「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

インド洋の「太平洋戦争」

2006-07-08 05:23:01 | Weblog
元海軍主計大尉、88歳の青柳謙一氏から新刊の著書を頂戴した。題して
「インド洋の夕映え」スマトラ海軍部隊のドキュメント小説。(東京図書
 出版会発行 電話03-5842-6415)青柳氏が戦時中、サバン島に司令部
を置いていた海軍第9特別根拠地隊に勤務していた当時の記録である。第9
特根の守備範囲は、ほぼ一昨年のスマトラ沖大地震の被害地である。

緒戦の頃、日本の海軍艦隊はインド洋で赫々たる勝利をあげた。17年4月の
セイロン(スリランカ)空襲では、空母ハーミスを撃沈、ゼロ戦は英国の
誇るスッピットファイアー戦闘機との空中戦でほとんど全機を撃墜させた。
しかし、戦局の推移で、青柳氏が勤務していた昭和19年ころには、戦争も
敗色がこく、第9特根部隊は敵の砲撃と空襲にあい、食糧難と病魔との
戦いの中で陣地構築の毎日だった。

敗戦後、武装解除された青柳氏らは、マレー半島へ連行され、復員までの
約1年間、連合軍の命令で川藻の撤去作業に従事させられた。日本に帰国
したのは21年9月、青柳氏はその間の出来事を530ページの大冊にまとめ
あげている。改めて従軍世代のパワーに頭が下がる。