愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

国民には増税しながら法人減税すれば賃上げ可能と増税を正当化する思想を振りまく輩に大渇を!その4

2013-09-25 | 日記

朝日は、21日付けの記事のなかで、法人減税政策の断行による効果を主張する安倍首相と菅官房長官、米倉経団連の思想を、以下のように紹介しています。

「経済成長が企業収益の改善をもたらし、賃金上昇や雇用拡大につながるというアベノミクスの基本思想」(安倍首相)、「企業業績が上がる。賃金が上がる。下請け代金も上がる。消費も増える。生産が拡大する。企業業績がさらに上がる。その好循環がつくれないとアベノミクスは失敗だ」(甘利経済再生相)、「企業が力をフルに発揮できる環境が整備できれば、雇用も上がるし賃金も上がっていく」(米倉弘昌経団連会長

この思想は逆に言えば、「法人減税がなければ賃金が上がらないぞ、雇用も確保できないぞ」ということを言っているようなものです。ふざけるな!です。散々法人減税の恩恵を受けてきたくせに、何を言うか!です。ここに現局面の最大の課題があるように思います。

朝日は、この思想を紹介するという形をとりながら、真っ向から対峙している思想と運動を紹介することはしないのです。実は、彼らの思惑をこうした手法で振りまくのです。ここが最大のポイントです。しかし、消費税増税と法人減税による「懸念」が払拭されたわけではありません。だから、法人減税に難色を示し、消費税増税に反対ではない麻生副総理・財務大臣を「正義の味方」のように描くという手法を使うのです。

こうした麻生氏のような発言が注目されるのは「国民に増税、企業に減税」の理不尽性が浸透してきたからでしょう。増税派勢力の方法をめぐる内部対立が起こっているのです。国民と離反している証拠です。運動の成果といえます。大義は国民の側にあります。

日経 財務相、法人減税「投資、人件費に回る保証ないと」   2013/9/20 11:54

読売 麻生氏、法人税の実効税率引き下げに否定的       2013年9月19日09時24分

朝日 賃上げ·雇用増で法人税減税拡充 政府、消費増税で検討   2013年9月18日6時53分

朝日 法人減税、政府を二分 甘利氏検討明言、麻生氏は反対 -  2013年9月13日23時40分    

それにしても、法人税減税が賃金値上げに効果的というウソと消費税による経済対策にとって不可欠というスリカエを言えないような状況、国民的合意をつくりだしていく必要があるように思います。

そこで、法人減税に反対ではないけれども米倉経団連などが主張する、口実とする「日本の法人税が諸外国と比べて高い」論について、反対主張をしている人のブログがありましたので掲載しておきますので、以下をご覧ください

<form>

日本企業の法人税等の負担は本当に重いのか? 

http://kitanotabibito.blog.ocn.ne.jp/kinyuu/2013/08/post_ef13.html

…私は法人税の引き下げに反対するものではないが、「日本の法人税は国際的に見て高い」という意見は余りに表面的過ぎると考えている。企業はモノやサービスを生み出し、従業員に給料を払い、国や自治体に税金と社会保険料を払うことで国民の福祉に貢献している。消費税の引き上げと同時に法人税の減税を行うなら、企業はそのメリットを社会に対してどのように還元するのか示していく必要があるだろう。(引用ここまで

また共産党の佐々木憲昭さんの主張がマスコミに取り上げられれば、もっと違った展開になることは明らかです。ここでも成熟した民主主義国ニッポンの最大の欠点が見えてきます。

【13.09.20】景気対策として「法人税減税」は筋違い

【13.09.21】安倍総理はどこまで日本経団連の言いなりなのか!

【13.09.15】減税で賃金が引き上がるのか?(facebookより) (facebookページより奮戦記)

</form><form></form>

【13.09.12】誰のための消費税増税か(twitterより)

ところで、法人減税は、90年代から行なわれていました。その効果は、賃金が上がったなどというものでは、さらさらなく、巨大な内部留保の蓄積と現金の蓄えにまわされていたのです。いろいろな口実をつけて。しかし、今、財界・政府・マスコミはそのことを覆い隠しているのです。こうした大ウソを撒き散らしているからこそ、安倍首相や米倉経団連会長などの大ウソ発言を許しているのです。このことは財務省のHPを見れば明瞭です。ご覧ください。

一般会計税収の推移と法人税収、消費税収入の推移一覧

http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm

所得税収入 S61 16.8兆円  H03 26.7兆円   H23 13.5兆円

法人税収入 S60 12.0兆円  H01  19.0兆円  H23  7.8兆円

法人税率  H01 40% H02  37.5% H09  34.5%  H10 30.0% 

消費税収入 H01 3.3兆円  H09  9.3兆円  H23  10.2兆円

消費税率     H01 3%    H08 5%(引用ここまで

政府の「減税政策」を批判する 憲法の原則に逆行する危険な流れ-日本大学法学部教授 北野 弘久

内部留保を雇用になぜ活用しないのか。 駒深大学小栗崇資教授

大手30社の「内部留保」ため込み加速! 1年で6兆円増 - 経済·マネー ...

税経新人会全国協議会 - 「一体改革」と大企業の負担

大企業の内部留保 1年で10兆円超増/トヨタ8300億・三菱UFJ6000億・ソフトバンク4000億/月1万円賃上げ 数%で可能 [2013.6.5]

大企業の内部留保の一部活用で/月1万円賃上げ可能 [2013.1.7]

法人減税が企業の、しかも大企業・多国籍企業の内部留保と株主の配当金に回されていることは明らかな事実です。しかし、このことは自己責任論を撒き散らすことで、回避されています。防災や社会保障について、自助・共助・公助がキーワードとなっていることも、国家や行政の責任回避の典型です。このイデオロギーが日本国中に撒き散らされていることに、安倍首相や米倉経団連の言いたい放題、やりたい放題の最大の背景と責任があります。

労働者や国民が必死になって働き、生産し、つくりだしてきた「価値」カネを特定の団体や個人が囲い込むことで、還流できなくなってしまっている社会が、現在の日本です。溜め込んだものは吐き出し、全国民が使うことで、企業に還流されるのです。

まさにカネは天下の回り物です。企業の証券報告書や株主総会提出文書などに書かれているガバナンスに、必ず書かれているステイクホルダーの利益尊重主義です。お客様は神様主義です。この思想が欠けているのが、日本の財界・多国籍企業といえます。勿論安倍首相も、です。そういう意味では極めて不道徳的といえます。以下の記事をご覧ください。

消費税増税を煽る全国紙が絶対にメスを入れない内部留保!共産党だけではないぞ!目を開けろ!その2(2013-08-13 19:29:58 )

消費税増税を煽る全国紙が絶対にメスを入れない内部留保!これでは財政危機の荒療治はできません!その1(2013-08-13 19:25:33)

安倍首相が消費税増税を「決定」するに至った経過について、朝日が記事にしていますので、ご覧ください。最大のポイントは、以下の言葉にあります。「ただ、企業減税を突破口に賃金引き上げにつなげる「好循環」を狙う首相のシナリオが、本当に実現するかはこれからだ」と書く朝日のスタンスは明確です。

「首相のシナリオ」とは「消費税増税」に他なりません、それが「本当に実現するかはこれからだ」と激励するのです。しかも「企業減税を突破口に賃金引き上げにつなげる」と「賃金値上げ」のための「企業減税」というのです。この関係を「好循環」とするのです。呆れます。事実も歯車も違っています。消費税増税のための「本丸」は「法人実効税率の引き下げ」と「企業向け減税」によって「将来の賃金増や雇用拡大を促す」という訳です。

逆に言えば、「法律どおり」実行する消費税増税は、企業のための「減税」ができなければ、賃上げも雇用も不可能とい思想です。この「好循環」ができなければ政権も危ぶまれるという思想です。だからこそ、「首相は1ミリもぶれなかった」というのです。

「消費税率の引き上げはデフレ脱却と財政再建の両立という道筋が確かなものかをしっかりと見極め、判断したい」と言いながら、すでに結論は出ているのです。だからこそ、付則18条を自分の都合の良いように解釈して、そのツジツマを合わせるために企業減税の断行を1ミリもぶれ」ずに断行するのです。しかし、消費税増税は、家計の懐を冷やし、購買力を低下させます。しかも減税で増税分を賄うのです。或いは国債を発行するのです。財政再建などできるはずはありません。矛盾だらけです。支離滅裂です。

 

朝日21日付 2面 法人減税に首相固執

安倍晋三首相が来春の消費増税を決断した。アべノミクスで好転した経済の腰折れを防ぎ、さらに上向かせようと、首相は最後まで法人実効税率引き下げへの道筋づくりを譲らなかった。ただ、企業減税を突破口に賃金引き上げにつなげる「好循環」を狙う首相のシナリオが、本当に実現するかはこれからだ。▼1面参照

「賃金波及」好循環狙う    

 「民主、自民、公明の3党合意のころの経済状況で本当に増税できたのか。だれがここまで環境を整備したというのか」

 20日、首相官邸で昼食をともにした首相と菅義偉官房長官はこんな話題で盛り上がった。3党合意に基づき消費増税法が成立した昨年8月、日経平均株価は約8900円。いまや1万5千円台に届こうとする状況に、首相は「長引くデフレ脱却に道筋をつけられるのはアベノミクスしかない」と自信を深めてきた。消費増税に備えた経済対策の策定にあわせ、アべノミクスの成長軌道を確かにするための「矢」を仕掛ける。それが首相と菅氏の狙いだった。首相は家計を下支えする財政出動だけでなく、「アベノミクス税制」(政権幹部)実現を目指した。その「本丸」が法人実効税率の引き下げだった。企業を優遇して家計支援を後回しにすると批判されても企業向け減税に踏み切り、将来の賃金増や雇用拡大を促すことにこだわった。

 首相は今月9日、4~6月期の国内総生産(GDP)2次速報値の上方修正を受け、経済指標面で増税の環境が整ったと判断。

翌10日、麻生太郎財務相と甘利明経済再生相に経済対策のとりまとめを指示し、こう強調した。「消費税率の引き上げはデフレ脱却と財政再建の両立という道筋が確かなものかをしっかりと見極め、判断したい

 これに対し、財務省は一時的な財政出動でしのごうと、早い段階で「補正予算と減税策を組み合わせて5兆円規模」のカードを切ったが首相は規模感に見向きもせず、財務省側は真意を見誤った。ここから焦点は、法人税の扱いに絞られた。

 首相は18日、麻生氏との協議で企業への復興増税を来春に1年前倒しで終了すると確認。法人実効税率に切り込む端緒が開かれた。2015年度以降、さらに深掘りできるか。首相は菅氏との昼食から3時間後、最後の攻防に臨んだ

 木下康司事務次官ら財務省幹部はその直前、官邸内の麻生氏の部屋で作戦会議を開催。麻生氏は、復興法人増税の1年間の税収9千億円分を譲歩するところまでは幹部らを説得した。ただ、麻生氏と財務省幹部も、15年度以降の法人実効税率の一段の引き下げについては、「検討」の線を譲らなかった。財政健全化目標の達成が難しくなるため、この秋に減税幅や開始時期を明示するのは無理との立場からだ。財務省幹部は「この一線を越えたら国際公約を果たせなくなる。首相も理解してくれる」と期待をつないだ。

 午後4時18分、首相は麻生、甘利両閣僚を執務室に呼び入れた。財務省幹部から説明を受けた後、首相はこの場で財務省幹部や麻生氏に言質を与えなかったものの、ただちに確定できない法人税の減税時期や幅については来年末の税制改正大綱に向け議論を深めることで折り合う意向を固めた。「検討」どまりとは言え、法人税引き下げが盛り込まれることに、政権幹部は「財務省の言いなりにはならない。首相は1ミリもぶれなかった」とみる。復興増税終了で実効税率引き下げに切り込み、さらなる引き下げへの道筋もつけられた―。首相はこう判断し、消費増税を決断した。(引用ここまで)

つづく

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消費税増税のためにも国民に飯を食わせと政労使の声を紹介する朝日の安倍自公政権応援の自己矛盾その3

2013-09-25 | 日記

次は、国民に飯を食わせる意味を取り違えている朝日の記事を検証します。朝日は、1面・2面・6面で消費税増税が国民生活に大きな影響を与えることを認めているのです。

「今回の消費増税はまず家計を直撃する」として、消費税8%での家計負担増の総額を約6兆円とはじいた。国民1人につき年5万円が税金として政府に吸い上げられる計算」(政府の経済財政諮問会議の民間議員)という試算を紹介しています。ここに最大の矛盾があります。

この矛盾をアウフヘーベンするために、朝日は、「もしも経済対策が家計に届かず賃上げが不発に終われば、家計は増税と物価高の『ダブルパンチ』に見舞われ、消費と景気を一気に冷やす恐れある」から「消費税率引き上げを控え、そうした懸念を払拭するためにも…問題は、減税や円安などアベノミクスの恩恵で潤った企業が、実際に利益を賃金や雇用に回すかだ」と、消費税増税の中止ではなく、値上げに注文をつけて、自らの報道姿勢を棚上げして、その責任を企業に転嫁するのです。

何故、朝日の、この指摘が問題か。それは、国民生活向上・改善という実体経済の課題を顧みない「アベノミクス経済対策の基本思想」を前提にしているからです。以下の朝日の指摘をご覧ください。

安倍首相 経済成長が企業収益の改善をもたらし、賃金上昇や雇用拡大につながるというアベノミクスの基本思想

甘利経済再生相 「企業業績が上がる。賃金が上がる。下請け代金も上がる。消費も増える。生産が拡大する。企業業績がさらに上がる。その好循環がつくれないとアベノミクスは失敗だ」

好循環のカギは「賃金」(2面の図)

安倍首相「大胆な法人減税」➜企業が潤う➜賃金を上げる➜賃上げが消費増税をカバー➜消費の落ち込み回避➜モノが売れる➜企業が潤う(好循環コース)

安倍首相「大胆な法人減税」➜企業が潤う➜賃金を上げない➜消費増税が家計を直撃➜個人消費が落ち込む➜景気が腰折れ(腰折れコース)

米倉弘昌経団連会長 「企業が力をフルに発揮できる環境が整備できれば、雇用も上がるし賃金も上がっていく」と主張し、法人実効税率引き下げに期待感

古賀伸明連合会長 「2009年春闘以来、統一ベア要求を見送ってきた連合」のデフレに協力してきた責任を不問に付しながら「デフレを脱却して持続的な経済成長をするためには、国民所得の向上、将来に対する不安の解消が大前提だ」と紹介しているのです。しかし、連合そのものは、消費税増税に賛成です。以下をご覧ください。

連合会長、消費税「法律に沿って増税するのが基本」 点検会合 :日本 ...

備忘録 【今後の経済財政動向等についての集中点検会合】消費増税点検 ...

(消費増税は)前提条件付きの賛成だ。メリット・デメリットが色々あり、加えて社会保障と税の一体改革の骨格というのは最初、連合としても集中検討会議などあらゆる会議で意見の反映に努め、一定程度の主張が入った。基本的にはあの法案に沿ってやっていくことが我々のスタンスだ。だが、ここへきていくつか前提がある。1つは社会保障と税の一体改革と言っているにも関わらず、増税だけの話となっている。社会保障を将来的にどういう風にやっていくか、残念ながら国民会議の報告書でも明確になっていない。国民の不安は払拭できない。片方で公共事業が増大して、国民会議の報告書も負担増、給付削減がめだつ。そうなれば「社会保障カット・公共事業増」のように国民が受け止める可能性も十分ある。2点目は、雇用の問題。就業者の9割を日本は雇用労働者が占める。雇用が安定し、適正な処遇を受けることで社会保障制度も成り立つ。新しい雇用の創出が最初に行わなければならないのに、それを置き去りにして労働移動支援策への転換や、雇用・解雇ルールの規制緩和、労働分野の規制緩和が議論されていることについて、国民は不安に思う。社会全体が不安になれば消費増税にも否定的にならざるを得ない。3点目は増税したときの様々な課題。たとえば低所得者に対する対策だとか、駆け込み需要から消費が落ちる事への対策を万全にしなければならないし、所得税・資産課税の累進制、所得の再配分機能をより強化するような策を一緒に出すべきではないか。4点目は、法案作りの時に「国民に負担を押しつけるなら自らが身を切らなければならない」として3党合意した国会議員の定数削減。どうも棚上げになっているように思う。これらのことはすぐに解決できないものもあり、議論して方向付けしてほしいと申し上げた。(前提条件は)これがずれてるから0点というものではないので、方向付けが議論されるというのであれば、法案通りに実施していくべきだというのが基本だ。(増税の)影響が大きくなる部分については手当てをしなければならない。駆け込み需要でも、低所得者をどうするかも含めて手当てを打たなければならない。(連合内では)法案を通したときにきちんと組織で論議して賛成してきた。675万人に1人1人聞いていけば違いはあるが、大きな方向については確認をしていると認識している。(引用ここまで

まず第一に、政労使会議に決定的に不足しているのは、消費税増税反対派が入っていないことです。特に労働界には連合以外に全労連があります。ここに最大の差別と欠点があります。ここに本質があります。

以下の消費税増税反対派の運動が、マスコミによって紹介されないのは、成熟した民主主義国ニッポンとしては最悪・最低の出来事と言えます。朝日をはじめ日本のマスコミが中国や北朝鮮の人権と民主主義の実態について、「批判的」記事を書いていますが、隣の国の人権と民主主義のことをあげつらうのではなく、自国の人権と民主主義の重大な問題について、系統的に追及すべきです。マスコミの自殺行為と言えます。

国民の8割は増税反対 消費税増税やめよと全労連が宣伝行動

主張/9·27国民大集会/消費税増税中止の一点で - 日本共産党中央委員会

メールニュースno258 - 全国労働組合総連合

以上紹介した「アベノミクス経済対策の基本思想」の過ちは、以下のとおりです。

1.「好循環コース」に象徴されているように、企業が儲かるために、国民の税金を使うという思想です。

2.国民の税金を使わないから企業業績が上がらない。だから賃金が上がらないのだという思想です。賃金決定は「賃金水準は労使で決めるもの」という朝日の指摘のいうように労使の「契約」上の問題です。

3.しかし、95年の「新日本的経営」(日経連)発表後、雇用や賃金などの労働条件について、財界の要望を政策化してきたこと、公務員の「不祥事」を口実にバッシングして賃金。雇用削減をしてきたことが、今日のデフレを創出してきたことは明らかです。

4.同時に、法人減税をはじめとした企業優遇税制・金融・財政政策は、戦後自民党の専売特許でした。しかし、企業が大儲けの結果、巨大な資本を集中してきた実績と国民が「裕福」になった関係は明らかにされていません。朝日は以下のように指摘し、アベノミクス成長戦略が参考にする池田勇人の所得倍増計画を正当化するのです。

…「所得倍増計画」を掲げた池田勇人内閣(1960~64年)の時は、企業のもうけ(全企業の経常利益)は60年度から64年度にかけて1・4倍に増えたが、平均年収はそれ以上の1・6倍に増えた。だが、小泉純純一郎内閣(2001~06)の時に増えたものの、平均年収は1割も減った。(引用ここまで

ところが、一之瀬秀文『国家独占資本主義研究』(新日本出版社72年11月刊)に掲載されている「経済力の諸指標における大企業(資本金10億円)以上の集中度」(単位10億円)。「公正取引委員会事務局編」によれば、昭和35年度から昭和44年度の諸指標は以下のとおりです。朝日の「指標」、物価指数や賃金、資本集積などの関連を含めて、今後検討されなければなりません。

営業利益  全法人3.96倍 大企業4.38倍

売 上高  全法人4.03倍 大企業5.03倍

従 業員  全法人1.52倍 大企業1.81倍

投    資  全法人5.52倍 大企業5.95倍

企 業数  全法人1.66倍 大企業2.65倍(引用ここまで

更に、統計指標研究会編『統計日本経済分析上』(新日本出版社77年10月刊)の「階級別1人あたり所得」(「国民所得統計」各年他より算出)によれば、1960年から1970年度までの推移は以下のとおりです。労働者国民がつくりだした「価値」がどこへ集積されていったか、ご覧ください。単位は万円です。

資本家階級    378➜1,179

労働者階級     26➜    85

商工等自営業者  28➜   104

農・漁民       12➜     37(引用ここまで

5.「資本」・カネを出資して生産手段を所有する資本家と自らの労働力を「商品」として資本家に販売して、労働する対価として「賃金」・カネを得て生活する労働者と生産手段を所有する商工業者・農漁民のつくりだす「価値」・カネが、どのようにして循環し、どこへ集積されていくか、そのことを具体的に明らかにすることが、今日特に重要です。その際の、最大の、かつ重要なことは「働く」こと、「生産する」ことです。

ところが、現在、その働くことによってつくりだされたカネが、マネーゲームという装置によって操作され、カネが一部の人間や法人に集積されているという事実です。アベノミクス成長戦略は、「働く」「生産する」当事者への報酬を第一に考慮した政策とは言えないものであることは、朝日の各氏の発言、特に米倉経団連会長の政府に要望する発言を見れば明瞭です。

だからこそ、このメカニズムを全ての分野にわたって暴いていくことこそ、国民が主人公の為り得るのではないでしょうか。労働者・国民の「俺の、私の」働きと報酬の格差を見極める力・能力です。

6.一見すると、家計・賃金を重視しているかのようなフリをしながら、「解雇特区」の設置に、その思想がいっそう明白になります。この思想は、外国人労働者を低賃金労働者に落としこみ、日本の労働者と分断・対立させる。日本の労働者は正規労働者と非正規労働者を分断・対立させる、そのなかで、資本家のみが大儲けするという装置を、財界の要望に沿ってつくろうとするものです。基本的人権を不断の努力で築いてきた人類の営みの結晶である日本国憲法と労働三法の民主的「規制」を「緩和」するというものです。ここに「倍返し」が喝采をあびる背景があります。

以下、朝日の記事をご覧ください。

朝日21日付1面 首相賃上げ協力要請 政労使会議

 安倍晋三首相は20日、政府、労働界、経済界の代表による「政労使会議」の初会合を首相官邸で開いた。首相は「経済がプラスに反転する動きが出ている。企業収益、賃金、雇用の拡大を伴う好循環につなげられるかどうか勝負どころだ」と述べ、賃上げや雇用拡大への協力を求めた。 ▼6面=労使に温度差

 首相は会合で「成長の好循環実現のための課題について、共通認識を醸成する。政府としても思い切った対応を検討していく」と語り、早期の法人実効税率引き下げを含めた環境作りを進める考えを表明した。経団連の米倉弘昌会長は「企業が力をフルに発揮できる環境が整備できれば、雇用も上がるし賃金も上がっていく」と主張し、法人実効税率引き下げに期待感を示した。連合の古賀伸明会長は「デフレを脱却して持続的な経済成長をするためには、国民所得の向上、将来に対する不安の解消が大前提だ」と訴えた。(引用ここまで

朝日21日付2面 家計潤わなければ悪循環

消費増税を決断する3時間ほど前、安倍首相は官邸で労働界と経済界のトップと向き合った。その場で首相が繰り返し口にしたのが「好循環」という言葉。経済成長が企業収益の改善をもたらし、賃金上昇や雇用拡大につながるというアベノミクスの基本思想だ。賃上げには、首相の強いこだわりがある。甘利経済再生相は20日の記者会見で「企業業績が上がる。賃金が上がる。下請け代金も上がる。消費も増える。生産が拡大する。企業業績がさらに上がる。その好循環がつくれないとアベノミクスは失敗だ」と解説した。消費税率引き上げを控え、そうした懸念を払拭するためにも、首相は経済界に賃上げを促す環境整備が思惑通りに進むとは限らない。問題は、減税や円安などアベノミクスの恩恵で潤った企業が、実際に利益を賃金や雇用に回すかだ。

 かつて「所得倍増計画」を掲げた池田勇人内閣(1960~64年)の時は、企業のもうけ(全企業の経常利益)は60年度から64年度にかけて1・4倍に増えたが、平均年収はそれ以上の1・6倍に増えた。だが、小泉純純一郎内閣(2001~06)の時に増えたものの、平均年収は1割も減った。低成長時代で消費も盛り上がらない中、企業はリストラなどで利益を出し、稼いだお金は借金返済や内部留保に回した長く続いたデフレの影響もあり、こうした企業マインドはなかなか変らない。今回の消費増税はまず家計を直撃する。政府の経済財政諮問会議の民間議員は13日、消費税8%での家計負担増の総額を約6兆円とはじいた。国民1人につき年5万円が税金として政府に吸い上げられる計算だ。さらに日本銀行は2年後に2%の物価上昇をめざしている。もしも経済対策が家計に届かず賃上げが不発に終われば、家計は増税と物価高の「ダブルパンチ」に見舞われ、消費と景気を一気に冷やす恐れがある。「好循環シナリオ」は実現するのか。経済官庁の幹部は「賃金を上げてくださいと企業にお願いするしかない」。首相もこの日の政労使会議をこう言って締めくくった。「本日は貴重な意見をいただいたことに感謝したい。政労使が胸襟を開いて議論を交わし、ともに成長の好循環をつくっていきたい」(引用ここまで

朝日21日付6面 賃上げ労使に温度差 初会合政府には政策要求

■政労使会議をめぐる思惑は三者三様だ

 

出席者

思惑

政治

安倍首相、麻生財務相、菅官房長官、

甘利経済再生相、田村厚労相、

茂木経産相

アベノミクスの効果が家計にも及ぶように賃上げを促し、経済の好循環を実現したい

 

経営

米倉弘昌・経団連会長、

岡村正・日本商工会議所会頭

鶴田欣也・全国中小企業団体中央会会長

政権とのパイプを再構築するとともに、法人減税や労働規制の見直しを進めたい

 

労組

古賀伸明・連合会長、

逢見直人・UAゼンセン会長

員中行雄・JAM会長

賃上げや非正規雇用の待遇改善を実現し、労組の存在感をアピールしたい

 20日に開かれた「政労使会議」の初会合で、安倍晋三首相が労使に賃上げへの協力を求めたことは、来年の春闘の行方に大きな影響を与えそうだ。ただ、会議をめぐる3者の思惑は微妙に食い違う。実のある合意ができるかは不透明だ。▼1面参照

 労使の代表者は終了後、「非常に大事な討議の場だ」(経団連の米倉弘昌会長)、「意見を述べあい、共通認識に立つのはいいことだ」(連合の古賀伸明会長)と開催を歓迎した。労使は「賃金水準は労使で決めるもの」と、政府も加わる政労使会議への参加に慎重だった。半面、会議への参加は、自らが求める政策の実現に向けた近道になるとの計算も働く。高支持率の政権の意向を無視できず、労使とも会議で主張を展開する方針に傾いた。この日の会合の冒頭、甘利明経済再生相は、「具体的な賃金水準や賃金制度に関する課題は、会議のテーマにしない」と述べ、企業や産業別の賃金水準の議論はしないことを表明した。労使の代表者からは、政策要求が相次いだ。米倉会長は「規制改革や(海外勢と)イコールフッティング(対等な競争条件)実現のための取り組みを推進してほしい」。労働分野の規制の緩和や、海外よりも高いとされる法人税の引き下げを求めた。連合の古賀会喜ら労組側も、「正社員と非正規雇用との格差是正や、女性の社会進出を支援する必要がある」。ただ、労使の思惑は違う。たとえば政府内で検討が進む、地域や職種を限った「限定正社員」の拡大をめぐっては、経済界は賛成だが、労組側は働き手が不利な環境におかれかねないと反対する。会議は来年1月ごろまで開かれるが、「何らかの合意をするかどうかまだ決まっていない」(内閣府幹部)という。賃上げをめぐっても温度差がある。経済界では「春闘で賃金の上昇もありうる」(岡村正・日本商工会議所会頭)などと容認論が広がる。だが堅調な輸出企業でも、豊田章男・トヨタ自動車社長が19日に「持続的競争力につながる判断を(各社に)期待したい」と発言するなど、ベースアップ(ベア)に慎重な声もある。労組も一枚岩ではない。2009年春闘以来、統一ベア要求を見送ってきた連合にとって、賃上げを獲得して労組の存在感を高める好機だ。ただ、来年4月の消費増税後、買い控えなどによる景気の腰折れ懸念も出ている。「ベアを勝ち取る自信はだれにもない」(大手自動車メーカーの労組幹部)との声が漏れる。(山口博敬、豊岡亮)(引用ここまで

朝日21日付3面 「解雇特区」政府が検討 労働時間規制せず・残業代ゼロ 

解雇ルール

入社時に契約した解雇条件にあえば、どんな解雇でも認められるようにする

労働時間

一定の年収がある場合など、労働労働時間の規制がなくなり、残業代が出なくなる。休日や深夜労働の割増賃金もない

有期雇用

短期契約を繰り返す労働者が、5年超働いても無期転換できなくする契約を認める

開業後5年以内の事業所は①②。外国人労働者の比率が3割以上の事業所は①~③     

政府は企業が従業員を解雇しやすい特区を作る検討に入った。労働時間を規制せず、残業代をゼロにすることも認める。秋の臨時国会に出す国家戦略特区関連法案に盛り込む。働かせ方の自由度を広げ、ベンチャーの起業や海外企業の進出を促すだが、働き手を守る仕組みは大きく後退する特区は安倍政権がすすめる成長戦略の柱の一つ。20日の産業競争力会議の会合で安倍晋三首相が田村憲久・厚生労働相に指示した。実現性を見極め、10月中旬に特区地域を指定する。

 解雇ルールや労働時間規制の緩和は、特区内にある開業5年以内の事業所や、外国人労働者が3割以上いる事業所が対象だ。今の解雇ルールでは、やむをえない事情がなければ、経営者は従業員を解雇できない。特区でこれを改め、働き手と企業との契約を優先させる。例えば、「遅刻をすれば解雇」といった条件で契約し、実際に遅刻をすると解雇できる。立場の弱い働き手が、不利な条件を受け入れ、解雇されやすくなりかねない。また、今の労働時間の規制は原則1日8時間で、それを超える場合に労使の協定が必要。特区では、一定の年収がある場合にすべての規制をなくし、深夜や休日にどれだけ働いても割増賃金を払わないことを認める働き手が希望した場合に限るとの条件をつける。こうした制度は「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼ばれ、第1次安倍政権でも検討されたが、「残業代ゼロ法案」と批判を浴びて断念した。外国人労働者の多い事業所では、有期契約の労働者を続けて働かせやすくする。今年4月の法改正で、短期の契約を繰り返す契約社員やパートが5年を超えて同じ職場で働いた場合、正社員のように無期契約で働けるようになった。特区ではこのルールが適用されないことを認める。(山本知弘、清井聡)(引用ここまで

つづく

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