「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       メナドの落下傘部隊と"海の神兵”

2008-06-07 05:12:14 | Weblog
インドネシアのスラウェシュ(セレベス島)にメナドという町がある。後期高齢者
なら誰でも一度は聞いた名前だが、今ではマリン・スポーツ愛好者の間で、ダイ
ビング・ポイントで有名なブナケンへ渡る町ぐらいとしか知られていない。しかし、
実はメナドは昭和17年1月11日、海軍の落下傘部隊が日本で初めて”天降った”
歴史的な町なのだ。

このメナド市内の公共墓地の一角に落下傘部隊の隊長だった堀内豊秋・中佐
(当時)の「鎮魂」の慰霊碑がある。戦後、オランダのBC級軍事裁判で処刑され
た堀内中佐の生前の遺徳を偲び、地元住民が建てたものだ。

この慰霊碑が移転したという情報が入ったので、現在早稲田大学に留学中の
S君を呼んで事情を聞いてみた。S君の父親は、かって東京のインドネシア大使
舘に勤務したことがあり、現在はメナドに居住、堀内中佐の慰霊碑の維持管
理をしてくれているグループの一員である。早速回答があって雑草を防ぐため
慰霊碑の周りをセメントで固めたのが誤り伝えられたものと判った。

戦後60年も経過すれば昔の戦争を知る日本人もインドネシア人も少なくなってき
ている。メナドの落下傘部隊を題材にした戦時中のアニメ映画「桃太郎の海の神
兵」(松竹昭和20年 瀬尾光世・監督)がある。DVDでも簡単に観えるそうだから
関心のある方はどうぞ。

先年、調布市で開かれた音楽会へ出かけたらパレンバンの陸軍落下傘部隊を賛
歌した名曲、「空の神兵」を紹介するパンフに「空の新兵」と印刷してあった。あな
がちITによるミスプリとは思えない気がする。歴史とは忘却されていくものとは知り
ながらも気になることだ。