「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          豚インフルとカミュのペスト

2009-04-26 05:31:03 | Weblog
戦前の東京の街にはドブネズミがやたらと多かった。金網で出来たネズミ捕りが市
販されており、これでネズミを捕まえ交番を持ってゆくと、たしか5銭で買い上げてく
れた。今考えると、これは伝染病予防の一環だったわけだが、当時は保健衛生は内
務省、つまり警察の管理下にあったのだ。

メキシコと米国で豚インフルエンザが発生し、1300人以上が感染し、81人が死亡した。
テレビの画像には予防のブルーのマスクをした市民たちの姿が映し出されている。WHO
(世界保健機構)では緊急の会議を開き、感染の拡大を検討、日本でも全国の検疫所
での水際チェックを強化した。

伝染病というと昔読んだフランスの作家、カミュの「ペスト」を思い出す。ペストは14世紀
ヨーロッパで大流行し、当時の人口の3割が死んだという。カミューは舞台をアルジェリア
に起き、ネズミを媒体としたペストの流行を人間の心理面から描いている。戦前の日本
でネズミ捕りが奨励されたのもペストの流行防止だっとのだろう。

豚インフルは豚が媒体なのだろうかー。米国では人から人への感染の例もあったようだ
が、はっきりしない。パンデミック(大流行)の危険はあるのだろうか。前もっての予防に
力をいれるのにこした事はない。しかし、必要以上の騒ぎもどうだろうかー。カミューは
「ペスト」中で閉鎖社会の人間の不条理を説いている。早くも豚インフル完全予防の
マスクが高価な値段で売り出されている。医学的にまだ解明できていないインフルがなぜ
完全予防できるのかー。