アマチュア無線局 JO1KVS

運用やグッズ、その他思いついたことを書き込んでいます。役に立たない独り言ですがよろしくお願いします。

マイクまわりの設定

2017年01月13日 01時34分08秒 | アマチュア無線

IC7600につないでいるマイクまわりの設定ですが、

まず、スタジオコンデンサマイクを使うにはファンタム電源が必要です。
これは単体で売っていないことは無いですが、大抵はプリアンプに内蔵しているものを使います。
プリアンプ。マイクの出力はマイクによってまちまちですから、一旦はある程度、通常はラインのレベルに上げて各種プロセッサを通して音作りをしていきます。 

音作りの基本はトーンコントロールですが、もっと細かいイコライザ機能で調整していきます。
でもその前に、不要な音は入り口でバッサリ切ってしまいます。
例えば人が動いた時の振動、周辺の電気製品から出続けている低音の振動などはカットします。この機能はマイクに備わっていることもあります。
人間の耳には聞こえるか聞こえないかでも電気的にはかなりの音量だったりして、この後の調整にも影響が出ますので、特に低音はローカットフィルターで切ってしまいます。
当局の場合、ボーン、と静かに響き続けるシャック内のパソコンの音などがマイクから拾われているので、結構高めですが50Hz以下をバッサリ切っています。

入り口でカットするのは周波数帯だけではなく、音のレベルでしきい値を設定して、ノイズにしかならない小さいレベルをカットすることも出来ます。これがゲート機能です。例えばコンプレッサーガンガンに効かせている局が黙って送信しただけで出力が半分くらい出ている場合は、これはもうバックノイズも相当増幅してしまっているわけで、本来ゲイン上げすぎなのですが、バックノイズを黙っている時くらいは下げてしまおう、ということは出来ます。ただこれもやり過ぎると喋った音に合わせてバックノイズが連動してついてくるから、なんか濁った音に聞こえてしまう。バックノイズをゼロに絞ると不自然になるのでゲインとの相互の調整で程々に。

ディエッサーといって、サシスセソの時に出る高い音域の「しさつ音」というものを低減する機能もあります。

イコライザは強調する作業よりも要らない部分を下げていくのが基本です。ですが感覚的には強調したいところを上げていくほうがわかりやすいです。結局全域高く上げてしまうようだと意味がありませんので意識としてはそんな感じかなと。我々の行う音作りは、送信機、そして先方の受信機の中で失われていく音域を予め高めておくことでHi-Fi感を出そうというものなので、ここを上げておこう、という感じで作業するほうが楽ですね。

そして馴染みの深いコンプレッサー。圧縮という単語ですが、リニアな増幅率を上の方は下げておくみたいな感じになります。大小の混在する音のうち、大きめの音が来たら押さえぎみにするものです。これだけだとオーバーレベルを抑えるだけみたいになってしまいますが、同時に全体のゲインを上げながら行うことで、小さな音は少し大きく、大きめの音は抑え気味に。平均的なレベルを上げるような効果が出てきます。無線機搭載のコンプレッサーは小さな音をかなり大きく、が結構強調されていて極端な使い方をしているように思います。
設定は、反応の速さ(アタックとリリース)、全体のゲイン、どのレベルから抑え始めるか、抑える度合い、等があります。
こればっかりはいろいろやってみて、うーんこれくらいがいいかな、というのを探っていくしかないのですが、抑え始める位置から上は1:4で抑える例が多いようです。
1:無限で抑えると、これはもうリミッターということになり、どんな大きな音が来ても、このレベルで抑えてしまう、というもので、専用のリミッターという機能として独立している場合もあります。
リミッターは使いようによってはかなり有効で、送信機のALCを絶対にオーバーしない音を作ることが可能です。どんなにがなっても過変調にならないので、ゲイン上げめにしてトークパワーを上げつつもスプラッターを撒き散らかさない、という音作りも出来るわけです。

無線機のALCも(高周波増幅の段階ではありますが)いわばリミッターですが、これはこれで時定数とか反応する音域には機種ごとに癖があるので、そううまくいかない、というのも事実ではあります。

ALCの話が出たので余談になりますが、音作りと無線機のALCとの駆け引きも大事で、ALCがオーバーする直前まで変調を入れないとフルパワーが出ないなぁという無線機であっても、ALCに反応しにくい音を作ればALCメーターがあまり振らないままフルパワーを出す、ということも出来ちゃいます。 ALCは瞬発的な大きな音に反応しているわけですから、瞬発的な大きな音を事前に抑えておけばそんなに振れないわけです。低音に反応しやすいのか、高音に反応しやすいのかもあります。ただ、そおっと上がった音でも簡単に反応する無線機の場合は仕方ないでしょう。振ったからといってすぐに歪むわけではありませんから全く振らさないということにこだわることは無い、遊びとしてやってみるのはアリだと思います。

パワー計、十分にパワーが出ているかは大変気になる部分ですが、実際にちゃんとフルパワー出ていてもアナログメーターだとこれっぽっちしか出てないの?くらいにしかメーターが振らないことが多いです。これ、結構失敗しがちなところで、ガンガンメーター振らせようと変調乗せるとALCがオーバーして歪んだ汚い電波を出してしまうことになりがちなので気をつけましょう。
実はたいしてメーター振ってなくてもピークはフルパワーちゃんと出ているものなのです。 デジタルパワーメーターを使ってみると、なぁんだ、出てるじゃないか、とわかります。気になる方は是非デジタルパワーメーターを使ってみてください。

ある程度はパワーメーターを振らしていないと気が済まないなら、やはり平均トークパワーを上げる、且つ過変調にならないレベルでコンプレッサーをかける、ということになるのかなと思います。ダイナミックレンジの狭い、実の詰まった音を作るのです。
一方でダイナミックレンジの広い音を作ろうとすれば、ほんの僅かの瞬間だけピークパワーが出るような変調を作ることになるのですが、これ、音質的にはいいのでしょうが、相手から聞くと、変調浅!!って感じにもなるので無線通信として成り立つ範囲でやっていく必要があるでしょう。
特に、シグナルが9オーバーで来ている時はズンズンキラキラして聞こえても、Sが3とかになるとたちまち腰砕けな聞き取りにくい貧弱な音に聞こえてしまいますからHi-Fiも時と場合で使い分ける必要があると思います。

Hi-Fiの考え方も、ダイナミックレンジは抑えて(あきらめて)、広い音域をきちんと聞かす、という方向でやっていくのが通信機向けかなという感じですね。了解度は犠牲に出来ませんので。
電話の音、小型AMラジオみたいな音の中で、他局より少しいい音に聞こえてくれれば、とりあえず嬉しいわけです。 

コメント (2)
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