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「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        大本営報道部長一家の自決

2010-09-12 05:38:46 | Weblog
民主党代表選の最中、先日、菅総理ら閣僚が街頭に出て、自殺予防のキャンペーンに
参加していた。9月10日はWHO(世界保健機関)の定める世界自殺予防デーで、日本
では毎年10日から1週間は自殺予防特別週間だそうだ。そのぐらい、わが国の自殺は
多く、この12年間連続で年3万人以上が自殺している。

同じ自らの命を絶つにしても、日本では自殺、自害,自刃、自決など色々な言い方があ
る。敗戦の昭和20年8月15日から翌9月3日のミズリー艦丈の降伏調印式前後にかけて
はおそらく、わが国の史上、最もみずからの生命をみずからの意思で絶った方々が多か
ったのではなかったのではないだろうか。この方々のことは自殺とは呼ばない。

敗戦の日には阿南惟義陸軍大臣が割腹自決し、9月に入ると杉山元・元帥夫妻が自害
(12日)小泉親彦・厚相(13日)横田邦彦・文相(13日)が相次いで自ら命を絶っている。東
條英機・首相も11日ピストルで自決を図ったが、未遂に終わっている。

こういった高官に混じって親泊朝省大佐も妻子3人を道連れに心中されている。親泊大佐は
沖縄出身で、大本営の陸軍報道部長をされていた。遺書には「ガ島で死すべかりし命を今
宵絶ちます。皇国の前途をよろしく頼む」とあった。親泊大佐はガダルカナル島攻防作戦
の参謀であった。

「比島決戦の歌」(西条八十作詞 古関裕而作曲)の中の一節「いざ来い、二ミッッ、マッカサ
ー出てくりゃ地獄に逆落とし」は、親泊大佐の報道部長時代の即興の補作とされている。この
歌は、終戦直前の大ヒット作で、僕も焼野原の動員先で歌ったものだ。親泊大佐一家は、ミ
ズリー号艦上の降伏式の前日命を絶っている。僕には大佐の心情がよくわかる。