迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ニッポン徘徊―大山の古式舞

2014-08-28 22:31:25 | 浮世見聞記
小田急線の伊勢原駅より、かつての大山詣りの参道を路線バスで行くこと、約二十分。

大山阿夫利神社の「倭舞」と「巫女舞」を見る。

明治の初めに奈良の春日大社より伝わった神楽舞で、現在は秋季例大祭において、大山の麓の社務局に設けられた行在所で、地元の中高生たちによって神前奉納されている。


衣冠に身を正した神職たちの祝詞が済むと、氏子たちとわたしのやうな何人かのもの数寄が見守るなか、三名の楽人が奏する今様にのせて、



初めは武官装束姿の男子四人が舞い、続いて巫女装束の舞姫二人が、鈴を手に舞う。




本人たちの意識無意識にかかわらず、この年代の者にしかない“若さ”が、山の発する“気”と相俟って、清々しい空気を醸し出す。



かつて、大ベテランの女優さんが役者志望の女子中学生の演技レッスンを見て、

「あの若さならではの雰囲気だけは、私も敵わないわね……」

と、微笑んだのを思い出し、

こういうことか……

と、つい自分も、口許がほころびそうになった。
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