全体像が判れば駆け付け警護はオッケーか!
信濃毎日 安保をただす/新任務の訓練/全体像を明らかにせよ 2016/10/26
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20161026/KT161025ETI090004000.php
安全保障関連法に基づき、国連平和維持活動(PKO)でどんな任務が加わるのか。陸上自衛隊の訓練が公開されたものの、肝心なところは分からない。
武器使用の場面を含め、新たな任務の全体像を国民に対して明らかにすべきだ。
南スーダン政府の施設周辺で仕事を求める群衆が道をふさぎ、国連職員が付近の建物から動けなくなったため、自衛隊員が救助に向かう―。公開された駆け付け警護の訓練の想定だ。盾を持った隊員が近づくと群衆は退散し、武器を使う場面はなかった。
他国軍との宿営地の共同防衛では、水や食料を求めて集まった住民に対し、投石などをやめて離れるよう隊員が警告したところで公開の訓練を終えている。
どちらも安保法で武器使用基準が緩和されて可能になった。任務に追加されれば、武装集団に対して警告射撃をするといった危うい局面も起こり得る。
陸自は「手の内を明かすことになる」として武器使用の場面を公開する予定はないとしている。誰に対して何を伏せたいのか、ふに落ちない説明だ。
道をふさいだ群衆の排除など緊迫度の低い訓練しか見られないのでは、国民は新任務の内容を的確につかめない。自衛隊が担うべき活動なのかを見極める材料として武器使用についても訓練の様子を公開する必要がある。
南スーダンでは7月の大規模な戦闘の際、政府軍兵士が市民を殺害したとの指摘もある。駆け付け警護で軍兵士と敵対することはないか、万が一そうなった場合にはどうするのか、そもそも軍兵士かどうかを見分けられるのか…。疑問がいくつも浮かぶ。
訓練の公開を巡っては、官邸側が当日のイメージ図を付けた報告書の提出を防衛省に要求し、その後、当初より「波風が立たない内容」になったとされる。
安倍晋三首相らは任務を増やしても隊員のリスクは高まらないと繰り返している。稲田朋美防衛相は「対応可能な範囲で行う」と慎重姿勢も示した。つじつまを合わせるかのような訓練の公開だ。
今月末が期限である南スーダンPKOへの派遣について、政府は5カ月間延長する実施計画の変更を閣議決定した。新任務は来月にも改めて閣議決定する方向だ。都合の悪い部分を国民に隠したまま付与ありきで進めてはならない。 (10月26日)
そもそも憲法上、疑問が大きい安全保障関連法は施行してはならないのではないのか!
信濃毎日 安保をただす/駆け付け警護/実績作りを急ぐのか 2016/10/24
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20161024/KT161021ETI090009000.php
政府は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊に対し、駆け付け警護などの任務追加を11月中旬にも閣議決定する方針だ。
憲法上、疑問が大きい。現地の情勢を踏まえれば、なおさらである。安全保障関連法の実績を作るために急いではならない。
南スーダンでは現在、10次隊が活動している。政府は11月中旬以降に予定される11次隊派遣の前に新任務付与を決める考えだ。
駆け付け警護は、離れた場所で武装集団に襲われた国連職員や他国部隊などを武器を使って救出する任務である。他国軍との宿営地の共同防衛とともに安保法で可能になった。政府はどちらも任務に加える方向で調整している。新任務は、陸自部隊の宿営地がある首都ジュバの周辺に限って行うという。地域を限定しなければならないところに、南スーダンの治安の厳しさが見て取れる。
現地を視察した稲田朋美防衛相は「ジュバ市内は比較的落ち着いている」とする。7月に大規模な戦闘が起き、270人以上が死亡した。今は政府軍が市内を掌握しているものの、予断を許さない。ジュバから離れた北部では今月も政府軍と反政府勢力の戦闘で56人以上が死亡したと報じられている。国連南スーダン派遣団(UNMISS)が「国内各地で暴力と武力衝突の報告が増加し、非常に懸念している」との声明を最近発表してもいる。7月の戦闘で政府軍兵士が市民を殺害するなど残虐行為に関与したとの指摘も出ている。事実なら駆け付け警護で軍兵士に対して武器を使う可能性もある。海外での武力行使につながりかねない。
戦闘について稲田氏は「PKO協力法における武力紛争が発生したとは考えていない」と国会で答弁している。紛争当事者間の停戦合意などPKO参加5原則が「維持されている」とする政府の説明には無理がある。
現地で避難民支援に当たった非政府組織(NGO)、日本国際ボランティアセンターのスーダン事務所代表は「内戦状態に戻っている」とする。新任務付与については「日本への敵対心を高め、リスクが高い」と批判している。NGOなどの活動を妨げるマイナス面も見据えねばならない。非軍事に徹するからこそ、できる支援もある。日本の国際貢献の在り方を改めて国会で議論すべきだ。(10月24日)(引用ここまで)
歴代の政府は認めてこなかった海外での武力行使は憲法解釈上・施行上認めない!
安倍政権は自衛隊員の命を奪うつもりか!
自衛隊員を殺人者に仕立て上げるのか!
違憲の恐れがあると言われている安全保障関連法は廃止しかない!
訊く耳を持たない安倍政権は退場しかない!
信濃毎日 安保をただす/PKO新任務/防衛相は詳しく説明を 2016/10/10
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20161010/KT161007ETI090005000.php
稲田朋美防衛相が南スーダンを訪問し、国連平和維持活動(PKO)で派遣中の陸上自衛隊部隊を視察した。3月施行の安全保障関連法に基づく新たな任務を付与するのか、依然はっきりしない。そもそも派遣を続けられる状況なのか、根本的な疑問も拭えない。政府として判断を下す前に現地の情勢について国会で詳しく説明する必要がある。
安保法によって自衛隊が担えるようになった任務は二つある。離れた場所で武装集団に襲われている国連職員や他国部隊を隊員が武器を使って救出する「駆け付け警護」と、他国軍との宿営地の共同防衛だ。
憲法解釈上、海外での武力行使につながる恐れがあるため、歴代の政府は認めてこなかった。
南スーダンでは現在、10次隊が活動しており、今月末に派遣の期限を迎える。政府は期間を延長して活動内容に新任務を加えることを検討している。11月中旬に11次隊として派遣される予定の部隊が先月、訓練を始めた。
稲田氏は9月に南スーダンを訪問予定だったものの、抗マラリア薬の副作用によるアレルギー症状が出て取りやめた経緯がある。今回、現地を訪ねたのに続き、国内での訓練も視察する予定だ。
国会では「いかなる業務を行わせるかは、現地情勢や訓練の進み具合などを慎重に見極めて政府として総合的に判断する」とし、方針を明確にしていない。言葉とは裏腹に、任務追加を前提に準備を進めているのではないか。
南スーダンは大統領派と反政府勢力の内戦状態が続いてきた。ここ数年は安定の兆しも見られたものの、7月に再び多くの死者を出す戦闘があった。大統領らがPKO部隊への敵意を示しているとの報告書を国連安全保障理事会の専門家パネルが出してもいる。自衛隊がPKOに参加する際の条件である紛争当事者間の停戦合意など5原則について政府は「維持されている」と主張する。大統領派と反政府勢力の対立が続く現状を見れば、うなずくことはできない。この際、派遣の是非から問い直すべきである。
新任務付与は、与党の審議を経て国家安全保障会議(NSC)で最終的に可否を判断する段取りとされる。憲法上許されるのか疑義がある上、隊員の生命や安全に関わる問題だ。幅広い理解と合意なしに押し切ることは許されない。 (10月10日)(引用ここまで)
海外での武力行使は政府の憲法解釈上認められない!
日米物品役務相互提供協定の改定で、その壁は簡単に破壊されようとしている!
2014年7月の閣議決定や安保法に基づき既成事実化の拡大が謀られている!
信濃毎日 安保をただす/後方支援拡大/関連法を問い直すべきだ 2016/10/4
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20161004/KT161003ETI090008000.php
安全保障関連法は自衛隊の活動を大幅に広げる。その一つ、米軍への後方支援の拡大に向け、政府の動きが進んでいる。日米物品役務相互提供協定の改定だ。承認案が今月中にも国会に提出される。憲法との整合性、隊員が戦闘に巻き込まれる危険性など疑問点は多い。一から問い直す必要がある。協定は食料や水、燃料といった物品、輸送などの役務を自衛隊と米軍が互いに提供するルールを定めている。共同訓練などを対象として1996年に発効した。その後の改定で適用範囲や提供する物品を広げてきた経緯がある。今回の改定は9月26日に日米が署名した。政府の憲法解釈を変更した2014年7月の閣議決定や安保法に基づき、制約を一気に緩めている。
一つは自衛隊が活動できる場所だ。これまでは「非戦闘地域」に限ってきた。「現に戦闘行為が行われていない」ことに加え、「活動期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」場所である。新協定では「現に戦闘行為が行われている現場」でなければ認める。戦闘が起こり得る場所でも支援できるようになる。
もう一つは弾薬の提供だ。従来は、日本が直接攻撃を受ける「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」で可能としてきた。
改定では安保法の三つの事態を加える。密接な関係にある他国への攻撃で日本の存立が脅かされる「存立危機事態」、日本の平和に重要な影響を与える「重要影響事態」、国際社会が脅威に共同で対処する「国際平和共同対処事態」だ。地理的な制約はなくなる。
政府の憲法解釈上、海外での武力行使は認められない。その延長として、他国軍と共に武力を行使していると受け取られる活動も禁じている。「他国の武力行使との一体化」という考え方だ。戦闘の可能性がある場所で弾薬を提供するとなれば、もはや米軍の戦闘の一部を担うことにならないか。なぜ武力行使との一体化に当たらないのか。安保法を巡る国会審議で政府から納得のいく説明は聞けないままだった。後方支援の拡大で隊員のリスク増大が懸念される。この点ついても議論は深まらなかった。新協定の是非だけでなく、政府の憲法解釈変更と安保法の問題点を改めて国会でたださなくてはならない。 (10月4日)(引用ここまで)
「違憲」の既成事実化には「憲法活かす」論を対置して!
信濃毎日 安保をただす/関連法1年/運用を当然視できない 2016/9/20
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160920/KT160919ETI090002000.php
安全保障関連法の成立から1年が過ぎた。
政府は新任務の実動訓練を始めるなど運用に動きだしている。
国民の幅広い支持を得ることなく定められた法律である。きのうは各地で抗議の集会などが行われた。反対の声はなお強い。運用を当然視することはできない。
1年前の国会運営は乱暴極まりないものだった。参院の特別委員会は締めくくり質疑を行うことなく審議が打ち切られ、本会議では採決に先立つ討論が各党15分以内に制限された。審議を尽くしたとはとても言えない。
集団的自衛権の違憲性をはじめ問題点は残ったままだ。政府は国民に理解されるよう努力すると言いながら、実際の振る舞いは全く逆だった。反対論が再燃し、今夏の参院選に影響するのを避けようと表立った動きを控えてきた。
一方で見過ごせないのは、自衛隊と米軍との一体化が加速していることだ。先週は、北朝鮮による核実験への対抗策として米太平洋軍がグアムから朝鮮半島に派遣したB1戦略爆撃機と自衛隊機が訓練を行った。安保法の下、共同行動がさらに広がるのではないか。
稲田朋美防衛相は、カーター米国防長官との会談で自衛隊と米軍を一体運用するための「同盟調整メカニズム」活用の必要性を申し合わせた。ワシントンでの講演では、中国が軍事拠点化を進める南シナ海への関与を日米で連携して強める考えも示している。
安保法制定と同時進行の形で改定された日米防衛協力指針(ガイドライン)は、米軍との協力を地球規模に広げた。自衛隊の海外任務がなし崩しに拡大することへの不安が募る。臨時国会で改めて議論する必要がある。
差し当たっての焦点は、国連平和維持活動(PKO)での新任務だ。武装集団に襲われた国連職員らを武器を使って助ける「駆け付け警護」や他国軍との宿営地の共同防衛が可能になった。11月に南スーダンPKOに派遣される予定の部隊が実動訓練を始めている。新任務を付与するかは現地の治安情勢や訓練の習熟度などを見極めて判断する。南スーダンでは内戦状態が続いてきた。安定の兆しも見えたものの、7月に再び戦闘が起き、多数が死亡している。そもそも派遣できる状況なのか疑問がある。運用の実績づくりのため、新任務を急ぐことがあってはならない。 (9月20日)(引用ここまで)
破たんした軍事抑止力一辺倒の安全保障論ではなく
憲法に基づく非軍事安全保障論を対置すべきだろう!
信濃毎日 安保をただす/首相の訓示/任務拡大はなお疑問が 2016/9/13
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160913/KT160912ETI090010000.php
自衛隊高級幹部会同で安倍晋三首相が訓示した。北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射を非難するとともに、安全保障関連法に基づく自衛隊の任務拡大に意欲を示している。
安保法は19日で成立から1年になる。違憲性や必要性など多くの疑問がなお残ったままだ。日本を取り巻く状況が厳しさを増しているとの理由を押し立て、安保法の本格運用に一気に踏み出そうとしている。政府の姿勢を厳しく見ていきたい。
自衛隊の制服組トップの統合幕僚長や陸海空の幕僚長、部隊の長ら幹部が出席する会合だ。最高指揮官である首相が訓示し、方針の周知徹底を図る。首相は北朝鮮について「わずか9カ月の間に2度にわたって核実験を強行した。断じて容認できない」とした。「国際社会の非難の声を無視し、弾道ミサイルの発射も繰り返している。前例のない事態だ」と指摘している。「軍艦による領海侵入、相次ぐ国籍不明機による領空接近。これが現実だ。極めて厳しい状況に直面している」とも述べた。中国などが念頭にあるのだろう。
自衛隊の海外任務を広げる安保法については「積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献する。今こそ実行の時だ」と語っている。安保法制定に際して安倍政権は北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出を引き合いに出し、法整備によって日本を守る抑止力を高めると主張してきた。事態は好転するより、むしろエスカレートしている感がある。抑止力一辺倒では、さらに軍事力増強を招く悪循環が進むのではないか。北朝鮮の核・ミサイル開発や沖縄県・尖閣諸島を巡る中国との対立は本来、安保法とは別の問題だ。憲法違反と指摘される集団的自衛権の行使容認をはじめ、安保法の問題点は解消していない。
稲田朋美防衛相は先月下旬、安保法施行に伴う自衛隊の新たな任務のほぼ全てについて訓練に着手すると表明した。きのうの会合でも「任務遂行のための能力を高める努力を不断に行い、あらゆる事態に適切に対応できるよう万全を期す」と述べている。このまま任務拡大へ突き進むわけにはいかない。26日に召集される臨時国会で各党は是非を問い直す必要がある。 (9月13日)(引用ここまで)
憲法9条を歯止めとしてつくられたPKO5原則すら形骸化させ
武力行使すら容認してしまった安全保障関連法は
そもそも施行の対象にしてはならない!
信濃毎日 安保をただす/駆け付け警護/派遣の是非から議論を 2016/8/30
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160830/KT160829ETI090009000.php
安全保障関連法は国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊の「駆け付け警護」を可能にした。南スーダンでの実施に向けた動きが本格化している。安保法は、PKOの新任務について十分に掘り下げられないまま成立した。南スーダンに自衛隊の派遣を続けられる状況か根本的な疑問もある。実施ありきで進めてはならない。
駆け付け警護は、武装集団に襲われた国連職員や他国部隊を武器を使って救出する任務だ。これまでは、武装集団が「国や国に準ずる組織」に当たる場合、海外での武力行使につながる恐れがあるため認めてこなかった。南スーダンPKOに11月から派遣予定の陸上自衛隊第5普通科連隊を中心とする部隊が先週、派遣準備訓練を始めた。関係法令など基礎知識を習得した上で、駆け付け警護などの実動訓練を9月中旬以降にスタートする。
防衛省は駆け付け警護を実施する場合、宿営地のある首都ジュバを含む南部の州に限定する方向で最終調整しているという。北部地域では政府軍と反政府勢力との戦闘が多発してきた事情がある。現地の治安情勢は厳しい。活動地域を南部に限定しても安全を確保できるとは限らない。7月にジュバで戦闘があり、270人以上が死亡した。陸自も宿営地外の活動を一時中止している。国連安全保障理事会は今月、治安回復に向け、周辺国から約4千人の増派を決議した。日本はPKOに参加する際の条件として、紛争当事者間の停戦合意などの5原則を定める。政府は5原則を満たしているとするものの、本当にそうか。現地の実情を詳しく説明するべきだ。
安保法では自衛隊の武器使用基準が緩和された。これまでの正当防衛・緊急避難に加え、任務遂行を妨害する者を排除するための警告射撃もできる。自衛隊のPKO活動が様変わりし、隊員のリスクが高まる。にもかかわらず、法案審議は集団的自衛権などに集中し、PKOについては議論が深まらなかった。政府は南スーダンPKOについて現行の実施計画の期限である10月末までに▽期間延長の是非▽駆け付け警護の任務を付与するか▽その実施場所―を判断する。与野党は9月の臨時国会で政府の考えをただし、派遣そのものの是非から議論を尽くす必要がある。 (8月30日)(引用ここまで)
疑義・疑念・疑問とは違憲だからだ!
国家の最高法規に反する政策を断行する政権は違憲政権だということだ!
「憲法を活かす安保を正す!」とは何か、だ!
一刻も早く安保の方法について国民的合意が不可欠だ!
信濃毎日 安保をただす/自衛隊訓練/疑問残したままの着手 2016/8/25
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160825/KT160824ETI090006000.php
安全保障関連法はいよいよ運用段階へ進もうとしている。自衛隊の新任務のほぼ全てについて、訓練に着手することを稲田朋美防衛相がきのうの記者会見で表明した。
歴代の政権が憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使をはじめ、違憲の疑いが残ったままだ。安保法の運用を既定路線にはできない。改めて国会で是非をたださなくてはならない。
稲田氏は「今後、各部隊で必要な訓練を実施していく。いかなる場合にも対応できるよう準備するのが当然だ」と述べた。訓練の詳細は明らかにされていない。新任務は多岐にわたる。集団的自衛権については、朝鮮半島有事の際に日本防衛のため活動する米艦を自衛隊が防護するといった想定での訓練が見込まれる。戦闘状態にある米軍などへの弾薬提供を含む後方支援、国連平和維持活動(PKO)で武装集団に襲われた国連職員らを隊員が救出する「駆け付け警護」や他国軍との宿営地の共同防衛などの訓練も始まる予定だ。
自衛隊の在り方がこれまでとは大きく変わる。政府は従来、「自衛のための必要最小限度の実力組織」である自衛隊は「戦力」に当たらないと説明してきた。海外での武器使用など新任務が加わっても同じことが言えるのか、疑念が拭えない。
3月に施行されて以降、政府は訓練などの表立った動きを控えてきた。7月の参院選に影響するのを避けたかったのは明らかだ。国民に理解されるよう努力するとの言葉とは裏腹に、正面から判断を仰ごうとしてこなかった。
集団的自衛権行使を可能にした安保法は違憲だとして、各地で市民らが自衛隊の出動差し止めなどを求める訴訟を起こしている。国民の反対意見は依然、根強い。このまま運用段階へ踏み出させるわけにはいかない。
違憲性のほかにも、疑問点は多い。日本を守るためになぜ個別的自衛権だけでなく、集団的自衛権が必要なのか。安保環境の厳しさを強調しながら、自衛隊の海外活動を拡大することは妥当か。海外での武器使用が日本や日本人への敵意を生みはしないか…。さまざまな論点が掘り下げられないまま、成立した法律だ。臨時国会が来月召集される。訓練着手が表明されたのを機に議論し直す必要がある。(8月25日)(引用ここまで)