「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ジャワ地震・津波と徳川義親侯

2006-07-19 06:15:03 | Weblog
またもやジャワで津波の被害が出ている。一昨年12月のスマトラ沖地震・
津波、今年5月のジョクジャカルタ地震、たて続けの被害である。地震国の
宿命だが、改めて自然の脅威を感ずると共に、過去の経験が生かされなかっ
たのはー残念である。

戦前”トラ狩りの殿様”として知られた徳川義親侯は二回ジャワを訪れ「じ
ゃがたら紀行」を書いているが、地震・津波の記述が二つある。一つは第1
回の旅(大正10年)でジョクジャカルタを訪れた時、タマン・サリ(水
城)が1867年の地震で破壊され荒廃したままなのをみている。二つ目
は、2回目の旅(昭和4年)太平洋学術会議に出席したあと、クラカトワ
火山まで足を伸ばしている。クラカトワ火山はジャワとスマトラとの間の
スンダ海峡にある小島で、1883年8月大爆発し、この時発生した津波で
3万6千人が死亡している。偶然だが,侯は今回の津波で被害がでたチラ
チャツプへも沼沢植物調査に参加している。

昔からインドネシアは、わが国と同様地震国なのである。クラカトワ爆発
では、火山灰が成層圏に舞い上がり、そのあと数年世界の気象に影響を
与えたといわれている。
スマトラ沖地震・津波は僅か20か月前の出来事である。あの時あれだけ
必要性が叫ばれた早期警報システムなどが今回の津波のさい生かされなか
ったのは残念である。わが国の対インドネシア援助は相手国の国民に役に
たつものに絞って行うべきである。インドネシアの政治家のふところを肥
やしても何にもならない。