迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

いさんのむこうにみるべくは。

2014-08-30 20:11:31 | 浮世見聞記
箱根登山電車で強羅へ登り、標高約660メートルの山中にある奥座敷で催された、謡曲仕舞大会に参加する。

これまでに習得した曲のすべてを大いに謡い、そして舞う。

こういう芸事はとにかく、場数を多く踏んだ者が勝ち、である。



-などなど、もっともらしいことはさておき、今回のもうひとつの楽しみは、生まれてからまだ一度も乗ったことのない、箱根登山電車に乗ること。



この我が国初の本格的な山岳鉄道は、大正8年(1919年)に開業した。

箱根湯本駅を出るとすぐに、立っていると両足にはっきり負荷を感じるほどの、急勾配がはじまる。

嶮岨な山路をスイッチバックしながら進む有り様は、大正元年(1912年)から六年半の歳月をかけて敷設に挑んだ人々の、苦闘の痕跡そのものを見るようで、頭の下がる思いだ。



平成19年(2007年)に全線が土木遺産に認定されたことは、そんな彼らへの、そして現在も安全保守に携わる人々すべてへの、最高の勲章といえるだろう。
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