「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず           

2012-03-28 07:57:24 | Weblog
このところの陽気でわが家の近くの桜もやっと蕾がほころび始めてきた。首都圏での開花宣言もまもなくだろう。それにしても今年の冬は老体には厳しかった。昨日、昔の同僚から同人誌に載った原稿とともに手紙が届いた。”今年の冬は寒かったですね”という書き出しである。やはり御同様であったのである.

何年か前まで”暖冬異変”という言葉をよく耳にしたことがあった。十年一昔という。ためしにその一昔前の日記帳を調べてみた。2002年(平成14年)の東京は、早くも3月16日、桜の開花宣言が出て春分の日には満開。4月1日には散り始めていた。やはり暖冬であったのである。10年前というと、僕は70歳、古希であった。日記には毎朝散歩した歩数が記されていた。当時は一日五千歩を目標に歩いていた。二冊目の本を自主出版したのもこの年であった。

この季節になると、僕は古代中国の詩人、劉廷芝の詩「年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず」を思い出す。まさにその通りである。10年前、一緒に花を見、ともに酒を楽しんだ友人はすでに鬼籍に入っている。フィレンツエの古い町並みを案内してくれ、バールでビールを痛飲した友も世界を異にしてしまった。

古希の時は自分も世にも希な年になったと、驚いたものだが、あれから10年以上の歳月が流れた。この間僕は二回も膀胱がんの切除手術で入院したが、幸い傘寿(80歳)も迎えられた。次は卒寿(90歳)が目標だが、年々生きるハードルは高くなってきている。歳々年々人同じからずだからだ。