「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         ソマリアの海賊と「休戦海岸」

2009-04-28 05:56:06 | Weblog
IMB(国際海運局)の発表によると、今年1月ー3月の世界での海賊発生件数は
未遂を含めて102件。これは昨年同期に比べて2倍にあたる。うち最も多いのは
アデン湾周辺海域のソマリアによる海賊行為だ。その割りに日本の新聞を見る
限りでは、なぜソマリアが海賊を働くのか、この国の実態があまり伝わってこ
ない。

半世紀近く前の昔だが、僕はアデンから隣接のUAE(アラブ首長国連邦)にかけて
2週間旅したが、その時アデン港に沢山の群れの羊がソマリアから輸入されてきて
いるの知り、アラビア半島とアフリカとが意外に近いのを実感した。

当時UAEは独立前で「休戦海岸」(Trucial States)という名の英国の保護領であっ
た。「休戦海岸」という変な名前だが、そのいわれは、18世紀から19世紀にかけて
今のUAEのアラビア湾一帯は海賊の巣で、そこを航海する船舶を悩ませた。そこで
英国が周辺の土侯と「休戦条約」を結んだことに名前は由来している。

英国の新聞「インディペンデント」によると、ソマリアの海賊はただの小魚で、UAEの
ドバイやケニヤのナイロビなどに大きサメがいるとのこと。かってこの地域を支配し
ていた英国らしい見方だ。同紙の報道では、ソマリア沖海域でこの1年間海賊によ
って奪われた身代金は8000万ドル(約78億円)にのぼり、このうち数百万ドルが中
東の銀行でマネィロンダリング(資金洗浄)に使用されているという。これも英国ら
しいうがった見方のような気がするが、話としては面白い。いずれにしてもソマリア
の実態を伝えるニュースが日本のマスコミには少なすぎる。