「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

マグロ資源と江戸前寿司

2007-01-24 10:26:46 | Weblog
マグロ資源の保護を目的とした世界初の会議が神戸で開かれている。
乱獲により資源がやがて枯渇してしまうかもしれない。だからこれを
事前に調査し、規制しようというのが会議の趣旨のようだ。古い資料
(1995年)だが、世界のマグロ全捕獲量の70%は日本であった。ところ
が、ここ10年来の日本食ブームで、マグロの需要はさらに増え、このま
まではマグロが将来壊滅してしまうという声さえ出てきた。

わが国のマグロ・ブームは1960年代に、冷凍技術が長足に進歩したころ
からだと思う。僕ら東京の都会育ちでも昔は今のようにマグロは食べな
かった気がする。酒好きだった亡父は毎日晩酌に刺身を食べていたが、マ
グロの日は少なかった。

戦前は子供だったので、マグロを食べるのはせいぜい慶弔時、出前でとる
寿司ネタだけだった。昔は寿司全体今よりワサビが濃かったのか、大人が
箸でワサビを前もって取ってくれた。赤いマグロが多かったが、そう格別
美味しいとは思わなかった。むしろ江戸前の穴子、シャコやかんぴょう巻
のほうが美味だった。

冷凍技術の進歩で東京で食べる「江戸前寿司」のネタも昔と様変わりした。
今は定番になった甘エビ,いくら、ウニなどは戦前はなかった。勤務で札幌
に10年いて、初めてホッキ、ホタテ,ガサエビなどのネタを食べた。やはり
寿司ネタは産地でとれたもののほうがよい。いくら味がよくても遠くの海で
獲れたトロはいただけない。