愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

安倍首相の不道徳を美化し批判する装いを凝らしながら期待と応援メッセージを送る朝日の姑息を検証する!

2013-09-10 | 東京五輪

最後です。付録的に、再度検証してみます。それは朝日の社説の手法について、です。

朝日は、「福島第一原発事故の収束は、そもそも五輪とは関係なく取り組むべき問題だ」と言いながら、五輪東京招致のために「世界に向けた公約」を語った安倍首相の「プレゼンテーションと質疑応答は、歯切れがよかった」として美化し、「状況はコントロールされている」「汚染水の影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」という「方便」=ドーピング行為(五輪憲章違反)を徹底して批判せず、弁護し、期待と応援の文章を寄せるのです。

しかし、その朝日の文章をよく診れば、実際はゲンパツ再稼動を狙っている安倍首相の本質と事実を表現せざるを得ない言葉が透けて見えてくるのです。安倍首相の言葉は現実を反映していないからです。朝日は、そのことをよく知っているのです。フクシマの現実に対して無策ぶりは明瞭ですが、言葉だけは「歯切れよく」、しかも胸を張って、大ウソをついたのです。東京招致のためにです。しかし、そうした安倍首相を徹底して批判していないのです。逆の日本語を書き並べ、励ますのです。

そこに朝日の姑息を読み取ることができるのです。では朝日自身の記事から検証してみます。

(1)ただ、東京開催の決定にいたる過程で、世界が日本の姿勢に厳しい目を注いでいることがあらためて示された。

(2)内外に「五輪誘致のための方便」ととられないよう、実行力が問われる。政権の最優先課題として取り組んでほしい。

(3)安倍首相は

①招致演説で、汚染水問題に「責任をもつ」と表明した。

②記者会見では、汚染水問題に「責任をもつ」と表明した。原発比率を下げていき、今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させることも明言した。世界に向けた公約だ。内外に「五輪誘致のための方便」ととられないよう、実行力が問われる。

③総会での安倍首相のプレゼンテーションと質疑応答では、「状況はコントロールされている」「汚染水の影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」。

(4)だが、この間の混迷ぶりや放射能被害の厳しさを目の当たりにしてきた人には、空々しく聞こえたのではないか。すでに技術的な課題が多く指摘されている。汚染水問題で国が前面に出る体制は整えたが、うまく汚染の広がりを食い止められるかはこれからだ。

(5)汚染水が地下水に到達したとみられるデータも検出された。今後も想定外の障害が出てくる可能性がある。汚染水をうまく解決できたとしても、さらに困難な廃炉作業が待ち受ける。

(6)「安全・安心」を強調するあまり、事態の深刻化を隠そうとしたり、批判を恐れて必要な措置に手をこまぬいたりするようなことは論外だ。

(7)現状と自らの取り組みを率直に公開し、世界の知恵を借りながら対策を講じていく謙虚な姿勢こそが、国際的な信認につながることを忘れてはならない。

(8)エネルギー政策についても、政権の発足以降、「原発回帰」をにじませる発言が出る一方、長期的なビジョンは何も打ち出していない。

(9)事故からすでに2年半が経とうとしている。どのように原発比率を下げていくか。再エネ、省エネの普及をどんな手立てで実現するのか。

(10)日本での五輪開催の決定は、そうした取り組みを促す契機になってはじめて、心から喜ぶことができる。

どうだったでしょうか。朝日の言うように、安倍首相の言葉は「歯切れがよかった」かもしれませんが、ちっとも「コントロール」「ブロック」「統御」されていない状況が、安倍首相を評価した朝日自身によって語られていないでしょうか。しかも、「確かに…将来像を語り、具体的な道筋を示すことが首相のつとめだ」という激励をしなければならないほど、事態は、安倍自公政権の実態は厳しいものであること、このことを朝日自身の使った言葉から透けて見えてくるのです。

ここに五輪憲章に違反した招致獲得優先のためには手段を選ばぬドーピング行為、方便を使った日本の宰相を擁護し弁護し激励するマスコミの退廃ぶりが浮き彫りになったと思います。この社説を読んだ若者、子どもはどう考えるでしょうか?或いは、大学受験問題で説いてみたいところです。

おわり

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五輪憲章違反の方便=ドーピング行為を徹底して批判せず美辞麗句でゴマカシスリカエる全国紙の不道徳!

2013-09-10 | 東京五輪

つづきです。

4.最後に、五輪東京招致の場で、現代日本の最大の問題である厳しい現実を隠蔽して、美辞麗句・無味乾燥な日本語を並べ立て大ウソの公約を発表したにも拘らず、それを批判せず、決まったことだからということで、東京五輪について、様々な美辞麗句を書き立てる全国紙の不道徳ぶりについて、コメントしておきます。

1.まず東京招致のために使った方便です。これは繰り返して指摘しますが、鳩山元首相の公約違反正当化の際の方便と同じだということです。極めて重大な政治責任問題です。

2.しかも政治家の政治的責任を曖昧にしたまま、水に流しながら、今後を語る手法は、以下の点で大問題です。

(1)大東亜戦争の戦争責任、すなわち天皇の責任、マスコミの責任などを曖昧にしてきたことと同じで、このツケは、今後ジャブとなって日本と国民にヒタヒタと効いてくることでしょう。

(2)学校の体罰やいじめの責任追及を曖昧にしてきた教育委員会に対して、また柔道界のセクハラや暴力問題を曖昧にしてきた日本柔道連盟に対して(まだあります。相撲協会もあります)徹底した批判を展開してきたマスコミは、何故安倍首相の大ウソを徹底して批判しないのでしょうか。

(3)東京招致に勝利するためには手段を選ばず、ドーピングに等しい「不正」まがいの「公約」発表は五輪憲章に違反する行為であるにもかかわらず、批判せず、むしろ、以下のような美辞麗句を書きたてているのです。

朝日 21世紀の新しい五輪の姿を示す成熟国家の力量やいかに。世界へ発信する真のプレゼンテーションはこれから始まる。

毎日 近代オリンピックの創始者クーベルタンの思想(オリンピズム)に基づき、スポーツを通じた教育と平和の運動が推進される場だ。

読売 五輪決定の報は、多くの国民に希望をもたらしただろう。五輪開催を東京だけでなく、東日本大震災の被災地、さらに日本全体の活性化につなげたい。

産経 首都中枢部の、大規模で新たな街づくり大震災の直後には、外国からのボランティアが被災者から食物を分けてもらい、恐縮しているといった話も聞かれた。誇るべき日本人の美徳である。そうしたもてなしの心を7年後の日本人も、すさませることなく、持ち続けていられるだろうか。そうでありたい。これは国民一人ひとりの課題でもある。

日経 五輪は単なるスポーツの祭典にとどまらない。その国の歴史のひとつの転換点になる巨大なイベントだ。7年後の五輪の開催をこの国、そして都市の未来を考える契機にしたい。

東京・中日 五輪の開催にはさまざまな面で大きな期待が寄せられている。二〇年までの経済波及効果は三兆円近くに上り、十五万人を上回る雇用が生み出される。昨年六月に東京都が公表した試算だ。十五年に及ぶデフレの克服と景気の上昇に弾みがつくかもしれない。トップアスリートの勇姿は閉塞感が漂う日本の社会に夢と希望を与えてくれるだろう。激しい競争と貧困、残酷なまでの就職難、少子高齢化に伴う負担の増大。先行き不透明な時代を生き抜く元気と勇気が湧くに違いない。…選手が落ち着いて競技に集中でき、観衆が安心して泣き笑いできる環境は被災地の復興抜きには成り立たない。立ち直った東北と首都東京の健在ぶりを示すことこそが最善のおもてなしになる。

(4)こうしたマスコミや安倍首相をはじめとした政界の姿勢は、子どもや若者にどのような影響を与えていくか、考えてみたことはないようです。不思議です。むしろ、以下のような日本語を書きたてることで、安倍首相の方便をゴマカシ、スリカエているのです。

まず、産経です。産経は正直です。産経自身が書いている諸政策について、以下のように述べているように、「五輪だから」ということではなく、五輪に関しての産経自身の目的は別のところにあるようです。当然です。このことについては、ここでは書きません。ではご覧ください。

産経

五輪を開催しなくても、やらなくてはならないことばかりだが、招致を好機にスピードアップを図ることはできる。

では、「五輪だから」ということで、各紙が並べ立てている諸政策・諸提案をご覧ください。わざわざ、こんなことを書き並べなべなくてはならない各紙の「苦悩」が浮かんできます。「五輪でなくてもやらねばならないことだらけ」です。大爆笑もんです。

その点、安倍首相の大ウソ=方便発言を中心に展開した東京・中日は、ズバリ!です。不十分ですが、他紙と違っています。少しのアッパレをあげておきます!

朝日 

①少子高齢化に財政難の時代である。高度成長期と同じ夢を追いかけることはできない。 都市も社会も成熟期を迎えた今、インフラではなく、人に資産を残す五輪を提唱したい

②投資を注ぐ対象は、若者たちの心にこそある。

③人も文化も混じり合う世界の息吹を体験し、記憶に刻み、思考を広げる機会となろう。 参加者は選手だけではない。語学を磨いてボランティアになってもいい。観客としてでもいい。話題の選手を育んだ異文化に思いをはせる場を、家庭で、学校で、地域で、広げたい。

④五輪は「平和の祭典」でもある。外交関係が揺れる中国や韓国ともわだかまりなく交流できる雰囲気作りは欠かせない。一緒に夢を紡ぐ若者らの輪に国境の壁があってはならない。

⑤国内に目を向ければ、東京の一極集中ではいけない。国際オリンピック委員会(IOC)では、大震災からの復興という理念に共感し、票を投じた委員も多かった。東北地方の再興はもちろん、日本全土で五輪の恩恵を分け合う工夫が必要だ.

⑥高齢化時代のスポーツの意義を先取りする社会像をめざすのも、これからの五輪ホストの使命と考えるべき

⑦お年寄りや障害者も幅広く息長くスポーツと親しめる環境作りが求められる。パラリンピックにふさわしい街のバリアフリー化も急務

⑧人種も国籍も関係なく気軽に街で助けあえる心の余裕を育てたい

毎日

①少子超高齢化が避けられない社会においてどんな役割を果たせるのか。

②アジアの隣人である中国、韓国との関係改善に貢献できないか。

③東京招致決定を契機に国民一人一人が未来の社会、世界との関係について考えてほしい。

④景気の回復が実感できない中、経済波及効果に期待する人は多い。オリンピックは景気刺激の手段ではない。

⑤中学と高校の保健体育の体育理論でオリンピックなどの国際競技大会について学習するよう規定されたが、時間が少なく、教材開発も遅れている。日本オリンピック委員会はオリンピック運動の推進に向け、動画などの教材をホームページからダウンロードできるようにしてほしい

⑥オリンピック教育はフェアプレーの精神などポジティブな面を学ぶだけでなく、過度の商業主義や勝利至上主義、ドーピングなど負の部分を学ぶことを通してバランスのとれた判断力を子どもたちに身につけさせることが重要

⑦「国民の教養」という無形のレガシーにしたい。

⑧パラリンピックの開催に向け、障害者や高齢者に配慮したバリアフリーの都市づくりも進めたい。段差などのハード面だけでなく、偏見など心のバリアーも取り除くことができれば東京は世界のモデルになる。

読売

①安倍首相が、経済政策であるアベノミクスの「第4の矢」と言うほど、五輪への期待は極めて大きい。施設整備を担う建設業をはじめ、観光や不動産業など、様々な分野に効果が波及しよう。②五輪開催を東京だけでなく、東日本大震災の被災地、さらに日本全体の活性化につなげたい。

③主要競技場の電力に再生可能エネルギーを使用することや、湾岸部などの大規模な緑化事業など、環境に配慮した整備計画も着実に進める必要がある。

④パラリンピックの開催に備え、街のバリアフリー化を一層、推進することも大切だ。自国での五輪出場を夢見て、スポーツに打ち込む子供たちがますます増えるに違いない。

⑤文部科学省や日本オリンピック委員会(JOC)は、中高生を中心とした選手の強化に、戦略的に取り組むことが必要だ

日経

①くしくも、当時建設した首都高速道路が更新期に入るなど、インフラの老朽化が目立っている。加えて、東京は23区の主要な道路でさえ、電柱が多数残るなど、様々な課題を抱えている。 インフラの安全性を維持しながら、公園や街路樹を増やし、景観面でも誇れる都市に変えたい。

②五輪には多様な言語の観光客が来る。…街なかの外国語表示や案内所を増やすのと並行し、こうした新たな観光案内にも力を入れたい。同時開催のパラリンピックを機に「障害者が移動しやすい街」であることを世界に訴えるのもいい。空港やホテルなどで、これまで不足していた富裕客向けの施設やサービスも充実させたい。

③日本文化を伝え、外国人も満足する質の高い土産の充実は次の「地方観光」にもつながる。

④ソフト面に力を入れることこそ、外国人をひき付けるカギだ五輪の開催が決まったことは、日本経済のデフレからの脱却や、持続的な成長に向けた好材料になるだろう。

⑤しかし、五輪が公共事業の大盤振る舞いにお墨付きを与えたわけでは決してない。関係予算の使い道の透明性を高めて、あくまで身の丈に合わせた大会にしたい。それこそが、成熟した国における五輪に違いない。

どうだったでしょうか。以上の諸政策は、五輪でなくてもやらねばまらないことだらけです。五輪にかこつけてやらねばならないことを、わざわざ、いちいちあげて説明するのです。これこそ安倍自公政権を応援するキーワードです。ここが最大のポイントです。

しかし、このことは裏を返せば、五輪がなければ、アベノミクス成長戦略には想定外のことだらけの諸政策です。安倍自公政権が実行しないことだらけということです。だからこそ、わざわざ、ドーピング行為によって獲得した東京五輪を正当化するための方便として、誰もが否定できないことを並べ立てて安倍自公政権に「東京五輪成功」「国際公約」という枠を課して、激励して、ドーピング行為を免罪しようとしているのです。

全国紙が、そうした手法に立つのは何故か。それは、細川政権以後の「不安定」な政権が続いてきたことの裏返しという事です。その「不安定」政権が続いたのは、選挙制度と二大政党政治を煽ってきたこと、その破綻が明らかになったにもかからず、煽ってきたマスコミ自身がその責任を免罪し、一強他弱を良いことに成立した安倍政権に不安を持ちながらも期待を寄せ、長期政権化しようとしているのです。そのためにも、安倍自公政権に、ある時はブレーキをかけ、ある時は励ますというマスコミの戦略があるのです。

このマスコミの戦略は、マスコミ自身の戦略ではなく、日米軍事同盟深化派の戦略そのものです。このことは方便発言をしたにもかかわらず鳩山政権と安倍政権とでは、その対応が違っていることに、象徴的です。

(5)しかし、こうした日本社会の思惑、日米軍事同盟深化派の思惑が国際社会のなかで名誉ある地位を占めることができないことは明らかです。安倍首相のドーピング行為、方便は、今後大いなる禍根となって跳ね返ってくることでしょう。

何故ならば、今回の3都市の中で東京が選ばれた背景に、平和主義を掲げる日本の戦後政治があったこと、ゲンパツや基地、消費税など「ともすると日常の風景に埋没しがちだが」、国民の平和を求める地下水脈、すなわち平和的生存権思想が脈々と根付いていること、このことが奥深いところにあることを注目しなければならないことを強調しておきます。

何故国民は「日常の風景に埋没しがちか」、それは、今回の社説に観るように、日常的にテレビや新聞、雑誌、書物などマスメディアを通して日米軍事同盟深化派の容赦のないイデオロギー攻勢があるからです。

しかし、それでも、です。そのことは、愛国者の邪論が書いてきましたので、ご検討いただければと思います。

つづく

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ドーピング五輪特需の扇動TVと不正を追及しない全国紙の知的退廃が五輪と子どもと被災地を冒涜!

2013-09-10 | 東京五輪

今日の全国紙の社説はすべて東京五輪招致成功を記事にしました。以下テーマを一覧しました。

朝日 東京五輪/成熟時代の夢を紡ごう 2013/9/10 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1?

朝日 東京五輪/原発への重い国際公約 2013/9/10 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2?

毎日 20年東京五輪/未来への遺産を作ろう 2013/9/10 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20130910k0000m070133000c.html

読売 2020年東京五輪/復興と経済成長の起爆剤に 2013/9/10 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130909-OYT1T01260.htm

【主張】2020年東京五輪 成功は世界への約束だ 2013.9.10 03:28 2020年夏季五輪

http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130910/oth13091003280001-n1.htm

日経 国や都市の未来を考える五輪に 2013/9/10 4:00

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59483890Q3A910C1EA1000/

東京・中日 2020年/東京五輪 成功の条件 原発事故を封じ込めよ 2013/9/10 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091002000139.html
 

安倍首相の大ウソ発言について、各紙はどのように表現したのでしょうか。

朝日

安倍首相は招致演説で、汚染水問題に「責任をもつ」と表明した。記者会見では、原発比率を下げていき、今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させることも明言した。世界に向けた公約だ。内外に「五輪誘致のための方便」ととられないよう、実行力が問われる。…政権の最優先課題として取り組んでほしい。「状況はコントロールされている」「汚染水の影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」——国際オリンピック委員会(IOC)総会での安倍首相のプレゼンテーションと質疑応答は、歯切れがよかった。

毎日  言及なし

読売

安倍首相は、IOC側の質問に対し、「影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」「福島近海でのモニタリング数値は、最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水ガイドラインの500分の1だ」などと説明した。具体的事実を挙げて、五輪開催への影響を明確に否定したことが、IOC委員が抱く不安の解消につながったと言えるだろう。政府は今後、着実に汚染水問題を収束させねばならない。

産経

安倍晋三首相は国際オリンピック委員会(IOC)総会で行われた最終プレゼンテーションで、東京電力福島第1原発の汚染水問題について「健康問題は現在も将来もない」と語り、「さらに抜本的なプログラムに着手し、実行することを約束する」と話した。これは全世界に向けて発信した重い国際公約である。汚染水処理については東電任せにすることなく、政府が前面に立って事態を収束させる責任がある。約束は、果たさなくてはならない。

日経

最終プレゼンテーションでは安倍晋三首相が福島の汚染水漏れについて「状況は制御されている」と説明した。この発言には違和感もあるが、世界が不安視する原子力発電所の問題を早期に収束させることが、政府に課せられた第一の使命だ。

東京・中日(共同)

東京勢が売り込んだ「安心、安全、確実」。世界から後ろ指をさされないよう原発事故の封じ込めが欠かせない。…安倍晋三首相は「状況はコントロールされている。決して東京にダメージを与えない」と強調したが、説得力を欠く。原発の敷地内では刻一刻と大量の汚染水が発生し、海に流出しているのだ。政府が前面に立って対策に乗り出す方針を打ち出したのはIOC総会の直前だった。招致を有利に運ぶための方便だったのではないか。疑念を晴らすには情報を公開しつつ有効な手だてを素早く講じることだ。国の信用が懸かった国際的な約束だ。東京さえ安泰であれば事足りると響く発想も戒めたい。福島をはじめ東日本大震災の被災地の切り捨てにつながりかねない。

安倍首相のプレゼンについて全く言及していない毎日は論外です。しかし、言及した各紙も大いに問題ありです。その理由は、以下のとおりです。 

1.安倍首相のプレゼンの最大の特徴は、フクシマの「事実」の隠蔽発言と、その対策も展望を示していないという点で、全くのウソであったことです。

2.そのことは、安倍首相の発言の部分をよく読めば各紙も認めているのです。しかし、徹底した批判はありません。愛国者の邪論の検証・指摘は、以下のとおりです。ご覧ください。ご検討ください。

朝日は、いつものように姑息です。安倍首相の発言は、「歯切れがよかった」と言いながら、「内外に『五輪誘致のための方便』ととられないよう」と言いながら、「世界に向けた公約」だと声援を送っているのです。その声援は、その後の随所にわたってみなぎっています。

朝日は安倍自公政権の様々な問題点を指摘しながら、「将来像を語り、具体的な道筋を示すことが首相のつとめだ。日本での五輪開催の決定は、そうした取り組みを促す契機になってはじめて、心から喜ぶことができる」と、「方便」まがいの発言をした安倍首相を徹底して批判するのではなく、激励と応援のメッセージを送り、その手法すら提示しているのです。

安倍首相は、この社説を読んで喜んでいることでしょう。これなら、2020年まで政権を維持できそうだ!と。ここに朝日の姑息と不道徳ぶりが浮き彫りになります。

東京も、「招致を有利に運ぶための方便だったのではないか」と言っているのに、疑念を晴らすには情報を公開しつつ有効な手だてを素早く講じること」だと声援を送っているのです。

日経も、「福島の汚染水漏れについて『状況は制御されている』と説明した。この発言には違和感もある」とまで言っているのに、「世界が不安視する原子力発電所の問題を早期に収束させることが、政府に課せられた第一の使命」と、やはり声援を送っているのです。

産経は、安倍首相の発言を具体的に指摘することさえできず、曖昧な、抽象的な言葉でごまかした部分を指摘することで、やはりゴマカシました。

しかし、その産経でさえも、「全世界に向けて発信した重い国際公約」「政府が前面に立って事態を収束させる責任がある。約束は、果たさなくてはならない」と言わざるを得ないような安倍首相の発言だったのです。

読売は、「具体的事実を挙げて、五輪開催への影響を明確に否定したことが、IOC委員が抱く不安の解消につながった」などと擁護しながらも、やはり、「政府は今後、着実に汚染水問題を収束させねばならない」と言わざるを得ない事態があることを認めているのです。

3.五輪のプレゼンテーションの場で「公約」を発表しなければならないことそのものが、国民をバカにしていることを象徴しています。そもそも、この「公約」は、五輪に関係なく、もっと早く、国民に向けて発表さればければならない問題ではないのでしょうか。

結局、フクシマゲンパツの無策ぶりに対して国際的批判にさらされたという事実があったからこそ、東京招致を決定させるための手段として「公約」を語らざるを得なかったということではないでしょうか。もし、国際的批判に晒されなかったら、「公約」発表はなかったということになりませんか。ホントにケシカラン話です。

以下各紙の主張をみてみます。

朝日は、「原発比率を下げていき、今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させることも明言した。世界に向けた公約だ」と説明していますが、こんなことは、世界ではなく、国内ではないでしょうか。しかも「最大限」などと曖昧な基準に対して言及しらせず、容認しているのです。ここに朝日の姑息が浮き彫りになります。

更に言えば、安倍自公政権が、こうした政策を国内に向けて曖昧にしていたこと、その中で、汚染水が垂れ流され続けてきたこと、そうした事態に対して安倍首相は、ゴルフ三昧の静養をとっていたこと、などなど、世界から見ればトンデモナイことだったのです。朝日は、こうした安倍首相の言動を徹底して批判してきたでしょうか。

東京は、「とりわけ汚染水漏れの問題には、海外メディアから厳しい視線が注がれている。国際オリンピック委員会(IOC)の総会本番でも案の定、委員から質問が出た。国内ではともすると日常の風景に埋没しがちだが、世界は不安を覚えている」と解説していますが、何故、「海外で厳しい視線が注がれ…不安を覚えている」のに、「国内ではともすると日常の風景に埋没しがち」なのか、フクシマの当事者である日本、更に言えば最も身近なところにいる日本国民が、海外の厳しい視線を投げかけないのか、全く語っていません。

読売は、「最も懸念されたのは、海外でも報じられている福島第一原子力発電所の汚染水問題だった。韓国は6日、福島県など8県の水産物の輸入を禁止すると発表した。科学的根拠を欠く措置だ。東京のイメージダウンを図ったとの見方もある」などと、誰がそんな見方を語ったのか、明らかにせず、安倍自公政権の無策の責任を免罪しながら、社説を使って韓国民の意向を受けて対策を取った韓国政府を五輪招致活動を妨害しているかのように非難しているのです。呆れます。国際社会の恥でしょう。こうした視点は。

しかも、海外の厳しい視線を踏まえて、五輪招致を獲得するために打ち出した「今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させる」「世界に向けた公約」を意識して、「主要競技場の電力に再生可能エネルギーを使用する」などと、ゲンパツ再稼動は国際的に見れば困難であることを読売自身も認めているのです。潔くありません。

産経は「開催権を得た東京五輪は、日本の総力を挙げて成功させなくてはならない。これは世界と交わした約束である」などと、「日本の総力を挙げて成功」させる「約束」などと曖昧な日本語でゴマカシているのですから呆れます。その産経でさえも、やるべきことの第一に、「まず東日本大震災被災地の復興だ」と言わざるを得ないほど、復興が遅れているのです。その遅れている復興の中に何があるか。明瞭です。フクシマです。

しかし、産経は、こともあろうことか、

「招致に関してIOCから懸念材料とされた電力供給の不安に対しても、政府が責任を負う。安全性が確認された原発は速やかに運転再開が可能となるよう、立地自治体の理解を取り付けてほしい」などと、国際社会の「厳しい視線」を受けて「世界と交わした公約」「世界に向けた公約」である「今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させる」とかけ離れたことを平気で言っているのです。巨大なエネルギーが必要な五輪開催に当たって、破綻した原発エネルギーを使えと安倍自公政権を激励しているのです。国際社会からみて、こういう新聞ってどうなんでしょうか?全く理解できません。

つづく

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汚染水=コントロール・ブロックはアベノミクス東京五輪・成長戦略のための方便=ドーピング!世界の恥!

2013-09-10 | 東京五輪

少しですが、安倍首相のプレゼンにおけるウソ発言について、是非を問う報道がなされるようになってきました。しかし、まだまだ、そのウソについての意味づけは、非常に弱いように思います。何故か。それはアベノミクス成長戦略について、マスコミ全体が擁護しているからです。消費税増税を容認していたことと一致しています。

しかし、このウソ発言の意味は深刻です。一国の首相が、五輪憲章に反する行為を正々堂々をやってしまったからです。五輪もそうですが、スポーツ大会などの開会式の選手宣誓を思い起こしてください。「スポーツマンシップに則り正々堂々たたかうことを宣言します」のではなく、「アベノミクス成長戦略のためにはウソも方便、言行不一致でたたかうことを宣言します」というのが、安倍首相の本質だったのです。

今後、国際社会で、安倍首相のウソは必ず見抜かれていくことでしょう。その前に日本国民として何をなすべきか、そのことが鋭く問われているのではないでしょうか。

その点で思い起こさなければならないことは、鳩山首相の「抑止力は方便」発言です。

民主党は、政権公約のなかで、国民の要求に沿った公約を掲げました。コンクリートから人間へ、消費税増税もそうです。そのなかで普天間基地については、「国外、最悪でも県外」を掲げました。しかし、米国に屈して「県内移設」へと、公約を投げ捨てたのです。その際の言い訳が「抑止力」発言でした。その際の言い訳を「方便」だったと自己弁護したのです。本質は日米軍事同盟というカベと容認でした。

しかし、この大きなカベについて、鳩山首相は、いっさい述べませんでした。それはそうです。日米軍事同盟は、現在の日本にあって二重三重四重のシガラミとなって日本の政治経済社会に食い込んでいるばかりか蝕んでいるのです。これを廃棄するのか、と脅されたのでしょう。だから、「国外、最悪で県外」から「県内移設」へと転換したのです。

そうした背景を語らず、「方便」という言葉でゴマカシたのです。ウソとスリカエ、トリックをちりばめて自己弁護・自己免罪したのです。問題は、こうした鳩山首相に対して、マスコミ・自民党はどのように対応したのか、です。自民党は、民主党の公約違反を徹底的に、しかも「言葉尻を捉えて」と言われてしまうほど、攻撃しました。そうして国民の中に民主党に対する不信感を醸成させていたのです。マスコミも同様でした。沖縄の反応はどうだったか、です。

抑止力は方便“鳩山氏に不信再び 県内関係者「地元で声聞いて」2011年2月13日

 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-173444-storytopic-3.html

「海兵隊の抑止力は方便だった」と鳩山首相発言【リブ·イン·ピース9+25】

主張/鳩山首相方便”発言/日米合意は白紙撤回しかない鳩山見通しなく「県外」発言

【抑止力は方便】米軍普天間飛行場の県外移設を断念した理由に海兵隊 ... 

 鳩山首相や民主党の「公約」に対する考え方の甘さに対して批判が巻き起こったのは当然です。ところが批判・攻撃された民主党が取った対応策は自民党化でした。ここに二大政党政治の崩壊がありました。その延長線上にゲンパツ問題もありました。

自民党化した民主党から受け継いだ自民党がやっていることは、文字通り「先祖がえり」政治です。12月の政権奪還後の政権運営は、ますます国民から離反している政策を推進しているのですが、世論調査で救われているのです。それもこれもマスコミ対策に成功しているからです。だらしのないのはマスコミです。鳩山首相に対するバッシングの時と比べても、その甘さは目に余るものがあります。

その最大の出来事が、今回のウソ発言に対する批判の矛先の鈍さです。矛先は錆びてしまっています。こうした錆びついたマスコミが、安倍首相の言いたい放題、やりたい放題を許しているのです。特に本土からの差別を強調する沖縄の二紙の反応には問題アリです。沖縄二紙の言葉を借りて言うのであれば、フクシマ差別はどうするのか、曖昧だからです。

では、鳩山首相の「方便」発言を安倍首相に適用するならば、アベノミクス成長戦略推進のために、五輪を利用する、そのために「コントロール」「統御」「ブロック」という「方便」を駆使して、フクシマの汚染水問題について平気で大ウソをついたのです。安倍首相の応援団長である産経の言うような状況でないこと明らかです。安倍首相も鳩山首相と五十歩百歩でしょう。

【東京五輪決定】決め手は安倍首相の「安心、安全」演説 前回鳩山元首相と対照的

9.9 08:36 [五輪]

しかし、このウソ発言について、マスコミは微妙にゴマカシています。フクシマの事態は安倍首相が胸を張って「説明」したような事態にないことは明らかですし、今後の展望を胸を張って大ほらを吹いているような事態でないことも明らかです。しかし、張ったり演説をしてしまったことを、「国際公約をしたのだから、今後はしっかりやってくれ」式の日本語でゴマカスのです。

汚染水公約、福島の漁協「首相発言通り実行を」(2013年9月9日)

【汚染水対策は事実上の国際公約に】

こんなゴマカシが許されて言い訳はありません。そうじゃないでしょう!一国の首相が事実と異なることを言っていることそのものを問題にしなければなりません。ウソを言って、そのウソを後から取り繕うのです。子どもでも判ることでしょう。ま、安倍首相の発言は、この手法で一貫していますので、「今さら」ということですが、それにしても、五輪憲章違反です。国際舞台における大ウソ、大見得です。

今後、この大ウソ、大見得がバレた時、どのように弁解、取り繕うのでしょうか?鳩山首相は退陣しました。安倍首相はどうするのでしょうか?国際社会から、日本は経済、大儲けのためには、平気でウソを付いて、後から取り繕う国だということになるでしょう。しかも、そのウソをそのままにして五輪開催をするのです。五輪憲章違反でしょう。スポーツマンシップが泣きます。

この問題の本質は、五輪開催の資格上の問題です。アベノミクス成功(金メダル)のために、ドーピング(ウソ)が許されないの同じです。子どもの教育・子どもの未来のためにも、このような手法は絶対に容認できるものではありません。学校で、このようなことがまかり通らないことは当然です。政治の世界で許されるはずがありません。そういう問題です。

「(福島第1原発の)状況はコントロールされている。東京にダメージが与えられることは決してない」「フクシマについてお案じの向きには、私から保証をいたします。状況は統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません」と言い切りました。

これが国際社会の舞台の場で平然と語られたのです。国際公約というのであれば、もっと前に発言しておくべきでした。しかし、安倍首相は、汚染水問題が「非常時」といわれた時、何をしていたか。そうです。ゴルフをしていたのです。このことについては、繰り返し記事に書いてきました。

更に言えば、安倍首相の以下の日本語はスポーツを愛好する、スポーツに夢を託す子どもへの冒涜行為と言えます。とても教育的とは言えないものです。

…われわれが実施しようとしている「スポーツ・フォー・トゥモロー」という新しいプランのもと、日本の若者は、もっとたくさん世界へ出ていくからです。学校をつくる手助けをするでしょう。スポーツの道具を提供するでしょう。体育のカリキュラムを生み出すお手伝いをすることでしょう。やがて、オリンピックの聖火が2020年に東京へやってくる頃までには、彼らはスポーツの悦びを100を超す国々で1000万になんなんとする人々へ直接届けているはずなのです。今日、東京を選ぶということ。それはオリンピック運動の信奉者を、情熱と誇りに満ち強固な信奉者を選ぶことにほかなりません。スポーツの力によって世界をより良い場所にせんとするためIOCとともに働くことを、強くこいねがう、そういう国を選ぶことを意味するのです。(引用ここまで

[五輪]【最終プレゼン全文】安倍晋三首相「フクシマ、私から保証する。いかなる悪影響も及ぼすことはありません」

安倍晋三総理大臣のプレゼンテーション IOC総会(13/09/08) - YouTube

【カウントダウン五輪決定】東京招致委最終プレゼン全文(7)安倍晋三首…

【カウントダウン五輪決定】「東京は世界で最も安全」首相のプレゼンテーション発…

安倍首相「未来と安全に責任」…汚染水巡り強調 (2013年9月8日)

【汚染水、首相は最終プレゼンでこう説明した】

では、どうするか、です。最後に強調しておきます。

「汚染水はコンロトール・統御・ブロックされている」というドーピング行為によって東京招致という金メダルを獲得したという恥べき醜態をさらした安倍首相は直ちに退陣すべきです。ドーピング行為をした選手が競技の世界から永久追放されるのは常識です。しかも金メダルを返上、取り上げが妥当な対応です。これこそが国際社会の常識です。そのような意味を持ったウソ発言だったのです。

しかし、一度決めてしまったということであれば、日本がやるべきことは、フクシマの廃炉、すべてのゲンパツの廃炉、汚染水問題の完全解決、放射性廃棄物の完全管理を国際的に明らかにする政権の誕生とフクシマの完全復興をめざす政権、しかも五輪開催までに、すべてを完全に成し遂げる政権です。そうした政権の下で、東京五輪を成功させること、これしかないでしょう。これこそが、安倍首相が国際社会に公約したことの意味の具体化です。

以上、今回のウソ発言の意味を考えてみました。議論が巻き起こることを希望します。

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