今日の朝日の社説を見て、昨日の社説と同じように、その姑息さに呆れ、怒りを感じました。それは、
1.「消費増税―法律通り実施すべきだ」というテーマについて、です。このことは甘利大臣の講演を報道したNHKも同じです。これは、他のマスコミも同じです。
2.これは政府の増税を正当化する方便=イデオロギー攻勢といえます。
3.政府・マスコミ・財界が一体となって、国民を増税やむなしに扇動しているのです。
4.何故か。「法律どおり、法律にしたがって」論を吹聴する政府も朝日もNHKも、その「法律」=「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」の一部にある「附則」を覆い隠しているからです。この「附則」も「法律」なのですから、余りにも偏向していると言えます。
5.財務省のHPに掲載されている概要をみれば、「附則」を掲げなければ法律が通過できなかったという事情を無視した朝日の「法律通り」という姑息が、大ウソであることが判ります。
6.しかも、「福島第一原発事故の収束は、そもそも五輪とは関係なく取り組むべき問題だ。」「東北地方の再興はもちろん、日本全土で五輪の恩恵を分け合う工夫が必要だ」「今の日本は、様相が違う。少子高齢化に財政難の時代である。高度成長期と同じ夢を追いかけることはできない。 都市も社会も成熟期を迎えた今、インフラではなく、人に資産を残す五輪を提唱したい」などと書きながら、「東京五輪の開催決定も追い風となりそうだ」などと平気でウソを書くのです。
4.しかも、「21世紀の新しい五輪の姿を示す成熟国家の力量やいかに」などと言いながら、「日本への関心の高まりをとらえれば、観光業などでも恩恵が期待できる」などと、外国人にも消費税増税分を課していくのです。7年後は10%です。100万円分を持参した外国人は10万円分は消費税で取られるのです。これが「成熟した国家」の「お・も・て・な・し」なのです。
5.更にいえば、前回の増税も「97年末の金融危機の影響」と正当化しているのですから、呆れます。
6.「国の財政は当時から大きく悪化」と、「財政悪化」の原因も明らかにせず、曖昧にしたまま、「増税を先送りした場合のリスク」などと、増税を正当化しているのです。
7.税率3%分の負担増は8兆円で、その負担解消は、「企業の収益改善を雇用や賃上げにつなげていく手立て」「増税の負担が特に大きい低所得者への対策」を「しっかりと講じる」と、容認するのです。そもそも、朝日のいう「心配」があるのであれば、増税なんかしなければ良いのです。
8.しかも、「安易な公共事業のばらまきは行わない」などとアベノミクス強靭化に釘を刺しているフリをしながら、実は「やったもんが勝ち」式の無責任極まりない思想と言わなければなりません。
9.このことは安倍首相のドーピングプレゼンを徹底して批判しなかったことと同じで、結局は「最新の経済指標は環境が整った」「東京五輪の開催決定も追い風」を利用して「安倍首相は、ぶれずに予定通りの実施を決断すべき」と書いてしまうなど、アベノミクス成長戦略の応援団という朝日の姑息と立ち居地を浮き彫りにしたものと言えます。
10.この増税が、ワーキングプア花盛りの成熟した国家である日本で、如何に憲法違反か、想像してみてください。日米軍事同盟容認派の朝日の憲法認識が透けて見えてきます。
以下、朝日とNHKと増税法の附則を掲載しておきます、ご覧ください。全くケシカラン話です。
明日は、このケシカラン話を検証してみます。
消費増税―法律通り実施すべきだ 2013年 9月 11 日(水)付
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1
消費税の税率を法律通り、今の5%を来年4月から8%に、15年10月に10%へ引き上げるかどうか。「デフレ脱却の機会をつぶしかねない」という反対論も強かったが、最新の経済指標は環境が整ったことを示している。 安倍首相は、ぶれずに予定通りの実施を決断すべきだ。今年4~6月期の経済成長率の改定値は、物価変動の影響を除いて年率3・8%と、1カ月前の速報値から1・2ポイント上方修正された。堅調な個人消費に加え、企業の設備投資が1年半ぶりにプラスとなるなど、バランスがとれてきた。東京五輪の開催決定も追い風となりそうだ。日本への関心の高まりをとらえれば、観光業などでも恩恵が期待できる。消費増税時には、駆け込み需要に伴う反動減などで経済の落ち込みは避けられない。ポイントは、短期間でプラス成長に戻れるかどうかだ。引き合いに出されるのが、税率を3%から5%に上げた97年度以降の悪化である。消費増税以外にも所得税の特別減税打ち切りなどで負担増が9兆円に及び、長期デフレの引き金を引いたと批判される。ただ、この時も消費増税から3カ月たった97年7~9月期には個人消費、経済成長率とも前期比プラスに転じていた。10~12月期にわずかながらマイナスに逆戻りし、その後一気に落ち込んだのは、97年末の金融危機の影響が大きかったと考えるのが自然だろう。国の財政は当時から大きく悪化し、借金は1千兆円を超えた。税収に匹敵する国債を毎年新たに発行しており、将来世代へのツケ回しが続く。財政の先行き懸念から国債価格が急落(利回りが急騰)すれば、経済の再生はおぼつかない。増税を先送りした場合のリスクは大きい。消費増税には、現役世代に偏った社会保障の負担を広く分かち合い、子育て世代への支援を強める狙いもある。社会保障の安定、世代間の公平に向けた重要な一歩だ。むろん、消費増税の負担は軽くない。デフレの影響で日本経済自体が97年当時より縮んでいるなか、税率3%分の負担増は8兆円に及ぶ。企業の収益改善を雇用や賃上げにつなげていく手立てや、増税の負担が特に大きい低所得者への対策をしっかりと講じる。安易な公共事業のばらまきは行わない。政府がやるべきことは、はっきりしている。(引用ここまで)
消費税「首相は来月1日に判断」 9月9日 14時3分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130909/k10014394551000.html
K10043945511_1309091413_1309091429.mp4
甘利経済再生担当大臣は、東京都内で講演し、消費税率を来年4月に引き上げるかどうか、安倍総理大臣が来月1日に判断すると明言したうえで、引き上げる場合は、景気の腰折れを防ぐための経済対策も同時に発表する考えを示しました。この中で甘利経済再生担当大臣は、法律に従って消費税率を来年4月に引き上げるかどうかについて、「来月1日に安倍総理大臣が判断する」と明言しました。そのうえで甘利大臣は「税率を引き上げる判断をした際は、同時に経済対策のパッケージも発表しなければならない。その規模と中身をどのくらいにするかで、日本がデフレから脱却できるかどうかが決まってくる」と述べ、税率を引き上げる場合は、景気の腰折れを防ぐための経済対策も同時に発表する考えを示しました。また、甘利大臣は「安倍総理大臣は、法律どおり消費税率を引き上げることに、ネガティブになっているわけではない。税率を引き上げ、日本経済がデフレから脱却して順調な成長軌道に乗っていき、経済成長と財政再建が達成されて社会保障の持続性も担保されれば一番よい。しかし、経済対策が十分なのかどうかを心配している」と述べました。(引用ここまで)
消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18 条)
・消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23 年度から平成32 年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
・この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。(引用ここまで)