「和平交渉」という手段こそ、憲法9条の真髄なのに
高尾憲法9条を持つ国日本が国際紛争を解決する手段を使っているとは言えない!
被爆地として安倍政権の日米軍事同盟=核軍事抑止力装置温存に声をあげないのか!
コロンビアの受賞を自分に当てはめる思考回路こそ必要不可欠だろう!
中國新聞 コロンビアと平和賞/真の和平への追い風に 2016/10/9
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=288699&comment_sub_id=0&category_id=142
コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領に、ことしのノーベル平和賞が授与されることが決まった。同国では50年以上にわたって悲惨な内戦が続く。子どもたちが誘拐されゲリラ戦闘員にさせられてきたほか、政府軍による虐殺も報告されている。今回の授賞は、ゲリラ側との和平交渉に一定の道筋をつけたことが評価されたといえる。
ただ肝心の和平合意は、今月2日の国民投票で否決されたばかりである。
このまま紛争に舞い戻らせてはならない—。今回の平和賞は、こうした国際社会の意志を反映し、和平を後押しする狙いがあるのは明らかだ。
コロンビアで、左派ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)と政府との戦闘が始まったのは1960年代にさかのぼる。ゲリラ側は麻薬の密売や誘拐による身代金を収入源に政府との戦闘やテロを繰り返した。内戦の犠牲者は約22万人、国内避難民は500万人以上になる。一時は国土の3分の1を実効支配したという途方もない巨大組織である。
サントス氏は、国防相時代にはゲリラ掃討に力を入れていた。しかし2010年に大統領へ就任すると一転、ノルウェーなどの仲介の下で和平交渉を進めてきた。ことし9月の歴史的な和平合意は、その粘り強い交渉力と手腕なくして実現できなかったに違いない。
ただノルウェーの国会から影響を受けるとされるノーベル賞委員会の決定に、コロンビア国内でも賛否の声があるのは確かだろう。国民投票で反対を投じた側からは「露骨な内政干渉」などの受け止めもあるという。
和平合意の是非を問う国民投票で強い反対運動が起き、極めて僅差とはいえ賛成を上回った事実はやはり重い。武装解除とともに、元戦闘員の減刑や、FARCメンバーに国会で議席を与えることなどが合意内容に盛り込まれた点について「市民を虐殺したゲリラに対して甘すぎる」などの批判が噴出したことは、内戦の犠牲者からすればやむを得ない面もある。
ただ、この否決は国民が和平自体を拒絶したという意味ではなく、あくまでその方法論についての疑問符だということも頭に置くべきだろう。
その意味で今回の平和賞が大統領個人のあらゆる判断にお墨付きを与えたとはいえまい。これからは大方の国民に理解が得られる和平プロセスを示し、再交渉を進める必要があろう。
FARCの側も、過去の犯罪行為について開き直るのではなく国民の怒りの背景にしっかり向き合い、あらためて和平の実現のために政府側に一定に譲歩することが求められよう。
ノーベル賞にかかわらず、国際社会がコロンビア和平の行方に強い関心を抱くのは、世界各地の混乱を収拾するモデルとして重要な意味を持つからだ。
例えば政府と反体制派の戦闘に加え、過激派組織「イスラム国」(IS)勢力の伸長で泥沼化しているシリア内戦である。数百万人が難民となっている。さらに中央アフリカなどでも地域紛争が絶えない現実がある。
コロンビアで真の和平が実現すれば、世界全体にとって希望の光明となり得よう。コロンビアへの関心をあらためて強め、和平交渉をサポートしたい。(引用ここまで)
被爆地ヒロシマにして、この程度の社説しか書かない!
憲法9条=非核三原則形骸化の核兵器・軍事抑止力にたっているからだ!
中國新聞 核実験自制決議/一歩前進だが物足りぬ 2016/9/25
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=285052&comment_sub_id=0&category_id=142
爆発を伴う核実験の自制をあらゆる国に求める決議案が、国連安全保障理事会で採択された。主導したのは米国である。退任まで4カ月足らずのオバマ米大統領にとっては、核軍縮をアピールできる最後の国際舞台。「核兵器なき世界」の実現に向け、何としても実績を残したかったのだろう。決議は、核爆発を伴うあらゆる核実験を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効の重要性と緊急性を強調している。CTBTは採択されてから20年もたつのに、米国や中国など8カ国が批准しておらず、インドや北朝鮮は署名もしていない。存在感の薄れるCTBTについて、国際社会があらためて早期発効を誓い合ったことには、核軍縮に向けた一定の意義を認められよう。
ただ、どこまで実効性があるだろうか。広島や長崎の被爆者からも案じる声が聞こえる。
残念なのは、決議に拘束力を持たせられなかったことである。当初は制裁に道を開くための文言が盛り込まれていたが、途中で削除された。核実験の監視施設を持つ国々に定期的に報告の義務を課すはずが、努力を促すにとどまった。
内容が大きく後退し、「骨抜きになった」と批判されても仕方あるまい。中国やロシアに加え、米議会の野党共和党の反発も強かったようだ。
しかも、決議の実際のターゲットは限定的である。爆発を伴う核実験を繰り返しているのは北朝鮮だけで、中国やロシアなど五大核保有国は今世紀に入り実施していない。米国は、核兵器の性能維持などに必要な核爆発を伴わない臨界前核実験を行っているのに、これは決議の対象から除かれている。
今回、名指しこそ避けたものの、5回目の核実験を強行した北朝鮮を念頭に置いているのだろう。ただ拘束力を持たない決議が圧力になるのかどうか。
オバマ大統領は、5月に広島を訪問したことで「悲劇を繰り返してはならない」との思いを強くしたと伝えられている。それを境に、新たな核政策見直しへと動いたことは被爆地として前向きに受け止めたい。
見直しの一つに、米国から先に核攻撃を仕掛けない「先制不使用」も持ち上がったものの、「核の傘」の弱体化を懸念する同盟国や軍の抵抗が強く、風前のともしびとなっているようだ。なかなか前に進めない中で、今回の決議はよほど実現させたかったに違いない。
とはいえ、この決議を手放しで喜べないのには、もう一つの理由がある。核兵器禁止条約に向け、10月から国連で本格化する議論をけん制する狙いが透けて見えることである。
核兵器禁止条約は、核兵器の開発や実験、使用を全面禁止し、保有国には核廃棄を義務付けるものだ。非保有国でこの条約をつくろうとする機運が勢いを増しているが、核保有五大国はそっぽを向いている。
今回の決議では、五大国に核保有を認める核拡散防止条約(NPT)を、核軍縮追求の「重要な基礎」とうたった。特権的な立場を守ろうとする大国の姿勢が表れている。核保有、非保有の両勢力が、核兵器禁止条約の議論で着地点を探れるのか。さらなる一歩を見いだしてほしい。(引用ここまで)
「平和憲法」とは何をもって「平和憲法」を言うか!
安倍首相の「平和」と憲法9条の「平和」は全く異なる思想に裏打ちされている!
中國新聞 安保法1年/なし崩しの運用許せぬ 2016/9/19
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=283535&comment_sub_id=0&category_id=142
集団的自衛権の行使を可能にし、日本の防衛・安全保障政策を大きく転換させた安全保障関連法が成立して、きょうで1年となる。自衛隊は、安保関連法で新たに付与される任務の訓練を始めた。いよいよ本格的な運用段階に入ろうとしている。
その前に検証しておくべき課題は多い。1年前、多くの反対を押し切り強行採決で成立した法律だ。その際、安倍晋三首相は「今後も国民に説明する努力を続ける」と述べた。だが、この1年間、国民の理解を深めようとする姿勢はほとんど見せずじまいだった。多くの疑問点を残し、いまだに国論は割れたままである。なし崩しに運用段階に移ることを認めるわけにはいかない。
歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を、憲法9条の解釈変更という手法で解禁した安保関連法に対し、多くの専門家が違憲と指摘する。その議論はいまも決着していない。違憲性に加えて、拡大する新たな任務を巡る自衛隊のリスクなど、論点は多岐にわたるにもかかわらず、これまでまともに議論されなかった。26日に召集される臨時国会を出発点にすべきだ。国際情勢と安保関連法の妥当性を整理・分析した上で、しっかり議論してもらいたい。
自衛隊の新任務では、まず国連平和維持活動(PKO)が焦点になろう。政府はアフリカの南スーダンに派遣される陸上自衛隊に「駆け付け警護」の任務を付与する方針でいる。離れた場所で武装集団に襲われた他国軍の兵士や国連職員たちを、自衛隊が助けに行く任務で、武器使用の基準が緩和され、警告射撃が認められた。ただ、南スーダンは7月に大統領派と副大統領派の戦闘が再燃し、事実上の内戦状態にある。日本政府は「PKO参加5原則」の柱である停戦合意は保たれているというが、「新任務ありき」で前のめりになっている感が否めない。紛争地域で銃声を響かせれば、隊員が攻撃を受ける危険性も高まる。やむを得ず、相手に危害を加える射撃で応じなければならない事態も否定できない。自衛隊のリスクと正面から向き合い、新任務の妥当性を検討しなければならない。
安保関連法の必要性についても、納得できる説明が尽くされたとは言い難い。
確かに日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。とりわけ核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮の動向は看過できない。先月公表された防衛白書は「核兵器の小型化・弾頭化の実現」の可能性に言及した。中国も沖縄県・尖閣諸島の周辺海域で公船の航行を繰り返しており、強引な海洋進出の懸念が拭いきれない。
首相は安保関連法の制定で「日米同盟が強化され、日本を守る抑止力が高まった」とするが、抑止するどころか、逆に緊張は増しつつあるのが現実ではないだろうか。
外交と信頼醸成によって成り立つ安全保障の原則を置き去りにしてはなるまい。違憲の疑いのある安保関連法に頼らずとも、既存の法律を生かし、対話を強化することなどで平和を維持する方策はあるはずだ。平和憲法の理念に立ち戻って冷静な議論を深めるべきだ。(引用ここまで)