「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         ”通り魔”事件 ゆがんだ社会

2008-06-10 04:59:00 | Weblog
また、ゆがんだ日本の社会を象徴するような事件がおきた。舞台はアキバ、主役は
ハケン、ドラマの味付けはケータイときている。先日、東京の秋葉原で白昼起きた無
差別殺人事件は、なにかIT時代のチャップリンの「モダンタイムス」を想起させる。誰
でも好いから殺したかったというのは、まさに”殺人狂時代”だ。

犯人像が明らかになるにつれて、男は青森出身で、現在は静岡県裾野市に住み同市
内の自動車部品工場に勤務する25歳の派遣社員だった。学校時代は”成績優秀”で
”おとなしい”子供だったが、反面”きれやすい”一面もあったという。男の育った青森県
は沖縄についで失業率が高い。専門の自動車短大を出ても多分正規な職は、みつから
なかったのであろう。

犯人は昨年11月から裾野市の自動車工場の塗装の生産ラインで仕事をしていた。仕事
は真面目だったというが、恐らくかれは、ここで派遣と正規社員との違いを実感したに違
いない。たんに自分のつなぎ作業服が紛失しただけで犯行に及ぶことは常人では考えら
れない。

犯人は派遣会社が用意した独身寮で生活し、ここから会社に通勤していた。僕も10年ほど
前、外国人の研修でこの会社にお世話になったことがあるが、富士山がみえるよい環境
の中にある。しかし25歳の青年にとって毎日、ベルトコンベアーに乗ったような生活はどう
だったのだろうか。知人も友人もいない地での生活は、ケータイが友である。犯行直前の
彼のケータイによる”実況放送”を知って言葉は適切ではないが”いとおしさ”さえ感じた。

政治の貧困である。なんとかしなければならない。