「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       半世紀前、日本が元気だった頃の話

2010-09-23 05:20:11 | Weblog
ドバイから珍客が中国経由で来日するというので心待ちにしていたら一昨日、知人から
メールが入り中止になったという。珍客というのは48年前、僕らが取材でドバイを訪れた
さい日本語で案内してくれたK氏の孫である。お孫さんは現在、ドバイで実業家として活
躍しており、今回、中国へ商談へ来た帰り、わざわざ僕らに会いに来ることになっていた。
僕は、この”ドタキャン”が尖閣諸島の問題と関係がなければ、よいがなあと思った。

約半世紀前のドバイは英国の保護領「休戦海岸」(Tricial States)の土侯国の一国で日
本人にとっては”秘境”の地であった。この地で僕らは、日本語が出来る現地人に会える
とは思ってもいなかった。K氏はインド系の住民で戦前長く神戸に貿易商として滞在して
いた人で、僕らは大変お世話になった。

半世紀も前に何故僕らがドバイを訪れたかというと、主な目的は同じペルシャ湾岸のクエ
ート沖の海底油田を日本の技術陣が掘削に成功し、その模様を翌年の新聞の新年号に紹
介することであった。昭和38年のわが紙の新年号別冊には、赤々と廃油が噴出し燃える
迫力あるカラー写真(当時はまだ珍しかった)に次のようなキャプションが添えられてある。

「海底油田からくみ上げられた原油はパイプラインを通って八つのタンクに奔流する。そして
その一部は、排気ガスとなって大気中に放出される。みるみるうちに太陽が昇った。太陽は
排気ガスのほのほと重なる。摂氏1500℃の高熱で燃えさかるものすごいエネルギーだ。
(中略)あすの日本の底力を生む原動力はこうして今日も作られている。排気ガスの力強い
エネルギーのようにー。」

稚拙な文章で恥ずかしいが、高度成長前の日本の元気な姿が感じられる。