
今日だけ雨と云ふイヤミな一日、午前中にサクッと手猿樂師の活動をして、昼からは樂しみにしてゐた「ひるのいこい」の放送七十年記念番組を聴く。
昭和二十七年、第一次産業に従事する人々の情報交換を目的に放送が開始され、現在では全國津々浦々の人々からの季節のお便りと、なかなか個性的な樂曲とを織り込んだ“いこい”のラジオ番組として、私を含めた多くの愛聴者を誇る。
このたび公開された半世紀近く昔の録音を聴くと、農業や林業などと云った第一次産業がまだまだ盛んに戰後ニッポンを支へてゐたこと、現在では過疎と空き家だらけの山村にも、かつては活気溢れる生活文化──“人”に彩られてゐたことが窺へて、

その行き着いた先が、現在のこの疲弊した浮世なのだとしたら、自分はなんてムズカシイ時代に身を置いたものだらうと思はざるを得ない。
だが、私が疲弊してゐるわけではないのだから、私はこれからもおのれの信じるところに従ひ、おのれの作品(たのしみ)のために生きるだけだ。