昨日の党首討論は見ていなかったが、見ものでした。野田・安倍の「談合」は見え見えでしたが、野田首相の居直り・恫喝と安倍総裁のバカさぶり、ダイコン役者ぶりが改めて浮き彫りになったように思います。
年内解散総選挙の場合は、都知事選挙と併せて行われれだろうことは予想されていました。
11月に行われた世論調査をみると、ますます支持率が下がり、不支持率は上昇。民主党内の野田降ろしの風は日々高まるばかりか、離党者の続出が確実視されてきていました。まさに沈没する船からネズミが逃げていく構図でした。
一方自民党公明党は、政権奪還ができるとばかりに、お調子に乗って騒ぎ立てて政策抜きの「近いうち」文言に拘って、「ウソツキ」と、そこばかり攻め立てていました。
そもそも「近いうち」の約束は、消費税増税と社会保障改悪、大型公共事業の復活を果たすための「談合政治」=大政翼賛政治の確認でもあったわけです。みんなで通れば怖くないという悪政を決める政治だったのです。否定されたはずの自公政治の復活を「談合」で決めたのでした。
その延長線上に、公債を無条件に発行することで、法人減税や大型開発の推進を決めました。公債発行も地方が予算を組めないとの大宣伝をテレビを使って行わせながら、でした。
また同時に年金削減を強行、まさに自助路線の大推進を、国民の眼をドタバタ局面に向けさせて押し切ったのです。
こうした国民の要求と全く逆の政治が、「国民に増税をお願いするのだから、議員が身を切るのは当然」とする定数削減を総選挙の争点に持っていこうという目論見の下、安倍自民党に「呼びかけ」、「約束」させるという「恫喝」に打って出たところに、野田首相の居直り、シタタカさが見えてきました。
しかし、大見得を切ったものの、国民との約束に違反し増税を決めたことは、致命的な欠点です。原発・オスプレなど、国民に反する政治は、国民の怒りを覚ますことはできないでしょう。雨のなか、10万人の参加者を得た1000万人行動や宇都宮弁護士の都知事選立候補にみる国民運動は、今後も政権とその応援団を震撼させていくことでしょう。
震災後の国民運動に驚愕し、二大政党政治が瓦解し、国民のための政権が出来ることを恐れて結成された石原「太陽の党」は、結党時の会見をみると、「ワンステップ」と位置づけ、自ら解党宣言をして結党するという矛盾を晒しました。
さらには橋下「日本維新の会」から、突き放されたかわむら「減税日本」が、石原「太陽の党」に合流するというのですから、笑ってしまいます。石原氏は、意気込んで鼻息荒く、声高に大同団結を強調していましたが、石原氏の表情は、都知事時代の記者会見と比べると、その目には勢いはありませんでした。どこか、さびしげであり、かつ確信のなさが見えていました。
しかも減税日本には民主党を脱党した議員もいるのです。橋下日本維新の会にも民主党を脱党した議員がいるのです。消費税も原発も、TPPも、その政策的主張が大きく異なる政党が大同団結=「統一戦線」を結成するのです。その政権奪取後の、或いは第三極としてキャスチングボートを握るためには大義名分を明確にしなければなりません。しかし、「野合」集団として映れば、こんな政党を国民が支持するのはありえないでしょう。
自民もダメ、だから民主に、しかし、その民主も自民党化、では、それに代わる「第三極」は?マスコミが「第三極、第三極」として石原「太陽の党」と橋下「日本維新会」を祭り上げていくことは必至です。だからこそ、こうした政局に右往左往する民主党議員に渇を入れるために、野田首相は起死回生の「談合解散」に打って出たのでしょう。
その「居直り解散」宣言の最大の応援団は、TPP反対の農協を「不勉強」と批判したばかりの米倉経団連です。米倉氏は「民主、自民、公明3党の信頼関係を作り出したうえでの解散表明で、非常に力強い」と早速賛意を表し、「3党が政策ごとに合意し実施する環境を、この機会につくってほしい」(赤旗)と、中国敵視の石原「太陽の党」ではない大政翼賛政治の具体化を迫りました。
こうした状況の奥深いところで、何が起こっているか、国民的な規模で見えるようにしていかなければならないでしょう。同時に選挙では勝たなければなりません。
米倉経団連の応援団を伸ばすのか、アメリカの日本政治への介入を許すのか、憲法を擁護し生かす政治を具体化していくのか、その真の「第三極」づくりのために、どんな風を吹かせていくのか、そこにかかっているように思います。
そのためには、全国300の小選挙区において、どんな小さな要求でも根こそぎ拾い上げていく政党・政治家が大同団結し、見せかけの「第三極」を打ち破る政策と宣伝が住民自身の手で担われるような状況をつくりだすことでしょう。地域にあるどんな要求も、野田首相が党首討論で自民党を批判してみせた自公政権時代の負の遺産によるものです。ここに真の対決構図があります。
TPP・オスプレイ・憲法など、政治的争点は重要です。しかし、こればかりを中心に訴えていくことは、国民の気分・感情にかみ合わないのではないでしょうか?増税に伴う社会保障改悪に真っ向から対決する、国民のメシを食わせる訴えかけ、ここにかかっているように思います。
その点で言えば、宜野湾・那覇市長選挙は貴重な教訓です。これを生かした選挙ができれば、大きく前進するでしょう。
その際にいつも出てくる中国・北朝鮮「脅威」論をどう崩していくか、そこもカギでしょう。これらの国には、日本の民主化のためには、どのような対応が必要か、その視点で、発信していく作業が必要でしょう。日米軍事同盟廃棄は、中国・北朝鮮にとって、計り知れない外交・内政効果をもたらすことは確実です。野田首相でさえも、国際紛争の解決のためには非軍事的手段・話し合いを使うと言わざるを得ないのです。この発言を、文字通りすすめていくためには、日米軍事同盟ではなく、日米平和友好条約になるのです。
最後に、以下の情報を掲載しておきますので、ご覧いただければと思います。
石原慎太郎を“操る”ヘリテージ財団の知られざる闇(SPA! ) 2012年11月9日(金)配信
問責決議案提出の前日に安倍元首相と野田首相側近が極秘会談2012.09.05 07:01
週刊ポスト2012年9月14日号