
東京都世田谷區弦巻二丁目の駒澤給水所前で、門越しに目を惹いた古風な建造物。
明治末から大正時代にかけて人口が増加した豐多摩郡澁谷町──現在の東京都澁谷區の飲み水確保のため、中村鋭治博士の指揮により布設された澁谷町上水道の給水塔で、大正十三年三月に完成したもの。

西洋風の洒落た設計は當初から好評だったやうで、平成に入ってから東京都水道局によって補修工事が施され、現在にその美觀を傳へる。

といっても敷地外からでは木々が邪魔ではっきりと拝めないのが残念だが、空襲や天災、風雪に耐えて乗り越え、令和に至ってゐるその堅牢さが、すでに遺産としての価値がある。
平成や令和は、さてさてどんな建築文明を遺せるやら……。