の要求を一定反映させた「国民の生活が第一」であった。だが野田政権の自民党化で二大政党づくりの破綻ぶりが明らかになった。
こうした局面で新たな二大政党づくりをめざそうというのが、現在の小沢氏だ。だから壊したのは小沢氏ではない。自民党化した野田民主党政権、大政翼賛政治なのだ。だが財界の意向を受けた野田政権の応援団と化しているマスコミは全く違った報道をしているのだ。国民の声も同じ線上にあるものを出して、政治不信を煽っている。ここが局面を複雑怪奇にしている。
小沢氏が「国民の生活が第一」と考えているかと言えば、それはノーだ。「日米同盟」「政治とカネ」「憲法」がものさしだ。現在の政治と国民生活の混迷の根本にある日米安保体制をそのままにしてニッポンが「美しい国」にならないのは、戦後の歴史が示している。この枠組みからの脱却、どの国とも公平に付き合う、その際に日本国憲法の原則を具体化する国、これこそが「美しい国」となるであろう。この国は、未だ実現していない。
新しきものつくるとき人民の招く力の大きそをみる
情けない自民党の「愛国心」 塾講師佐藤信夫(神奈川県伊勢原市 64)
民主、自民、公明の3党が消費増税法案の修正協議で合意した。私は、消費税の増税も若干はやむを得ないと思う。だが、情けないのは、この協議の中で富裕層の所得税や相続税の増税に自民党が待ったをかけた理由だ。富裕層は増税されれば海外に移住するだろうというのだ。
もちろん、そういう人もいるだろう。だが、所得増税と言っても、最高税率を40%から45%へ上げる程度の話だ。それで国の税収に影響するほど、富裕層が一斉に海外へ脱出をはかるとは思えない。そもそも安倍晋三元首相が提唱した「美しい国」をはじめ、自民党議員の話によく出てくる郷土愛とか愛国心とはその程度のものなのか。富める者でありながら、少しくらい多く税金を払っても社会に貢献しようという発想が無いのだろうか。だとしたらそれは自民党議員に「住みづらくなったら日本から逃げだせばいい」という発想があるからではないか。
一方、日本を脱出するすべなど持たぬ私たち庶民は毎日の生活に四苦八苦しながらも消費増税に耐えるしかない。自民党の主張に同調した民主党や公明党も含めて、こんな幼稚なやり取りで重要政策を決めた議員や政党に将来を託さな廿ればならないかと思うと、情けなくなる。
1.まず、竹中平蔵先生・大臣の「住民票操作」事件について想い出したので、紹介しておこう。
http://blog.goo.ne.jp/sinji_ss/e/60818aa09b1f61e24bfbce9e49cc69b4
「金持ちに対して税金を重くすると、金持ちが日本からいなくなってしまう」という累進課税否定論者の意見がありますが、累進税率を下げようが、税金が高かろうが安かろうが、日本に思い入れのないものは、日本に税金を納めずにすむ方法を考えついて実行するものです。竹中氏・・・国民に痛みを強いながら、自らはちゃっかりと税金逃れをしているのだから大した人物です。それにしてもやることがせこい。(引用ここまで)
この件について、まず言っておかなければならないことは、竹中先生の言っていることは、どうもウソっぽいということだ。こんなことを平気に言ってしまう人間に「改革には痛みが伴う」「備えあれば憂いなし」など、小泉構造改革を委ねたことは大きな汚点だった。どれだけの国民が被害を受けたか、検証してみる必要があるだろう。しかも、その後もマスコミに登場し、大学で講義をしているとなると、国民や大学生が可哀そうだ。というか、こういう人間に出番を与えている日本国は情けない。展望は暗い。
2.次は「富裕層は増税されれば海外に移住する」というウソとデマについて、だ。日本の企業が海外に出ていったのは、最近のことではない。
(1)80年代に入って以降海外進出が活発化したことは常識中の常識だ。直接投資は83年81億4500万ドル、84年102億5500万ドル、85年122億1700万ドル、86年には222億2000万ドル、証券投資は160億2400万ドル、307億9500万ドル、597億7300万ドル、1019億7900万ドルと、本来国民に向けて投資されなけえばならないカネが、海外、特にアメリカに流れていったのだ。その額は493億9500万ドルと言われている(川島陸夫「日本企業の対外進出-その歴史的推移」『経済』87年11月)。
これらのカネは、ほとんどは国内の労働者の労働によって作り出されたカネだ。これをアメリカと自らが招いた円高=ドル安対策と称して、海外に移転させたのだ。この時の政権は、今も暗躍している自民党中曽根政権だ。
(2)企業の海外進出の「理由」は、経産省の調査によれば、「現地の製品需要」が第一である。経団連や民主党、自民党などが言っている「法人税が高くなる」「原発が稼動しない」と「企業は海外に出ていってしまう」などというのは、消費税を通すための、原発を再稼動させるための詭弁、大ウソ、「脅し」だということが判る。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-04/2012040403_01_1.html
こういうウソを平気で言えるところに、この国の特殊性がある。事実を国民の共有するところにすることで、政治が大きく変わることは確実だ。ウソが暴かれて、恥ずべきことして政党が立ち行かなくなるという局面が必要だ。
3.「富裕層が出て行く」という大ウソは、富裕層への課税を何としても阻止しようという経団連や富裕層の思惑が透けてみえてくる。90年代までは国民の「中流意識」が繰り返し強調され、「実態のない意識」がもてはやされたものだが、今は「中流」という言葉は化石となった。
(1)富裕層の定義は、主な居住用不動産、収集品、消費財、および耐久消費財を除き、100万ドル(約8000万円)以上の投資可能資産を所有する者としている。2011年の統計によると、世界に約1090万人の富裕層が存在し、世界で最も富裕層人口を持つ国がアメリカで約310万人、2位は日本で約173万人である。また、3000万ドル(約24億円)以上の投資可能資産を所有する者を超富裕層と定義している。純金融資産1億円以上」という定義による2007年における富裕層は90.3万世帯、151.0万人であり、その金融資産の総額は254兆円である。これは、全世帯数の1.8%に相当する世帯が、個人金融資産全体の20.7%を占めていることを示している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4
(2)富裕層への課税をしたところで、中流から貧困層に転落するなどということはあり得ないだろう。だが、富裕層は課税を恐れおののいている。だからこそ、構造改革で、優遇されてきた富裕層と、富裕層を支えている貧困層の対立激化を防ごうという狙いも透けて見えてくる。公務員バッシングや生活保護受給者バッシング、これも大ウソであるが、マスコミを使って分断を作り出しているのだ。ほんの一握りの富裕層の蓄えている富を放置しておいて、貧困層の生活の向上は、極めて難しいだろうということを、どのように訴えていくか、ここがポイントだろう。富裕層への課税と言うと貧困層は自分も課税されるのではないかという誤解・無知がある。そうした錯覚・気分を払拭していく必要がある。
4.戦前の、また戦後米日政府によってつくられてきた富裕層、彼らに支えられている安倍晋三元首相などの説く「愛国心」の大ウソをどのように見破っていくか、それは最大の課題だろう。特に「美しい国」などと寝ぼけたことを平気で言える輩をどのように博物館に送り込むか、だ。
(1)そもそも現在の「財政危機」なる現象によって「美しい国」を破壊してきたのではないのか。だが、「財政危機」なる言葉が安易に使われている。これは自然現象で生まれたものではない。マスコミ報道をみていると、この責任が全く問われていない。国会で民主党を追及する自民党も他人事だ。呆れる。そういう輩のいう「身を切る」などという言葉に、誤魔化されてしまう国民もおめでたい。だが、それだけを言っていても解決はみえてこない。政治家の切った身と国民の身の、どちらが、どれだけ酷いか、比べてみる視点が必要だろう。そうした検証を「身を切れ」論を煽る輩に求めていく必要がある。
(2)「安全神話」をふりまき、選挙のたびに「原発容認者」を作り出して原発を推進してきたのは誰か、その責任も全く問われていない。「美しい国」を破壊してきたのは、誰か、これも同じだ。
(3)さらに言えば、日本人のもっている「義理人情」や「敵に塩を送る」「向こう三軒両隣」などの「美しい美徳」を破壊してきたのは誰か、このことも明らかにしていかなければならない。
5.次に「美しい国」日本人の心を根本的に変えていこうとする目論みだ。これは憲法25条の国家の責任を放棄する意味を持つ。自民党の改憲案を生活保護政策の改悪、これをめざすための方策の重要な一つとして位置づけられてはじめられたものだ。立憲国家の国民への責任という視点を投げ捨てるものだ。最近の芸能人に対するバッシングは、こうした目論見の中に位置づけられる。不幸なことに、国民、とりわけ貧困層が、バッシングに同調しているのだ。ここに自民党の狙いがある。
(1)自助・協(共)助・公助などのコピーを使った憲法の変質・改悪だ。これはイラク戦争時の「自己責任」論の焼き直しだが、国家の責任を放棄して「働かざるもの食うべからず」観を利用した政治家の悪質な自己責任免罪論だ。
(2)そもそも自民党の片山・世耕議員らの意図的な操作の前に、「自民党よ、やることがあるだろう」とのマスコミのバッシングがなければならない。国家権力を握る国会議員が憲法を改悪するための手段として庶民を攻撃する。とんでもないことが起こったのだ。
(3)しかし、マスコミは彼らを免罪している。バッシングの応援団となっているマスコミは政治家が生活保護受給者から比べれば巨額なカネを「合法的に」得ていることを黙殺している。政党交付金と企業団体献金だ。国会議員歳費については、「増税するなら、その前に身を切れ」と増税のための材料として利用している。政治不信や生活困窮者の鬱憤をハラス手助けを、自民党と一緒になった行っているのだ。
(3)こうして本来「公助」が優先されなければならない国家システムの根本的改悪に、貧困層の気分感情が利用されてしまっているのだ。これが彼らが言う「美しい国」なのだ。
以上述べてきた自民党の狙いは以下の産経の記事を診れば判る。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120526/stt12052600300003-n1.htm
民主党との違いを鮮明にするチャンスとみた自民党は「自助」を強調し、国会で生活保護問題を相次いで取り上げた。3月には「生活保護に関するプロジェクトチーム」を設置。(1)給付水準の10%引き下げ(2)食費や住宅扶助の現物支給(3)自立促進・就労支援(4)過剰診療防止による医療費扶助抑制(5)自治体の調査権限強化-という「生活保護見直しの5つの柱」をまとめた。
6.最後に「人の振り見て我が振り直せ」という日本の「美しい国」ぶりの変質を挙げておこう。それは他国の問題点を論って日本の問題点をスルーさせるという目論見だ。
(1)ソ連が存在していた頃はソ連・東欧だった。一つあげよう。それは「買い物行列」だ。ソ連東欧が資本主義国ニッポンより劣っている事例としてい市場に物が不足していることを強調する事例として盛んに喧伝されていた。だが、今日本はどうか、そうした視点での報道は全くない。
(2)もう一つは、現在の中国や北朝鮮の貧困や人権問題を取り上げる際の視点だ。細かくは言わないが、取り上げればあげるほど、こうした事実は木霊となって日本に返ってくるのに、マスコミは、そのことを隠している。
(3)こうした事実は、最近行われた世論調査にも表れている。「世論」の形成に大きな影響を与えているのはマスコミの報道の仕方にあることは明らかだろう。中国(人)で作られた安価な商品を買って生活している日本国民の意識の屈折ぶりを良く示している。このことは中国人にとってみても同じだ。だが、日中関係の「重要」差についての意識は共通している。このことは両国国民の本来の「健全さ」を示しているのだろう。このことは日中関係の健全な発展を望まない輩の意図的な世論操作が、逆に言えば、浮き彫りになったということでもある。
日本人で中国に「良くない印象を持つ」(「どちらかと言えば良くない」を含む)と答えた人は84%(昨年78%)と、2005年の調査開始以来最悪だった。中国側は65%(同66%)とほぼ横ばいで、日本の対中観の悪化が際立った。…相手国に良くない印象を持つ理由(複数回答)では、日本側は「資源やエネルギーの確保で自己中心的に見える」が54%と最も多く、中国側は「過去に日本と戦争をしたことがある」が79%で最多だった。一方、印象の悪さとは裏腹に、日中関係が「重要」と答えた人は、日本側が80%、中国側も78%にのぼった。(引用ここまで)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120620-OYT1T00944.htm
以上、如何にして「美しい国」ニッポンの変質が「権力者」によって行われてきたか、みてきた。だがこの「美しい国」ニッポンを創造するのは主権者である国民である。この国民が、彼らの目論見を見破り、文字通りの「美しい国」ニッポンをどのように創るか、ここが最大の課題だろう。
今TBSの朝ズバで小沢氏のことを、また「壊し屋」といっている。これもウソとペテンのトリックだ。マスコミが煽ってきた二大政党政治を作ってきたのは、他ならぬ小沢氏だった。二大政党政治の本格的始動が政権交代だった。そこで掲げたものは国民の要求を一定反映させた「国民の生活が第一」であった。だが野田政権の自民党化で二大政党づくりの破綻ぶりが明らかになった。
こうした局面で新たな二大政党づくりをめざそうというのが、現在の小沢氏だ。だから壊したのは小沢氏ではない。自民党化した野田民主党政権、大政翼賛政治なのだ。だが財界の意向を受けた野田政権の応援団と化しているマスコミは全く違った報道をしているのだ。国民の声も同じ線上にあるものを出して、政治不信を煽っている。ここが局面を複雑怪奇にしている。
小沢氏が「国民の生活が第一」と考えているかと言えば、それはノーだ。「日米同盟」「政治とカネ」「憲法」がものさしだ。現在の政治と国民生活の混迷の根本にある日米安保体制をそのままにしてニッポンが「美しい国」にならないのは、戦後の歴史が示している。この枠組みからの脱却、どの国とも公平に付き合う、その際に日本国憲法の原則を具体化する国、これこそが「美しい国」となるであろう。この国は、未だ実現していない。
新しきものつくるとき人民の招く力の大きそをみる