以下のレポートは、新しい試みとして注目していかなければならないものだと思いました。中国の学生、ロシアの学生が入っているともっと面白いかもしれません。琉球大学の先生という条件が、すべてを物語っている用に思いました。ここに島根大学とか、長崎大学とか、北海道大学などの先生が入ると、もっと面白い企画になるかもしれません。などというようなことを考えてみました。
もう一つは、この記事は、日本平和委員会発行の『平和新聞』(2013年9月5日発行の2026号)から転載したものです。そこで検索してみると、日本平和委員会と平和新聞の更新は芳しくありません。いい組織と新聞なのに、また良い企画なのに、ホームページをみると、ネット時代だというのに、やる気を感じませんので、愛国者の邪論が転載して紹介することにしました。
山口氏について、以下のような記事が掲載されていましたので、ここに掲載しておきます
私の沖縄日記: 「領土紛争」・・・日韓台共通教材づくりの試み
日・韓・台の研究者 領土問題で共通教材作成へ 琉球大学教育学部 山口剛史さん
生活圏の視点から
尖閣諸島や竹島をめぐる「領土紛争」をテーマに、日本、韓国、台湾の研究者が共同で中学生向けの共通教材を作るプロジェクトが始まっています。国家レベルでは意見の隔たりが大きい中、「生活圏」「生活者」の視点で捉え直すことで平和的共存への道を探れないか。国境を超えたこの新たな試みについて、メンバーの一人、琉球大学教育学部の山口剛史准教授に寄稿していただきました。
近年、尖閣諸島(釣魚島)や竹島(独島)などをめぐって「領土紛争」が大きくクローズアアップされています。大手マスメディアは対立を煽るような報道を繰り返している面が少なくありません。
このような中、「領土紛争」の平和的解決に向けて、共有できる認識の構築をめざして、東アジア共同教材開発プロジェクトを今年3月からスタートさせました。メンバーは、韓国・建国大学校の朴三憲(パク・サムホン)准教授、台湾・南台科技大学の楊素霞(ヤン・スーシャ)准教授、私・山口の3人です。
具体的には、まず韓国、台湾、日本(沖縄)の大学生相手に共同授業を実施し、その際共通アンケートをとって学生の認識を明らかにして、そこでの実践的な研究から見えてきた成果をもとに3国の共通教材をつくることにしました。
国家を相対化し
授業のテーマは、「中学校教科書」に焦点をあて、「韓国、台湾、日本の中学生に領土問題の解決方法をどう教えるか」とすることにしました。
直接問題の解決方法を考えるよりも、子どもたちにどう教えるか、教科書にどう記述するかを一緒に考えることで、学生自身が「自国の利益」だけでなく、自国以外の子どもたちのことも視野に入れることを意図しました。
授業では、
①日本の中学校社会科教科書の現状を学ぶ
②琉球王国から日本国家に組み込まれ、戦後はサンフランシスコ体制の下で日本の領土外にされた沖縄の近現代史を概括することで、「国民国家」を相対化し、「国民」も「領土」も可変的なものであることを実証的に学ぶ
③「領土紛争」を国家間の争いと捉え、線を引く(領有権を画定させる)ことでルールをつくる国家の発想ではなく、線を引かずに共有・共存のルールをつくる「生活圏」の視点からの解決方法を提案することを柱にしました。
そのうえで最後に、「これらの視点をふまえて領土問題に関する共通教科書記述案をつくってみましょう」と投げかけ、学生それぞれに教科書記述を考えてもらいました。
「真実書くべき」
これまでに行った授業で3国の学生から出た意見の特徴を紹介します。
まず、共通した特徴は「教科書には事実を書くべき。独善的な内容はいけない」という意見が多かったことです。
「学生に歴史上実際に起きたことをありのまま教えるべき。当時の情勢を一番公正な表現で知らせるべき」という台湾の学生の意見はその典型です。
韓国の学生も「事実をのせるべき」と書いた人が多かった一方、その前提として「日本は事実を歪曲している」と考える学生がいたのが特徴でした。
以下のような主張がその典型です。
「“過去の歴史的事実、ありのま圭の真実“。多くの人々が満足できる解決策、解決の方向性はここから始まると思う。日本の子どもたちに、韓国や台湾の子どもたちが不満感を覚える真実を隠してよく見せようとすれば、反省も発展も生まれない」
また、次の意見のように強烈に独島が身体化されている点も韓国の学生の特徴でした。
「韓国は以前から竹島を占有し、韓国の土地であるとと考えてきた。韓国は終戦により解放され、日本は敗戦国となり、領土に関する数多くの文書が作成されたが、両国の解釈が異なり、意見が分かれてしまったせいで現在このような領土紛争になっている。しかし、歴史的な点など様々な側面から竹島は韓国の領土であり、必ずや守らなければならないものである」
一方、日本の学生は、「相手国は話がまともにできると思わないので、日本の領土であるという証拠を世界的にふして日本以外の圧力をかける」、「冷静な話し合いができれば、私か生れる以前にもう領土をめぐる紛争は起こっていないはず。となれば、やはりどこかで強硬策を講じなければい」など、「対話」が成立しないという悲観的な見方をしている学生が多く、「第三者機関にまかせては」という意見を書く学生も少なくありませんでした。
生活者が決める
このように、まだまだ課題はたくさんありますが、次のような学生の声もありました。
「国と国との間には歴史的に決められたものがあって、どちらかが歪曲して主張しあっているものだと考えていました。国と国とのいがみあいではなく、生活圏の視点でそこに生きる人々が決めていくこととして捉える、誰のものでもなく、『共有する財産』としての認識をもって教えていきたいと思いました」
今後「生活圏」の視点の有効性を検証し、共通教材の可能性を探っていきたいと考えています。(引用ここまで)
愛国者の邪論の邪論
1.領土問題は平和的解決より武力・戦争で解決する方が多いという一般的風評がありますが、果たしてどうでしょうか?そこで調べてみました。以下をご覧ください。
『日中韓の領土問題 ~尖閣諸島と竹島~』 - 多摩大学ゼミブログポータル -
領土問題の解決例はある? | 国際問題のQ&A【OKWave】
2.領土問題を武力で解決する方が良いか、話し合いで解決する方が良いか、尖閣・竹島(独島)・北方領土=千島列島に係わる国々の国民にアンケートを取るのです。項目は統一します。
3.それぞれ、歴史家に依頼して、残存する歴史的資料を互いに出し合いながら、研究し、結論を出すのです。
4.領土問題は、当該国の国民が納得しなければ、当該国の政権の存在そのものに係わることです。互いに領有権を主張することで、国民の中にあるナショナリズムを煽り、政権の正当性を主張しているからです。ここが最大の問題です。
5.しかし、国民がヒートアップして、武力紛争に突入すれば、どのような利害関係が発生してくるか、この問題も注目しなければならない点です。
6.尖閣・竹島(独島)・北方領土=千島列島問題の利害関係に共通することは、海洋資源、水産資源と地下資源でしょう。これが、どこの国の所有になるかどうかによって、国民の幸福度の度合いがあるかのように想像されている、喧伝されていることに、解決の困難性があるように思います。
7.しかし、ここに落とし穴があるように思います。資源の独占か、共同開発による資源の共有か、という選択肢です。
8.ここで歴史的解明が求められてくるのではないでしょうか?
一つは、東アジアという視点で、先史時代以来の歴史とその発展を紐解く作業が必要ということです。
二つは、先史以来の歴史の中で、対立・殺戮の歴史から何を学ぶかという視点です。
三つは、先史以来の歴史の中で、交流と連帯と発展の歴史から何を学ぶかという視点です。
四つは、対立と殺戮・強奪の歴史がもたらすものは何かという視点です。
五つは、交流と連帯の歴史がもたらすものは何かという視点です。
9.以上のことを念頭において、日中韓露から、それぞれの「資料」を具体的に出し合うのです。
すでに解決の方向性は見えてくるのではないでしょうか。
因みに、以下の関係を紐解けば、似て非なる関係が浮き彫りになるのではないでしょうか?日本の文化には「向こう三軒両隣」文化があります。今日本人が見失っている文化・道徳ではないでしょうか?
1.日本人のルーツはどこから?
2.日本の伝統文化といわれている文化のルーツは何?元号は?天皇号は?
3.蝦夷地で取れた海産物が北京にまで届いていたのは、いつの時代?
4.いわゆる倭寇時代から日本人町形成時代の国家間と民衆間のそれぞれの関係は?
5.唐辛子文化と木綿文化、海女文化、そもそも稲作文化の関係は
最後に、これまで、領土問題について、以下の記事を書いていましたので、ご覧ください。
尖閣買い取りにみる石原都知事の身勝手を暴き、健全で良識ある愛国心と人間的・国際的連帯を
(2012-06-18 23:53:36)
日本共産党は科学的社会主義の立場から領土問題の解決を中国共産党へ訴えるべき、日米安保廃棄のために(2012-07-08 15:16:33)
ASEANの努力、今こそ尖閣問題に!日本のマスコミの今日の記事を比べてみた(2012-07-11 20:15:40)
憲法9条の極意である紛争の平和的解決はASEANで、そして日本で、今試されている!(2012-07-12 23:32:58)
日本の領土問題の背景に領土拡張主義と軍事同盟があることを内田樹氏の指摘で思い出した!解決の道は?(2012-09-13 09:16:19)
不可思議な軍事挑発火器管制レーダー照射事件の真相と話し合いで解決するチャンスを見失うな!(2013-02-06 23:56:40)
日中の軍事衝突か、平和的解決か、憲法9条改悪派の安倍政権でさえも擁護派と同じことを言っている!(2013-02-07 23:57:15)
領土問題花盛りの最中、対立煽るか、向こう三軒両隣思想でいくか、日中韓朝国民の知恵が政府を動かせるか!(2013-02-22 23:33:21)
全国紙の社説が領土問題の解決は日米同盟深化路線の下では難しいことを改めて証明した!歴史の不正を正せ!(2013-02-23 23:57:51)
朝鮮半島の非核化ではなく、東アジアの非核地帯化をすすめる日本国政府をつくろう!(2013-05-09 23:59:23)
日本のマスコミは朝鮮半島と東アジアの非核地帯条約から東アジア平和共同体づくりに真面目取り組め!(2013-05-10 23:41:40)