「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         ガソリン値上げデモで揺れるインドネシア

2012-03-30 07:18:53 | Weblog
昔、インドネシア(蘭印)に駐留した日本軍の兵士たちは”Nasi(お米)はなし、kue(お菓子)は食え”と現地の言葉を覚えたそうだが、ガソリン(minyak)は、土地から吹き出すほどあって驚いた、と戦友会誌に書いてある。大東亜戦争緒戦の蘭印進攻作戦もも東カリマンタンの石油基地、タラカン島攻略で始まり、パレンバン(スマトラ)への落下傘部隊の降下も石油基地確保が目的だった。

そのインドネシア全土が、ここ数日政府のガソリン価格値上げ発表に反対した学生、労組員などの大規模なデモで揺れている。デモ隊は政府が4月1日からガソリンなどの燃料価格を1リットルあたり6000ルピア(54円)にすると発表したことに抗議している。日本でもこのところガソリン価格が高騰し、一部には1リットル160円のところも出てきているが、これに比べればはるかに安い。

インドネシアはOPEC(石油輸出機構)加盟時は政府が補助金を出して国際価格よりも安くする政策をとってきたが2007年脱退後も同じ政策を維持してきた。が、最近の高度経済成長につれて国内の石油消費が増え、外国から大量に輸入しなければならなくなった。このため補助金が膨張し歳出を圧迫する事態になってきた。しかも、わが国と違って公共輸送機関の整備が遅れているインドネシアでは、バスやオートバイが庶民の足である。ガソリン価格の値上げは庶民の生活を直撃する。

1998年、スハルト政権崩壊につながる金融危機の時も、政府がガソリン価格の補助率を引き下げたため連日、デモ隊が町に展開されていた。1966年のスカルノ政権崩壊の時も、学生たちが毎日、激しいデモを行った。偶然だが、僕はこの二つの事件に遭遇している。在インドネシア日本大使館はHPで、在留邦人にデモに巻き込まれないよう注意しているが、油断は禁物である。くれぐれも注意したほうがよい。