「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      紫陽花(あじさい) 和菓子の季節感

2008-06-05 04:54:21 | Weblog
梅雨の晴れ間を縫って昨日、隣の商店街まで和菓子を買いに遠征した。が、老妻
お目当ての柏餅が売っていない。女主人いわく。"もう先月で終わりました”ここの
店の柏餅は一個135円、家の近くで売っているのに比べ、量は一倍半はあり値段
も安い。 そうだ。和菓子には季節があったのだ。もう6月、僕らはいつのまにか周
囲の季節感の喪失にだまされていた。

東京では名の通った老舗の看板わけの、その店は環状7号の大通りから入った路
地にある。あまり人通りがあるとは思えないが、いつも込んでいる。店頭には色鮮や
かな紫陽花の花弁を形どったもの、冷しさを呼ぶ葛ごろも、水羊羹などがならび衣更
えされていた。自然界より和菓子のほうが季節の変化を告げてくれた。

入梅が早かったせいか、今年の東京の紫陽花の咲き具合はいま一つだが、猫の額
のような(ごめんなさい)庭に咲く紫陽花は逆に風情がある。紫陽花の花の色は七変
化するので有名だが、37年前、札幌に転勤の際一緒に持っていった紫陽花が薄紅
色から青色に変化したのを想い出す。土地の酸性度によってこの花の色が変る。

和菓子が女性の間で静かなブームだという。辛党の僕には和菓子を語る資格はない
が、なんとはなく理解できる。日本庭園をバックに着物姿の女性が茶の湯をたて和菓
子を食べるー定番の構図だが、日本の伝統の美を感ずる。和菓子屋の季節感を大切
に心意気に改めて感心した。