「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ベランダ庭園の寒梅とアロエの花

2007-01-18 07:44:07 | Weblog
「寒梅著花未」(王維)はまだだと思っていたらやはり季節である。わが
家の小さなベランダの小さな空間に植えたポットの寒梅が白い花を著け
アロエの赤い花が寄り添うように咲いていた。

花月風雅には縁のない僕だが,万目枯れているこの季節には花が恋し
くなる。立春までまだ間もあるが、その気になってみると散歩道にも椿も
山茶花も満開だった。今年は暖冬で季節の歩みが早いのかもしれない。

僕は花の形状より匂いに魅かれる。とくに春のさきがけとして咲く沈丁
花のあの漂ってくるような匂いが好きだ。どこに咲いているのかと探す
と庭の片隅の陽だまりである。

文化庁の日本の歌百選に入っていただろうかー。”赤い鼻緒のジョジョ
履いて春よこいと待っている”ー昔の日本人のこの季節、春を待ちわび
る気持ちがよくこの歌に出ている。炬燵の生活にあきた幼女が赤い鼻緒
のジョジョ(草履)をはいて霜柱を踏んでいる。傍らには雑種のポチがしっ
ぽを振っている。戦前の日本の原風景だった。

寒梅とアロエは似つかわしくないーと写真を撮った娘に言われたが、都会
のご隠居さんとしては精一杯の風流である。暦のうえの立春まであと数週
ある。沈丁花の花の匂いが待ち遠しい。