迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

かたみのころもをみにそえて。

2014-08-24 21:24:08 | 浮世見聞記
久しぶりに能の舞台へ上がり、「高砂」を舞い仕る。

先週に黒川能でこの曲を観て、旅のよい思い出となっているだけに、その気分を壊さないやう、つとめる。


装いは夏らしく、浴衣に袴をつける。

浴衣は、祖母の形見を男物に仕立て直したうちの一枚を、用意した。



芝の鳶職の家に生まれ、若い頃は清元をたしなみ、その後は晩年まで踊りを生き甲斐とした祖母。

遺してくれた浴衣の柄はいずれも、生粋の江戸っ子らしい趣味に溢れ、しかも現在ではとんと見かけなくなったものばかり-つまり、手に入らないであろうものばかりだ。

いま街中では、洋服の延長のような、安手なプリント柄の浴衣しか見かけない。



祖母にはとにかく、感謝の一言に尽きる。
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