「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        理解できない 日系人の帰国費用

2009-04-02 06:39:26 | Weblog
最近の不況で職を失った日系人就労者の帰国費用を国が支払うという。厚労省の
発表によると、母国への旅費として1人30万円(扶養家族には20万円)を支給する。
希望者はハローワークへ行けば簡単に貰えるらしい。日系人といえども国籍は外国
である。世界中どこを探してもこんなに優しい国はない。

日本に在住の日系人就労者とその家族は、ブラジル人だけで30万人を越える。他の
ラテン諸国や少数だが、インドネシア、フィリッピンなどのアジア系を入れれば大変な
数だ。彼らの大部分は1989年の入管法改正で、日本にいる親族訪問という名目で長
期滞在ビザを得て働きにきた人たちだ。当時の人手不足解消の日本政府のとった苦
肉の策だが、政府の招きによって来たわけではない。


世界的な不況で外国人の労働力に頼っているシンガポールやドバイなどの国々では
一早く企業は外国人を解雇し帰国させているが、国がこれら外国人の帰国費用は負
担していない。中に入った派遣業者が責任をもって帰国させている。

わが国の場合は"親族訪問”という"日本的な事情”からスタートしたため、政府も企業
も雇用条件が抜けガラだった。本来なら彼らを送り込んできた母国や派遣会社が責任
をもって帰国させるべきなのだ。

日系人を雇っていた地域の行政では、帰国費用のないまま彼らに残られては大変な負
担になるから厚労省が帰国費用を出せば、いい”厄介ばらい”である。なぜ厚労省は、
無条件で国費で彼らに帰国費用を渡すのかー。一時的に貸付して帰国後返済せよーぐ
らいの条件をつけるべきである。たとえそれが現実的に無理とわかっても、今後のこと
もある。将来、外国人の労働に依存しなければならない時代が来る。日本的な"玉虫色は
国際的には通用しない。