金春流前宗家がシテをつとめる能「箙」を、第64回鎌倉薪能の無料動画配信で樂しむ。

収録當日は雨模様で、前シテのときに本降りな音が入ってゐるが、余人の追随を許さぬ確固たる藝で魅せ、今秋には旭日双光章を受章した名手の前にはそれも囃子のひとつとなりぬ。
最近は舞臺公演を動画配信で觀る機會が増え、また私自身も動画配信を利用する機會を得るやうになったのも、人災疫病禍が招いた縁であることは間違ひない。
たしかに見物人の雑音が耳目へ侵入し、ムダな苛立ちを覺えずに済む利點はあるが、やはり映像や動画は鑑賞の補助に留め、生の姿に接したいものだ。
自身の活動も含めて。